八幡のカントー地方 〜ぶらり一人旅(希望)〜   作:龍@pixivでも活動中

101 / 126
94話 元気と理由

はちまん「ったく、なんでアイツらは俺に予約していくんだ…」

 

ロンドとロロットがいなくなった後、俺は一人愚痴る

あの2人と言いアイツらのボスと言い

戦うなら俺じゃなくて他のやつにしてくれよ

俺はまだまだ弱いってのに

っと

 

はちまん「ゴルバット、お疲れさん」

ゴルバット「バーット♪」

はちまん「ちょーっと怖いお姉さん達とお話しがあるからボールに戻っててくれ」

ゴルバット「バット…」しょぼーん

はちまん「俺の背中で寝るならまた今度な」

 

俺はゴルバットをボールに戻す

 

はちまん「カビゴンもお疲れさん」

 

カビゴンの入ったボールに声をかける

いち早く回復させたいが

 

エリカ「はちまん様?ご説明いただけますか?」

 

まずは後ろにいるお嬢様に説明しなくては…

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

#元ロケットゲームコーナー

 

はちまん「エリカ、説明するにも少し待ってくれるか?ウキワもこっちへ戻って来ているはずだし」

エリカ「…………わかりましたわ」

はちまん「それじゃあ、レイン」

レイン「ん?なーにー?はちまん君」

 

はちまん「エリカ達は先に本部へ戻ってるから、お前はあのファンの方を帰してやってくれ」

レイン「はいはーい!わかった!」

 

レインは元気よく返事をするとファンの方々の元へ走って行く

わわわ、スカート!

 

はちまん「エリカ、お前は後でここに人手を…」

エリカ「ご心配なく、はちまん様が交渉なされている間に手配しておきましたわ」

はちまん「早いなおい」

 

このゲームセンターは大丈夫そうだな

 

はちまん「ニン、お前はどうする?先にポケモン達をここから出してやるか?」

ニン「それは〜もうエリカさまに〜たのんで〜アホ毛くんの〜はなしがおわったら〜おてつだいする〜ふふふ♪」

はちまん「そうか、ならお前も本部に戻っているか」

 

ニン「ん〜?アホ毛くんは〜いっしょにもどらないの〜?ふふふ〜♪」

エリカ「え、そうなのですか?」

はちまん「ああ、俺はちょっとやる事があるからな。先に本部へ戻っててくれ、説明は俺が戻ったら説明する。あ、何があったかはお前らがコブキさんにやっといてくれ、俺はやらんからな」

エリカ「ふぅ…。わかりましたわ、それはお任せください。しかしお逃げにならないでくださいませ、必ず戻って来てください」

はちまん「大丈夫だって、シオンも連れてくし」

ニン「え〜なんでシオン〜?わたしは〜?ふふふ〜♪」

はちまん「悪い、後で埋め合わせするから」

ニン「ほんと〜?ふふふ〜♪」

はちまん「ああ」

 

エリカ「わかりましたわ、それで了解いたしましょう」

はちまん「いや、お前には言ってねーよ。…ん?」

エリカ「どうなされました?」

はちまん「いや、なんかお前の喋り方に違和感が…」

エリカ「そうでございますか?」

はちまん「なんか…こう…丸いと言うか…うーん」

エリカ「くすっ、はちまん様の気のせいですわ」

はちまん「…そうかもな」

 

さて、レインの方は大変そうだが…まあなんとかなるか

エリカとニンは本部に帰すとして

いまするべきはこんくらいでいいかな

 

はちまん「シオン」

シオン「………………………わたしはどうするの?」

はちまん「悪いが俺と一緒に来て欲しい所があるんだ」

シオン「………………………わかった」

 

はちまん「それじゃあ俺とシオンは行く所があるから、お前らはウキワが戻って来たら一緒に本部へ戻っといてくれ。レインはファンを帰したら戻るだろ」

エリカ「わかりましたわ」

ニン「それじゃあ〜アホ毛くん〜あとでね〜ふふふ♪」

はちまん「おう。行くぞシオン」

シオン「………………………ん」

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

俺とシオンはとある場所へ向かいタマムシシティを歩いている

目的地に結構近づいて来た所でシオンが聞いてきた

 

シオン「………………………はち」

はちまん「ん?」

シオン「………………………こっちって」

はちまん「ああ、7番道路だ」

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

#7番道路

 

シオン「………………………どうしてここに?」

はちまん「その前に少し待ってくれるか?」

シオン「………………………いいよ」

はちまん「サンキュ」

 

俺はシオンからの了承を得て、カビゴンの入ったボールを取り出す

 

はちまん「カビゴン」

 

ポンッ!

 

カビゴン「ご〜ん〜」ぐったり

 

先程の戦いで瀕死になったカビゴンはぐったりして寝ている

大丈夫かな、と思いながらバッグから『げんきのかけら』を取り出す

『げんきのかけら』とはポケモンが瀕死になった時に使える道具で

瀕死状態を直し、体力の半分を回復させる事が出来る

あと瀕死状態を直す道具に『げんきのかたまり』と『ふっかつそう』という道具があり、それらは全回復できる

確か食べさせればいいんだっけ

俺は寝転がっているカビゴンの口のところへ持っていく

 

はちまん「ほらカビゴン」

カビゴン「ご〜ん」ぱく

 

カビゴンの大きな口に『げんきのかけら』を入れる

カビゴンはそれを食べ、しばらくすると

 

カビゴン「…!ゴーン!」

 

