Fate/Silverio answer   作:いろはす(*´Д`*)

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お久しぶりです。
今回も色々削りつつ出来上がりました。

それでは、どうぞ。


不滅の光/prologue《5》

 

 

「──一騎、いや二騎か。あの狗、違うな……別の者に打倒されたか」

 

 大聖杯。

 超弩級の魔力炉心、万能の願望機。汚染されて黒い泥が溢れ続けるそれの前、そこに彼女は静かに佇んでいた。

 

 黒い聖剣。黒い鎧。禍々しくも、堂々とした魔力の持ち主。その者の名は──誉れ高い円卓の騎士、それを束ねる騎士の中の騎士。騎士王、アーサー王その人だ。

 

 彼女は金色の目を輝かせ、愉快そうに口端を歪めた。この地で戦える存在、それはキャスターだけだった筈。戦闘能力を持ったサーヴァント、或いは魔術師供は全て殺した。故に、争う存在はもういないものかと思っていたが……キャスター以外にまだ戦える者がいたとは。此の地に訪れた来訪者、彼ら彼女らはそこそこ出来るようだ。まあ、どちらにしても──。

 

「関係ないな」

 

 そう、関係ない。

 彼女にとって、どうでもいいことだ。

 圧倒的な力を持って捩じ伏せる。それでいい、それだけでいい十分だ。油断はしない、慢心もしない。ただ、徹底して潰す。

 

「───アーチャー」

 

 そのために、まずは──。

 

「往け」

「了解した」

 

 ──小手調べ、敵情視察といこう。

 

 

 

 

「簡単に死んでくれるなよ? 星詠みの者たちよ」

 

 

 

 

 

 

 〜γ〜

 

 

 

 

 

 

 霊脈地。

 各々治療を終え、情報を交換し合った彼らは、そこを目指して歩みを進めていた。

 目的は繋がらない通信の復旧。シエル、マシュ、立香の通信機は損傷しており使い物にならなかったが、辛うじてオルガマリーの物は無事だった。しかし、幾ら通信を試みても繋がらない。そのため、通信を安定させるべく、霊脈地を目指しているわけである。

 

 現れるエネミー(主にスケルトン)は経験を積ませるという形でマシュがメインで戦闘を行っている。シエルやクー・フーリンはそのサポート、もしもの時の救急員を務めている。

 そして、そのおかげかマシュの動きもぎこちないものから徐々に少しずつ改善されていく。同時に立香の指揮も向上していった。まあ、まだまだ荒いところが目立ち、甘い隙も山ほどあるが其処は男組がなんとかする。

 

 今だって、死角から放たれた矢が立香の頭蓋を貫かんと迫っているが──しかし、これを刀が弾き飛ばした。そしてその矢を開いた片手で掴み取り、

 

「──返すぞ」

 

 そのまま投擲。一直線に飛んだ矢がスケルトンの頭蓋を貫き沈黙させる。

 

 どうやら、それが最後の敵だったようだ。

 前線で戦っていたマシュが焦りを浮かべ、立香の元へと駆け寄る。

 

「せ、先輩! 大丈夫ですか!」

「う、うん。シエルくんが守ってくれたから大丈夫だよ。あ、ありがとう!」

「いや、気にしなくていいさ。仲間を守るのは当たり前だろう」

 

 そう言って刀を鞘に納め、辺りを警戒する。奇襲、強襲なんて当たり前にされるため、一瞬足りとも気を抜く事は出来ない。気付かない内に攻撃を受けて死ぬなど、馬鹿な真似は晒す訳にはいかないのだ。

 

「──あった。霊脈地よ」

 

 オルガマリーが「ここで止まりなさい」と言って、通信端末を起動させる。しかしノイズが鳴り続け、画面は砂嵐を写すだけだ。それをみて不安になったのか立香が隣に立つシエルに尋ねる。

 

「繋がるかな……」

「……カルデアもかなりの被害に見舞われたからな、果たして無事な人間がいるのか。そして、通信が可能なだけの設備が維持されているのかは分からない」

「そんな……」

「だが、諦める事はない。彼処にいる人たちは───」

 

 

 

 ───中々にタフだからな。

 

 

 

「っ、繋がった! 管制室! 私です! オルガマリー・アニムスフィアです。応えなさい! 管制室ッ!」

 

 通信が繋がった。

 オルガマリーは必死に声を上げて、管制室からの応答を待つ。まだノイズが残り、通信状況は悪いままだが今を逃せば次はない。

 

「管制室──ッ!」

『──ちら──こちらッ──こちら管制室! ああ、やっと繋がったぞぅ! って所長!? い、生きていたんですね! あ、それに藤丸くんにマシュ、シエルくんも! っとサーヴァント!? えっ、マシュからもサーヴァント反応って…!? それになんだいその破廉恥な格好は!? 僕は君をそんな風に育てた覚えはないぞぅ!?』

 

