Fate/Silverio answer   作:いろはす(*´Д`*)

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やあ、いろはすだ。
今回も短編だ。とても難産だったよ……カットしまくったね、うん。

じゃあ、どうぞー。


藤丸立香の一日

 

 

 藤丸立香。

 茜色の髪、朗らかな笑顔、可愛らしい容姿の女の子だ。年齢は十七歳、現役の女子高校生である。何故彼女がカルデアに来たのか、それはただ単純で──街中でスカウトされたのだ。

 最初は「宗教の勧誘……?」だとか「ま、まさか私がアイドルに?」だとか頭の中で色々なものが巡っていたが、差し出されたのは「人理継続……はて?」と聞いたことも無いものだった。怪しいなぁ、と思いつつも、差し出された「大体給料コレぐらいです」という資料を見せられた彼女は「じゃ、じゃあ少しだけ……」とノコノコと後をついていってしまう。──悲劇の幕開けである。

 いきなり飛行機に詰め込まれるし、着いたら着いたで雪山登らされるし、そしたら施設が爆破するし、変な怪物達と戦う事になるし、と散々な経験だったなぁ、と布団を頭に被りながら立香は震えた。

 

 ──怖かった。ただただ、恐怖で体が震えていた。

 

 けれど、動かなければならない。そうしなくては解決しないし、助からない。それに、それが正しいことの筈だから。生き残ってしまった者の責任だから、立って立ち向かわなきゃ駄目なんだ。

 

「……ふぅ、よしっ」

 

 布団から出て、シャワールームに入る。傍にある鏡を見ると、疲れた顔がそこに映っていた。うん、これは駄目な顔だ。

 

 ぐにぐに、と顔を触ってほぐしていく。これで、多少マシにはなるだろう。なってほしいなぁ……、と立香は服をスルスル脱いでいく。負傷していたけど、体には傷一つ残っていない。ロイドから「女の子なんだから、傷は残しちゃ駄目だよ」と渡された軟膏が効いたようだ。

 

「わぁ、凄いなぁ……魔法って不思議だ」

 

 ──正確には、魔術と言うらしいが……無知な自分にはよく分からなかった。これから、勉強もあるし追い追い理解出来るだろう。多分、きっと、メイビー。

 

 下着姿のまま暫く鏡を見ていたが、壁に掛けてある時計をチラ見──すると現在時刻は七時四十分くらいだった。そろそろ部屋を出なければならない時間だ。急いで裸になり、シャワー室へと駆け込んだ。

 

「はぁ……きもちぃ〜」

 

 熱いお湯が頭から流れ、鎖骨、胸、お腹、お尻と伝って落ちていく。カルデアの状況は結構ピンチなのだが、シャワーが使えるのは凄く助かった……なんでも「お風呂は文化、大切」とロイドが何とかしたらしい。あの人は色々とやり過ぎだ……自由とも言う。

 

「ぁあ……シエルくん、大丈夫かなぁ……」

 

 最近はそればかり考えている。

 特異点修復から今まで、あまり彼と関わっていない。いや、自分が避けてるのか……と顔を俯かせる。

 彼には沢山助けて貰ったし、御礼もいっぱいするべきなのだろう。避けるなんて以ての外である。しかし、

 

「……」

 

 怖いのだ、彼が。

 傷だらけになりながら、死にそうになりながら、何であそこまで歩き続けられるのか? 普通の人間には分からない。

 

「でも、このままじゃダメだよね……っ!」

 

 まだまだ特異点を修復しなければいけないし、このままの状態じゃダメだろう。何とか彼と話さなければっ! と頬を軽く叩いて、気合いを入れる。

 

「頑張ろうっ」

 

 ──あと、ナース服の件は忘れてほしい……と言わなくては。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「し、シエルくん」

「ん、藤丸か。どうした?」

 

 カルデアの廊下。

 食事を終えて、立香がダ・ヴィンチの工房へと向かっている最中に黒い軍服を着た背中が見えた。本を読みながら歩いているシエルに駆け寄り、吃りながらも声を掛けるのに成功した。シエルは後ろから呼ばれた声に振り向き、どこか緊張した様子の立夏を見る。

 

 ──やはり、怖がられているのだろうか。

 

 理由は分からないが、きっと自分が何かやらかしたのだろう……ああ、いや……やらかしていた。押し倒して胸を揉みしだき、体の品評をしていた。──これかっ(違います)。

 

