八幡のカントー地方 〜ぶらり一人旅(希望)〜 作:龍@pixivでも活動中
#ポケモンタワー『最上階』
俺達は最上階へ来た
暗い
目を凝らして奥の方を見ると人影が見える
あれが『おじちゃん』か?
はちまん「あの」
近寄るとハッキリと老人とわかった
優しい雰囲気の老人だ
部屋の奥にある棺桶に向かってお祈りをしていた
俺が声をかけると振り向いた
???「…誰かな」
はちまん「あ、えっと、はちまんです」
???「ん?」
老人は俺の隣にいるカラカラを見た
カラカラは俺のズボンの裾を掴んで離さない
カラカラ「………」
???「そ、その子は」
カラカラに見覚えがあるらしい
やはりこの人がおじちゃんであり『フジ老人』なのか?
???「そうか…。君が博士の言っておったトレーナーか…」
はちまん「あの…」
???「あ。ははは、すまないね。まだ名乗ってなかったか…」
フジ「私の名前はフジじゃ。みんなからはフジのおじちゃん、フジ老人とか呼ばれておるの」
はちまん「貴方がコイツの…」
フジ「私は何もしておらんよ」
はちまん「え?」
フジ「いや、私は何もできんかった…。ガラガラを助ける事も、そのガラガラが命辛々預けてきたその子を救う事さえも…」
はちまん「………」
カラカラ「………」
フジ老人はカラカラを見た
フジ「ここへ来たということは…。下の階にいた…」
はちまん「はい、コイツが成仏させました」
カラカラ「………」
フジ「そうか…」
フジ老人は天井を見上げる
フジ「…この子の母親は…いや、それも覚悟の上で…」
はちまん「…………」
カラカラ「………」
フジ「だとしたら…私がここにいる意味もないか…」
はちまん「あの、どうして2日も…」
フジ「それはの…」
そういうとフジ老人は部屋の奥の棺桶に優しく手を置いた
よく見るとその棺桶の上には骨が置いてあった
はちまん「その棺桶って…」
フジ「その子の母親が入っておる…」
カラカラ「!」
はちまん「カラカラ」ひょい
俺はカラカラを抱き上げ棺桶のそばまで行かせる
カラカラ「から…」すっ
カラカラは棺桶を撫でる
フジ「………」
フジ老人はそれを暖かく見守っている
しばらくするとフジ老人は
フジ「私の家で話そう、ここはポケモンの寝ているところじゃ。騒ぐのはよくないからの」
はちまん「…わかりました。行くぞカラカラ」
カラカラ「………から」
フジ老人は下の階へ向かう
俺がカラカラを抱き上げたままそれについて行こうとした
その時
からん
はちまん「ん?」
カラカラ「?」
フジ老人「どうしたんじゃ?」
棺桶の上に置いてあった骨が床に落ちた
はちまん「あ!す、すみません」
俺が当たって落としてしまったかもしれない
急いでその骨を元の場所に戻そうと骨を持つ
思ったよりも重い
フジ「待ってくれ」
俺が棺桶に骨を置こうとすると
フジ老人が止めてきた
はちまん「何ですか?」
フジ「聞きたいのじゃが、その子の持っていた骨どうしたんじゃ?」
はちまん「えっと、さっきガラガラと戦った時壊れて…」
フジ「……なるほど。はちまんくん、その骨持っていってくれんか」
はちまん「へ?でもこれって…」
フジ「ガラガラの形見じゃ。ここに祀っておった」
はちまん「じゃあ持っていったら駄目じゃないですか」
フジ「…これは私の勝手な考えじゃがな、恐らくガラガラは自分の子供に持っていてほしいんじゃろう。それにそれはその子の母親の物じゃ、その子が持っていてもなんら問題はない」
はちまん「それは……」
俺は腕の中にいるカラカラを見る
はちまん「どうする?」
カラカラ「…………カラ」コクン
はちまん「持っときたいって?」
カラカラ「カラ」
はちまん「わかった。お前が言うんなら、はい」
俺はカラカラに形見の骨を渡す
カラカラはそれを受け取ると手ざわりや大きさを確認すると
俺の腕の中から抜け出した
床の上に着地すると骨を振ってみる
カラカラ「カラ!」
ぶうぅん!
