八幡のカントー地方 〜ぶらり一人旅(希望)〜   作:龍@pixivでも活動中

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キョウ戦

 カビゴンと新しく入ったギャラドスは体力が減った状態。残りの3匹はというと、3匹ともボールから出している状態なので手が読まれている。

 危機的状況下の中、戦いを仕掛けてきたのはセキチクシティのジムリーダーキョウ。間違いなく実力者であり、これほどのハンデを負いながら余裕で勝てるほどの相手ではない。

 さらに言えばここはジムではなく、ジム戦ではない。そのことから相手に公式の試合ルールなんてないはずで、回復のアイテムも使われるだろうし、手加減もしてこないだろう。

 まさに負けることが確定していると言っても過言ではない。

 

 だがしかし突破口はある。カラカラの新たなる力『きあい進化』の存在だ。あれははがねタイプが付与されるので、毒タイプ使いのキョウ相手なら有利。

 けれどこれには致命的な欠点があり、俺自身がこの進化に関して何も知らないということだ。

 

 

キョウ「ゆくぞ! ドガース!」

 

はちまん「ご、ゴルバット! 出番だ!」

 

 

 圧倒的不利な状況でジムリーダーキョウとのバトルが始まった。

 相手のポケモンはドガース。どくタイプのポケモンだ。

 こっちは吸血鬼演出する余裕もなくゴルバットを前に出す。頭の中であらゆる戦法を考えては、片っ端から除外していって決めた戦法は、

 

 

はちまん「ゴルバット! そらをとぶ!」

 

 

 考えられるほどの余裕の作れる猶予が欲しい。その一心で一旦ゴルバットを戦闘から離脱させる。

 

 

キョウ「ドガース! えんまく!」

 

 

 キョウのドガースは命中率を二段階さげる『えんまく』を使って来た。しかしゴルバットの方がすばやいため、そらをとぶで上空に避難したのでえんまくは外れた。

 まずは、一呼吸。よし、よしよしよし……考えはまとまって来た。

 次のターン、俺はすでに指示を出している状態。

 

 

キョウ「ドガース! じばく!」

 

はちまん「⁉︎」

 

 

 指示を出している状態なのでキョウの指示する技を聞けたが、彼の言った技名に驚きを隠せない。

 

 

ゴルバット「!」ヒュゥーー、バシッ!

 

ドガース「……!」

 

 

ドガース「!!」ドガァン!

 

ゴルバット「……!!」

 

 

ドガース「」バタン

 

 

 ドガースの放った『じばく』という技は、己の身を犠牲にして相手に大ダメージを与える技。

 結果、マタドガスは倒れて、そして高威力のじばくをくらったゴルバットも大きなダメージを負ってしまった。

 

 

はちまん「まだやれるか? ゴルバット」

 

ゴルバット「バット」こくん

 

 

 ゴルバットの調子を確認しながら、今のキョウがとった行動を考える。

 なぜ『じばく』だった?確かにゴルバットのそらをとぶの降りてくるタイミングで発動すれば必ず当たる。

 しかしそれはドガースを行動不能にしてまで取るべき行動だったのだろうか。まだバトルが始まって2ターンしか経っていない、早々に1匹を失うのは痛手だろう。

 そう思ってキョウの顔を見れば、笑っていた。こちらに不敵な笑みを向けながらドガースをボールに戻すと、2匹目のポケモンが入ったボールを手にした。

 

 

キョウ「困惑しているな。忘れていたか、ワシは状態異常にするのを得意とするジムリーダーという事を。そしてそれはポケモンに限らず、こうして相手トレーナーの意図できぬ行動を見せる事でトレーナー自身を混乱させられるのだ」

 

はちまん「………術中と言いたいのか」

 

キョウ「全てが術中。私の取る行い全てが貴様を貶める術よ! さあ次だ! 待ったはなし! いでよベトベトン!」

 

 

 2匹目は、アミーも使って来たベトベトンだ。

 どくタイプの技なら受け切れるだろうが、ベトベトンは技範囲も広い。それに『とける』を使われて防御力を上げられるのもまずい。

 早々に決着をつけるのならば『そらをとぶ』で悠長なことはやってられない。

 

 

はちまん「ゴルバット! あやしいひかり!」

 

キョウ「ベトベトン! ちいさくなる!」

 

 

ゴルバット「!」ピロピロ

 

ベトベトン「……⁈」

 

 

ベトベトン「!」ぐぐぐっ

 

 

 すばやさはゴルバットの方が早く、先制で混乱状態にできた。

 しかし相手のとった行動は『ちいさくなる』。いつぞやに双子の幼女と戦った時、ピッピがしてきた技だ。回避率を上げて受ける技を当たりにくくする。

 混乱にできたものの、技が当たらずに長期戦になれば混乱の自傷行為も意味がない。なら早めに手を変えるべきだ。

 

