八幡のカントー地方 〜ぶらり一人旅(希望)〜 作:龍@pixivでも活動中
読まれる際はお覚悟を
ウキワ「……」
俺達はエリカに協力をこじつけた後
カントーガールズの本部に戻る
その途中ずっとウキワは俯いていた
はちまん「……」
そんなウキワの前を行く俺
俺には不安があった
これ本当に本部へ行ける道なのだろうか
ウキワが俯いて歩調が遅いため結果的に俺が前を歩くことに
だが俺は未だにタマムシシティの地理に疎い
この道を進んでいいのか悪いのかが全くわからない
こんな調子のウキワを前にするわけにもいかず
どうする事も出来ない
というかここどこ、見た事ない場所に出てしまった
ま、まずいまた迷子だ
ウキワもいるから大丈夫だと思いたいが
ウキワ「…はちまん」
はちまん「うぇ!?な、なんすか!?」
俺が焦っているとウキワが話しかけてきた
うわーやっぱり道間違えたか
怒られるかな
ウキワ「さっきの事で話しがあるの」
はちまん「え!?やっぱりあそこ右に曲がった方が良かった?」
ウキワ「は?そんな事知らないわよ」
知らないの!?
ウキワ、道知らないの!?
いよいよまずくなってきた
ウキワ「そうじゃなくて、エリカ様と話してた事」
はちまん「エリカ?…いや、それどころじゃ」
ウキワ「…コブキさんが貴方を信用していないって言ったら本当にエリカ様の元へ行くの?」
はちまん「それはもう決まった事だろ。…そんな事より」
ウキワ「ニンやシオンが止めても?」
はちまん「別に今生の別れって訳でもないんだし。…てかこのまま行くと街から出ちゃわない?」
ウキワ「…私が止めても?」
はちまん「いや、お前にはいま本部に戻っている俺を止めて欲しいが…。…あ、なんかへんな家が見えて来た」
ウキワ「え?本部に戻るとまずいの?」
はちまん「だっていまから本部に戻ってコブキさんがいて、そこで『はちまんさんは信用できません』って言われたらゲームセンターに俺が行けなくなるだろ。…ん?誰か家から出てきた」
ウキワ「確かにそうだけど…。ていうかそれコブキさんのマネ?上手くないわね」
はちまん「うるせえ、一度会っただけなやつのマネなんかできるか。…うわすげー美人、芸能人かな?」
ウキワ「でも貴方、それってゲームセンターに行く気満々ってことよね?」
はちまん「ん?そうなるな。…えっ?こっち来る」
ウキワ「貴方、意外にも働き者なのね」
はちまん「俺が働き者なわけないだろ。…は?追っかけ?俺が?」
ウキワ「えっ?じゃあ何で?」
はちまん「いまお前が着ている服を返してもらうためだ。…え?『そらをとぶ』?何で俺に」
ウキワ「この服、私にくれたんじゃないの?」
はちまん「あげるわけないだろ、何でニンといいお前といい人のもんを欲しがるんだ。…口止め料?」
ウキワ「あ、そうか。貴方シオンのドレスと交換していたわね」
はちまん「アレはシオンが頼んで来ただけだ。…アンタがここに居る事を誰にも言わなければいいんだな?」
ウキワ「ニンもドレスをあげると言っていたし…。ま、まさか貴方…私のドレスも…」
はちまん「いや、正直お前らのドレス貰っても使い道がないんだが。…1人になりたい時ってあるもんな、わかった誰にも言わない」
ウキワ「…残念だけれど仕方がないわね。この服は諦めるわ」
はちまん「そうしてくれ。あ、でもそうなると…。…ああいや、こちらこそ」
ウキワ「そうなると、何?」
はちまん「俺がお前が着た服を俺が着る事になるなって。…あ、さようなら」
ウキワ「な!?そ、それは…。ど、どうしよう」
はちまん「俺にはわからん。…お幸せにって…え?」
ウキワ「…わかったわ。私のドレス、貴方にあげる」
はちまん「…………………」
ウキワ「はちまん?」
はちまん「お、おうそうだな!」
ウキワ「え?いいの?」
はちまん「あ、ああ構わん構わん!」
ウキワ「そ、ありがと」
はちまん「あ、ああ」
ウキワ「で?ここどこ」
はちまん「知らん」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
#カントーガールズ本部前
はちまん「や、やっと戻って来れた…」
ウキワ「貴方、どうして街の外に出たの…」
はちまん「す、すまん。後、ありがとなロコン」
ロコン「…」こくん
俺とウキワはあの後ロコンに先導され
這々の体で本部のあるマンションへ戻って来れた
ロコンが道を覚えていてくれて助かった
いまはもう昼前の時間帯
コブキさんは戻って来ているだろうか?