ぐったりした表情から生気を取り戻した

カビゴンの性格上立ち上がる事はないが、とりあえず元気になったようだ

しかし全快したわけではないはずなので、あとでポケモンセンターに連れて行ってやろう

てか毎回見るたびに思うんだが、デカイなコイツ

昨日の宴会の席でも天井ぎりぎりだったし

一昨日シオンタウンのポケモンハウスで一緒に寝ていた時も俺が部屋の端っこに追いやられるくらいに大きかった

よく考えるとあのポケモンハウスにあった部屋、結構広いんだな

それに部屋も沢山あったし

 

はちまん「ホント、お疲れさん。カビゴン」

カビゴン「ゴーン」

はちまん「しばらくはボールの中で我慢してくれ、後でポケモンセンターに連れて行くから」

カビゴン「ゴン」こく

 

俺はカビゴンをボールに戻す

そう言えばシオンタウンで思い出したが

ニンにまだあそこで起きた事を話してなかったな

今日は忙しかったから俺、シオン、ニンの3人だけで話せる機会があまりなかったから仕方ないが

 

はちまん「悪い、待たせたな」

シオン「………………………ううん、だいじょうぶ」

 

シオン「………………………それで、どうしてここに?」

はちまん「ちょっと気になる事があってな」

シオン「………………………きになること?」

はちまん「…なあ、今日の昼頃、エリカのとこへ行く前に俺がお前に聞いた事があっただろ?」

シオン「………………………うん」

 

はちまん「ポケモンタワーから逃げたロケット団がどの方向に逃げたのかってな」

 

シオン「………………………うん」

はちまん「シオンタウンから逃げるとすれば西のヤマブキシティ方面か北にあるイワヤマ、それと南の12番道路。この中でシオンが言った方向は…」

 

シオン「………………………やまぶき」

 

はちまん「そう、それなんだよ」

シオン「………………………ん?」

はちまん「ヤマブキシティってさ、いま封鎖されてるだろ?」

シオン「………………………あ」

はちまん「ヤマブキに入れないとするとアイツらはここの地下通路を使ってタマムシシティへ逃げたはずだ。現にさっきいたしな」

シオン「………………………うん」

はちまん「でも、そいつらはいいんだ。問題は俺がハナダで会ったロケット団なんだよ」

シオン「………………………はしのひと?」

はちまん「そっちもあるんだが、アイツらはイワヤマ方向からシオンタウンへぐるっと通ってこの地下通路を使ったと考えると辻褄が合う」

シオン「………………………ふむ」

 

はちまん「だがおかしいのはもう1つの方なんだ」

シオン「………………………まだいるの?」

はちまん「ハナダにある民家から技マシンを盗んだロケット団がいてな、そいつは俺が倒して取り返したんだが…」

シオン「………………………なにかおかしいの?」

はちまん「そいつが逃げた方向がおかしいんだ」

シオン「………………………にげたほうこう?」

 

はちまん「そいつはハナダからヤマブキシティへ続く5番道路へ逃げたんだ」

 

シオン「………………………?」

はちまん「でもそのヤマブキは封鎖中、逃げるならもっとマシな方向があるだろ。さっき言ったイワヤマとかオツキミ山方面とか。でもそいつはヤマブキシティ方面へ逃げたんだ」

シオン「………………………でも、そこにもちかつうろはある」

はちまん「なあ、地下通路を通ろうとした時俺とお前は何て言ったっけ?」

シオン「………………………ん?えっと」

 

シオン「………………………だるいって、あ」

 

はちまん「そ、だるくなるほど長いんだよ地下通路は。しかも自転車がスピードを出して走れるほどに直線だ。そんな所を逃げ場所に選ぶか?」

シオン「………………………でもくちばにいこうとしてたら?」

はちまん「んー、そこは俺も不安な所なんだがな」

シオン「………………………じしんないの?」

はちまん「ああ、全くない」

 

はちまん「だが、地下通路を逃げ場所に選んだとしたら一つの仮説が生まれる」

 

シオン「………………………え?」

はちまん「だがその仮説は本部に戻ってから説明する」

シオン「………………………じゃあここにはなにしにきたの?」

はちまん「エリカのとこへ行く前に一回来たんだけどな、もう一回確認したくて」

シオン「………………………なにを?」

 

 

はちまん「風」

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

#カントーガールズ本部

 

はちまん「うーす」

シオン「………………………ただいま」

 

レイン「お、お帰りー、2人ともー」

 

俺とシオンは確認が終わり本部に戻って来た

コブキさん、エリカ、ウキワ、レイン、ニン

みんな揃っている

だがレインのお出迎えがたどたどしかったのでわかると思うが

 

すんごいギスギスしてる

 

コブキさんは俺とシオンが帰って来ても無反応

レインとニンは居心地が悪そうにしている

ウキワは不機嫌そうな顔…てか不機嫌だ

エリカはなにも動じていないような澄まし顔

コブキさん、ウキワ、エリカが同じソファーに座り

レインとニンがその向かいのソファーに座っている

ちなみにコブキさんは金色のドレス

コブキさん以外みんな黒いパーカーを着ている

統一感がすごい

んーしかしこれは仕方ない

 

はちまん「座るとこなさそうだから俺は外に…」

コブキ「レイン、窓際の椅子に座ってください」

レイン「は、はい!」

 

俺が逃げようとするとコブキさんがレインに席移動を命じる

レインはそれに瞬時に対応した

具体的に言うとニンのすがるような眼差しをかわしながら超スピードで窓際の椅子に座った

 

コブキ「はちまんさん、シオン、そちらへ」

 

コブキさんがレインの開けた席に俺達を座るようにすすめる

くそ、レインのやつ…

まあ説明しなくてはいけないからどっちにしろ覚悟を決めなきゃな

俺は腹をくくりソファーに座る

シオンも後から座り

俺の両側にニンとシオンが座る形になる

俺の真向かいにはコブキさん

こちらは見ておらず紅茶を飲んでいる

ウキワも紅茶、エリカは緑茶

 

