こっちの話も無事終えることができるか…
感想受付を非ログイン状態でもできるという設定が合ったことを最近知る音
「おらよぉ!」
「もーらい!」
「せやぁ!」
フードを被る鎌府の刀使呼吹は類を見ない短刀の御刀の二刀流を持ち、高く飛び立ち急降下、位置エネルギーを利用しS装備の曳光を描き荒魂を4体斬る。
親衛隊の結芽はジグザグに移動しながら6体の荒魂を斬り、綾小路の刀使歌留多は鞘で受け止め抜刀し一体斬り、飛び上がり一体、鞘を荒魂の眼に目掛け投擲し怯んだ隙に斬る。合計三体。
「へぇ、中々やるねぇ」
「へっ、親衛隊から褒められるのは虫酸が走るね!」
余所見しながら嫌悪を出す二人。
まるで水と油のように混ざらず連携もせず個々で斬る。
「二人とも凄い……危ない!」
歌留多はその二人の姿を見てると結芽の後ろからの小型の荒魂が口を開けながら飛び出してくる。
迅移で結芽の後ろへ回り込み鞘で口を塞がせ地面に叩きつけ、則房を突き立て仕留める。
「ちょっとー、今のは私の獲物だよぉ」
「え、あ、うん……ごめん」
膨れる結芽はさっきの荒魂が見えてたみたいで獲物盗られたと思われ歌留多は謝罪する。
「しっかし奥に行けば行くほど荒魂が堅くなってきてるな」
「そうね、それに多い」
呼吹が鼻を擦り行けば行くほど荒魂が堅くなると言った。
確かに最初は並の荒魂で斬るのは容易だったが今は岩の様に硬く、八幡力無しでは斬れなくなってきた。
この事により付いてきてる刀使は半数も減ってきた。
残りの半分は拠点へ戻っていったがまだまだ増えていきそうだ。
「別に多くても全部全部斬ればいいし!」
「だな!荒魂ちゃんぶった切れるチャンスだ!」
終わりよければ全てよしと言いそうな二人。
というよりなんでもいいから荒魂倒したいと思っている。
この二人はもしかして戦闘狂?
「俺の勘だともっと強い荒魂がいる方角はあっちだと感じてるぜ!」
犬かと思わせるかのように鼻をスンスンするように嗅ぎ、西の方角に短い御刀を向かせる。
「へぇ、だったらその荒魂倒した方が勝ちにしよっか!」
「乗った!」
「ちょっと二人とも勝手に行っては……はぁ」
荒魂の勝負になるとこうも同調するのだろうか?と心のなかで思う歌留多は急いで二人に付いていく。
所変わり北2㎞ほど離れた場所に真希達率いる隊は多くの荒魂により足留めを食らっていた。
「はぁ!」
沙耶香は刀を振り、飛行型の荒魂を両断させ分離された身体からノロが飛び散る。
「数が多い……このままじゃ」
全滅する。と感じとる沙耶香は周りを見渡し現在の状況を把握する。
まずスペクトラムファインダーの反応は四方に1km囲うような反応をしめしている。
荒魂に包囲されている。
幸いだが親衛隊二人が側にいるから刀使の消耗は抑えられているが後退も出来ないこともありジリ貧だ。
「荒魂が多すぎる……どうする?」
真希が同じように気付いておりそう呟いた瞬間、なにかが通りすぎるのを感じ一瞬周りを見渡す。
「なっ!?」
「……!?」
真希も沙耶香も他の刀使達も動きが止まり騒然した。
ある刀使は目の前にいた荒魂、ある刀使は足を滑らし荒魂の凶器の刃が降りかかろうとしていたものが突如二つに割られ地に落ちノロが分離される。
「ふぅ、こんなものね、真希さん周辺の荒魂一掃したわ」
荒魂の亡骸の傍にはノロが不気味に付着している太刀伊吹丸を持つ綾小路の刀使、古住美弥。
「馬鹿な……半径1kmの範囲に居る荒魂の反応が消えた……50体は居たぞ」
沙耶香はスペクトラムファインダーを見ると確かに半径1kmにいた荒魂の反応が消えていた。
恐らくだがあの美弥という刀使は迅移、二段階三段階を付けて一掃したのだ。
迅移三段階を使えばその分力の弱体化もあるのだろうが美弥にはその様な兆候が見当たらない。
「流石にここまでやると貴女は化け物と思ってしまいますわ」
「ふふっ、化け物は心外ですよ寿々花さん」
寿々花は半ば呆れながら、美弥は笑いながら付いたノロを払い落とす。
規格外、仮にそうだとしても寿々花はそうだと割りきり、真希そうだったなとため息をつく。
「真希さん、夜見さんが荒魂の大元を突き止めましたわ。ここより西の方角ですわ」
「西か、よし荒魂大元を叩く!動ける者は負傷者を連れて本部まで下がれ!」
夜見、親衛隊の一人が何らかの方法で西側に荒魂の大元を探り当てたようだ。探索能力が優秀なのだろう。
西、確かにあちらの方向から何かが引き寄せている。
そんな感覚が美弥は感じ取っていた。
「おらぁ!!」
「あははは!硬いねぇ!」
どんどん堅くなってきてる荒魂であるが二人にはそんなの関係ねぇとばかりに切り刻みながら進んでいき歌留多はそれを追いかける。
「二人とも待って!」
歌留多が制止をかけたとき、二人は森の開けた所で止まり立ち尽くす。
それを気づいた歌留多はその二人が見ている光景にて言葉が出なくなった。
「おいおいなんだよあれは」
「ノロの……湖?」
ノロが大量に湧き出ており家一軒分もある大きな湖とも思える異様な光景だった。
もしかしたらここが大量のノロ反応の発信源。
もしこの膨大なノロが荒魂と化したら大災厄にもなりかねない。
「気味わりぃな」
呼吹がこの湖を気味悪い光景だと口にする。
逆に歌留多はそうでも思わずに何か、そわそわする気持ちがわき出ていた。
「あれ?誰かいるよ?」
結芽が湖へ指を指し、指した先には人みたいな何かが佇んでいるのが見えた。
民間人、だとしてもここは荒魂が大量に居り側にはノロもあり危険だ。
保護しようと動くがすぐに違和感を覚えた。
「人型の……荒魂?」
良く見ると髪、顔、身体全体が黒い鱗みたいな物が付いており顔の一部から突起物が生えておりそこから目玉みたいなものがこちらを見る。
どうみても民間人ではなくまるで荒魂と人が交わったかのような姿であった。
「貴様ラ、何ノ用ダ」
目が見開き低く、中性でどもるような声がその荒魂から発せられ三人は驚きを見せる。
声を発し、言葉を交わす。知能を持つ荒魂を目の当たりにしてるのだ。
「特別祭祀機動隊、古住歌留多です。貴女は……?」
「ナルホド、オ前タチハ巫女カ」
一回目を伏せもう一度目を開けた荒魂はノロの湖に手を入れ棒状の物を取り出す。
それは私たち刀使が知っている物、刀のような形状で刀身にはノロがこびりついたかのような赤い錆が張り付いており刃はガタガタ。
そう、赤羽刀だ。
「そうだな……私ノ名ハ『ヘル』、人が荒魂化になった者だ」