八幡のカントー地方 〜ぶらり一人旅(希望)〜 作:龍@pixivでも活動中
#18番道路
ベトベトンの『どろばくだん』によりロコンは倒れてしまった
ロコンをボールに戻す
はちまん「お疲れ、ロコン」
ロコンが倒れ、ゴルバットもカビゴンも戦闘不能
残るは瀕死寸前のカラカラ
対するアミーは
モルフォン、オニドリル、エビワラーが戦闘不能
残るポケモンは今わかっているだけでもベトベトンだけ
アミー「さ、どうするのアンタ」
はちまん「どうするって?」
アミー「まだ戦うつもりなの?もう勝てる見込みはないと思うけど」
はちまん「…いや、一応ある」
今出ているベトベトン
ロコンの『じんつうりき』を2発食らっている
ここでカラカラを出し、『ホネブーメラン』を当てればベトベトンは倒せる
アミー「ホントにそう思うの?私のポケモンが後ベトベトンだけだってどうしてわかるの?」
…やはりまだ後続がいるのか
カラカラがベトベトンを倒せたとしても
次に出されるポケモンにやられてしまう
それでも
はちまん「カラカラ」
ポンッ!
カラカラ「カ、カラ…」はぁ、はぁ
俺は戦う
セキチクシティへ行くために
…しかしカラカラは疲れ切っている
こんな状態のカラカラを戦わせるのか?
アミー「ほら、その子もう戦えそうにないじゃない」
カラカラ体力を道具で回復させればいいんだが
今までの戦闘からしてアミーが道具を使った隙を見逃すはずがない
しかも相手はどくタイプのベトベトン
隙を見せると『どくどく』で『もうどく』状態にされてしまうだろう
シオン「………………………はち」
はちまん「…悪いシオン、俺は」
シオン「………………………ううんだいじょうぶ、はちのせいじゃないよ」
アミー「慰め合いは結構だけど、アンタ達さっさと帰ってもらえる?私も暇じゃないの」
くっ…
カラカラの状態からして帰った方が身のためだ
また出直せば活路が見出せるかもしれない
しかし帰ると言ってもどこへ…
タマムシシティへ戻る一択しかないがそれには『サイクリングロード』の坂道を登る事になる
そんなめんどくさい事はやりたくない
だがポケモン達の事を考えるとここは引くしかないかもしれない
くそっ、何か手はないか
俺は周囲を見渡す
依然として周りには大勢の人が取り囲んでいる
エビワラーが塞いでいたセキチクシティの入り口も
エビワラーの代わりに人が塞いでいる
俺の位置からして、街の入り口は左手側
前方にはアミー
右手側はサイクリングロードへと続くゲート
後ろには柵があり、その先は森
そしてどの方向にも人が立ち塞がっている
とても隙をついて抜け出せそうにない
…いや、よく見ると人と人の間に隙間がある
そこを縫って行けばどうにか…
アミー「ねぇ、早くしてよ。降参するの?それともまだ戦うの?」
だがそれをアミーが見逃すはずがない
会ったばかりだが、アミーの性格は戦いや言葉の中から何となくわかった
アミーは全ての思考が守る事、堅守的な思考に集まる傾向がある
常に安全策、必勝法を探す
そんな奴が俺の逃走ルートを見逃すはずがない
ちょっとした隙をついたり意表を突かない限り
この包囲網からは逃げ出せないだろう
カラカラ「…カラ」
はちまん「ん、カラカラ?」
その時、俺の思考を止めたのはカラカラの一声だった
はちまん「どうした」
カラカラ「…」じっ
カラカラは俺の目をじっと見つめ伝えてくる
そしてその意味を理解した時、気づいた
……俺はもう逃げ出す事を考えているのか
確かにこのままカラカラを戦わせても勝てないだろう
しかし負けたわけじゃない
最後まで戦う選択肢もまだ残されている
だが負けたらどうなるかわからない
いや
はちまん「勝ってもどうなるかわからない、か」
カラカラ「…」ふっ
はちまん「どっちにしろわからないなら、いっそのこと戦おうか。勝っても負けても、どうすればいいのかなんてそん時に決めればいいか」
カラカラ「カラ」こくん
そうだよな、コイツの言う通りだ
負けたっていい
どうせもとから絶対に負けると思ってなかった
ここで逃げても何も得はない
それに
目の前にいるベトベトンはカラカラの『ホネブーメラン』で倒せる事もわかった
それでも先手を取られれば終わりだが、回復すればいいと先程思いついたところではないか
『もうどく』にされたってベトベトンは必ず倒せる
アミーが持っている残りのポケモンはわからない
だが
ここまで考えついたくせに、どうしてそこで何の利益もない逃げる選択肢が出てきた?