はちまん「ニン、飲み物あるのか?」

ニン「の、のどをとおらない〜」

はちまん「ま、ぱちマッカン置いとくわ」コト

ニン「あ、ありがとう〜」

 

俺はバッグから『ぱちマッカン』を3本出して1本をニンの前に

 

はちまん「ほれ、シオン」

シオン「………………………あまあま」

 

1本をシオンに

そして最後の1本を俺の前に置く

残機 10

さてこれは落ち着いてからゆっくり飲むとして

…どう切り出そうか

ん〜どう切り出しても地雷な気がする

どれから話すか…

俺が悩んでいるとエリカが助け船を出してくれた

 

エリカ「はちまん様、お話しは済ませておりますわ。後はどうしてあのような取り引きをされたのかをご説明してくださいますか」

ウキワ「…貴方がみすみすロケット団を見逃したってとこからね」

はちまん「見逃した…って。エリカ、どう説明したんだよ」

エリカ「あら、わたくしはありのままをお伝えいたしましたわ」

はちまん「はあ…。あそこは見逃すも何も後々の事を考えるとあれくらいしか方法はなかったぞ?」

ウキワ「どこがよ、ロンドって奴も捕まえる所までいったんでしょう?なんでそのまま捕まえなかったの?それに大勢のロケット団員まで返しちゃって、貴方一体何を考えているの?」

はちまん「いや、何言ってんだ。俺はロケット団を捕まえるつもりなんて最初からなかったぞ」

ウキワ「は?じゃあなんでゲームセンターにロケット団がいるって情報を私達に提供したの?」

はちまん「それは俺が危険になるかもしれないからだ。ロケット団がいつ動くのかわからない場所になんていたくないからな」

ウキワ「だったら尚更のこと捕まえた方がいいじゃない。そうすればこの街からロケット団がいなくなるのよ?」

はちまん「昨日の夜に言っただろ、放っとけばいいって。だがただ放って置くわけじゃなく、ゲームセンターを警戒するくらいにしろと」

ウキワ「それがよくわからないのよ。捕まえた方が安全になるでしょう?」

はちまん「これも昨日の夜言ったよな?アイツらは危険だって、蜂の巣を叩くようなものだって。例え捕まえられたとしてもその過程で絶対に誰かは傷つくだろう。それが俺かもしれないからお前らに情報を提供したんだよ」

ウキワ「…つまり貴方は自分の事しか考えてなかったのね」

はちまん「そうだな」

 

エリカ「そんなわけないでしょう」

 

はちまん「あん?」

ウキワ「エリカ様?」

エリカ「はちまん様が自分の事しか考えていなかった?本当に自分の事を考えた場合、わたくしならそんな情報は捨ててとっととこの街から出て行きますわ。それならばウキワ様達とロケット団の抗争に巻き込まれる事なく、ロケット団と関わる事もないですわ」

はちまん「い、いや、この街ではお前からバッチをもらうっていう目的が…」

エリカ「あら、ならばわたくしがバッチを渡せばこの街から立ち去るというのですか?」

はちまん「……それは」

 

俺がどう返事を返そうか悩んでいると

エリカは懐から何かを取り出した

ん?パーカーしか着てないはずなのにどこから…?

 

エリカ「こちらがレインボーバッチでございます」

 

出所は不明だが

花びらの形をした虹色のバッチが俺の前に置かれる

 

エリカ「では、はちまん様。お別れでございますね」

はちまん「………」

エリカ「あら、どうなされたのです?貴方の目的はこのバッチ、これを受け取ればもうこの街に用はございませんでしょう?」

はちまん「………いや」

エリカ「おや、はちまん様。わたくしと戦わずしてこのバッチを頂くというのは後味が悪うございますでしょうか?ご安心ください、ジムバッチとはジムリーダーが実力を認めて初めて頂ける物でございますわ。はちまんの先程の戦いを見てわたくしは貴方様の実力を認めましたわ。なのでご遠慮なさらずにバッチを受け取り、この街を出て行かれますよう。後の事はわたくしやコブキ様方にお任せくださいませ」

 

俺はこめかみを抑える

 

はちまん「……あーもう、ほんとにもう。何で俺の周りの女はみんなめんどくさいやつらばかりなんだ…くそ」

エリカ「あらあら、1番ご面倒な貴方様に言われるとは…世も末でございますね」

はちまん「全くだ」

エリカ「あら、反論はないのでございますか?」

はちまん「俺がめんどくさいってのは俺が一番わかっているからな」

エリカ「では、正直に申されてくださいませ。あまり時間をかけたくないのです」

 

はちまん「…その、自分のために動こうとしたのは本当なんだが、ニンやシオンには世話になったから…こいつらの為に何かしてやろうかなーとは思ったかもしれない…かな」

ニン「お〜わたしのため〜ふふふ♪」

シオン「………………………そっかそっか」

はちまん「お前らなに偉そうにしてんだ。って、よく考えたらお前ら俺を脅して無理矢理協力させたよな?」

シオン「………………………う」

ニン「わたしは〜してないも〜ん〜ふふふ♪」

シオン「………………………でもはちのちからがひつようだったから」

はちまん「だったらそう言えばいいだろ」

シオン「………………………いってもきいてくれないとおもったから、ごめんなさい」

はちまん「うぐ、それを言われるとなにも言えないが…。…じゃあ代わりに俺の願いを聞いてくれるか?」

シオン「………………………わかった、なに?」

はちまん「……いや今はいい、その時が来たら頼むわ」

シオン「………………………?」

 