 通信に応えたのは、ドクター・ロマン。カルデアの医師を担当している男、ロマ二・アーキマンだ。背後からは他の人間の声も聞こえてくるので、無事な人間まだ一定数いるようだ。

 オルガマリーはその事に胸を撫で下ろし、そしてすぐさまロマンに詰め寄るように尋ねた。

 

「ロマ二!? ちょっと、なんで貴方が……レフ、レフは何処なの!?」

『……分かりません。カルデアが爆破されてから、行方が不明です。現場を仕切れる人間がいなかった為、現在は代わりに僕が指揮をしている状況です』

「うそ、そんな──!」

 

 血の気が引く。ああ、頭の中がクラクラと揺れている。気持ち悪い、倒れそうだ。

 顔面蒼白、頭を抱えているオルガマリーの様子を見て、シエルは代わりにロマンとの会話を続けた。いつ通信が途絶してもおかしくないんだ、もっと現状を把握しておきたい。

 

「ドクター。カルデアの現状は? 被害状況を教えてくれないか」

 

 立香とマシュがオルガマリーを座らせて落ち着かせているのを確認しながら、ロマンに問いかける。その問いかけにロマンは顔を曇らせて答えていく。

 

カルデアの設備(・・・・・・・)その八十%が潰されたよ(・・・・・・・・・・・)……。辛うじて管制室は何とか修復して動きつつあるけど、召喚室や他施設は完璧に破壊されている』

「───そうか。職員、他マスター候補の安否は?」

『……職員の半分以上が死亡。残った者たちも負傷している状況だよ。君たち以外のマスター候補は、その──』

「何人、無事なんだ。ドクター答えてくれ」

「……マスター候補、その八割が死亡。辛うじて生き残ったのは数人のみ。それだって、無事な訳じゃない。今は冷凍状態にして治療をしているけど……正直言って厳しいよ。こんな事、医者として言いたくはないけれど……確実に後数人は死亡する」

「……分かった。すまない、辛いことを言わせてしまった」

「いいんだよ、君は気にしないでくれ。さっきはああ言ったけど、僕だって諦めた訳じゃない。最期まで抗ってみせるさ。だから、君たちは──特異点の解決を目指してくれ。此方の心配はいらないさ!」

 

 そう言って、誰から見てもわかる無理した笑みを浮かべるロマン。その姿に強い敬意が生まれ、自分も負けられない、と意気が湧いてくる。ああ、まだ諦める時ではないとも。前へ、前へと進もうか。

 

「ああ、任せてくれ。必ず救ってみせるよ」

「うん、君ならそう言うと思っていたよ。っと、通信が途絶しそうだ……」

 

 ノイズが強くなり始め、砂嵐も発生して映像が見え辛い。

 ああここまでか、と呟いてロマンは此方を向いてサムズアップをする。

 

「こっちは大丈夫! なんとかするから任せてくれ! 君たちは生き残る事、特異点を解決することに集中してくれ! 必ず君たちの存在を証明してみせるさ! だから──頑張っ──………」

 

 通信、途絶。

 

「ああ、言われるまでもない」

 

 必ず救う。

 悪を斬り裂き、滅ぼすために。仲間のために、世界のために、光のために。朽ちて果てるとしても、恐れることは何もない。ただひたすら一直線に、意志を雄々しく貫くのみ。

 

「さて、坊主。これで通信はもう繋がらねぇ。あとはセイバーを打倒するだけだ。さあ行くか、と言いてぇんだが……ここまでの戦闘で多少は出来るようになったが、まだ今の嬢ちゃん達じゃ厳しいぞ」

「確かにそうだな……そのニヤケ顔、何か案があるんじゃないか?」

 

 シエルの肩をポンポンと軽く叩く。俺に任せろ、名案があるぜ? とニヤニヤと笑みを浮かべるクー・フーリン。大変不気味だ。

 

「信用出来ないなぁ……」

「まっ、任せておけよ。嬢ちゃん達を今より強くしてやるさ、セイバーとある程度やれるとこまでな!」

 

 杖をくるりと一回転。宙にルーンを描いて火花が散った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようし、嬢ちゃん達。授業を始めるぞー!」

「お、お願いしますクー・フーリンさん!」

「なにこれ」

 

 ──鬱った所長を慰めていたら、いきなり授業が始まった件について。立香の右隣でマシュは両手で小さく握り拳を作って、頑張りマシュ! っと張り切っていた。天使かよ、天使だったわ、天使だよ。

 

「……」

「ねぇ、シエルくん」

 

 マシュとは反対、左隣で腕を組み沈黙しているシエル。

 そんな彼の軍服の袖をくいくいと引っ張って、なにこれー? と目で訴える。いや、本当になんなのさこれ。

 

「……特訓、らしい」

 

 本人は授業と言っているが、とため息。

 

