ちょっとしたお遊びです
「入れ」
「失礼します」
ノックの音が鳴り、折神紫は入室の許可を出す。
許可を出すと獅童真希、此花寿々花そして客人である古住歌留多と美弥が入る。
入った瞬間、紫の眼は歌留多と美弥に向ける。
折神紫、20年前の相模湾岸で発生した大災厄、相模湾岸大災厄において出現した大荒魂を討伐した英雄で現在は警視庁刀剣類管理局の局長を務める人だ。
その英雄である折神紫の姿を見た歌留多は多少の眩暈により視界が歪み震えを起こし膝を付く。
それを察した美弥は歌留多の前に出てその圧力を分散させた。
「ようこそ、私が折神紫だ」
歌留多の体調が崩れたのにも関わらずそのまま紫はそのまま続かせる。
「お会いできて幸栄です折神紫様。古住美弥です」
圧力に屈さず美弥は怒りを押さえ込み軽く挨拶を交わした。
紫は自身が出している圧力をしまいこみ歌留多の気分が回復し起き上がる。
「後ろにいるのは妹の古住歌留多か」
「は、はい。古住歌留多です」
歌留多も額に手を当てながら挨拶を交わす。
これが折神紫。英雄の刀使。
歌留多は折神紫の気迫を当てられて戦慄した。
英雄の刀使であり憧れる人も多い。
この圧力、気迫は本物だ。これに憧れない人は居ないだろう。
「いきなり本題に入ろう。『青木ケ原樹海』で大量のノロの反応があり調査に向かった鎌府の刀使の連絡が絶たれ追加の刀使も連絡が途絶えた。そこでお前たちは鎌府と親衛隊と連携しこの事件を解決することだ」
本題、折神紫はその場所での出来事を軽く説明し、真希がその概要が書かれている書類を渡す。
青木ケ原樹海、確か富士にある樹海であり観光名所でもあり広さもあるため自殺が多い所だ。
反応を示した場所はかなり奥深くにあるようでこれまでの戦力と被害も書かれていた。
陸地からは荒魂の大群、上空からも鳥形の荒魂というバーゲンセールと言ったところみたい。
その被害は長期的であるため甚大なものであり次は親衛隊も投入と共に歌留多達も行くようである。
「そんなことで私たちを呼んだという訳?」
美弥の飽きれた声に歌留多はもちろんのこと真希、寿々花もそっちに目を向けた。
仮にでも局長、二人は御刀に手をかけかけたが前日の戦いを体験したことを思い出した二人は腕を止め紫が「よせ」と目を向け、二人は手をかけるのを止めて歌留多はほっ、と一息をつく。
確かに精強の親衛隊も今回で入るのだ。
私たちが行かなくても良いのでは?と少しは思っていた。
「そうだ、お前たちは綾小路にてさまざまな戦果を挙げてきた。今回は大量のノロ、大型の荒魂が出たとしてもお前たちなら造作もないことだと思うのだが。報酬は相当の物を用意しよう。……それにこの長い戦いも終わらせる」
紫が焦る、いや実際焦ってるのは特別刀剣類管理局自身だ。
観光名所でもあるため早期に解決したかったのだが長期的で異常である事件へと化したため終止符を打たせるため私たちを親衛隊の隷下部隊を配属させたのだ。
この事は事前に綾小路武芸学舎の学長である相楽にも許可が出されていた。
「わかったわ」
「出発は明朝だ。部屋は獅童真希が案内する」
美弥が頷き紫は実施する時間を指定させ退出させる。
「ではこちらに来てくれ」
「失礼しました」
真希が先導させ退出させ歌留多を最後に扉を閉める音が響く。
一人となった紫はまた窓から外を眺め考えだした。
「ふわぁ~~すっごい部屋」
別館へと移動し扉を開くと客室とは言い難い豪華な部屋が視界に入った。
