家から徒歩でニ十分の距離にある公立高校。
屋上に繋がる階段を欠伸をしながら登り、屋上につながるドアを開けた。そこに立っていたのは小学校から顔なじみで、一年・二年と連続して同じクラスになった
「まさか、友達がカンピオーネになるなんて思ってなかったけど。自己紹介は必要ないよね」
「てか、同じクラスに王が居るってどういう心境なの?」
二人の間に数秒の間、無言の空気が流れた。
「う~ん、畏まって話すのは違和感があるかな。あと、スマホの番号を交換しておきたいんだけど」
カバンからピンクのハートのストラップが付いたスマホを取り出した。
見せられた番号を入力し終わると、残り十分ほどで授業が始まる時刻になることに気づき、急いで教室に戻った。
@@@
揺れる車の中から後ろに流れていく景色を眺める。
「学校が終わって、すぐなのにすいません」
バックミラー越しに後部座席に座る此方に視線を向けながら頭を下げる。
横に座る新実は、車に乗ってからずっと電話をしている。今、向かっている場所とやり取りをしているようだが、焦りを含んだ声からして状況はあまり芳しくないようだ。
何があったか聞いていいすか、と運転をしている皿木さんに声を掛けると、横にいる巫女さんが説明しますよ、と言った。
横に視線を送ると、通話を終えて溜息をしながら口を開いた。
「その、えっと、私に許嫁の話しがありました」
「……おめでと」
おめでたくないです、と溜息混じりに零した。
「今年で高校三年生になったので、卒業後は巫女として本格的に働きます。特に巫女は後継ぎを生む為に早くから婿を取ったり、嫁に行ったりします。今回もその話が来たのですが、私の内より身分の高い家が二つ嫁に来て欲しいと言ってました。その二つの家の間で対立が……」
「なんというか、他人事だから言うけど。……アホだな。てか、新実の家ってそんなに大きいのか?」
「いえ、新実さんの家が目的ではなく。新実鳴音さんの持つ能力が目当てなんでしょう。鳴音さんには、”精神治癒”という稀有な天性の能力が宿っています。効果は文字のままで、呪術師にとって精神は切っても切り離せないものですから。呪術師として能力が高い人からすれば喉から手が出る程欲しがります」
人ひとりの人生が掛かっているのに、目当ては能力っていうのは気に入らないな。
そう思っていると車は高速を降りて、一般道路を走る。
都市部を抜けて徐々に家は少なくなっていき、林の中を進んでいくと、
「着きました。ここです」
車が止まり、そこにあったのは石で作られた長い階段だった。
「なが!」
山の下から上にある建物を繋ぐ斜面を削って作られた階段。
では、行きましょうか、と言って皿木さんと鳴音は一段一段、上にあがっていく。黙って後ろに付いて登るものの一行に頂上にたどり着かない。
体力的には問題ないのだが、理由も分からずにただ上り続けるというのは、暇でしかたがない。というか何故、俺は此処まで連れてこられたんだ。
「そいえば、俺が連れてこられた理由ってなんですか?」
「簡単よ、カンピオーネの鶴の一声で止めてもらおうかと」
見事に利用されているようだ、俺も使えるものは使う主義だから。文句はないかな。
溜息と同時に少し笑っていると、なんの前触れもなく肌がピリピリする感覚を味わった。
過去に一度、味わった感覚だ。
前を歩く鳴音も気づいたのか、階段を上る足が止まった。
「う…そ…なんで、いきなり…」
その顔は、青く染まり、体は震えている。
「二人とも、今すぐ車に戻って!早く!」
一段飛ばしで、階段を上り開けっぱなしの門を潜る。
この感覚は”まつろわぬ神”が傍にいる時に感じるもの。
人ではありえない存在感。
地上にいることで天災を生む特異点。
”まつろわぬ神”の存在を感じる方向に土足のまま、家の中を走っていく。
襖を大きく開くと、そこに居たのは人型の神と足元に転がる複数の死体だった。
「うむ、神殺しか。地上に姿を現してすぐに出会えるとは」
長い黒髪に紫の着物を着ていた。
黒髪ってことは、日本の神だと思うけど女の神はイザナミくらいしか思い浮かばないけど。
「何を考えているのかしら、そういえば自己紹介をしていなかったわ。わたくしはイザナミ。この日ノ本を作った神の片割れよ」
優雅に笑いながら自分の正体を明かしたまつろわぬイザナミ。
ふと疑問に思ったのですが、カンピオーネを読んでいる皆さんは、自分で権能を考えたりすることってあるのですが?
ということで、活動報告のところに作っておくので、こういう権能考えてみた。というやつ教えてほしいです。
ちなみに、作品に登場することはないです。
すでに主人公が使う権能は決まっているので。