「特訓…マシュと私の?」

「ああ、そうだな。新たなサーヴァントの追加召喚も出来ず、それ以外で戦力強化するには既存の戦力をさらに強化するしか道はないから。いきなり授業を始めると言われても困るが……あの人は大英雄と言ってもいい存在だ。大丈夫だろう、多分きっと」

「そっかぁ……」

 

 まあ、言っている事は間違いじゃないか、と盾を素振りしている天使な後輩(マシュ)を見て和む。

 

「おお、そうだ! 今の一撃は力が入ってよかったぞ、その調子だ!」

「は、はいっ! えいっ、えいっ!」

 

 青空教室ならぬ灰空教室。

 辺り一帯は炎に包まれ、倒壊した建築物が瓦礫となって散らばっている。時折、というか頻繁に現れる一般通過スケルトンは容赦なく粉砕。慈悲はない、南無三。

 

「うっわぁ、こんな教室嫌だなぁ……っあ、マシュ右! 盾をそのまま振り抜いて!」

「はい! やあぁっ!」

「上からも、だ。気をつけろ」

 

 素早く石を投げて、マシュの頭上から降ってきていたスケルトンの手首に当たる位置に着弾。持っていた剣が弾かれて飛ぶ。そして、その隙にマシュが盾を叩きつけて粉砕した。

 

「ありがとうございます! シエルさん!」

「助かったよ……もっと、周りに目を向けないとね」

「あ、ああ。頑張ってくれ二人とも」

 

 シエルの頬が赤く染まる。この男、やはりあざとい。その様子を見て立香の萌えゲージは急上昇だ。

 

「はぁ、戦闘訓練ね……」

「……所長」

 

 大丈夫何ですか、と尋ねると「大丈夫よ、もう大丈夫だから」と手をひらひらと揺らした。それにしても、あの子……とマシュを見る。

 

「すっかり、サーヴァントね。身体能力、魔力…どれも普通じゃないわ」

「そうですね……まだ戦闘経験が少ないから動きはぎこちないですが、潜在能力は高いと思います。時間が経てば経つほど、強く成長していくでしょう」

「そう……」

「心配ですか? キリエライトが」

「……」

「大丈夫ですよ、彼女は強い。肉体ではなく精神が、心が強い。ああいう子は折れません。確信して言えます」

「ふっ、説得力があるわね、貴方がそれを言うと」

 

 それの塊みたいな人間、彼が言うのならば安心だ。きっと彼女は強くあるだろう。自分の心配、そんなものはいらない……資格もなかった。

 

「さて、大詰めみたいですよ」

 

 シエルの言葉に目を向ける。

 そこに見えたのは、力強くも──暖かい宝具の光だった。絶対に守るという意志が強く現れた彼女の盾、それがクー・フーリンが放った巨大な火球を防いでいた。

 

「──綺麗」

「ええ、とても……美しい」

 

 優しい彼女によく似合う──守護の宝具だ。

 

 

 

 

 〜γ〜

 

 

 

 

「───アレか」

 

 冬木を見渡せる場所、高い電波塔の頂にソイツはいた。黒いボディアーマー、腰に赤い布の切れ端を巻きつけた白髪の男。冷たく、感情を感じさせない金色の瞳はセイバーと同様のものだ。

 

 ───弓兵(アーチャー)

 

 いまや聖杯の泥に呑まれ、反転した存在となった彼のクラス名だ。文字通り、弓や飛び道具を扱う事に長けた者の通称である。

 そして、その男の目には二キロ先のシエル達の姿が見えていた。風向き問題無し、足場も気にはならない、距離? 愚問だな……届くに決まっているだろう?

 

 故に、射程圏内。

 

「───投影開始(トレース・オン)

 

 投影魔術。

 通常のそれではない、等価交換の法則を無視した彼の魔術。投影するのは己用に調整した黒弓。矢は、そうだな───

 

「あくまで、様子見だが……」

 

 ───螺旋の剣、虹霓剣を投影。アルスター伝説に登場する英雄が使った魔剣。贋作と侮るなよ、聖杯のバックアップを受けた今、この贋作品は真にすら迫るものだ。

 

「さて、君たちに世界を救えるのか。試させてもらおうか」

 

 なに、安心しろ。

 私など、英雄ですらない。ただの紛い物さ、気負う必要は無い。だがしかし、

 

「私ですら超えて行けぬ、そう言うならば───」

 

 ここで、死んでおけ。それがお前たちの為にもなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───そのまま、溺死してしまえよ」

 

 唸りを轟かせ、闇を切り裂いて、空間を抉る必殺の矢が放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




長い。
セイバーまでが長いんじゃ……。

次回はストックがいくつか出来たら投稿します。展開変えたから、prologue6の内容一新しなくては……。

まあ、気長にお待ちを。

では、待て次回!

apoコラボ楽しみなのだわ。
最近シンフォギアの曲ばっか聴いてる……誰かトンチキ主人公でシンフォギアss書いてくんねぇかなぁ。
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