Fate/Silverio answer   作:いろはす(*´Д`*)

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とりあえず、二話目です。



不滅の光/prologue《2》

 ───地獄絵図。

 

 そうとしか言えない光景が広がっていた。

 周囲にはマスター候補たちだった亡骸が至る所に転がり落ちており、原型をとどめていない者まである。コフィンは無残にもバラバラだ。かろうじて形を保っているのはAチームのもの、それと後数機のみ。全くもって、最悪な状況だ。テロ、外部からは有り得ない。内部からの犯行、つまり何者かによる裏切り。その可能性もあるかもしれないという考えもあったが、実際に起こる確率は限りなく少なかった。だがしかし、現実はこれだ。辺りは血の海、炎の庭園だ、亡骸が散乱する死の世界である。

 

 そして、コフィンに入っていた自分もまた無事で済むわけもなくて、コフィンから放り出されて、

 

「こふっ……ぐぁっ、うぐっ……!」

 

 死に体で、血の海に沈んでいた。

 両足が潰れてぺちゃんこ、右腕はどこかに消えた。左腕は有り得ない方向に捻り曲がっている。身体中に爆散した際のコフィンの破片が突き刺さり、爆炎を浴びてしまったせいで、裂傷まみれの火傷だらけ。外部でこれだけ、内部はもっと酷い。内臓のいくつかが破裂、肺なんて焼け爛れて使い物にならない。心臓が動いているのがおかしいくらいだ。まさに、致命傷のオンパレード。滅多に体験できやしないだろう。

 

「あっぁぁ……」

 

 死ぬ、死にたい、死ぬ、死ぬ、死にたい……と頭に浮かんでくるのはそればかり。だがしかし、しかし──!

 

「ふざ、けるな……!」

 

 身を焼くほどの怒りが溢れ出す。

 ふざけるな、ふざけるなよ。死ぬ? 死にたい? ああ、くそが! そんな無様な事を考えた自分が許せない! 何もできないまま、何も救えないまま、ただのうのうと死んで逝けと? ふざけるなよなんだそれは。

 

「……だ、だ……!」

 

 ああ、この程度で死ぬものかよ。

 

「───まだ、だ……!」

 

 ほら、まだ立てるだろう? 本気になれよ? 意地を見せろよ、◼️◼️の後継者ならば……!

 

「───まだだ……!!」

 

 そう、それでいい。それが、お前だ。それでこそ◼️◼️だ。

 意志は固く、気合いは十分。根性? 見てみろこいつを、死に体で尚も這って前を見て進む姿を! 言うまでもないだろう!!

 

 さあ、あとは───

 

 

 

 

 

「雄々しく、貫くのみ」

 

 

 

 

『──適応番号48、藤丸立香をマスターとして再設定します。

 ──適応番号00、シエル・エンプティをマスターとして再設定します。』

『アンサモンプログラムスタート。霊子変換を開始します』

『レイシフト開始まで、あと3──0』

『全行程クリア。ファーストオーダー実証を開始します』

 

 

 

 

 〜γ〜

 

 

 

 

 ───外殻、修復率100%

 

 ───内殻、修復率100%

 

 ───魔術回路、正常稼働。

 

 ───特殊武装、星辰光増幅器使用可能。

 

 ───◼️◼️の◼️◼️、正常稼働。

 

 ───全行程終了、問題無し(オールグリーン)。意識の浮上を開始します。

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ、ここは……?」

 

 霞む視界、鈍痛が走る頭。

 シエル・エンプティは無理矢理頭を刃物でぐちゃぐちゃにされるような、気味の悪い感覚と共に意識が覚醒する。

 段々とはっきり見えるようになった目には、燃え盛る街、倒壊したであろう建物群の瓦礫の山が映る。死体は無く、それが不気味だ。

 

「……レイシフト、か」

 

 そう呟いて、資料で見たレイシフト先を思い出す。確か、日本の地方都市、土地の名前は───

 

「冬木市、だったか。まさか、こんな有様とは……想像以上に酷い状況のようで」

 

 資料で見た冬木市、その時代のこの街でこれだけの災害があったなんて記載されていなかった。つまり、異常事態(イレギュラー)。まあ、カルデア内部でも異常事態(テロリズム)があったから、そこまで驚きはしないが。

 

「さて、先ずは通信が繋がるのか……って、通信端末ぶっ壊れてるし。ああ、くそ……」

 

 何度か通信を試みるが、聞こえてくるのはノイズの嵐のみ。通信状況が悪いとかではなく、完璧に通信端末がお釈迦になっていた。

 

「……どうする」

 

 カルデアとの通信は繋がらず、生存者がいるのかもわからない。爆発の規模、それを考えると限りなく生存者はゼロに近いのだが……。

 

「もしかしたら、まだ生きているかもしれない」

 

 だったら、希望はまだ潰えていない。

 可能性がゼロに近いだけで、ゼロではないのだから。

 

「元凶には報いを受けて貰わなくてはな……高いぞ、こいつは」

 

 獰猛な笑みを浮かべて、未だ見ぬ元凶に想いを馳せる。

 必ず斬る、必ず滅すると。……だが、その前に。

 