ニン「あ〜シオンだけずるい〜わたしは〜?ふふふ〜♪」

はちまん「いや、お前は何もしてないだろ。てか俺に願い事を頼まれるのがずるいってどういう事?」

ニン「わたしも〜なにか〜たのんで〜ふふふ〜♪」

はちまん「何で、頼む理由がないだろ」

ニン「ん〜じゃあ〜おつきさまのポケモン〜たすけてくれた〜おれい〜ふふふ♪」

はちまん「あれは何も言わなくてもお前がやってただろ。逆にややこしくした気がするんだが」

ニン「いいの〜いいの〜ほらほら〜ふふふ♪」

はちまん「何でそんなに…わかったよお前にも頼むから」

ニン「ふむ〜よろしい〜それで〜なにをたのむの〜?ふふふ〜♪」

はちまん「…じゃ、お前もその時が来たら、な」

ニン「え〜わたしも〜?ふふふ〜♪」

 

いつかシオンとニンに頼み事をする約束

その時が来たら…ねぇ

いつ来るのやら

 

レイン「えー!ねぇねぇはちまん君!私はー!?」

はちまん「なにが?」

レイン「私のために『なんとかしてやろう』とは思わなかったのー!?」

はちまん「特には」

レイン「えー!?ひどいよはちまん君!私と一緒に戦って、ファンのみんなにも人気になったのにー!」

はちまん「え?人気?俺が?」

レイン「うんー、また私と共演して欲しいー!ってファンのみんなが」

はちまん「何で?俺ほとんど何もしてないだろ」

レイン「みんなあのゴルバットの『バサァ』っていうのがカッコいいって!あと何もしてない事ないからね!はちまん君もあの時色々考えて戦ってくれてたでしょ!」

はちまん「あの演出がカッコいいのは認める。だが俺じゃなくてもいいだろ、他のやつがやればいい」

レイン「他の人にはちまん君のゴルバットを渡してもいいの?」

はちまん「駄目だ。けど絶対に共演とかしないからな、他を当たってくれ」

レイン「ぶー、けち」

はちまん「うるせえ、何で知らないやつの期待に応えてなきゃいけないんだ」

レイン「でも戦おうと思ったのはファンのみんながはちまん君を待ってたからでしょ?」

はちまん「いやそうじゃなくて、あのままだとレインの面子が…あ」

レイン「むふふー!そうですかそうなのか!はちまん君が私のために戦ってくれてたんだー!」

はちまん「ま、待てこれはそう言うのじゃなくて、お前がチームの役割としてアイドルをやってるって聞いたから仕方なく…」

レイン「それってどっちにしても私かチームのために戦ったって事だよね!」

はちまん「はっ!し、しまった…」

エリカ「ほう、レイン様の話術に引っかかりましたか」

はちまん「く、くそっ図ったな!」

レイン「ほぇ?何が?」

 

レインはきょとんとした顔をした

まさかコイツ無自覚で…!?

レイン、恐ろしい子

 

 

 

 

 

 

ウキワ「………むぅ」いらいら

エリカ「ふふ、ウキワ様もはちまん様が大事にされていらっしゃる女の子でございますわ」

ウキワ「え!?」///

エリカ「そうでないとこうして面と向かい意見を言わないでございます。意見を言い合える仲。ウキワ様ははちまん様の心の支えであるとわたくしは思いますわ」

ウキワ「エ、エリカ様…」///

エリカ「今すぐにとは言いませんわ。ですがいつの日にか貴女様が素直な気持ちを伝えられるよう、わたくしは願っておりますわ」

ウキワ「わ、私はそんなんじゃ…」

エリカ「ふふ、まあゆっくりと…ですわ」

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

コブキ「ご、ごほんっ!…っ!けほけほ」

ウキワ「だ、大丈夫ですかっリーダー!?」

 

コブキさんが大きな咳払いで会話の流れを変えようとしたが

失敗してむせてしまった

それでも俺は少し冷静になれた

 

コブキ「けほっ、だ、大丈夫です。それよりはちまんさん。まだ説明が…」

はちまん「すみません、少し気が動転してしまいました」

エリカ「わたくしも言い過ぎましたね。しかしウキワ様、はちまん様はわたくし達の為に動いてくれた事を忘れてはいけません」

ウキワ「…わかりました、エリカ様。…はちまん、ごめんなさい」

はちまん「い、いや俺の方こそ…説明が悪かったな、すまん」

ウキワ「いえ、それよりも話しを続けましょう」

 

 

はちまん「それでどこまで話しましたっけ」

エリカ「まだ今回の件は触れていませんわ。あの交渉の意味をお教えくださいませ」

はちまん「わかった」

コブキ「その前に今更なのですが、何故はちまんさんは私に敬語を使うのですか?」

はちまん「え?あ、どうしてでしょう?年上だからですかね」

コブキ「レインも年上ですが敬語ではありませんよね」

はちまん「ああ、確かにそうですね」

コブキ「では私もタメ口で結構です。名前も呼び捨てで構いませんよ」

はちまん「うーん。やはりさん付はしてもいいですかね。タメ口はしますので、いやするから」

コブキ「わかりました。ですがさん付が面倒になったらいつでも呼び捨てで構いませんよ」

はちまん「どうも」

 

 

はちまん「先ずあのゲーセン、エリカとウキワはどう見た?」

エリカ「わたくしはロケット団のアジトだと」

ウキワ「私はロケット団にとって重要な場所かなって」

はちまん「まあ、ロケット団がいたんだからそう思うよな。だがそうだとするとおかしくないか?」

 