ウキワは本部のドアを開けて中に入って行く
俺もそれに続く
ウキワ「ただいまー」
はちまん「うーす」
部屋に入るとニンが出迎えてくれた
俺と同じ黒いパーカーに着替えている
シオンと同じくらいの身長なためこっちも下が危うい
何がとは言わないが
だが可愛い
肌キレイ、眩しいくらいに
ニン「おかえり〜なさい〜ふふふ♪」
はちまん「お、ちゃんと着てんのか」
ニン「うん〜これきごこちがいい〜ふふふ♪」
はちまん「そうなのか?ウキワ」
ウキワ「まあドレスよりはいいわね」
ニン「あ〜そ〜そ〜これ〜わたしのドレス〜ふふふ♪」
そう言って灰色のドレスと赤色の帽子を渡してくる
シオンのもそうだけどこのドレス本当にどうしよう
いつかどこかに居を構える事になったら飾るかな
灰色のドレスをバックに入れる
ウキワ「じゃあ私も、はい」
ウキワも緑色のドレスと黄色の帽子を渡してくる
これで三色揃った、やったぜ
緑色のドレスもバックに入れる
はちまん「シオンとレインは?」
部屋には2人とも見当たらない
買い物かな
ニン「2人は〜さっき〜コブキさんをむかえに〜いったよ〜ふふふ♪」
はちまん「え、ここで待ってるんじゃなかったのか?」
ニン「コブキさんの〜ポケモンが〜ここにきて〜ふふふ♪」
つまりニンが言うには
コブキさんのポケモンがこの本部に来て
それを見たレインがコブキさんがこちらに向かっていると考え、出迎えに行くと言い出したようだ
何故かシオンはレインに連れて行かれた
ニンはそのお留守番
はちまん「何でシオンを連れて行ったんだ?」
ウキワ「恐らく私達の服装の説明でしょうね」
はちまん「あ、なるほど」
先ほども言った通りウキワ、ニン、シオンはドレスから黒いパーカーに着替えている
事情を詳しく知らない状態で見れば驚く
これからコブキさんとするのは重要な作戦会議だ
スムーズに話し合うためにも事前に説明しておく必要があるだろう
だからレインはコブキさんが本部に着く前に説明を終わらせるためシオンを連れて行ったんだろう
それかシオンのパーカー姿が可愛いからいち早く見せたかったか
ウキワ「はちまん、3人が戻って来る前に少し気になった事があるんだけど聞いていい?」
はちまん「何だ?」
ウキワ「いまエリカ様にも動いてもらって、リーダーもヤマブキからこっちに戻って来てくれている。そこまでした上でゲームセンターがロケット団と関係がなかったら貴方はどうするの?」
はちまん「あ、え、あ、やべ考えてなかった」
ウキワ「…自信があるのはいい事だけど、責任はキチンと取りなさいよ?」
はちまん「責任…」
エリカは街のトレーナーに声をかけ
街の警備又は警戒、或いはカントーガールズと共にロケット団と戦うように依頼してくれている
コブキさんはヤマブキでロケット団の動向を厳重な体制で警戒していたにも関わらず、それを中断してまでこちらに戻って来てくれている
ここまで色んな人を動かしておいて俺の情報が誤りだったら全てが徒労に終わる
そうすれば情報提供者である俺が責任を問われるのは間違いない
今日の昼に潜入隊を組み
件のゲームセンターに乗り込む算段になっているが
そこで俺が見たロケット団員がウキワの知っているのとは違うやつだと発覚すれば俺は終わり
どどど、どうしよう
責任は取るつもりだが正直怖い
何されるかわかったもんじゃない
はらきーりさせられるかも
俺が提示した証拠は2つ
1つは俺とウキワが知っているロケット団員がいた事
確証は昼にウキワが確認すればOK
2つ目は件のゲームセンターの名前に『ロケット』が付いている事
だが今までこの街にいたエリカやカントーガールズは全く気づかなかったらしい、思い違いの可能性がある
どちらもあのゲーセンがロケット団に関係していると言う証拠としては弱い
確証を得る為にもう一つくらいは証拠が欲しい
んぐぐ、何かないかな
あ、そうだ
はちまん「なあウキワ、お前の知り合いにあのゲーセンを利用しているやつはいないか?」
ウキワ「残念ながらいないわね」
はちまん「ニンは?」
ニン「いない〜ふふふ♪」
くそっ
ゲーセンの利用者から何か聞き出せるかと思ったんだが
その辺はジムリーダーのエリカに相談してみるか
この街の利用者を探し出してくれるかもしれないからな
だがそれもこの場で出せる証拠ではない
いますぐにでも出せる証拠が欲しい
はちまん「ゲーセンがいつ頃建てられたかはわからないか?」
ウキワ「私がこの街に初めて来た時にはもうあった気がするわ」
ニン「わたしもです〜ふふふ♪」
これもダメか
