Fate/Silverio answer   作:いろはす(*´Д`*)

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お久しぶりです。いろはすです。
四周年のfesは楽しかったですね、土曜日に参加したのですがファミレストークが印象強くてそれしか記憶に残ってないです私。ああ、ヤベェなぁって改めて感じました。

前々からちまちま書いてはいたのですが、なかなか進められず申し訳ないです。相も変わらず進展が遅いですが、お付き合いくださると恐縮です。ホント、本編からズラすと書くのが難しい……書ける方は素晴らしいです。

では、オルレアンの九話です。

あ、今更ですが最近シンフォギアを見始めました。まだ無印の途中ですけど、いいですねアレ。響ちゃんドストライクでした。


神へ捧げよ、汝らの血肉──楽園の創生を此処に《9》

「……あぁ、潰えたか」

 

 廃墟と化した家屋の中、手駒になり得るであろう人間を無数の血の鎖で雁字搦めに拘束して、無感情な瞳で変容していくそれらの姿を眺めていたケルヴィンは共有した視界の先で狂ってしまった英雄ジル・ド・レェが塵に帰る光景を目の当たりにしてそう呟いた。聖杯によって生み出された贋作を逃したようだが些事である。支障はない。

 本当は最後に刈り取り、新世界の礎の為に贄にしてしまう予定だったが……しかし早めに手に入れておくに越した事はない。ああ、計画に狂いはないとも。唯一の計算外だったアリアも結局は私の手中に収まるだろう。彼女の存在、その在り方はそう出来ている。私がそうやって設計した(・・・・)。なに、彼女に対するとっておきがある。もしも、なんて事はありえない。

 

「楽しみだなぁ、アリア。君はどんな顔をするのか、早く見たくてたまらない……」

 

 かつての、私のような顔だろうか。無力で何もできなかった生前の()──は、いや、最早、どうでもいいか。そうだ、どうでもいいことだ。

 

「全ては、楽園の為──私を止めるには魔神ですら及ばない。さあ、もうすぐだ。もうすぐ……全てが終わり、始まる」

 

 きっと、その時には───。

 

 

 

 

 

 

 〜γ〜

 

 

 

 

 

 

「ふぅん、そういうことなのね。いいわよ、協力してあげる! 散々追いかけ回されて、いい加減に鬱陶しくなっていたのよ。熱烈なファンには慣れているけれど、それにも限度があるもの!」

 

 敵を殲滅するより、彼女たちを宥めるのが大変だった。立香は疲れ果てた姿で、胸を張って高らかに宣言し、私って人気者ね困っちゃうわ! と言いたげな様子のサーヴァント──鮮血魔嬢エリザベート・バートリーの言葉に力無く「あ、ありがとうございます……」と何とか返す事が出来た。ああ、仲間になっちゃったよ、大丈夫かな? なんて失礼な事を思ってしまったが……きっと頼りになるはずだ。なるよね? なればいいなぁ。

 

「……藤丸」

 

 遠い目をして彼方を眺めていると、横から男性のか細い声が聞こえてきた。いつも凛々しく、雄々しい彼がこんな声を出すなんて珍しいな、と振り向くと──ああ、と納得してしまった。一言で言うならば、大変困った顔をしている。というかクー・フーリンは顔を背けて笑いを堪えているし、助けてあげなよ。私関わりたくないんですけど、あの子やばいでしょと思いながらも「……どうしたの?」と彼に応えた。

 

「助けて、くれないだろうか……流石にこれは、その、慣れていなくてな……かなりマズイ状況だ」

「ぁぁ、シエル(安珍)さま、シエル(安珍)さまぁ……」

「だから、俺は安珍さまなどでは……」

「いいえ、いいえっ。貴方は安珍さまの生まれ変わりですっ! 嗚呼、やはり、こうして私達は結ばれるべくして出会うのですね……清姫嬉しいっ。これが運命(fate)っ」

「……助けてくれ、藤丸」

「……ごめん、無理かな」

「キ、キリエライト……?」

「……えっと、すみません」

 

 そっと目を逸らして断る立香、申し訳そうな顔で頭を下げて謝罪するマシュ。ならば、アリアはと目を向けるが「……」無言で目を逸らされた。クー・フーリンは笑うのをやめろ、そのニヤケ面を叩き割るぞ。

