八幡のカントー地方 〜ぶらり一人旅(希望)〜 作:龍@pixivでも活動中
#セキチクシティ南
バシャバシャ
海をうねる様にギャラドスが後ろからついてくる
その凶悪な顔は俺を睨みつけている
はちまん「釣り堀が壊れないように着いて来させたものの…、これは逃げたと言う行動に取られないのか?」
ゲームで野生戦では『にげる』コマンドがあって
バトルを強制的に終了できる
だがこれだけ離れようとしているにもかかわらず
ギャラドスは敵意むき出しで
俺を逃す気はさらさらないように見える
戦闘を始めていないと言う可能性もあるが…
はちまん「何だよこれ…。逃げられないって魔王かアイツは」
ん?
魔王…逃げられない…釣り…
そしてギャラドス…はて、何だろこの既視感…
ギャラドス「ギャァアアアアア!!」
俺が考えていると
追いかけてくるギャラドスが空を飛んでいる俺に向かって咆哮を放ってきた
あまりの迫力に問答無用で思考を止められた俺はとりあえず近くにあった浜辺に向かう
はちまん「ちっ…戦うしかないか」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
#セキチクシティ南の浜辺
バサッバサッ
ザッ、と砂浜に降りる
その浜辺はセキチクシティと隣接していて、セキチク方面に行くには坂を登る必要があるようだ
海岸の方を見ればしっかりとギャラドスがついてきている
ギャラドスが浜辺に辿り着く前に作戦ねろう
逃げようにもああやってしつこくついてくるのなら戦うしかない
さて、どうするか
まずギャラドスのタイプだ
ギャラドスのタイプはみずとひこう
ならばタイプ相性的にカラカラとロコンは出せない
となればゴルバットかカビゴンが戦う事になる
さっきの『アクアテール』の威力を見る限りあのギャラドスの攻撃力は高い
てことは、ゴルバットと比べて防御力が高いカビゴンが適任か
しかし問題がある
それはギャラドスのとくせいだ
ギャラドスのとくせいは『いかく』
…隠れ特性で『じしんかじょう』があるが、そのとくせいは今のところ問題視しなくてもいい
問題なのは『いかく』
これは相手の攻撃力を一段階下げる効果がある
物理が得意な俺のカビゴンにとっては非常に厄介なとくせいだ
しかし、この『いかく』にも効果を打ち消す方法がある
色々あるが、俺が出来るのは
戦闘に出したポケモンに『いかく』の効果を受けさせてから、交代でカビゴンを出すという方法
だが、これにも難点がある
カビゴンを交代で出した時にギャラドスの攻撃を受けてしまう事だ
はちまん「うーん…」
攻撃力を無視して戦うか
ダメージを無視して戦うか
どちらにせよリスクは大きい
攻撃力が足りずギャラドスを倒せなくてもマズイし、体力が足りずに倒せなくてもマズイ
カビゴンが倒されたら、戦えるポケモンはゴルバットしかいない難しい状況になってしまう
はちまん「………」
俺はギャラドスがそろそろ浜辺に辿り着きそうなのを確認してから、ポケモン図鑑に書かれている事を見た
…これなら、賭けてみるか
ギャラドス「ギャアアアアアア!!!」
向かってくるギャラドスに俺は右腕を向ける
そして左手を添えて、ボールから繰り出す
はちまん「出てこい、カビゴン!」
カビゴン「ゴーン!」
ドシーン
飛び出したカビゴンは砂浜に砂煙をたてながら足をつける
ギャラドスがカビゴンに気づいて速度を緩め、ゆっくりと腹を砂浜に上げる
カビゴン「………ごーん」
ギャラドス「………」
両者は睨み合う
その間に背中のゴルバットをボールに戻す
さて…
……
カビゴンを繰り出して、ギャラドスとの戦闘が始まった…わけなんだが
あれ?『いかく』ってどんな感じで発動すんの?
随分前にトキワの森でロケット団と戦った時に、アーボの『いかく』を見たことがある
あの時はわかりやすくアーボがいかくしてきて、カラカラが驚いていたから発動されたのを視認できた
だが、ゲームみたいにピコーンって表示されないからよく分からないんだが
もうカビゴンの攻撃力は下がっているのか?
それともギャラドスのとくせいが『いかく』ではなく、『じしんかじょう』だった?
ギャラドス「ギャア!」
俺の不安を他所にギャラドスは動き出す
あっちの方が素早いだろうから仕方ない
カビゴン「!」
カビゴンはギャラドスのアクアテールを喰らう
中々のダメージだ
ならこっちは
はちまん「カビゴン!あくび!」
カビゴン「ご〜ん…」。○
ギャラドス「!」
これでギャラドスは次のターンの最後に眠ってしまう
そこでダメージを与えれば勝算がある
ギャラドス「ギャア!」
またもギャラドスがアクアテールを放ってくる
あ、あれ?間隔が短いような…?
カビゴン「!」
カビゴン「…!!」フラフラ
に、二回くらっただけで瀕死寸前…!?
どんだけ攻撃力が高いんだよあのギャラドス!