恐らくこのチームはゲーセンとかには余り興味がないんだろう
だからロケットの文字に気づかなかった
後でこの街に昔からいそうなレインかコブキさんに聞くか
他に何かないか…
ロケット団…ロケット団…ロケット団…
今まで戦って来たロケット団を思い出していく
はちまん「……ん?」
その時何かが頭に引っかかった
今までのロケット団の事を思い出し
少し違和感と疑問を感じたところがあったからだ
ウキワ「どうしたの?」
はちまん「…いや何でもない」
…考えすぎだろう
その違和感と疑問はすぐに消えた
難しい顔をして考え込んでいる俺に声をかけてくるウキワ
それに答えていると本部のドアが開いた
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
レイン「たっだいまー!」
シオン「………………………ただいま」
部屋に入ってくるレインとシオン
そして
コブキ「ただいま」
金色の髪に金色のドレス、ピンク色の帽子
コブキさんも部屋に入ってくる
リーダーのお出ましだ
結局コブキさんが戻って来るまで他の証拠は手に入らなかった
コブキ「ウキワ、ニン。ただいま」
ウキワ「おかえりなさい、コブキさん」
ニン「おかえり〜なさい〜ふふふ♪」
ウキワとニンに挨拶した後コブキさんは俺の方を向く
コブキ「お久しぶりです、はちまんさん」
はちまん「はい」
コブキ「4日ぶりですね」
はちまん「あれ、そんだけしか経ってないんすか」
コブキ「ふふ、色々あったようですね」
はちまん「ええまあ。あ、そうだ。雪乃達が遠回りせずにこの街に来れたのはウキワさんのおかげでしたね。ありがとうございます」
コブキ「いえいえ、雪乃さん達には私も色々と助けられていますので」
はちまん「そうですか」
俺との挨拶を済ませると
コブキさんは早くも本題に入る
コブキ「ここに来る途中にレインとシオンから大方の事情は聞きました。ロケット団と思われる人物がゲームセンターにいると」
ウキワ「はい。それとそのゲームセンターの名前が『ロケットゲームコーナー』という名前であると、はちまんから教えられました」
はちまん「その名前の事なんだが、コブキさん。この事をアンタは知っていましたか?」
コブキ「…いいえ、申し訳ございません。私の注意不足によりそこまでの事実は知りませんでした」
はちまん「いえ、それじゃあいつ頃出来たとか、あのゲーセンを利用している人も知らないんですか?」
コブキ「ごめんなさい…」
はちまん「レインは?」
レイン「私もあんまり興味なかったから」
はちまん「そっか…」
今得られる情報はないか
コブキ「これからそのゲームセンターに向かうのですよね」
ウキワ「はい、それでリーダーの指示を仰ごうかと。あのゲーセンがロケット団と関わりがあった場合私達はどうすればいいのか」
コブキ「…ウキワはどう思いますか?」
ウキワ「どう…とは」
コブキ「ゲームセンターを『黒』とした場合、私達カントーガールズはどうすればいいと思いますか?」
ウキワ「…私はリーダーではありません。指示を出す側ではなく、指示に従う立場です。私の意見を聞いても何の意味もありません」
コブキ「それでも構いません。私はウキワやみんなの意見を聞きたいのです」
ウキワ「…」ちら
ウキワは俺を見る
ああ、昨日のアレか
俺はほっときゃいいって言ったが
ウキワ「私は早急に対応すべきだと思います」
コブキ「対応とは具体的にはどのような?例えばゲームセンターにロケット団が潜伏していたらどう対応しますか」
ウキワ「殲滅、捕縛します」
コブキ「随分と攻撃的ですね。それはなぜ?」
ウキワ「ロケット団が動き出す前に止めるためです」
コブキ「ふむ、ウキワはそう考えますか…」
ウキワ「……はい」
ウキワはロケット団と戦う腹づもりらしい
まあロケット団をのさばらせておくとどうなるかわからない
またカラカラのような被害者が出るかもしれない
そんな事は俺も嫌だ
ウキワのこの意見は俺も少なからず賛成だ
コブキ「レイン、貴方の意見は?」
レイン「え!?私!?わ、私はよくわかんないです」
コブキ「そうですか」
レイン「でも…」
コブキ「?」
レイン「私はこの街を守ります」
コブキ「レイン…。ありがとう」
コブキ「では、ニンはどう思いますか」
ニン「えっと〜おこりませんか〜?ふふふ〜♪」
コブキ「はい、もちろんです」
ニン「それでは〜どうすることもできない〜ていうのが〜わたしの〜いけんです〜ふふふ♪」
ウキワ「!」
コブキ「どうすることもできない?それはどういう」