ここは戦うしかないだろ
アミーを連れて帰る使命を持ったシオンの為にも
アイツらに会うためにセキチクシティへ行きたい俺の為にも
倒れていったポケモン達と、目の前で戦う意思を見せるカラカラの為にも
そして
はちまん「お前との約束の為にも、戦うしかないな」
カラカラ「カラ!」こくん
よし、俺の心は決まった
アミーに向き合う
はちまん「続行だ」
アミー「は?戦いを続けるの?負けてしまうかもしれないわよ?」
はちまん「ああ、俺もカラカラもそれは覚悟の上だ」
アミー「……負けて、後悔しても知らないから」
負けて後悔?
負けなくても後悔してるって
そんなもん心ん中で毎日してるわ
1人になった事に後悔してるわ
ぼっちですから
はんっ
後悔プロの実力を見せてやる
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
はちまん カラカラ
VS
アミー ベトベトン
20ターン
はちまん「いいキズぐすり」
アミー「ベトベトン、ヘドロばくだん!」
いいキズぐすり
カラカラ「〜♪」
ベトベトン「!」ベチャッ
カラカラ「……!」
カラカラ対ベトベトン
俺は計画通りにカラカラを回復させる
全快とまではいかなかったが、これで首の皮一枚繋がった
対するベトベトンは『ヘドロばくだん』
どくタイプの技だからじめんタイプのカラカラには効果いまひとつ
てっきり『どくどく』をしてくるかと思ったが
アミーは恐らく、俺がポケモンを回復させる事と読んだ
しかしその回復させる対象がわからなかった
もしカビゴンの瀕死状態を回復させられるとかなり不利な状況に追い込まれる
なので数的有利を保つ為にもカラカラを確実に倒しておこうと考えた、というところだろう
さて、このアミーの選択がどう転ぶか
21ターン
はちまん「カラカラ、きあいだめ!」
アミー「すごいキズぐすり」
すごいキズぐすり
ベトベトン「〜♪」
カラカラ「!」ぐぐっ
アミーはベトベトンを回復させてきた
カラカラを回復させられた事により『ヘドロばくだん』や『どろばくだん』の一撃で倒せなくなった
それならばベトベトンの耐久力を生かして、ある程度ダメージを与え
次のポケモンで倒そうという考えだろう
人海戦術
数的有利を手に入れている向こうとしてはその方が安全だ
やはりアミーは安全策を、合理的な方法で確実に勝てる方法を第一に考えている
だから人を集めた
だから鳥使い3人のように、他の人に戦ってもらった
その思考は何もおかしくない
ポケモンをやっているゲームプレイヤーなら誰もが持っている思考だ
トレーナーのほとんどが合理的に考える
だがな
ぼっちははぐれもんだ
世間からも集団からも
『友達はいた方がいい』とか『周りの人と協力し合う』とかの
そんなスーパー合理的な思考回路からもはぐれてんだよ
はちまん「行こうか」
カラカラ「カラ」
はちまん「あの合理的主義おっぱいに目にもの見せてやろう」
カラカラ「カラ」
22ターン
はちまん「カラカラ!急所に当てろ、ホネブーメラン!」
アミー「ベトベトン、ヘドロばくだ…ん?」
ベトベトン「!」ベチャッ
カラカラ「……!」
カラカラ「…」ぐぐぐ
カラカラ「カラッ!」バシッ
ベトベトン「…!!」
カラカラ「カラッ!」バシッ
ベトベトン「…!!」
アミー「なっ……!?」
ベトベトン「…」
バタン
例え耐久力が高く、道具で回復してようとも
効果抜群の攻撃を2連続で急所に当てれば1ターンで決着がつく
ベトベトン戦闘不能
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
よし、ベトベトン撃破
はちまん「やったな、カラカラ」
カラカラ「カラ」こくん
アミーの手持ちがまだ把握しきれていない以上油断は出来ないが
とりあえず最初の関門は突破
アミー「な、なに、いまの…」
アミーは2連続で急所に当たった事が信じられないのかぼーぜんとしている
確か何時ぞやのカスミもあんな感じだったな
まーた説明しないといけないのかなー?