流石折神家、内装はテレビで見た超豪華なビジネスホテルの部屋のような感じであり、キッチンや冷蔵庫、風呂まであった。
「ゆっくりしていってくれ。何かがあったら外の刀使に言え」
「ありがとうございます」
真希が部屋から出て二人になる歌留多と美弥。
「それにしても姉さんは堂々としすぎだよ。私少し冷や汗掻いたよ」
歌留多は振り返り先程の発言での不安を言った。
当主に向けての不満を堂々と口にする精神はかなり凄いものだ。
「要件を聴けばこれだからね、正直なところ親衛隊の仲間に入れたら良かったのに」
美弥があわよくばと親衛隊の一員になれたらと期待はしてたようだが紫が報酬を用意する。
そのことに歌留多はもしかしてと、期待はしてると携帯電話の着信音が鳴り取り出し名前を見るとチームメイトである蓮からであった。
「ん、もしもし。あ、蓮?久しぶり」
『久しぶりじゃないでしょ!!今日来てないから学長から聞いたけど鎌倉にいるの!?』
受話器から怒号が響き一瞬耳から離すがまた近付ける。
一日が経ち学舎のほうは相楽学長の許可は得ているのだが欠席してるのだ。
かける時間無かったから夕方からかけてきたのだ。
「あ、うん」
『はぁ、なんか折神家の方に行って何かやってるみたいだけど……美弥さん居るからいいけど無茶しないでね』
ため息混じりの心配している声が受話器から出てくる。
姉さんが居るから大丈夫ってどういう……いや姉さんが出れば秒で解決とか言われてるからそういうことだろう。私も最近そう思ってきたし。
「うん、ありがとう。そっちに戻るのは多分御前試合前だと思うよ」
『歌留多と美弥さんは御前試合出ないから別にいいと思うけど?』
かなり痛いところを突かれた。
美弥は任務が多くて無理で歌留多は学舎内で二回戦敗退で出れずという悲しみを背負っていた。
その事にクラスメイトも驚いていたが歌留多は鞘も使うことに特化し過ぎて手数を増やすことも出来ずに負けたのだ。
「まぁそうだけど一応帰らなきゃいけないし……」
『そっちの仕事終えたら帰ってきなさい』
「うん、分かった。じゃあね」
蓮との会話ができて元気を取り戻すことができた歌留多は通話を終えて明日のための準備を始めた。
「はぁ」
通話が切れて蓮はベッドに携帯電話を投げ電話は真ん中に跳ね上がる。
跳ね終わるのを見た蓮は立て掛けてる御刀を手にし、大きな藁人形に目を向ける。その藁人形の顔に写真が貼られていた。
一つはチームメイトであり親友の古住歌留多、蓮も歌留多も御前試合出ることはないが親友、ライバルであり彼女は荒魂討伐するたびに腕をあげてきて水があいてきた。必ず彼女を越してみせる。
そしてもうひとつは誰でも憧れの対象でもあるが蓮の目からはその感情が出ていない。
出てるとすれば……革命の眼だ。
「折神紫……」
刹那、抜刀しすぐに鞘に納める。
すると二つある藁人形がバラバラになり切られた写真と共に地に崩れ落ちる。
「ごめん歌留多……私は負けないよ」
少しばかりの懺悔と決意をし後悔をした。
古住歌留多……早くすれば私と肩と並べて戦えると思ったのにと。
人物紹介3
蓑崎蓮(みのさき れん)
血液型:B
御刀:???
流派:???
所属:綾小路武芸学舎
中等部2年
腰上まで伸びる薄い青髪の刀使であり歌留多のことが心配でいっぱいの時がある。
討伐で歌留多と共にすることが多く前衛兼指揮ポジション。
密かに歌留多をライバル視してるが彼女の成長により多少の嫉妬と期待を上げていた。
しかし彼女の親衛隊の仲間入りを耳にし祝うと共に後悔を積もらせた。