「すまない(胸を揉みしだいた事)、やはり怖いよな(押し倒した事)無理しなくても大丈夫だぞ?」

「あ、う、ううんっ。シエルくんは悪くないよっ!」

「だが……」

「え、えっと、その。この前の事は、もう無しにしてさ……私とも仲良くしてくれる──?」

「あ、ああ。勿論……しかし、いいのか?」

「うん、いいの。シエルくんは悪くないし、むしろ守ってくれたんだから……怖がるのは筋違いだよね」

「ん? 守る……(貞操の事、か?)」

「そうだよ、守ってくれたじゃん(命を)」

「……そうか」

「そうともっ。あ、シエルくんも今から工房に行くんだよね? 一緒に行ってもいいかな?」

「ああ、一緒に行こうか」

「やった!」

 

 ───すれ違いにもほどがある。

 

 きっとこれを見た者はそう思うだろう。しかし、何はともあれシコリは取れた。これから先はきっと大丈夫だろう。彼女の心が折れない限り、彼の心が消えない限りは。

 

 

 

 

 〜γ〜

 

 

 

 

 レオナルド・ダ・ヴィンチ。

 世界的に有名な芸術家であり、万能の天才だ。カルデアに召喚された二人目のサーヴァントでもあり、このカルデアを支えている人物の一人だ。そして、変態である。自らの体を改造して、モナリザにした生粋の変態である。大事な事なので二回書いた。

 

「やあ、いらっしゃい二人共。そこに掛けてくれたまえ」

 

 彼、彼女──ダ・ヴィンチが、自分の工房にやって来た立香とシエルに対して作業の手を止め、対面の椅子に座る事を促した。それに従って椅子に座り、ダ・ヴィンチの作業の終わりを待つ。

 何をしているのかと立香が目を向ければ、手元には〝金色の札〟が輝いており、どこか不思議な力を感じた。なんだろう? と首を傾げると、隣に座っているシエルが口を開いた。

 

「呼符だよ」

「呼符?」

 

 なんだそれ? とさらに首を傾げる。名前からして何かを呼ぶ道具なのは分かるのだが、果たして何を呼ぶのかは分からない。

 

「アレを使って、英霊を召喚するんだよ」

「え、英霊を!? あ、あのお札で!?」

「ああ、そうだ。レイシフトするメンバー……マスター候補には一人で一枚配られる予定だったんだ」

「そうだったんだ……って、予定?」

「テロが内部で発生しただろ? その時に倉庫も爆破されていたらしく、触媒やら召喚サポートに必要な機材やらが壊されていたんだ。特異点から帰還後、すぐに英霊を召喚しなかったのはこれが理由だな」

「へぇ……あ、でも今あるってことは!」

 

 

 

 

「そう、英霊を召喚出来るようになったのさ! 私頑張ったよ!」

 

 

 

 

「ひゃうっ!」

「……いきなり声を上げないで貰えませんか、レオナルド女史」

 

 バッ、と金色の札──呼符を一枚(・・)掲げて胸を張るダ・ヴィンチにシエルはジト目を送る。それに「ごめんごめん」と舌を出して頭を小さく下げる。シエルはため息を吐き、その後にダ・ヴィンチの持つ呼符を見て目を細める。

 

「それで、完成したのは一枚ですか?」

「あー、そうなんだよねぇ……」

「い、一枚だけ?」

 

 少な過ぎません? 人数分足りないですよ? と疑問が浮かぶ。

 

「いやぁ、頑張ったんだけどね? 召喚部屋は半壊してるし、触媒も全滅。他の機材だってほぼ使い物にならなかったんだ──なんとか召喚部屋ほ修復したけど、英霊を呼ぶための触媒の確保は難しかったんだよねぇ。現状、この一枚しか作れなかった……申し訳ない」

「あ、頭を上げてください!」

「……それで、自分達を呼んだ理由はそれですか?」

「そうだね。英霊は一騎しか召喚出来ない……だから、どちらが召喚するか決めたくてね」

 

 ──一騎しか、召喚出来ない。

 

 それを聞いてシエルは黙り、立香は目を呼符とシエルで行ったり来たりさせる。そして、

 

「俺は大丈夫です。なので、この呼符は藤丸が使うべきかと」

「うぇっ!? な、なんで!? シエルくん、サーヴァントいないじゃん! 君が召喚する方がいいよ!」

「問題ない。サーヴァントがいなくても、俺は負ける気は無い。必ず勝つ」

「そ、そういう問題じゃないよねっ!?」

「?」

「いや、こいつ何言ってんだ? みたいな目止めてっ!」

「すまない。しかし、本当に大丈夫だ。現状、俺にサーヴァントは必要ない。新たな力(・・・・)も得たからな」

「あ、あのビリビリしたやつ?」

「ああ、ビリビリするやつだ。アレがあればサーヴァントとも十分戦える。だから、問題はない」

「それを言われちゃうとなぁ……凄さは見たから、何とも言えない……」

 

