八幡のカントー地方 〜ぶらり一人旅(希望)〜 作:龍@pixivでも活動中
#トキワシティ、マサラタウン方面入り口
俺はいま焦っていた
何故なら目の前にポケモンシリーズのビックネーム
サカキがいるからだ
どうしてここでサカキが出てくる!?
確かにサカキはトキワシティのジムリーダーで
ここはそのトキワシティだ
この街にいたとしても何もおかしくはない
だが
トキワシティのジムは今は閉まっていているはず
さらにそこのジムリーダーがサカキだと分かるのは
ジムバッチを7個集めた後、つまり物語の終盤に判明する
しかも
サカキはこのカントー地方で悪事を働く悪の組織ロケット団のボス
こんな序盤に出てきていい敵じゃない
サカキが今目の前に理由
考えられるのは…
偶然?
俺達がこの世界に迷い込み
ゲームの世界が現実となった
その現実世界でサカキが何かの理由で偶々ジムに帰って来ていて
そこに俺が来たことでこうして会合してしまったということか
どうする?
今サカキと戦う事になったら…
こっちはまだ戦闘経験のない子供
向こうはカントー地方でも五本の指に入る実力者
勝ち目なんか無い
下手したら殺されるかも知れない
なら、逃げるしか…
サカキ「おい」
はちまん「…!」
話かけられた
遅かったか…!?
サカキ「…どうした?何をそんなに怯えている?」
はちまん「そ、それ、は…」
サカキ「……………」
サカキ「……おい」
はちまん「は、はい…!」
サカキ「コーヒーは好きか?」
はちまん「……は?」
サカキ「コーヒーだ。好きなのか?嫌いなのか?」
はちまん「は、はいっ!大好きです!」
サカキ「そうか。ならついて来い」
そう言うとサカキは街の中へ入って言った
ど、どういうことだ?
コーヒー?あのサカキが?
それについて来いって、何処に?
サカキ「おいっ!早く来いっ!」
はちまん「は、はいっ!!」
とりあえず今はついて行くしかない
俺はカラカラと顔を合わせると一緒にサカキの後を追う
…しかしあの人を見てるとなんか変な感覚を感じるな
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
#トキワシティジム前
俺達が連れてこられたのはトキワジムだった
ジムは入り口以外が全て木々に覆われていた
サカキは入り口にあるシャッターを開けると中に入って行った
サカキ「入れ」
はちまん「は、はい」
俺とカラカラはサカキの後に入って行く
はちまん「お、お邪魔します…」
ジムの中は真っ暗闇だった、何も見えない
木の匂いと土の匂い、そしてコーヒーの香りがした
サカキが灯りをつける
部屋が明るくなり見えるようになる
はちまん「おお………」
ジムは学校の体育館くらい広かった
だが驚くほど何も無く
あるのは入り口付近に変な銅像と
ソファーと机、そしてコーヒーメーカーと角砂糖の入ったガラスの瓶だけ
それと
はちまん「で、でかっ!」
ここの天井に頭がつくかつかないかの大きなポケモンがいた
確かコイツは、ニドキング?
どうやら座って寝ているらしい
カラカラはニドキングを見ると俺の影に隠れた
サカキ「おい、そこに座れ。今用意する」
はちまん「え?は、はい」
俺はズボンの裾を掴んで震えているカラカラを抱き上げると
サカキが指したソファに座り、カラカラも隣に座らせた
カラカラはまだ震えていて俺の腹に抱きついている
俺は落ち着かせるように背中をさする
俺とサカキはテーブルを挟んで座っていて、
コーヒーを作っていた
サカキ「砂糖は」
はちまん「は、はい、えっと」
サカキ「いるのか?いらないのか?」
はちまん「い、いります」
サカキ「そうか」
そういうと角砂糖の入った瓶を俺の方に寄せて来た
サカキ「好きなだけ入れろ」
はちまん「あ、ありがとう、ございます」
そしてコーヒーをカップに注ぐと俺に渡してきた
サカキ「ほら」
はちまん「ど、どうも」
………これ飲んで大丈夫なのか?
ズズッ
サカキ「どうした?飲まないのか?」
はちまん「い、いえその…なんと言いますか…」
サカキ「………………」ジッ
サカキ「お前やっぱり俺の正体に気づいているな?」
なっ…!
はちまん「い、いえ!しょ、正体?何のことだか?」
サカキ「……」
ドゴォォォン!!!
はちまん「ヒイィッ!!」
カラカラ「………!!」ビクゥ!
な、なんだ!!今の!!
後ろを見るとさっきのニドキングが起きていて
床を拳で叩き割っていた
サカキ「とぼけるな、次はない」
こ、怖えぇ!
こ、ここ、ここは正直に答えた方がいいな!!
し、しかし、馬鹿正直に
『あなた、悪の組織のボスですよね?』
なんて言ったら何されるか分からん!!
口封じに殺されるかも知れない…!
こ、ここは言葉を濁らせながら
俺は震えているカラカラを抱き寄せながら
はちまん「ええっとその、ア、アレですよね!あなたはその、そう、色!色を塗る職業の人、色塗り職人ですよね!」
サカキ「…色?」
はちまん「えっと、このカントー地方を一色に染めようとしている事業で!あなたはそのお偉いさん!」
サカキ「色…一色…染める」
はちまん「それで…それで…その為には手段を選ばない人」
サカキ「………」
何を言っているんだ俺はー!!
もう何が何だかしっちゃかめっちゃかじゃないか!?
なんだよ色塗り職人って!
言葉を濁すにしてももっといい言葉があるだろー!
国語三位の実力はどこ行ったー!?
サカキ「………俺が色塗り職人?ハハッ!まあそれでもいいか」
あれ?なんか笑ってる
サカキ「…で?お前はどこでその情報どこで手に入れた?」
はちまん「それは……すみません、言えない、です」
サカキ「………まあいい、わかった」
はちまん「え?」
サカキ「なあ、お前は何しにこの街に来たんだ?」
はちまん「え、えっと、マサラタウンのオーキド博士にお使いを頼まれまして、それで…」
サカキ「オーキド?オーキドって言うと随分昔にチャンピオンになったジジイか?いまはポケモン研究の第一人者、だったか?マサラにいたのか」
はちまん「は、はい。それでこれからこの街のフレンドリィショップに行かなくてはならないんです」
サカキ「そうか」
サカキ「この街を騒がしくしないのならそれでいい。で、今すぐ行くのか?」
はちまん「はい、できれば」
サカキ「そうか、わかった」
サカキ「案内してやる」
はちまん「え!?」
サカキ「店までの道を教えてやる、外に出ろ」
そう言うとサカキはジムの外へ向かった
俺はカラカラを抱き上げそのままサカキについて行く
後ろにいるニドキングを見ると入って来た時と同じように眠っていた
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
#トキワシティジム前
外に出るとサカキが待っていて俺が出るのを見ると
ジムの入り口のシャッターを閉めた
サカキが指で指し示し俺に道を教える
サカキ「ここから道なりに真っ直ぐ行って左に行けば店がある。青い看板が目印だ」
はちまん「は、はい。ありがとうございます」
サカキ「じゃあな」
そう言うとサカキは森の方へ歩いて行った
どうして道を教えてくれたのか聞こう思ったが、やめた
何処へ行くのか聞こうと思ったが、やめた
俺は黙って、去っていくサカキの背中をみていた
---先程サカキを見て感じた感覚の正体がわかった気がした
---サカキと話していた間も感じていた感覚
---これは、この感覚は、"親近感"?
そして、コーヒーを飲むのを忘れていたことに気づいた