ウキワ「おかしい?それはあんな堂々と自分達の名前を使って営業していた事?」

はちまん「いや、おそらくそれはさほど意味はない」

ウキワ「え?ロケットって名前やロケット団のロゴが使われていたのに?」

はちまん「だったら別の視点で考えて見よう」

コブキ「別の視点…ですか?」

はちまん「ああ、ロケット団の視点、或いは自分の居場所を持つやつ…かな」

エリカ「なるほど、自分の場所だから好き勝手にしても構いませんわ。自分のお気に入りの『ぽすたー』を貼ったり、自分が大好きな音楽をかけますわね。つまり…」

はちまん「まあ、要するにあそこはロケット団にとっての遊び場みたいなものなんだろ」

エリカ「ふむ、だから『暇つぶし』でございますか」

はちまん「それにはまだ意味があるんだが…まあそんな所だな」

 

コブキ「それで、おかしい所とは…?」

はちまん「ニン、シオン、お前ら何人くらい倒した?」

ニン「ん〜あんまりよく〜わかんないけど〜わたしは5人くらい〜かな〜ふふふ♪」

シオン「………………………わたしもそのくらい」

レイン「え?それって」

エリカ「アジトだとしても人員が少ないですわね」

はちまん「そ、まさにその通り。そしてアイツらにはとある共通点がある」

ニン「きょうつうてん〜あ〜ふふふ♪」

ウキワ「はちまんが見つけたって人達…トキワの森にいた奴、オツキミ山にいたって奴、他の奴もみんなはちまんに倒されているわね」

はちまん「それとシオンがやっつけた奴も、みんな何か勝負に負けたか失敗している」

ニン「あの〜ロンドって〜ひとも〜しったいしたって〜ふふふ♪」

ウキワ「つまりあそこは失敗した団員達の溜まり場」

はちまん「もしくは失敗を取り返すための働き口だな」

 

はちまん「人員が少ない、失敗していた奴らが多い。これから考えられるのはあのゲーセンはロケット団にとってどうでもいい場所って事だろ」

ニン「でも〜あのほそいひとは〜ほんきょちって〜ふふふ♪」

はちまん「ロロットが言ってたやつか?」

エリカ「はちまん様はそのセリフを演技だと笑っていましたねそれは何故ですか」

ウキワ「本拠地ではないって事?」

はちまん「アイツの言った通りあのゲーセンはロケット団の本拠地、アジトなのは間違いないなかっただろう。だがロロットの反応を見る限り『元』本拠地だ」

コブキ「つまり、ロケット団の本拠地は別の場所にあると?」

エリカ「もしくは最近新しく作られたか、ですわね」

 

はちまん「そこで俺は1つの仮説を思いついた」

ウキワ「仮説…?」

コブキ「それはロケット団に関わる事ですよね?」

はちまん「もちろん」

ウキワ「その仮説、重要性は?」

はちまん「ある」

ウキワ「確証は?」

 

はちまん「そのための交渉だ」

ウキワ「え、でもエリカ様やニンからの話しではポケモン達のためって…」

はちまん「いやそれもあるにはあるが、ロロットにも言った通りどっちにしろ助ける算段をニンがすでに立ててたからな。そのために交渉するなら意味はないんだよ」

コブキ「では他の意味があると?」

はちまん「ああ、3つほど。まあ重要なのは2つだけで、あとの1つはおまけみたいなもんだが」

 

はちまん「1つ目はさっきの本拠地かどうかっていう話しの確認。あいつらに帰る場所があればあのゲーセンは本拠地ではない」

エリカ「それでロケット団は帰って行ったということは」

コブキ「ロケット団の本拠地が別の場所にあると確定したと」

はちまん「だが問題は…」

ニン「どこにあるか〜だね〜ふふふ♪」

 

はちまん「それで2つ目だがロケット団の居場所の特定だな」

コブキ「え、居場所も特定出来たのですか?」

はちまん「特定と言っても範囲的にな、さっきの『暇つぶし』と合わせて近場を考え、短絡的なんだがどこへ行けるかだな」

シオン「………………………それって」

はちまん「レイン、このタマムシシティの西に行けば何がある?」

レイン「えっと、『サイクリングロード』があるよ。自転車で坂を駆け下りるとこ。こうビューンって!」

はちまん「それじゃあコブキさん、この街の東に行けば何がある?」

コブキ「……まさか」

はちまん「あの倒れていたロケット団員を担いで急斜面を駆け降りるなんて鬼畜なマネは流石のロケット団でもしないだろ。それなら徒歩で行ける場所、それは東にある街」

 

コブキ「ヤマブキシティに拠点があると言うのですか…?」

 

ウキワ「でもいまヤマブキは封鎖されてるから入れない…」

コブキ「そ、そうです!それにまだタマムシシティにいるという可能性が…」

はちまん「そこは俺の仮説で不安なところなんだよ」

ウキワ「え、自信ないの?」

はちまん「ないな全然ない、だが」

シオン「………………………あ」

エリカ「シオン様、何かわかったのですか?」

はちまん「シオンにはちらっと仮説を聞かせたからな」

エリカ「それでは先程までその仮説を裏付けるための行動を…?」

ニン「シオン〜アホ毛くんと〜どこへ行ってたの〜?ふふふ〜♪」

 

シオン「………………………ちかつうろ」

 

ウキワ「え?何でそんな所に?」

コブキ「……は、はあ!?まさか!?はちまん様!」

ウキワ「え、どうしたのですか、コブキさん」

エリカ「ウキワ様、地下通路とはどこにありますか?」

ウキワ「それは5番道路と6番道路、それと7番道路と8番道路に…」

はちまん「いやそれはただの入り口だ。地下通路自体がどこにあるかだ」

ウキワ「……あ」

 

