やっぱり蹂躙は基本ですよね! 作:(`・ω・´)
────目が覚める。
人影が、寝転がっていた自身の体を起こす。周囲を見渡せば前方には爽やかな草原が、後方には鬱蒼とした森林が広がっていた。心地の良い柔らかな陽光がその姿を照らす。
銀糸の如き長髪、白磁にも似た滑らかな肌。黒地に銀糸で精緻な装飾がなされた服を身に纏い、同様に飾りつけられたフード付きの外套を羽織っている。体のラインが見え辛いゆとりのある服だったが、それでも尚スタイルの良さを窺わせる肢体。女神が降り立った、と言われても否定よりも納得が口を突いて出そうな、美しい女性。
女性はその透き通った蒼色の目を動かし、自身の体をしげしげと眺める。そうしてぽつりと、感嘆の息と共に一言。
「……本当に、来ちゃいました………」
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女性は、この世界の人物ではない。
それもそのはず、女性はこの世界の事を
────転生。それこそが、女性を襲った出来事だった。
嘗て年若く死んだ女性は、何の因果かその身を赤子へと回帰させた。しかも、その身に別人だった記憶を宿しながら。時間はかかったが、女性はその事実を受け入れて生きてきた。資源は枯渇し、大気は汚れ、土地は痩せ、およそ国の総てが大複合企業に牛耳られた世界で。
しかしその人生に、一つの転機が訪れた。ふと目にした、あるゲームのタイトルが彼女の人生を劇的に変えたのだ。
────DMMORPG、ユグドラシル。
まるで天啓のようだった。ネオナチ、アーコロジー、そしてユグドラシル。彼女が嘗て読んでいた、「オーバーロード」というタイトルのダークファンタジー小説に、偶然と切り捨てるには些か無理がある精度で一致していた。
私が、私だけがこれから先の出来事を知っている────。その知識は、彼女に
周囲からの奇異の視線も何処吹く風。打算込みでユグドラシルを始めた彼女は、ゲームの面白さも相まって極自然にのめり込んでいった。それでも将来設計に基づいて愛想を振りまいておくのを忘れない辺りは流石と言うべきか。
ともかく。
熱意が人一倍な彼女は、ユグドラシルの中でも腕利きのプレイヤーとしてひっそりと名を馳せた。というのも、彼女は華々しく戦う者ではなかった。錬金術、つまりアイテムやNPC作成に特化したキャラメイクをしており、NPCのAIがいっそ変態的なまでに精緻を極めているとしてその筋で名が売れていただけである。そんな彼女の目標は一つ。
────軍事チートしたい。
不意に現れ、数で押し潰して、質で圧倒して、蹂躙して、深い深い爪痕を残す────そんな存在になってみたい。
異世界の者達からすれば果てしなく迷惑であろう。少なくとも一度は全種族存亡の危機が訪れる事が否応なく決定しているのだから。
女性の名は、ノーサッシュ。
後の世にて「虚空より至るもの」という意味として認知される名を冠する、今はまだ無名の超越者である。