 シエルは「俺は、安珍さまではない……ないよな……?」と延々と耳元で囁かれる言葉に力無く項垂れた。しかし、これで戦力──戦力に数えていいサーヴァントは増えた。エリザベートは立香とパスを繋いだし、清姫もシエルとのパスを拒みはしないだろう。擦り寄ってくる女性に狼狽えるが……彼自身、勝利の為なら我慢は出来る。

 

「さて、これで頭数は増えたこったし、攻め入る準備は出来たんじゃねぇか? なあ、マスター」

 

 ヘラヘラとした笑みを収めて、今度は獰猛な笑みを隠そうともせずに浮かべて立香に尋ねるのはクー・フーリン。迫る戦さの気配にうずうずと楽しげで、早く戦いたい様子だ。流石、ケルトの戦士にして大英雄。いや、彼がそういう性なだけか。そう勝手に納得しながら、彼女は頷いた。

 

「うん。シエルくん、マシュ、アリアさんにランサー……もうクー・フーリンでいっか。それにジークフリートさんにゲオルギウスさん、仲間になってくれたエリザベー「エリちゃんでいいわよ、子鹿?」んんっ、エリちゃんと清姫ちゃん。ジャンヌさんは療養中だけど──そろそろ回復する頃合いかな?」

「はい、そう聞いています先輩。ゲオルギウスさん曰く〝完全な回復には時間がかかるが、今日中には戦う事が出来る程度にはなるでしょう〟とのことです」

「付け足すならば、完全な回復にはあと二、三日はかかるとあの御仁は言ってらしゃったよ。立香さん、マシュさん」

「ありがとう、マシュ、アリアさん。……らしいから、戦力は十分だと私は思う。出来るなら、あと何人か欲しいけど──そんな簡単には居ないよね」

 

 敵は二大戦力、戦える者が多いことに越した事はない。故に欲を言えば、もう一人……二人は欲しかったところだ。しかし、特異点修復にあまり時間をかけることも出来ないし、ここが攻め時だろう。よし、では集合してどちらに攻め入るかを──と告げようとしたその時、不意にエリザベートが挙手をして口を開いた。

 

「あ、私、戦力になりそうなサーヴァント知ってるわ!」

「えっ、エリちゃん本当?」

「その怪音波が言っていることは嘘ではありませんわよ、立香さま」

「……そうらしいな」

「当たり前よっ……って、怪音波ってなによ!?」

 

 ぎゃあぎゃあ、わちゃわちゃとまたしても取っ組み合いをする二人。ああマシュ、もう放っておいていいと思うよ。ドクターとクー・フーリンは賭け事しないでね。

 

「どうやら、清姫は真偽を見抜ける(・・・・・・・)らしい。実際、俺が虚偽を言った際には燃やされたぞ」

「え、も、燃やされ……? うっ、ううん、それよりエリちゃーん! その戦力になりそうなサーヴァントって何処にいるの!」

 

 地面を転がり、土に塗れた彼女の背中に問いかける。

 

「いったぁぁあっ!? うう、えっと、あっちよ!! って、痛いじゃないっ!?」

「あら、申し訳ありませーん」

「申し訳なさそうじゃないわよ!!」

「そうですもの」

「むきーっ!」

 

 どたばた、どたばた。互いに激しくなる攻防から目を逸らし、そのまま立香とシエルは指し示された方向に目を向けた。

 

「あちらは……確か」

「うん。私達がレイシフトした地点の近くだね。だよね、ドクター?」

『僕はエリザベートに……あっ、うん、そうだよ。確かに彼女が指し示した先は君達がレイシフトした地点のはずだ。その地点から離れた場所には中規模の街が一つあるようだね』

「そっか……じゃあ、そこに」

『うん。彼女が言う〝戦力になりそうなサーヴァント〟がいる可能性は高いと思う。アリアくんはその付近には詳しいのかい? それらしい存在を見かけた事は?』

「狩の為に出向いた事はある……しかし、残念だがそのような存在を見かけた事は無いよ。私が見たのは荒廃した街、殺し合う狂人達だけさ」

『そうか……ううん、どうしたものか。現状、戦力は整いつつあるし、無闇に出向いて危険を冒す必要性は無いからね。……迷いどころだなぁ』

「まっ、俺はマスター達に任せるぜ。何処でだろうと、何であろうと戦い抜いて見せるからよ! 安心しな!」

「言ったね! すんごい頼るからね!」

「はは、任せなぁ!」

 