ウキワ「ヤマブキシティの…地下…!」

 

レイン「ああっ!?」

ウキワ「それじゃあはちまんの仮説って…」

 

はちまん「俺は地下通路にロケット団がいると考えている」

 

コブキ「そ、そんな馬鹿なことがあるはずないでしょう!?ただの道である地下通路にロケット団がいるなんて…。ありえません!」

はちまん「この仮説を裏付けるのはまだあってな」

 

そこで俺は7番道路でシオンにした

ハナダシティで俺が戦ったロケット団の話しをした

その話しを聞くと各々考えている

 

ウキワ「5番道路を進んだ先って言うと確かにヤマブキシティかクチバシティまでの地下通路しかないわね」

エリカ「しかし地下通路を使ったのがロケット団の本拠地だとしてではなくクチバシティへ向かうためのものだとしたら」

レイン「あとあと!5番道路で隠れようとしたとも考えられるよね!」

はちまん「まあそんな疑問点は置いといて」

ウキワ「え、置いとくの?」

はちまん「いまはどうにもならん話しだからな。先に別の話しをしよう」

コブキ「まだそのロケット団員の事で地下通路がロケット団の居場所だと言う裏付ができるのですか?」

はちまん「ああ、裏付けとしては荒っぽいが…」

 

俺はバッグから1つの技マシンを取り出す

 

はちまん「これがその民家から奪われたものだ」

レイン「『あなをほる』の技マシン?」

ウキワ「これがどうしたの?」

 

コブキ「ヤマブキ…地下…あなをほる…」

エリカ「どうやらコブキ様も同じ考えのようですわね」

コブキ「そんな…そんな馬鹿な」

ウキワ「ロケット団がヤマブキの地下にいて…」

レイン「えっと、そこにロケット団がいるだけって事はないから…」

 

ウキワ「つまりヤマブキシティをロケット団が襲う作戦を立てている…?」

レイン「『あなをほる』で地面から出ておそうって事?」

はちまん「恐らくな、それもロンドやロロットを含めた大勢力でな」

 

ウキワ「でもわざわざ『あなをほる』でそんな作戦をする必要があるの?」

はちまん「さあ?俺はただこの盗まれた『あなをほる』の意味と、地下通路にロケット団が潜んでいる利点を合わせて考えただけだ。あといまロケット団は姿を現さないよな?それは大々的な作戦が控えているから戦力温存していると考えられる。その作戦がヤマブキシティの襲撃だとしたら納得もいく。いまのヤマブキシティにはお前らカントーガールズ達もジムリーダーも警戒している状況だからな」

 

 

コブキ「…わ、私達はヤマブキシティばかりを警戒して…地下までは…くっ」

はちまん「いや、まだ決まったわけではないからそんなに思い詰める事もないだろ。ただ俺のこの仮説を信じてくれるならカントー地方にとって嬉しい事が起こる」

レイン「嬉しい事!?なになに!?」

エリカ「はちまん様の仮説がカントー地方に影響すると言うのですか…?」

はちまん「ああ、この仮説通りに行くといまロケット団は作戦のためにわざわざヤマブキシティの地下にいるって事だよな」

 

はちまん「だったらもう、街の封鎖は解いてもいいんじゃないか?」

 

レイン「おお!ついにヤマブキシティを通れるようになるの!?」

コブキ「い、いえ、それは…」

エリカ「ふむ、そうする他ないですわね」

コブキ「え?」

 

 

エリカ「例えはちまん様の仮説が間違っていたとしても、地下通路にロケット団がいるかもしれないという可能性が生まれました。ヤマブキシティを通って他の街へ行こうする方は、ヤマブキシティが封鎖されている以上その地下通路を使う他に進む道がございませんわ」

ウキワ「地下通路にロケット団がいたら通行人が襲われる危険性があると。それに地下通路は暗く狭い、襲われても逃げられる可能性は極めて低いわね」

レイン「それに、ロケット団がヤマブキシティをおそってくる前にヤマブキシティのみんなを他の街へ逃す事が出来るし!」

シオン「………………………あと、いちいちやまをこえるのがめんどい」

ニン「そうですね〜わたしたちチームの〜れんけいをスムーズに〜するためにも〜ヤマブキシティは〜とおれたほうが〜いいですね〜ふふふ♪」

 

 

コブキ「し、しかし地下通路にロケット団がいるとしてもあの狭い道のどこに…?」

はちまん「隠し部屋を作って潜伏しているか、或いは…考えたくないが…」

コブキ「或いは…?」

 

はちまん「あの暗い道の影に潜んでいるか」

 

ニン「ひっ」

ウキワ「通行人達を影から見ているって事?気づかれずに?」

レイン「と、通るたんびに見られてたの〜?ひいぃ〜、きもちわる〜!」

シオン「………………………とおったけどいるとはおもえなかったよ?」

はちまん「うーん、それかもうすでに『あなをほる』で地上…つまりヤマブキシティのどこかと繋げていて、そこにいるって可能性もあるな。まあこれは考えにくいから、恐らく地下通路にどうにかしているんだろ」

 

コブキ「で、でもそれならなら地下通路を警備すれば…」

はちまん「それはロケット団を無駄に刺激する事になって、作戦の決行が早まる可能性がある。そうなった場合レインが言った通りヤマブキシティの住民を他の街へ逃す必要がででくるよな?ヤマブキにどれだけの人がいるのかは知らんが短時間で全員逃がせられるか?それよりは普段からちまちまと逃して行って、少しでも人口を減らしたほうがいいと思うが」

ウキワ「ロケット団を刺激せずに通行人を守る、そうなると地下通路を封鎖した方がよさそうですね」

 