だが、次のターンに眠る事を利用して、この技を食らわせる
八幡「カビゴン!ギガインパクト!」
カビゴン「ゴーン!!」ドガーン!!
ギャラドス「…!!」
カビゴンに『ギガインパクト』を当てる
これで大ダメージを与えられた
しかし『ギガインパクト』は技の反動で次のターン動けない
そこで『あくび』を使ってギャラドスを眠らせ、1ターン猶予を作る
なので次のターンはどちらも動けない
そしてその次のターン、ギャラドスが起きなければまたもう一度『ギガインパクト』を発動する
これなら戦闘不能に出来なくとも瀕死寸前までは減らせるだろう
ギャラドス「…!…zzz」
よし、作戦通りギャラドスは眠った
後は次のターンにギャラドスが起きないのを祈るだけ…
————ここで俺は大きな思い違いをしていた
次のターンにギャラドスが眠ったままなら確かに勝てるかも知れない
だがそれはこの戦闘が'ターン制の戦闘"だった場合だ
俺は気づかなかった
カビゴンに指示を出したのがギャラドスの行動後だった事を…
俺はもっと気にするべきだった
なぜ『いかく』の発動が分からなかったのか…
そう、俺は失念していた
とても重要なことを…
ここはゲームの世界であると同時に、現実である、と
ギャラドス「…っ!ギャアアアア!!!」
はちまん「!?」
カビゴン「!?」
なんとギャラドスはターン経過を待たずして眠りから目覚めた
ど、どういうことだ!?
こんなに早く起きるなんてことはよほど運がいいか、とくせいの効果によって起きるかだ
だが先ほども言った通り、ギャラドスのとくせいは『いかく』と『じしんかじょう』
どちらも眠りを一瞬で治すとくせいではない
ならば運が良かった?…とも違うようだ
ギャラドス「……っ!!」ギロ
なんとギャラドスは俺の方を睨みつけてきた
そのあまりの威圧感に怯みながらも考える
いままで色んなポケモンと戦ってきたが、戦闘中に俺に向けてこれほどの敵意を向けられたことはない
ましてや、戦闘相手のポケモンがいる中でトレーナーに集中するなんて事は通常の戦闘ではあり得ない
戦闘中なのだ、相手のポケモン以外に意識を向ければ指示を出す時間やタイミングに支障が出る
そんな事をすれば戦闘システムが崩壊してしまうのではないのか?
そしてそんな現象はゲームで見たことがない
となれば、これはシステム上の事ではない…?
その時、俺の頭の中にとあるポケモンの姿が思い浮かんだ
ポケモンタワーで戦ったガラガラだ
あのガラガラはゲームの戦闘システムを無視して俺に襲いかかってきた
あれがあそこに眠るガラガラの遺恨が生み出した幽体であり、怨みによって襲ってきたと言うのであれば、システムに囚われないというのも一応納得が出来る
そしてその時と同じ現象がいま目の前で起こっている
しかし、あのギャラドスはどう見てもまやかしの類ではない
だがアレの行動がシステムの枠から逸脱しているのも確かだ
では、幽体ではないとすれば他にあのガラガラとの共通点は何か
…怨み、か?
まさかあのギャラドスは俺に何らかの怨みを持っていて
その感情のままに襲ってきているのか!?
となればこれはアイツの…システムもルールも関係のない…暴走!!
ギャラドス「ギャアアアア!!!」ずずずっ!
俺がそう結論付けるのと同時に、ギャラドスが浜辺に上がってきた
そして目の前にカビゴンがいるにもかかわらず俺に向かってきている
はちまん「くっ…」
ま、まずい
カビゴンはいま瀕死寸前の状態で、とてもこのギャラドスを相手できるような体力は残っていない
しかもさっきの作戦が破綻した今となっては止める手段が何もない
…こうなったら…逃げるしかない!
俺はカビゴンをその場に残したまま身体ごと反転させる
はちまん「こっちだ!ギャラドス!」
ギャラドス「ギャアアアア!!!」ずずずっずずずっ
案の定ギャラドスは脇目も振らずに俺の方に向かってくる
そのまま俺は浜辺の先、セキチクシティの方へと坂を駆け上がり逃げる
よし、このまま俺がアイツを引きつけて時間を稼ぐ
その内に妙案を出さなければ
しかし、またも俺にとって不利な状況になった
はちまん「…………っ!?なっ!?」
坂を登ってセキチクシティまで逃げて来られたのは良かった
だがそこには大きな問題が待ち受けていた
はちまん「ぽ……ポケモンセンター!?」
坂の先にはセキチクシティのポケモンセンターがあった
そうか、そういえばゲームでポケモンセンターは1番海に近い場所に設置されていた
はちまん「くっ…しまった…!」
後ろを振り返ると、もちろんギャラドスが追いかけてきている
このままだと暴走したギャラドスがポケモンセンターに接触してしまう
下手をすればポケモンセンターを破壊し出すかもしれない
冗談じゃない
今…ポケモンセンターの中には…っ!
だがどうする?