めんどくさいな
するとシオンが話しかけてきた
シオン「………………………はち」
はちまん「ん?」
シオン「………………………いまのなに?」
はちまん「あれ?お前には見せた事なかったっけ」
シオン「………………………うん」
そういえばこの必殺戦法はここ最近使ってなかったな
仕方ない説明してやろう
はちまん「これはな、カラカラの『きあいだめ』の効果だ」
シオン「………………………きあいだめ?」
はちまん「確かに『きあいだめ』をしただけでこんなに急所に当たるのはありえないかもしれない。だがそれは確率の問題だ」
シオン「………………………ちがうの?」
はちまん「これは気持ちの問題だ」
アミー「気持ち…?」
説明を聞いていたアミーが俺の台詞で首をかしげる
だがシオンは的確な答えを出す
シオン「………………………きあいまんたん」
はちまん「そう言う事。気合いを入れて集中して、必ず急所に当てるんだ」
アミー「そ、そんな…」
シオン「………………………すごいね」
はちまん「はっはっは、俺とポケモン達の絆は人一倍強いからな!」
シオン「………………………そうかもね」
はちまん「あり?否定しないの?」
シオン「………………………するきがおきない」
はちまん「そっすか」
アミー「…ありえない…そんな事…」
アミーは俯いた
ショックを受けてしまったようだ
守る事に定評があるアミーだ
今回の戦いでは使っていないが
『リフレクター』や『ひかりのかべ』などの壁も貫通できる急所攻撃が常に出せる事を認めたくないのだろう
だが俯いていたのもつかの間
何かを決意したようにアミーは勢いよく顔を上げる
そしてその反動でアレが揺れる
…俺は何も見てないよ
アミー「まだ終わってない、私にはまだポケモンが残ってる。気合いで勝利するなんて認められない。アンタのその幻想を打ち砕く」
そう言って倒れたベトベトンをボールに戻し、新たなポケモンを繰り出す
アミー「出てきて、モンジャラ!」
ポンッ!
モンジャラ「…」もさもさ
アミーの次のポケモンはモンジャラ
くさタイプのポケモンだ
じめんタイプのカラカラでは相性が悪い
急所に当てようにも先手を取らなければ勝てない
これは、ピンチかな
俺がどうしようかと考えていると
アミーは宣言した
アミー「私のポケモンはこの子が最後」
はちまん「え?」
アミー「他に残っているポケモンはもういない。これが私とアンタの最終決戦よ」
はちまん「…何でそんな事を言ったんだ?黙ってれば俺が余計な考えを持ち、隙が生まれるかもしれないのに」
アミー「そんなものに頼らなくても勝つ。勝負において強さとはどういうものか、どうすれば確実に勝てるかの合理的な考え方を、気合いなんていうものに頼っているアンタに教えてあげる」
はちまん「いや教えてもらわなくてもそんな事わかって…」
アミー「だったら何でカラカラを進化させていないの?」
はちまん「…!」
カラカラ「…!!」
アミー「進化させれば確実に強くなれる。守る力が手に入る。なのにアンタはそうしていない、何で?」
はちまん「そ、それは…」
カラカラ「…」
タマムシシティでカラカラのレベルを見た時の事を思い出す
カラカラのレベルは37
そしてガラガラに進化できるレベルは29
カラカラは進化できるレベルをいつのまにか超えていた
だが進化するような予兆も変化もカラカラには見られなかった
進化するタイミングを何かの偶然で逃した?
いや、カラカラが進化するのを嫌がったのが原因か
カラカラが進化したくない理由
それは以前俺がカラカラに変わって欲しくないと言ってしまったからだろう
俺の周りにいるやつがドンドン成長して行くのを見たくない、妬ましいとカラカラに言ってしまった
それをカラカラが受け止めて、進化しないでいるのかもしれない
はちまん「カラカラ…」
カラカラ「……」
俺が、俺がコイツの成長を止めているのか?