コブキ「でも、それは後手後手に回ってしまうのでは…」

エリカ「コブキ様、いままで先手を取れた事ありますでしょうか?先ずロケット団が動いて、それを対処するために動いていたのでは?だったらもう先手は諦めて、街の人達を守ることに専念いたしませんか?」

 

コブキ「し、しかし、封鎖を命じた街の顔役がそれを許すかどうか…」

はちまん「その顔役がどんな奴かは知らないが、まあガキの絵空事に付き合うような奴ではないんだろ」

コブキ「え、絵空事など…はちまんさんのお話しは信じるに値するものです」

はちまん「いや、ほとんど俺の体験談が元だからな。そう簡単に信じられるものではないだろ」

エリカ「ふふ、ロケット団の本拠地…いえ元本拠地を見つけ出した者の台詞とは思えませんね。あれを見つけたのもはちまん様の体験が元なのではなかったのですか?」

はちまん「確かにそうなんだがな…。今回のは不確定要素があり過ぎると言うか…」

ウキワ「その不確定要素を確定しようとするためのあの交渉なんでしょう?それに交渉以外でもわかった事が沢山あるわ」

 

ウキワ「1つ、ロケット団には逃げられる事が可能な場所がある。しかしヤマブキシティに逃げる事は街が封鎖されているため不可能。よってタマムシシティ内に逃げている可能性が高い。後、地下通路を使いシオンタウンへ行った可能性もあるがあの大人数で長い道を延々と進むというのは考えにくい。そう考えると大人数で移動できる場所がロケット団の居場所だと考えるのが妥当ね。候補はここタマムシシティ、西の『サイクリングロード』、そして東のヤマブキシティと地下通路」

 

ウキワ「2つ、いままで姿を現さなかったロケット団が大勢の人前に出て来てまでロンドを助けようとしたのは、ロケット団が大きな戦力を必要としている。この事からロケット団は大きな作戦を立てている可能性が考えられるわ」

 

ウキワ「これにはちまんの仮説を組み入れると…ロケット団の居場所は地下通路、ロケット団はヤマブキシティを地下通路から『あなをほる』を使い襲撃する作戦を立てている、と」

エリカ「本拠地がどこにあるかはまだわかりませんが、それでもロケット団の居場所があるであろう範囲が絞れたたのは大きいですわ」

コブキ「しかし、ここまで言ってもその顔役が納得するかどうか…」

はちまん「なあ、一応聞いとく誰なんだそいつは」

コブキ「シルフカンパニーの社長です。とても気難しい方で…」

はちまん「シルフ…社長…ふむ」

レイン「その社長さんね!街の真ん中におっきいビルを持ってるんだよ!ここからでも少し見えるくらいの!」

はちまん「街の真ん中…おっきいビル…」

 

はちまん「狙いはそれだな」

 

コブキ「え…?狙いってロケット団のですか?」

はちまん「ああ、俺はここまで色々仮説を立てたがロケット団の動機がイマイチ思いつかなかったんだが…」

ウキワ「ロケット団がヤマブキシティを襲う目的はシルフカンパニーの社長だって言いたいの?」

はちまん「いや、社長はどうでもいいと思う」

コブキ「ど、どうでもいいのですか…?」

はちまん「街の顔役なんかを捕まえるのはサカキの目的とは違う気がするんだよ。サカキの目的はカントー地方をぶっ壊す事だ。何をもって壊した事になるのかは不明だが、多分そのビルを本拠地にしたいんじゃないのかな」

コブキ「しかし、それに何の意味が…」

はちまん「ヤマブキはカントー地方の中心だ。その中心の街の中心に手頃なビルがあるならそこを本拠地にしようと考えたんじゃないか?おっきいビルって言うくらいだから人も大勢入るだろうし」

ウキワ「た、単純過ぎない…?」

エリカ「『しるふかんぱにー』が目的だとすると…『かんぱにー』の乗っ取りは考えられませんか?」

はちまん「経済的にそっちの理由もあるだろうな」

ウキワ「うん、それなら納得できるわね」

 

エリカ「ロケット団の目的、作戦、居場所。不明瞭な点は多々ありますが、はちまん様のお話を信じたならばこれらの事に対して対策ができますわ」

コブキ「…そしてそれら全てはヤマブキシティに関わっている」

エリカ「どうします、コブキ様?はちまん様の意見を信じて動いてみてはいかがでしょう」

コブキ「……私は」

はちまん「いや、動くのも考えるのも後でいい。いまはやるべき事をやろう」

コブキ「えっ!でもロケット団を…」

 

はちまん「正直どうでもいいだろあんな奴ら」

コブキ「え、ええ!?」

ウキワ「ど、どうでもいいって…」

レイン「あーなるほどー!そっちかー!」

ニン「アホ毛くん〜!ふふふ〜♪」

エリカ「くすっ」

シオン「………………………ぽけもんたち」

ウキワ「あ、景品になってたポケモン…」

 

はちまん「景品のポケモン達をもといた場所へ帰してやるのが先だ。どうせロケット団の対処をしようにも社長さんを説得するまでに時間がかかりそうだし、そんなくだらない事で時間を割かれる前にやる事やっとこう」

 

エリカ「ふふ、そうですわね」

ニン「うん〜わたし〜がんばる〜ふふふ♪」

はちまん「コブキさん、ニンもやる気出してるし考えるのは後にしよう。もうどうせならカントーガールズ全員でやればいい。それで、その仕事が終わった後にみんなでゆっくり考えればいい」

コブキ「はちまんさん…。私危うくまた1人で抱え込むところでした、ウキワにそれはやめろと言われたばかりなのに」

ウキワ「そうです、リーダーには私達がついてます」

レイン「そーそー!私達ががんばればどんな事もできる!」

ニン「そうですね〜ふふふ♪」

シオン「………………………うん」

 

コブキ「わかりました!ではいまからみんなを集めてポケモン達を帰してあげましょう!考えるのはそれからです!」

ウキワ「では早速みんなに知らせを」

レイン「あ、でも」

 

コブキさん達が意気揚々と相談していると

レインがとある疑問を投げかけた

 

レイン「アミーさんはどうするの?」

 

レインは本部に戻って来ないメンバー アミーの名前を出した

その名前を聞いたコブキさんが苦い顔で

 

コブキ「…アミーは来ないでしょう」

 

何かアミーが来られない事情があるのだろうか

コブキさんとの間に何かあったとか?

