八幡のカントー地方 〜ぶらり一人旅(希望)〜   作:龍@pixivでも活動中

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60話 Let’s enjoy the party third part

#サントアンヌ号甲板

 

サカキ「久しぶりだな」

 

男が帽子を脱ぎ

俺に見せた顔は

 

この世界に来た日

カラカラと出会ってすぐ

オーキド博士のお使いとして訪れたトキワシティ

その街の入口で出会った人物

何故か俺をジムに連れて行きコーヒーをご馳走して来た人物

 

8つ目のジム

トキワシティのジムリーダー

そして

今まで俺が幾度となく戦ってきた

悪の組織ロケット団のボス

 

サカキ

 

はちまん「……っ!?」

 

俺はその顔を見た瞬間

後ろに下がる

 

サカキ「ふっ、相変わらず警戒心だけは一丁前だな」

はちまん「な、何で……」

サカキ「俺もこの船に呼ばれてな。誰が呼んだか知らんが馬鹿な奴らだ。俺をテメェらに近づけさせるとはな」

 

俺は足元の音を聞きながら警戒する

雪乃達はまだ下にいるのか?

ここで何かされたらアイツらは……

 

サカキ「何を気にしているんだ?」

はちまん「…!?」

サカキ「この下で戦闘しているのはお前の知り合いか?」

 

くっ…

どうする

ここは船の上

逃げ場はない

 

サカキ「お前がこの船に入るのをここから見ていた」

 

サカキ「そう言えばお前の周りに女が居たな」

はちまん「………!」ぎりっ

 

顔も割れてるのか

これじゃあ逃したとしても……!

時間稼ぎするしかないか…!

足が震える

 

はちまん「あ、あの…。俺に何か用、ですか」

サカキ「ようやく喋ったな。用か…。あると言えばあるな」

はちまん「な、何です」

 

サカキ「そう言えばあの時名前を聞いてなかったと思ってな」

はちまん「名前…ですか」

サカキ「ああ」

はちまん「は、はちまんです」

サカキ「はちまん…か」

 

サカキは俺の名前を聞いてきた

何で俺なんかの?

 

サカキ「ああ、俺も言ってなかったな」

 

サカキ「俺の名はサカキ」

 

サカキ「お前が今まで倒してきたロケット団のボスだ」

 

はちまん「な……!?」

 

な、名乗った…俺に…アッサリと…

自分が悪の組織のトップだと

ロケット団のボスであると

しかも俺がロケット団を倒したのを知っている

 

サカキ「どうせ隠しても、もうお前にはバレてるようだしな」

 

サカキ「それに、俺がロケット団のボスだと知ってもお前は何も出来んだろうしな」

 

確かにそうだ

例え俺がサカキの正体を知ってどうなる?

戦うか?

いや、今の俺の実力では絶対に負ける

なら警察に通報するか?

いや、通報したとしてもサカキなら逃げ果せるだろう

それに雪乃達の顔も割れている

報復としてアイツらが危険に晒されるかもしれない

 

はちまん「…くっ」

サカキ「ロンドから聞いたぞ。お前アイツの率いてた部隊を潰したそうだな」

はちまん「そ、それは……」

 

まずい

まさか俺にその報復を…?

 

サカキ「ふん、心配するな。アイツらの事は別にどうとも思ってない。アイツらがお前より弱かっただけだ。そんな事で一々ガキに突っかかっていたら身が持たん。この地方のガキ共は異様に強いからな」

はちまん「そう…ですか…」

 

助かった、のか?

 

サカキ「それにこれはロンドの自己責任でもある。アイツが命令を無視してこっちに戻ってきやがったからな」

はちまん「……」

サカキ「アイツらの上に立つと面倒ごとが多くてな」

 

サカキ「だが組織の中で野望を持っているのは俺だけだからな」

 

サカキ「他の奴に任せる訳にはいかねーんだ」

 

サカキが動く

甲板の中央まで歩いて行く

俺はそれについて行く

た、助かった…!

足が震えたままあそこにいたら海に落ちそうで怖かったからな

カラカラ達もサカキを警戒しながらついてくる

 

その間サカキの言った言葉を考える

なるほど

自分と同じ考えを持った奴が集まったのがロケット団

だがそれでも考えているだけ

それを実行しようとしているのは組織の中でサカキだけなのだろう

 

組織の中で1人

 

『他の奴に任せる訳にはいかない』

と言う事はつまり

自分の今いる場所には誰も近づけさせたくないってことか

『俺がやるから邪魔すんな』って感じか

 

何か、誰も寄せ付け無い

自分は高みにいる

高みにいる事を誇っている

1人きりである事を『誇っている』

1人でいられる存在

1人でいなくてはいけない存在

いや、そうでなくとも

自分から進んで1人になった男

 

『孤高の男』って感じだな

 

 

 

 

サカキ「そう言う意味では俺とお前は同じなのかもな」

 

 

 

は?