 と、立香があの雷霆を思い返しているとダ・ヴィンチが凄い満面の笑みでシエルに詰め寄った。目が輝いている。

 

「そう! それそれ! ずっと気になっていたんだ! ねぇ、見せて? それか体を調べさせてくれないかな!?あ、勿論報酬は弾むとも! なんなら、私の体を捧げたっていいぜ? だから、なぁなぁ! 頼むよぅ! 私に体調べ──「行くぞ、藤丸」ぶべっ!?」

 

 詰め寄る変態(ダ・ヴィンチ)の顔を押しのけ、手に持っていた呼符を抜き取る。立香の手を引いて立ち上がると、シエルは「召喚してくる。ロマンに伝えておけ」と敬語が抜けた言葉で告げて入り口へと向かった。その際立香は「ちょ、て、手が、シエルくん! あ、肩痛いっ!」と赤くなったり、青くなったりしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わって召喚部屋。シエルに連れられ、立香は部屋の中心に立っていた。周囲には幾何学的なものが浮かび上がり、目の前には大きな魔法陣。その中にはマシュの盾が設置されていた。キョロキョロと物珍しそうに辺りを見ていると、スピーカーからロマンの声が響いた。

 

『よし、準備完了だ。今から召喚するわけだけど、立香ちゃんは大丈夫かい?』

「は、はいっ! 頑張りますっ!」

『はは、そんなに緊張しなくてもいい。シエルくんだっているんだ、滅多な事じゃ君に危害は加えられないよ。そうだろう?』

「当たり前だ。必ず守ろう」

『ほら、ね? だから、安心して召喚するといい。それじゃ、準備が出来たら呼符を中心に置いてくれ。その後、すぐに召喚が始まるから、シエルくんの近くで待機してなさい。いいね?』

「了解です!」

 

 ──とは言ったけど、心臓が煩い。お腹が痛いし、膝が震える。もしも怖いサーヴァントだったら、と考えると泣きそうになった。

 

 でも、

 

「大丈夫だ。藤丸は俺が守るよ」

「シエルくん──うん、ありがとう!」

 

 ……勇気を出して、一歩前に踏み出そう。呼符を中心に置いて、立香はシエルの近くに待機する。魔力が吹き荒れ、光が三つの輪を広げて、中心に収束。そして、現れたのは───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サーヴァント、ランサー。召喚に応じ、参上した──よう! また会ったな嬢ちゃん、坊主。これから宜しく頼むわ!」

 

 ──朱い槍を携え、快活に笑う青い装束の槍兵だった。

 

 

 






 選ばれたのは、槍ニキでした──。

 てな訳で、立香ちゃんのサーヴァントはランサーになりました。いやぁ、安心感ある奴引いたなぁ……。
 因みに、赤い外套のアーチャーの場合はシエルくんが刀抜いて構え出します。

 幕間の物語は今回で終了になります。もっと書くことがあったけれど、早く本編行きたいからね……。幕間こんなだけど、本編はえっぐいぞー! 愉しみだね! 愉悦部はワインを持って待機してくれよ? まあ、言うてそこまで悲惨じゃないけどもさぁ……。

 唐突な次回予告!


 (怪物)は嗤う。

 ──奪え、殺せ、全てを捧げろ(Give me all)。さすれば、汝を楽園(エデン)へと導かん(引き摺り込もう)

 叛逆者は叫ぶ。

 ──ふざけるなッ殺してやるぞ、光の亡者がッ! 惨たらしく、残酷に貴様の腑を食い破り、屍を踏み潰すッ! 必ず、必ずだッ!!

 第一特異点、オルレアン。
 どうしようもなく歪んだ世界、腐りきった毒に侵されたその土地で遥かな旅路の幕が上がる。光のために、未来のために、自分以外の誰かのために──雄々しく貫け、後継者。

次回「神へ捧げよ汝らの血肉──楽園の創世を此処に」



因みに、まだ一話も書けてない(痙攣)
内容が内容なだけに、滅茶苦茶編集してる……つらい。
頑張って執筆してるんで、投稿遅くなるけど待っててくだせぇ!
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