唯一対抗できるカビゴンは置いてきた上にそもそも戦えない
手持ちのポケモンでギャラドスを止められそうなものはいない
どうやってあの暴走したギャラドスを止める…っ!?
……………
…………
………
いや、いた
止められそうなやつ
俺だ
はちまん「…っ!」
俺は進む足を止めて、またも反転させる
今度は逃げるためではなく、ギャラドスに立ち向かうために
…ポケモンが動けない時は、トレーナーが動く
俺が、何とかしなければ…いけない
どうする?モンスターボールを投げて捕まえるか?
いや、捕まえられなかった時、ただの時間稼ぎにしかならない
だったら、身体で止めるか?
いや、俺の貧弱な肉体で止められるはずもない
なら…なら…どうするっ…
ギャラドス「ギャアアアアア!!!」
気づけば目前まで迫っていた
こうなったら…死ぬ気で止める…!
そう俺が覚悟した
刹那
ごおおおおおおーーーーん!!!!
はちまん「っ!?!?」
浜辺の方から大きな声が聞こえてきた
大地が震えるほどの咆哮
あれは…あの声は…カビゴン?
ギャラドス「っ!!?」くるっ
ギャラドスも驚き、振り返る
だが遅かった
その頃にはもう、カビゴンはそばまで迫っていた
しかしそれは後ろではなく
頭上
ギャラドス「っ!」さっ
なんとカビゴンは空から降ってきていた
ギャラドスもそれに気づいて避ける
ずうぅううぅぅん!!!
ぐらぐらぐら…
はちまん「う、うおおっ!?」ふらっ
カビゴンが地面に落下したと同時に地鳴りが響いた
その揺れで足元がふらつく
がしっ
そんな不安定な状態だったが、俺の身体をカビゴンが手で支えてくれた
俺は戸惑いながらカビゴンを見つめる
はちまん「か、カビゴン…?お、お前…?」
色々と疑問はある
なんで上から降ってきたのか、とか
さっきまで瀕死寸前だったのにこの元気はなんだ、とか
だがそれ以前に
カビゴン「……」キリッ
そのやる気に満ちた顔はなんだ?
普段あんなにのんびりとしたやる気のない顔をしていたのに
今はそんな気配など微塵も感じないほどやる気に満ちている
なんかゴゴゴ…とかの効果音が聞こえるくらいの迫力だ
いや、実際先ほどの地鳴りでゴゴゴ…と聞こえる
え?な、なにがあったんだコイツ…?
俺の疑問も他所に、カビゴンはギャラドスを睨みつける
ギャラドスもカビゴンの変化に驚いていたようだが、カビゴンのその敵意ある目に応えて睨み返す
カビゴン「……」キッ
ギャラドス「……」ギロ
2匹が睨み合う
そこに俺は呆然としながら立ちすくんでいた
これは…俺がカビゴンに指示しなくてはいけない場面か…?
はちまん「……」
いや、カビゴンのこの背中…
任せろと言わんばかりの威圧感だ
朝方にカラカラが気合い進化した時のような意思表示を俺は感じとった
はちまん「カビゴン…お前に任せる。後始末は俺に任せろ」
カビゴン「……」ふっ
俺がそう言うと笑いかけてきた
え、なにこのイケメン…///
カビゴン「…ご〜ん」ぐぐぐ
カビゴンは突進するつもりなのか、身体を低くして構える
ギャラドス「…ギャラ」ぐぐぐ
相手のギャラドスも突進するつもりか、同じく身体を低くした
カビゴンにとっしんと言う技はない
するとこれはカビゴンの技のうち、『ギガインパクト』か?
しかしいつもとは様相が違う
なんだかわからないが、俺はカビゴンを信じる
ならやりたいようにさせるだけだ
そして睨み合いの拮抗が崩れ、動く
カビゴン「ゴオオオオオォォォン!!!」ドドドドド!!
ギャラドス「ギャアアアアア!!!」ぐおおお!!
ドオオオオオオオオオオンッ!!!!
両者は走り出し、そしてぶつかり合った
強大な力と強力な力の激突
その破壊力は計り知れない
空気が震え
肌が痺れる
だがそれに怯んではいられない
俺は、俺の仕事をする
カビゴン「…………」
ギャラドス「…………」
ぶつかり合いの結果は…
カビゴン「」ふらっ……どーん
ギャラドス「」ふらっ……どーん
両者共に倒れた
前の戦いで受けたダメージが残っていたためだ
はちまん「カビゴンっ!」
カビゴン「」
呼びかけても返事がない
カビゴン…
ギャラドス「……っ」ぐぐっ
しかしギャラドスは瀕死であるにもかかわらず、まだ起き上がろうとしている
それほどまでに俺への恨みは大きいのだろう
俺が何をしたのか知らんが
ならそれは後でしっかりと聞いてやる
だから
はちまん「モンスターボール!」
ポンッ
俺の投げたモンスターボールはギャラドスにあたり、ギャラドスはボールの中に入る
そしてボールが揺れる
一回
二回
三回
…カチッ
はちまん「ギャラドス…ゲット」