おお、今までのやつとは振った時の音が違う
カラカラはもう一振りするとその骨を握りしめた
そして俺の方を見る
はちまん「え?それ戦う時に使うの?」
カラカラ「カラ!」
はちまん「いや、それ形見じゃないのか?」
カラカラ「カラ!カラ!」
はちまん「使いやすいし、強くなった気がするからって…。お前がいいんならいいけどさ」
カラカラ「カラ!」ふんす
カラカラは形見の骨を誇らしげに眺めている
フジ「ふふふ、君達仲がいいようじゃな。目で通じ合っておる」
はちまん「…」///
カラカラ「…」///
はちまん「あ、あまりここにいるのはよくないですよね。早く下の階へ戻りましょう。シオンって子も待ってますから」
フジ「ほう、あの子が」
はちまん「はい、心配していましたよ」
フジ「そうか、なら行こうかの」
はちまん「はい」
その後シオンとミコトさんと合流して
ポケモンタワーを出た
そしてフジ老人に案内されるまま家に招待された
『ポケモンハウス』と言うらしい
シオンはともかくなぜかミコトさんまでついてきた
そこでフジ老人が帰らなかった理由を聞いた
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
2日前、ロケット団がポケモンタワーを占領した
その事を知ったフジ老人はガラガラの形見を心配して最上階へ向かった
ロケット団は最上階にいて何かを企んでいたらしい
何を話していたかはわからないがロケット団はフジ老人に話しを聞かれたとして拘束
だが何かされる前にあのガラガラの亡霊がフジ老人を守った
ガラガラは最上階からロケット団を追い出し
そこへ続く階段に居座り
近寄る者を全て追い返した
フジ老人はガラガラが成仏しきれてないと思い
ガラガラの遺体が入った棺桶にずっとお祈りをしていた
2日間何も飲まず食わず
それがガラガラを救えなかった自分の咎として
そして今に至る
それとロケット団の事だがガラガラに追い出された後の事はわからないという
つまりロケット団はアジトに収集されたから出て行ったわけじゃなくてガラガラに追い出されたからいなくなったのか?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
#ポケモンハウス
はちまん「あの、俺たちがもしあの時来なかったらどうしてたんですか?ずっと飲まず食わずって…」
フジ「…いや、恐らく餓死はせんかったじゃろう」
はちまん「え?」
フジ「時々あのガラガラが食べ物を持ってきてくれたんじゃ」
亡霊のはずのガラガラが…
恩返しのつもりなんだろう
フジ「あの子は優しい、何もできんかった私を守ってくれた…」
はちまん「いえ、そうではないでしょう」
フジ「え?」
はちまん「貴方は何もできなかったんじゃない、なんとかしようとしただけです」
フジ「なんとか…」
はちまん「だからコイツをオーキド博士に預けた。コイツを救うために」
フジ「それは」
はちまん「だから形見の骨を守ろうとした。いつか必ずコイツに見せるために」
フジ「………」
はちまん「貴方はコイツにとってかけがえのない恩人です。そんな人だからこそガラガラは母親として恩返しがしたかったんじゃないでしょうか。亡霊となってまで」
フジ「………」
はちまん「そしてガラガラだけじゃない。今コイツの『おや』はトレーナーである俺です。だからお礼を言わせてください。コイツを、コイツの大切なものを守ってくれて、ありがとうございました」
はちまん「そしてもうコイツは大丈夫です。俺よりしっかりしてるんであっという間に立ち直ります。けどまた1人なるかもしれない。そんな時はまた助けてやってくれませんか。そばにいるだけでいいんです。それだけでコイツは幾分にも強くなりますから」
フジ「…………そうか」
それからフジ老人は何も言わなかった
その日はポケモンハウスに泊まった
カラカラはその晩泣いていた…
次回、布団の中に女の子が!?
はちまん「ふざけんな」