1981時は止まった   作:ぴのこ

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聖哉の計画は滞っているようだが・・・


クルーMay 19

1981年5月19日

 

木戸聖哉が人類救済計画をスタートし

早2ヶ月が過ぎた。

 

未だDNAの採取は目標数を達成していない。

研究目的でT大学に潜入できたものの

自分の祖先である木戸勇哉にはすべての計画事案について

理解を得られていない。

 

とり急ぎ、派遣研究員としてT大学への潜入は成功し

木戸勇哉博士の研究室で助手として働くというミッションは

達成できていた。

 

一方で、自分の時代へ無事帰還できるかという危惧もある。

タイムマシンの置き場となっている恩納村の様子も気になっていた。

聖哉は、現地で世話になった宮里親子とも密に連絡を取り合っていた。

 

宮里光悦の娘、宮里鈴音の母親である弓音は

長い闘病生活を送っていた。

若年性アルツハイマーを煩っていたため

鈴音が小さいときから入退院を繰り返していた。

 

弓音は北海道出身であったが、光悦と出会い

沖縄に嫁いできた。

鈴音が小さい頃は病弱であったため

1日のほとんどを母の弓音と過ごすことが多く

地元の子供達と遊ぶ機会がなかった。

 

そのため鈴音は沖縄の方言はあまり使わず

標準語で話している。

聖哉が光悦と話しているとたまに理解できない方言がある。

そのときは鈴音が通訳してくれる。

 

沖縄の方言は、元来琉球語という

日本語とは異なった言語であるため、光悦が地元民と

話している言葉は、ほとんど外国語にしかきこえない。

 

なんくるないさー = だいじょうぶ。なんとかなるさ

あきちゃびよー = 驚いた!

くくる = こころ

 

基本、母音が e と o

の発音がないのである。

つまり、a i u のみだ。

 

つきつめていくと非常に興味深い言語体系を

成している。

時間が許すので有れば、聖哉は琉球語、つまり

沖縄方言を研究したいと思っていた。

 

だがしかし、今はそんな時ではない。

一刻も早くDNAを採取しなければならない。

 

小早川の件も抱えたままだ。

一旦、退院はできたものの、未だカウンセリング中だ。

ただし、聖哉の研究を手伝わせることに成功したため

失意の青年は、なんとか生きながらえている。

 

木戸勇哉博士も小早川に期待を寄せ、できれば

このまま継続して研究室を手伝って欲しいと考えていた。

小早川の夢であるパイロットになるための

視力が足りないため、もはや断念せざるを得ない

そう悟った小早川は、木戸勇哉ラボでの仕事を

視野に入れようとしていた。

 

そんな様子をみていた聖哉は

無理に小早川をタイムトリップさせなくても

よいのではないかと考えはじめていた。

 

今はまだ自分を責め続けている小早川ではあったが

徐々にではあるが前向きに生きようとしている。

そのことが、彼女への供養にもなると言い聞かせているようだ。

 

小早川研究員が加わったことで、新たな研究成果が

生まれるということを、このときまだ聖哉も勇哉も知るはずがなかった。

 

 

 

 




時空間の旅には、いくつかの条件があるため
簡単に過去の時代に遡ることはできない。

人類救済プランは果たして成功するのだろうか。
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