 

 

サカキ「お前も1人なのだろう?ならこの俺と同じ穴の貉だな」

 

 

 

は?

 

 

はちまん「同じ…?俺が?」

サカキ「お前も1人でいる事を誇っているのではないか?いや1人でいたいとまで思っている、違うか?」

はちまん「………」

サカキ「1人でいる方が気楽なのだろう?誰も寄せ付けたくないと。1人でいる事に後悔はないと」

 

 

ブチッ

 

 

サカキ「だからお前は俺と………」

はちまん「……はは…ははは」

サカキ「ん?」

 

急に笑い出した俺をサカキが

カラカラ達が不思議そうに見てくる

 

足の震えが止まる

 

あーなるほどなー

この人は俺と自分が同じ種類の人間だと思ってんのかー

俺はぼっちで

サカキは孤高の男

確かに1人でいるって所は同じだなー

ははははは

 

 

 

はちまん「ふざけんな」

 

 

 

久しぶりにぶち切れちゃったよ

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

はちまん「孤高の存在であるアンタと、ぼっちである俺が同じ?」

 

はちまん「じゃあ聞くがアンタ失恋した事は?」

 

はちまん「学園祭とかで思いっきり恥かいた事は?」

 

はちまん「無いだろ。だって1人でいたいから」

 

はちまん「誇りを持って1人でいようとする奴が周りから笑われるような事する訳無い」

 

 

はちまん「確かに俺はぼっちである事に誇りを持っている」

 

 

はちまん「でも、最初からぼっちでいたかったなんて思ってない」

 

 

はちまん「ぼっちになった理由なんて単純だ」

 

はちまん「色んな事やって」

 

はちまん「でも、失敗して」

 

はちまん「誰かの為に良かれと思ってやって」

 

はちまん「でも、間違えて」

 

はちまん「一生懸命やって」

 

はちまん「でも、笑われて、恥かいて」

 

はちまん「失敗するのが嫌だから1人になった」

 

はちまん「間違えるのが嫌だから1人になった」

 

はちまん「笑われるのが嫌だから1人になった」

 

はちまん「恥をかくのが嫌だから1人になった」

 

 

はちまん「そうやって1人になった時」

 

はちまん「過去を思い出して後悔する」

 

はちまん「あそこはああすれば恥をかかなかった」

 

はちまん「あそこはああすれば失敗しなかった」

 

はちまん「あそこはああすれば間違えなかった」

 

はちまん「何で俺はあの時あんな事を」

 

はちまん「どうして俺はこんな事を」

 

はちまん「どうして」

 

はちまん「何で」

 

はちまん「俺は1人何だって」

 

 

はちまん「1人である事に後悔していない?」

 

はちまん「後悔ありありだよ!」

 

 

はちまん「1人になった事を後悔していないぼっちがいてたまるか!」

 

 

はちまん「ぼっちはぼっちを止めようとどこかで思ってんだよ!」

 

はちまん「ぼっちはぼっちらしく頑張ってんだよ!」

 

はちまん「誰かに話しかけてみようと必死なんだよ!」

 

 

はちまん「でも、それでも」

 

はちまん「どこかで思ってる」

 

はちまん「もしここで話しかけたら」

 

はちまん「また失敗するかもしれないって!」

 

はちまん「また間違うかもしれないって!」

 

はちまん「また恥をかくかもしれないって!」

 

はちまん「また誰かに笑われるかもしれないって!」

 

はちまん「そんなのもう嫌だって!」

 

はちまん「そんな苦しみ、もう味わいたくないって!」

 

はちまん「鎖で雁字搦めになったように体が動かない!」

 

はちまん「口が動いない!」

 

はちまん「何も動かない!」

 

 

 

はちまん「それで」

 

はちまん「それでずっと1人のままで」

 

 

はちまん「全然自分の周りが変わらなくて」

 

 

はちまん「変わらないっだったら!」

 

はちまん「変われないんだったら!」

 

 

はちまん「もう」

 

はちまん「もう開き直るしかないだろ!」

 

はちまん「俺は1人でいいって!」

 

はちまん「俺は1人がいいんだって!」

 

はちまん「俺はぼっちなんだって!」

 

はちまん「俺はぼっちにしかなれないんだって!」

 

 

はちまん「だったらもうその事に」

 

はちまん「1人でいる事に誇りを持つしかない」

 

はちまん「いや、持つ、持つよ」

 

はちまん「だって変われないんだから」

 

はちまん「だって変わらないんだから」

 

はちまん「自分が誇れるのはそれぐらいしかないから」

 

 

 

はちまん「でもアンタは違うんだろ?」

 

はちまん「アンタは孤高の存在なんだろ?」

 

はちまん「アンタは1人である事に何の疑いもなく」

 

はちまん「アンタは1人である事に誇りを持ってんだろ?」

 

はちまん「立派じゃないか」

 

はちまん「自分の事に誇りを持って」

 

はちまん「1人である事に納得いってない俺達ぼっちとは比べ物にならないくらい立派じゃないか」

 

 

はちまん「だから俺達ぼっちの領域に土足で入ってくるな」

 

 

はちまん「ぼっちと言う底辺に」

 

はちまん「孤高の存在と言う高みにいる奴が来るんじゃねえ」

 

はちまん「じゃないと俺達ぼっちがアンタらを見上げられないだろ」

 

 

はちまん「アンタと俺は違う」

 

はちまん「孤高の存在とぼっちは違う」

 

はちまん「同じであってたまるか」

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

サカキ「………………………そうか」

 

 

ふー

珍しくすげー喋っちゃった

ほらサカキさんも引いてるよ

ん?引いてるの?