いや、まあ来られない事情なんか1つくらいしか思いつかないが

だがそこでシオンが待ったをかけた

 

シオン「………………………ううん、だいじょうぶ」

コブキ「え?」

レイン「だいじょうぶなの?シオンちゃん!」

シオン「………………………あみーさんはわたしがつれてくる」

ウキワ「シオンが?なんで?」

シオン「………………………わたしはしゅうごうにちこくした」

 

シオン「………………………だからわたしがあみーさんをつれてくる」

 

コブキ「しかし、アミーはいまセキチクシティにいるのですよ?」

シオン「………………………だいじょうぶ、はちといくから」

はちまん「は?」

シオン「………………………はち、つぎのばっちはせきちくでしょ?」

はちまん「いや待て、お前を連れて行くくらいならしてやるがな。次も何もまだここのジムバッチを貰ってないから進めないぞ」

 

エリカ「それはどうでしょう」

はちまん「どうでしょう?水曜?」

レイン「水曜?なーに?それ?」

はちまん「いや何でもない。それでエリカ、なにがどうなんだ?」

エリカ「ふふ、はちまん様お忘れですか?目の前にそのバッチがある事を」

はちまん「あん?俺の目の前にはぱちマッカンしか…」

シオン「………………………ここにあるよ」

 

シオンがぱちマッカンの隣をさす

ぱちマッカンの存在感と陰で見えなかったが、虹色のバッチがあった

そう言えばさっきエリカがここに置いてたっけ

 

はちまん「え?でもこれお前がふざけて置いたんじゃ…」

エリカ「いいえ。大切なバッチを気軽に置く程わたくしは無知ではございません。それははちまん様に差し上げるために置いたものでございます」

はちまん「まだお前と戦っていないのに?」

エリカ「あらあらはちまん様、耄碌されましたか。先程、その理由は申し上げたではありませんか」

はちまん「あれホントの事なの?ジムリーダーが認めたらどうたらこうたら」

エリカ「ええ本当の事でございますわ。ほら、もう受け取ってくださいまし」

はちまん「……うーん、そう言われてもなぁ」

 

俺は腕を組み考える

本当に受け取ってもいいのだろうか

エリカの言う通りに受け取ってもいいんだろうが、なんかこう…

あ、そうだアレを忘れてた、駄目だこれじゃ

しかしエリカはくれる気まんまんだし…

それじゃあ折衷案で

 

はちまん「エリカ、悪いが1匹だけでもいいから戦ってくれないか?」

エリカ「あら?わたくしはもうはちまん様の実力を認めていると…」

はちまん「こっちにも色々事情があってな。1匹同士だけでいい、頼む」

エリカ「……うーん、受け取るのを渋っているわけでもなさそうでございますね。わかりました。しかし条件がございます」

はちまん「条件?」

エリカ「はい、わたくしと勝負をして勝っても負けてもはちまん様はこのバッチを受け取ると」

はちまん「え!?で、でもそれじゃあ…」

 

その条件、俺に都合良すぎないか?

するとエリカに変化が起きた

こ、これはまさか…

 

エリカ「というかー正直に言うとめんどくさいんだって、わたしもやる事たくさんあるのにジム戦なんてやってられないって…」どよーん

 

あ、朝方寝起きエリカだ!

確かに今回の一件でジムリーダーとしてやる事は多そうだけど

ジムの仕事放棄ってどうなの

 

エリカ「だからほらー、1匹だけ戦わせるんでしょーさっさとやるよー」すう〜

 

だるーくボールを取り出すエリカ

だからパーカーだけの服装のどこからだしてんだ

まあゲーセンでのニンやシオンもそうだが

 

はちまん「え、ここでやるの?狭くない?」

エリカ「あ〜そうだね〜じゃあ屋上に行けー」

はちまん「でもまだ話しは終わってないし…」

エリカ「それは後でいい、いい。ほら早くー」

はちまん「わ、わかったって。コブキさん、話しは勝負の後で…」

コブキ「え、ええ、わかりました」

 

エリカが屋上へ出ろと急かすので仕方なく話しを中断し、部屋を出る

というかエリカのやつ、その状態でやるつもりなの?

逆に戦法が読めなさそうだな

さて、思いがけないタマムシシティジムリーダー戦と行きますか

 

 

 

 

 

コブキ「ウキワ、あれって…」

ウキワ「はい、寝起き状態のエリカ様です」

コブキ「な、なぜはちまんさんはエリカ様の性格が急に変わったのに普通に接しているのですか?」

ウキワ「いえ、特に気にしていないんだと思います」

ニン「アホ毛くんは〜だれにたいしても〜しっかりと相手をみて〜せっしていますから〜ふふふ♪」

シオン「………………………それか、ああいうへんなのひとになれてるか」

レイン「あははは!はちまん君もエリカ様も面白いねー!」

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。