一緒に強くなるとか言ったくせに、コイツが強くなるのを止めてしまっているのか?
はちまん「か、からから…」
俺は済まない気持ちで一杯になった
コイツが成長も強くなる事も、止めているのは俺
俺の身勝手な考えでカラカラは進化する事が出来なくなっている
謝って済む問題ではなかった
カラカラのこれから進む時間、過ごしていく時間や可能性を奪ってしまった
それはもう、悪魔の所業
命と引き換えに願いを叶える悪魔だ
俺はカラカラの人生と引き換えに、自己満足のためにカラカラを縛りつけている
どうせそのうちカラカラの元からいなくなるくせに
カラカラ「カラ…」
俺が自己嫌悪に身を焼かれそうになっている時
カラカラが俺に何かを訴えかけている事に気づいた
しかしいつものように俺の目を見ていない
戦う相手に背を向けず
ただ背中で静かに語っている
背中で伝えてくる
その小さな背中から伝わる事
カラカラの今の気持ち
自然とその気持ちを口に出していた
カラカラの気持ちを代弁するように
それが俺の事のように、俺の気持ちであるように吐露する
はちまん「…強くなりたい」
はちまん「…いまよりもっと強くなりたい」
はちまん「…大切な人との約束だから」
はちまん「…でも」
はちまん「…でも、それでも」
はちまん「…変わりたくない」
はちまん「…今の自分がいい」
カラカラは前を向いていた状態から、顔を伏せて俯く
まるで俺が代弁している自分の気持ちを受け止めるように
はちまん「…変わらない」
はちまん「…変わってほしくない」
はちまん「…それは大切な人が望んだから」
はちまん「…でも、それだけじゃない」
はちまん「…それだけなら、こんなに辛くはない」
はちまん「…こんなに自分を責めたりしない」
俺はカラカラの気持ちを受け止め、口に出しながら
それを頭の中で整理していく
カラカラが…自分を責める?
はちまん「…進化を望んでいないのは、自分も同じ」
はちまん「…自分も進化したくない」
カラカラ自身が進化を望んでいない?
強くなる事を望んでいるのに…どうして
はちまん「…進化したくない理由」
はちまん「…それは」
はちまん「…大切な人が、今の自分を大切にしてくれているから」
はちまん「…大好きな人と、出来るだけ長く一緒にいたいから」
カラカラの身体が震えている
伝えていく自分の気持ちを
これから先に伝えられる、伝わってしまう気持ちを怖がるように
はちまん「…進化するのが怖い」
はちまん「…進化してしまうとどうなるのかわからない」
はちまん「…それが怖い」
はちまん「…もし進化して」
はちまん「…成長して」
はちまん「…身体が大きくなったら」
はちまん「…大切な人の隣を歩けないかもしれない」
はちまん「…大好きな人に抱っこされなくなるかもしれない」
はちまん「…また一緒に自転車に乗れなくなるかもしれない」
はちまん「…ケーキ食べたり、小さな宴会を開いてみんなで飲んだり食べたり、一緒に笑ったり、一緒に何もせずぼーっとしたり」
はちまん「…そんな、楽しい事や嬉しい事が」
はちまん「…進化したら、もう出来なくなるかもしれない」
はちまん「…その分、共にいられる時間がなくなるかもしれない」
…カラカラ
俺はカラカラの気持ちを口に出すのがやっとだった
はちまん「…そんなの嫌だ」
はちまん「…そんなの耐えられない」
はちまん「…大切な人と一緒にいられないなら」
はちまん「…大好きな人と一緒にいられないなら」
はちまん「…進化なんてしたくない」
はちまん「…変わりたくない」
はちまん「…今の自分でいたい」
はちまん「…今の、この関係を壊したくない」
はちまん「…変わりたく、ない」
カラカラはさらに身体を震わせる
その目からは雫が落ちていく
変わりたくないと言う自分の気持ちを責めているのか
はちまん「…でも」
はちまん「…それでも、強くなりたい」
はちまん「…大好きな人との約束だから」
はちまん「…強くなる事で、大切な人を守れる」
はちまん「…強くなる事で、大切な人が大切にしているものを一緒に守る事ができる」
