「抜刀!!」
三重県伊勢自動車道の舗装された道路が抉れガードレールが剥がれ落ち廃墟同然となってるこの地に刀を持った6人の少女と赤く、醜い化け物が対峙していた。
その少女は「刀使」、荒魂という化け物と対峙できる「御刀」を持つ。
「荒魂」と呼ばれるノロと言われる不純物の集合体を討つための存在である。
その荒魂と呼ばれる化け物は今、ここで暴れており刀使はここで討伐するために派遣された。
荒魂の姿は多種多様であり大型から小型まで様々である。
今回の荒魂はムカデ型と猪型である。
「第1班と第2班は荒魂αと戦闘!荒魂βは第3班が受け持つ!『写シ』!」
『写シ』とは刀使の基本戦術であり、最大の防御術。御刀を媒介として肉体を一時的にエネルギー体へと変質させる。防御している間は、わずかな痛みと精神疲労を代償にし実体へのダメージを肩代わりできる技術である。
ダメージを受けると、その部分は消失し、身体機能も奪われていくが、写しを解除するまで実体へのダメージはない。
3人一組で展開し荒魂βと呼称された5メートル強の猪型荒魂を囲む。
「キシャーー!!」
猪の声とは程遠い金属をすり合わせたような甲高い声を発し突進する。
「歌留多さん!!」
薄い青髪の少女が
歌留多は腰に固定されていた鞘を外し、抜かずに横に寝かせ前に突き出す。
ガゴン!と金属同士がぶつかった音と共に猪型の荒魂が止まる。
歌留多の鞘は猪型の荒魂の角とぶつかり合い歌留多は更に前に突き出し荒魂をひるませる。
「キシャー!?」
刹那、荒魂の角が切り落とされ地に落ち同時に荒魂が真っ二つになる。
『迅移』、刀使の攻撃術でそれは加速術であり組み合わせることにより強力な一撃と化す。
歌留多の迅移により巨体な荒魂は無残な姿と化し左右に倒れ傷口から溶岩のようなまがまがしい液状、ノロがあふれ出る。
あふれ出てるノロと荒魂の残骸の後ろに迅移で移動した歌留多が刀を収め息を付く。
「ふぅ、こんなものかな?」
一息を付く歌留多は後ろを見て残骸と化した荒魂を見る。
歌留多は多少の我流も入るが『柳生心眼流』を基礎として使い鞘の受け身からの抜刀術を好んで使う。
一度荒魂の攻撃を受け止め、抜刀術により敵を一閃し沈黙させる使い手だ。
「歌留多さん!無事ですか!!」
青髪の少女、
「大丈夫よ、写シも付けてたし」
「その写シを付けてなかったから心配を……」
沈黙
「え……あははは」
そう、歌留多はたまにだが写しを付けるのを忘れてしまうことがある。
今回もそうだった。
「写しを付ける癖をつけておかないと何時か大けがしますよ」
「わ、わかってるって。それよりも1班と2班は?」
「あっちは終えてますよ。みんな優秀ですから」
既にムカデ型の荒魂を討伐したのか残りの班がこっちに来てるのを歌留多は見た。
「これで任務完りょ…スペクトラムファインダーに反応!!」
突如、電子音の警報がなり蓮がスペクトラムファインダーと呼ばれる荒魂探知装置を取り出し方角と距離を確認する。
「南の方角から…しかも大きい!!」
歌留多達は南の方角へ向き刀を抜刀し写シを張る。
自動車道の南の森から金属音を鳴らしてくる新しい荒魂。
その荒魂はさっきまでの5メートルもある荒魂より大きい。
大きさは10メートルくらいあるだろうか。その荒魂の形状はハリネズミのようで背中に針のような突起物が多数生えていた。
「第1班と第2班は左右から牽制!第3班は正面で仕留める!」
蓮が各班への指示を出し左右へ牽制させるように動かす。
「歌留多さん!私たちは荒魂の足を奪う!奪った後はトドメを!」
「わかったわ!」