あれ?笑ってない

くそーさすが孤高の男

ぼっちの言う事何か笑って済ますつもりか

まあ俺が言ったのはアンタみたいな奴に対する嫉妬みたいなもんだ

 

 

サカキ「お前の言い分はわかった」

 

サカキ「確かに俺とお前は違うようだな」

 

サカキ「だが今はそんな事を気にしている場合か?」

 

はちまん「え?」

 

 

サカキ「お前の前にいるのはロケット団のボスだぞ?」

 

サカキ「ソイツにそんな色々言ってタダで済むと思うか?」

 

 

あ、やっべ

怒りで忘れてた

てへ☆

 

ってやっべーーー!!

ふざけてる場合じゃねーー!!

サカキさん怒ってるよ!!

ひぃ!?

何かモンスターボール取り出したよ!?

ヤバイヤバイヤバイ

死んじゃう俺死んじゃう

 

 

サカキ「出ろ、サイドン」

 

 

サイドン「!!!」

ドスーーン!!

 

グラグラ

 

はちまん「うわぁ!?」

カラカラ「カ、カラ!?」

ズバット「!?」アワアワ

ロコン「……!」

 

サカキがサイドンを甲板に出し

サイドンが船に乗った瞬間船が傾いた

そして浮力で船がグラングランなる

ひいーー!?

どんだけ重いのアイツ!?

な、中にいる雪乃達は大丈夫だろうか?

いや!今それどころじゃない!

ヤバイよ

これバトルしなきゃいけないの!?

と、とりあえず!

 

はちまん「ズバット!ロコン!戻れ!」

 

俺はズバットとロコンを戻す

 

はちまん「か、カラカラ!い、行けるか!?」

カラカラ「カ、カラ!?」ふるふる

 

む、無理かー!

ど、どうしよう!?

アレに対抗できるのカラカラしかいないよ!?

 

サカキ「なあ、そのカラカラ」

はちまん「は、はい!?」

 

な、なんだ?

カラカラがどうしたって?

 

 

サカキ「シオンでウチのもんが殺したガラガラの子供か?」

 

 

はちまん「な!!」

カラカラ「………!」ビクッ

 

サ、サカキはカラカラの親を殺した奴を知ってるのか!?

それにシオンってまさか!?

 

はちまん「そ、それって……!?」

サカキ「まあ、どっちでもいい」

 

そう言うとサカキは手を上げた

サイドンに指示を出すようだ

く、来るか!?

 

サカキ「そう身構えるな。お前とはまた別の場所で戦おうと思う」

はちまん「え?」

サカキ「俺がこの船に来たのは、ただ呼ばれたからじゃない。この船にはカントーにおける重要人物が集まっている」

はちまん「ま、まさか!?」

 

 

サカキ「俺がソイツらを攻撃する事で、ロケット団のボスサカキがカントーに宣戦布告する事が出来る」

 

 

はちまん「な!?」

サカキ「俺はこのカントーをぶっ壊す。だからお前は俺を止めに来い」

はちまん「お、俺が?」

 

何で!?

他にいっぱいいるだろ!?

ジムリーダーとか!

 

サカキ「お前の言う通り俺とお前は違う。だが似ている」

はちまん「に、似ている?」

サカキ「だからお前が俺を止めてみせろ」

 

サカキが手を下ろす

待ってー!

肝心なとこ言って!

 

 

サカキ「俺に船は似合わん」

 

 

サイドン「!!!!!」

ドドーンゴゴゴゴゴゴ

 

はちまん「わ、わ」

カラカラ「…!」

 

サカキがサイドンに指示した途端

サイドンが何か技を繰り出した

こ、これは…じわれ!?

 

船が揺れる

波が荒れる

船が割れる

そして俺の立っている甲板も割れて行く

足元が崩れ下に落ちる

 

はちまん「わわ!?カ、カラカラ!戻れ!」

 

落ちる寸前カラカラをボールに戻す

 

そして俺は落ちて行く

落ちて行く時上を見上げた

そこにはサカキがいる

 

 

ああ、やっぱり

孤高の男はそうでなくちゃ

ぼっちみたいな底辺に来ちゃダメなんだ

ずっとぼっちが見上げられる存在じゃなきゃ

そしてぼっちはアンタらを見上げて思うんだ

 

『ああはなりたくない』って

 

 

 

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