はちまん「…もしかしたら」
はちまん「…この、変えたくない大切な関係を壊す人が出てくるかもしれない」
はちまん「…そんな時、それを守れるように強くなりたい」
はちまん「…大切なものの為に強くなりたい」
カラン、カラン
母の形見である骨がカラカラの手から離れ、地面に落ちる
そしてカラカラは力なく腕を下ろす
目から涙が溢れ落ちる
はちまん「…強くなりたい」
はちまん「…でも」
はちまん「…変わりたくない」
はちまん「…でも」
はちまん「…大切なものの為に強くなりたい」
はちまん「…でも」
はちまん「…大切なものの為に変わりたくない」
はちまん「…でも」
はちまん「…大好きな人を守る為に強くなりたい」
はちまん「…でも」
はちまん「…大好きな人と一緒にいたいから変わりたくない」
はちまん「…でも」
はちまん「…それでも」
はちまん「…強くなるには変わるしかない」
はちまん「…変わらなければ強くなれない」
俺も
カラカラも
どうしようもない
どうする事も出来ない気持ちに押し潰されそうになる
はちまん「…強くなりたい」
はちまん「…変わりたくない」
はちまん「…強くなれない変わらない」
はちまん「…強くなりたい変わりたくない強くなりたい変わりたくない強くなりたい変わりたくない強くなりたい変わりたくない強くなりたい変わりたくない強くなりたい変わりたくない強くなりたい変わりたくない強くなりたい変わりたくない強くなりたい変わりたくない強くなりたい変わりたくない強くなりたい変わりたくない強くなりたい変わりたくない強くなりたい変わりたくない強くなりたい変わりたくない」
カラカラの気持ちは爆破しそうになっている
カラカラの小さな身体の中で
2つの気持ちがぶつかり合い
身体の震えは今まで以上のものになる
涙を流していた灰色の瞳を閉じる
頭が地面につくのではないかというほどに身体を丸める
それは
カラカラがその体制でいたのはどれくらいだったか
永遠に感じられる時が流れていく
今、カラカラの気持ちは伝わってこない
カラカラの中で何が起こっているのか
どうしようもない2つの気持ちの行き場がどこにもないのか
気持ちが混濁して、思うように気持ちを整理できないのか
だが、その永遠の時間も
カラカラの行動により動き出す
がしっ
カラカラは落としていた骨を拾う
それを強く握り締める
カラカラまだ身体を丸め、震えている
それでも力を振り絞り、骨を握り締める
そしてまた、カラカラの気持ちが俺に流れてくる
それはどこか吹っ切れたような
開き直ったような
それを感じとった俺は恐れた
吹っ切れて、開き直って
それは
その気持ちは
…まさかカラカラ…
だが伝わる気持ちを口に出す
認めたくない事でも
それがカラカラの気持ちであるならば
俺は受け止める
はちまん「…強くなりたい」
はちまん「…変わりたくない」
伝わる気持ちは今までと同じ
しかし、伝わる強さが違う
はちまん「…だったら」
はちまん「…だったら」
そしてカラカラは動く
自分の中の力を抑え込むように身体を丸める
そして俺はカラカラの、最後の気持ちを口に出す
はちまん「変わらないまま、強くなる」
ピカーーーー!!
カラカラの身体が光りだす
その光の強さに俺も、アミーやシオンも、周りを取り囲む人達を顔をそらす
この光…
ゴルバットが進化した時と同じ…
いや、違う…?
どこか光が鈍く、歪んでいる
進化とは違う…?
カラカラ「カラアアアアアァァァァァァ!!!!」
ピカァァァーー!!
カラカラの大きな叫びと共にカラカラを包む光は強くなる
目を開けていられない
はちまん「ぐっ、カラカラ…」
光はさらに強くなっていく
俺は腕で顔を塞ぐ
空気が変わった
吹く風がカラカラに集まっていく
そして
しゅーーん…
光の強さが収まっていく
目を開けられるようになる
風が止む
俺は目を開け、カラカラのいた場所を見る
そこには
カラカラ「………」
頭の被り物が金属光沢のある灰色になった
カラカラの姿があった
次回 カラカラの変化、その正体が明らかに!
ご都合主義が嫌いな方は要注意です