「殺気がダダ漏れだ、馬鹿なのか貴様は」

「ウグゥッ……!」

 

 後頭部に向けて飛来した、黒塗りの短剣をそのまま掴み取り(・・・・・・・・)投げ返した(・・・・・)

 真っ直ぐ投げ返された短剣は持ち主の元へと正確に到達して、驚きに眼を見張る敵対者の右肩に深く突き刺さった。苦痛の声を漏らして敵対者はすぐさま気配遮断へ「遅い」入ることも許されず、一太刀で首を刈り取られた。

 

「……英霊。その劣化か、ならばその脆弱さも納得だ。本来の貴様なら、俺の首を刈り取る事も出来たろうに。まあ、簡単に狩らせるつもりもないが」

 

 眼下で消えゆく影に星辰光増幅器()を鞘に納めながら、そう彼は告げる。

 

「それにしても、劣化した英霊……シャドウサーヴァントか。何故こんな場所にいるのか、知る必要があるな。……それで、そこから見ている奴、教えてくれる気はあるのか?」

「お、気づいてたか。奴さん倒した腕前、それに霊体化した俺を看破する目といい。中々やるじゃねぇか、坊主」

 

 楽しげな声を上げ、霊体化を解いて現れたのは杖を携えたフードの男。鋭い眼光、その身から滲み出る強者のオーラ……自分より数段上の実力を持っている事が分かる。

 

「そして、俺の力量を瞬時に測るか……お前さん、面白いな」

「そうかよ。で、さっきの答えは? どうやらさっきの影と違って、あんたとは会話が出来そうだ」

「はは、そうさな。いいぜ、教えてやるよ……と言いてぇが」

「ん? なんだよ」

「名前はなんだ坊主。先ずはそっからだ」

「シエル・エンプティ。シエルでいい。あんたは?」

「俺はクー・フーリン。キャスタークラスとして限界したサーヴァントだ。ここで行われていた聖杯戦争で召喚された、な」

「……大英雄じゃないか。それに、ちょっと待ってくれ。聖杯戦争? この街でか?」

「おう。ま、今となっちゃ聖杯戦争どころじゃねぇがな」

「はぁ、説明してもらってもいいか?」

「はいよ。じゃあ、先ずは───」

 

 説明を聞きながら空を仰ぐ。

 見上げた空は、灰色に染まった昏い曇天だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──と、まあそんな感じだ」

「なるほど……厄介な」

 

 炎上した街を歩きながら説明を聞いて、はあ、とため息が溢れる。

 

「つまり、なんだ。この状況を収集するには、あんたが大聖杯を守護しているセイバーを潰さなきゃいけないわけだ」

「まあ、確実に解決するとは言い切れねぇがな。現状、それぐらいしか思いつかないんでよ。この歪んだ聖杯戦争を終わらせろってね」

「……相手は彼の名高いアーサー王、一級品だな。あんたがあのクー・フーリンとはいえ、聖杯のバックアップを受けたセイバー相手は厳しいだろう」

「あー、まあ負ける気はねぇが、相当厳しいなぁ。ランサーで呼ばれていりゃ、まだどうにかなったんだがねぇ……」

 

 そう言って、遠い目をするクー・フーリン。

 そして、お前さん魔術師だろ? それもやり手の。ならこう、チャチャっとクラスチェンジとかできねぇの? と隣に立つ軍服姿のシエルに目を向ける。シエルは首を横に振り、

 

「そんなこと俺には出来ない。そもそも、俺は魔術師もどき(・・・・・・)だからな」

「あ? 魔術師もどき? どういうこった、そいつは」

 

 シエルが言い放った言葉に、クー・フーリンは眉を顰める。

 

「さっきのアサシン戦、その際だって魔術を使ってたろ。自己強化やら他にも幾つか」

「──素の身体能力だ。魔術回路は有るが、俺には魔術の類は使えないよ」

「はあ? マジかよ……。まあ、そういう奴もいるにはいるが……」

「なんだよ、本当だぞ?」

「信じてないわけじゃあない。だが、お前さんのそいつは───」

 

 ───どこか、違和感がある。

 

 とは口に出さず、気のせいだろうと納得する。俺の時代ぐらいの時なんて、この坊主レベルなんざ普通に跋扈してるし、と。やはりケルトはおかしい。

 

「キャスター、いきなり黙ってどうした。何か問題があったのか? おい」

「いんや、なんでもねぇさ。坊主は気にすんな……っと、本題から脱線しちまったな。クラスチェンジについては冗談だ、出来たらラッキーとしか考えてなかったし問題ない」

「ああ」

「となると、このままアーサー王に挑むわけだ」

「そうなるな」

「俺一人だと厳しいのはさっきも話したな。んで、戦力が一人でも多くいると助かるわけ。お前さんはこの状況を収集したい…だが、そちらも一人だと解決は不可能に近い」

「ああ、つまり言いたいのは」

 

 クー・フーリンはニヤリと笑みを浮かべて手を差し出す。

 

 

 

 

 

 

 ───共同戦線と行こうや、坊主。

 

 

 

 

 

 




次回、prologue3はprologue4、5、6辺りが執筆終了次第投稿します。気長に待ってください。
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