蓮ともう一人、栗色の髪をした少女は左右から攻撃されて暴れてる荒魂の足に刀を振り下ろす。
「か、硬い……下がって!」
硬い皮膚に覆われ、刀が弾かれ、カウンターとばかしに荒魂の鋭い爪が振り下ろされ2人は間一髪で避けたが更なる攻撃が待ち構えてられていた。
それは荒魂が殻に閉じこもるかのような動作をし背中に生えてる突起物である針を伸ばし全周への攻撃を仕掛けた。
「きゃあ!!」
各班、蓮達は針に直撃か刀で間一髪免れたのどっちかで写シが解かれ3つの班の半数が壊滅した。
「くっ!みんな!」
歌留多や蓮はその間一髪免れた方であり他の班の数名は直撃し写シは解かれたが命の別状はない。
しかし気を失ってるため張りなおすことはできない。
「蓮ちゃん……皆を連れてここから離脱を、私がアレを相手するよ」
負傷者がいる今ここに留まるのは危険であり誰かが囮となり移動させるか、討伐の2択となる。
歌留多は自分が囮となることを蓮に進言する。
「歌留多!……わかったわ」
蓮も一瞬とはいえ怒ろうとしたが事態を把握したのか抑え込み承諾をし各班へ指示を出す。
歌留多はそれを後ろ目で見届け再度荒魂に目を向ける。
「あんたの相手は……私よ!」
刀を下段に抑え込み迅移で肉薄し、突く。
「ぐぅ、やっぱり硬いね」
先ほどの荒魂と違い硬く、突きで傷一つもつかない。
ならばと上段からの振り下ろし、間接部分へと攻撃を移しながら切りつける。
「これでもダメってどうすればいいのよ!!」
歌留多は叫びながら切りつけるが荒魂は怯む事もなく爪を横なぎにしてくる。
「くぅ!!」
すかさず受け止めるが抑えきれずに横へ吹っ飛ぶ。
「歌留多さん!」
負傷者を付けだしてる蓮が嫌な音がしたと思い後ろへ向き歌留多が飛んでいくのを見て叫ぶ。
幸いにも受け身は取れ写シは解かれなかったが思うように動けれない。
「あはは……これはまずいかも」
攻撃が通じず受け止めようにもまた吹っ飛べば写シが解かれてしまう。
時間稼ぎとはいえ荒魂を討たなければどうしようもない状況であり歌留多は冷や汗を出す。
「キシャー!!」
荒魂が爪を立てに振り下ろす。
目を瞑る歌留多だが吹っ飛ぶ衝撃もなければ痛みも来ない。
代わりに荒魂が叫ぶ声と後方に何かが飛んでいく音が聞こえた。
「大丈夫か?歌留多」
目を開けると爪が剥がれ落ちた荒魂とその目の前に歌留多と同じくピンク色の髪をし、少し短めな一人の刀使、その手に持ってるのはおよそ140cmもある太刀である『伊吹丸』。
特徴的な御刀を持つ人物は歌留多にとっては知らない人とは言えない人物。
「姉さん……なんで」
彼女の名は
「下がってて」
伊吹丸を片手に迅移、一瞬で10メートルもある傷一つ付かなかった荒魂が真っ二つになり倒れる。
「任務終えた後大きい荒魂の反応があったからついでに来てみたけど、歌留多もしかして腕落ちた?」
伊吹丸を鞘に納めちょっと悪顔で歌留多に言う。
「腕は多分落ちてないけど姉さんは……いつもの通りね」
ちょっとあきれ顔で姉を見つつ鞘に納める。
場所が変わり折神家当主、折神紫は窓の景色を見ながら今回の荒魂討伐の詳細にて考えていた。
刀使の御刀でも傷つけられない荒魂を倒す刀使の存在を。
その刀使の名は有名であり折神家、並びに親衛隊からでも一目置かれていた。
「紫様、やはりあの者を取り入れるべきかと」
親衛隊第一席、獅童真希が紫に進言をする。
紫は変わらぬ表情で振り向き言葉を発する。
これが古住歌留多とその姉、美弥の2人の物語の始まりである。
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