 

はちまん「戻れゴルバット! いけるか、ロコン」

 

ロコン「……」こくん

 

はちまん「よし」

 

 

 ゴルバットをボールに戻して、ロコンを出す。

 

 

キョウ「ベトベトン! とける!」

 

ベトベトン「!」ぐちょぐちょ

 

 

 そしてベトベトンは『とける』をしてきた。これで回避率が上がった上に、防御力も上がった。攻撃が当てられても中々ダメージを与えられないだろう。

 俺がロコンに変えたのは、必中技の『だましうち』で確実にダメージを与えようと考えたからだ。しかし『とける』をされてしまえばだましうちによるダメージも雀の涙。

 『ちいさくなる』と『とける』を最大まで積まれて、こっちが何もできなくなった時に攻撃されれば不利だ。

 エスパー技の『じんつうりき』でいくか?じんつうりきなら弱点もつけるし、とけるでの物理防御力上昇も関係ない。けれど回避率も上がっているので当たるかどうかは運任せ。

 

 

はちまん「ロコン! じんつうりき!」

 

キョウ「ベトベトン! ヘドロこうげき!」

 

 

ロコン「!!」

 

スカッ

 

 

ベトベトン「⁈」バシッ!

 

 

 両者とも攻撃を仕掛けるが、ロコンは技が当たらなくて、ベトベトンは混乱自傷を起こした。

 そしてこのターンでベトベトンの混乱状態は回復する。

 『じんつうりき』で倒せるまで撃ち続けるか、それとも……、

 

 

はちまん「………」ちら

 

カラカラ「………」じっ

 

 

 カラカラの『気合い進化』を出すかだ。カラカラの方をチラッと見ると、カラカラも見つめ返してきた。いつでもいけるぞ、か。

 ……うーん。

 

 

キョウ「悩んでられる暇はなかろうて」

 

はちまん「え?」

 

キョウ「申したであろう、あの手この手を使いトレーナーをも混乱に陥れると。さあワシの次の一手が想像できるか! なぜ君の前にワシの娘が現れたのか! そしてワシが『黒い服』と聞いて敏感にもここまで行動したのか! 全てを加味してポケモンセンターの方角をみるがよい!」

 

はちまん「ポケモン……センター……?」

 

 

 ポケモンセンター。そう言われて真っ先に頭に浮かんだのは雪乃、結衣、いろは、シオンの4人だ。あの4人は今ポケモンセンターにいる。

 ゆっくりとポケモンセンターの方を見た。瞬間ーー

 

 ドガーーーンッ!!

 

 

はちまん「!?!?」

 

 

 そちらに目を向けた直後、大きな爆発音と地響きがした。ポケモンセンターからだ!

 

 

はちまん「な、なにを……アンタ何をしたんだ! アソコにはアンタの娘もいるかもしれないんだぞ!」

 

キョウ「私がしたか否かは答えられぬな。だがどうする? この爆発音を聞いてキミはどう動く。このまま続行するか?」

 

はちまん「そんなのっ!」

 

 

 決まっている。バトルなんてしている場合ではない。すぐにもポケモンセンターに向かって4人を助けにいかなくては。

 だがしかし、次にキョウが言った言葉は非情なものだった。

 

 

キョウ「ならば敵前逃亡とみなしてバッチはあげないこととしよう」

 

はちまん「はあ⁉︎」

 

キョウ「キミの正体は知っている。タケシからもカスミからもキミのことを話されたからな! そしてジム制覇を目的としていることも理解している! だからこそ言おう、ここで戦闘を放棄すればバッチは絶対にあげない。もしここでキミの行動がワシが気に入るものだとしても、放棄すれば金輪際ワシの持つピンクバッチは手に入れられないと知れ」

 

はちまん「な……な……」

 

 

 俺のことを知っててなお勝負を仕掛けてきたのか!だとか、そんな道理あるのか!だとか言いたかった。けどそんなことよりもーー!

 

 

はちまん「ロコン! 戻れ!」

 

 

 ロコンをボールに戻して、足元にいたカラカラを抱き上げる。

 

 

キョウ「ほう? ジム制覇は諦めるか」

 

はちまん「もともとそんなんどうでもいい……最初から俺は、誰かがバッチを全部取ればいいと思ってた……それよりもここで失っちゃいけないのはアイツらだ!」

 

 

 キョウから背を向けてポケモンセンターに急ぐ。

 

 

 

 

 

キョウ「ファファファ………」

 

 

 

 

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