 クー・フーリンは快活に笑い、立香の頭をくしゃくしゃと撫で回す。立香は「ちょっと、痛いよっ」と抗議しながらも、それを受け入れて笑みを浮かべていた。それを見ていたマシュは複雑そうな、そんな微笑みで自分のマスターを見ていた。

 

「……どうした、キリエライト」

「い、いえっ、何でもありませんよ?」

「……自分が頼りない、なんて考えるなよ。君は立派だ。俺のような塵屑よりも、もっとずっと、な。だから安心しろ、君は大丈夫だ」

「そう、でしょうか? 私にはクー・フーリンさんのように先輩をあんな風に……」

「ありきたりな言葉だが……彼は彼だ、君は君だ。比べる事はない、といっても難しいか……。しかし、キリエライトにはキリエライトにしか出来ないことがあるだろう」

「私にしか、出来ないこと……それは一体……?」

「さて、俺にもわからないよ。それは自分で見つけるべき答えだ。他人が出せるものではない。ああ、そうだ、自分で選ん──……ッ?」

 

 

 

『そうよ、貴方が選びなさい』

 

 

 

「──っの、あのっ、シエルさん? 大丈夫ですか?」

「っん、ああ、少し目眩がな。問題ない、行動するに支障は出ない」

「そうですか……。あの」

「なんだ?」

「……ありがとうございます、シエルさん」

「ああ……いや、いいんだ」

 

 ──彼は無垢な少女に向けて微かに微笑む。頭に過った幻影を振り払うように、逃げるように。彼らの間を一陣の風が吹く頃には、もうその幻影は深く深くに消え去っていた。……子供が宝箱の中に大事な物をしまうように、大人が見たくないものに蓋をするようにして。

 

 

 

 

 

 〜γ〜

 

 

 

 

 

 廃墟となった街、その外れの古ぼけた教会。この場所も崩れてはいるが、他の家屋ほどは酷くなく、また掃除がされているのか清潔感が多少感じられる様相であった。

 そして、その教会の中心地。そこにはステンドグラスの割れ目からキラキラと陽光を浴びて輝く気品溢れるものを感じさせる少女が、目の前に突然現れて倒れてしまった存在を見て「あら」と驚いて目を見開いている光景があった。

 

「大変! もしもし、貴女大丈夫かしら?」

 

 大丈夫ではない、見て分からないのかしら──と倒れている者に意識があったなら嘲笑交じりにそう言い放っただろう。しかし血を流し過ぎたのか、力を使い果たしたのか、声をかけても彼女の意識が戻る事は無かった。

 

「マリーッ! 凄い魔力を感じたんだけど、無事なのか───いぃっ!?」

「あら、アマデウス! 丁度いいところに来てくれたわね! 大変なの、この子意識が無くて……怪我もしているの! 治療してあげたいのだけど、貴女も手伝ってくれないかしら?」

「なっ、ま、マリー……? その子のことを知らないのかい?」

「……知っているわ、アマデウス。ジャンヌ・ダルク、よね? 竜の魔女、フランスを滅ぼす為に死からの生還を遂げた救国の聖女さま……」

「知っているなら尚更のことだ! 彼女は敵だ、僕らだって彼女の配下達に襲われただろう? ……この状態なら、そのうち──だから、君は……って、はぁ、その目……まったく君ってやつは」

 

 相変わらずだね、とため息混じりに苦笑する。彼女のことはよく知っている。だから、彼女は目の前の魔女を決して見捨てないだろうということも。ダメで元々で言ったが、彼女の目を見てしまったら察してしまう。

 まったく、と呆れるが、それでこそ、とも思ってしまった。ならば、もう仕方ない。

 こうなった彼女は止められない。だったら、少しでもいい方向へと行くようにフォローするのが僕の役目だ。……こんな時に、デオンが居てくれたらと思うが、ないものねだりだろう。

 

「ありがとう、アマデウス。それでも私は、ええ、彼女と──ジャンヌ・ダルクとお話しがしたいの。英霊、英雄同士では無く、私という個人として、王妃として……彼女に感謝と謝罪を言いたいのよ」

「それで殺されてもかい?」

「ええっ、そうよ!」

「まっ、そう言うだろうねぇ……先ずはベッドに運ぼう。掃除をしたと言っても、ここは不衛生だ。はぁ、肉体労働はあまり好きじゃないんだけどなぁ」

「私も手伝うわ! さあ、頑張りましょう!」

「喜んで、王妃様?」

 

 





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