ニン「あ〜なにもできないって〜わけではなく〜けいかいぐらいなら〜できると〜思います〜ふふふ♪」
コブキ「警戒?それだけですか?例えゲームセンターがロケット団の居場所だったとしても?」
ニン「ん〜少しいいですか〜?ふふふ〜♪」
コブキ「はい?構いませんが…」
ニンはコブキとの会話を中断すると俺の方を見た
ニン「アホ毛くん〜わたしの〜このいけん〜どう思う〜?ふふふ〜♪」
はちまん「ん?どういうことだ?お前の意見だろ?」
ニン「わたし〜おはなしするのが〜とくいじゃないから〜かわりに〜ふふふ♪」
はちまん「ああ、なるほど。わかった。俺もおんなじような意見だしな」
ニン「え〜ほんと〜?ふふふ〜♪」
はちまん「だが先に聞いておく。お前のその意見、根拠はオツキミ山のアイツでいいんだな?」
ニン「うん〜あのおっきいわるいひと〜わたしより〜つよいから〜ふふふ♪」
シオン「………………………え?にんよりつよい?」
ニンが言っているおっきいわるいひととは
オツキミ山で見たロケット団『ロンド』の事だ
風貌は顔に傷があり、大きな体を持った大男だ
俺はニンの意見を伝えるためコブキさんに向き合う
うわーコブキさんの金髪キレイ
ではなく真面目な話しだ
はちまん「コブキさん、ニンの代わりに俺が話してもいいですか?」
コブキ「ニンは話すのが得意でないし、はちまんさんも同じ意見と言う事のようなので構いません」
はちまん「では、結論から。ロケット団の居場所を見つけてもカントーガールズでは太刀打ち出来ない」
コブキ「…ニンの言った人物はそれほど強いのですか?」
はちまん「どれくらいかは実際に戦わないとわかりませんが、ニンが言うには自分より強いと。それと恐らくロケット団の中でも立場が上の人物です」
レイン「ニンちゃんよりって…。ニンちゃんこの辺のトレーナーより格段に強いよね…」
コブキ「そこまでの実力を持った人が…」
はちまん「それにロンドクラスの実力者が数人いると見ていいです」
ウキワ「え!?」
コブキ「何故そう言い切れるのです?」
はちまん「俺がサカキと話した事があるのは知っていますよね?」
コブキ「…はい」
はちまん「そこでサカキは言っていました。『ロンドの部隊』と」
コブキ「つまり他にも部隊を率いる者がいると」
はちまん「はい。実力が全く同じとは言い切れませんが、ロンドと同じく部隊を率いられる者がいるのは確かです」
コブキ「しかしそれは私達カントーガールズがロケット団に太刀打ち出来ないと判断するための理由にはなりません。私やフレンはこのチームの中でも強いですから」
はちまん「それはそうなんでしょう。しかしサカキは?」
コブキ「サカキに関しては、どうにもならないのが現状です」
はちまん「サカキの実力はコブキさんもわかっていると」
コブキ「はい」
はちまん「ならばサカキが出てきた場合どうするんです」
コブキ「逃げます」
はちまん「え?」
ウキワ「え?」
はちまん「に、逃げるんですか?」
コブキ「はい、それは初期メンバーとも話し合ってもう決めていました。サカキが出たら一目散に逃げてまたやり直そうと」
はちまん「初期メンバー?」
コブキ「はい。私、フレン、そして『アミー』の3人です」
はちまん「アミー?」
コブキ「セキチクシティを担当しているメンバーです。…まだ本部に戻って来ていませんがね」
レイン「ほんと、自由だよねーあの人」
あんたには言われたくない
てか初期メンバー3人しかいなかったのか
しかもその内の1人はバックれていると
まあ気持ちはわかるが
ウキワ「逃げるのですか?」
コブキ「はい、ウキワもサカキの実力はわかっているでしょう」
ウキワ「しかしそれでは…」
コブキ「勝てない相手とは勝てるようになってから戦えばいいのです」
はちまん「では何故、クチバでサカキを動かしたんですか?」
コブキ「…勝てると思ったからです。いまの私達なら勝てると踏んで実行に移しました。しかし…」
はちまん「戦う前に姿を消したと」
コブキ「…私が愚かでした。軽率に動いたせいでこの様な状況に…」
ウキワ「コブキさん…」
はちまん「何かありましたっけ?」
コブキ「へ?」
ウキワ「え?」
はちまん「さっきロケット団について少し考えていたんですが、サカキが動いてから何かありました?」
コブキ「そ、それは、ロケット団の動向がわからなくなり、いつ動くかもわからない状態に…」
はちまん「それ、前と同じではないですか?」
コブキ「あ…」
はちまん「変わった事と言えばロケット団の姿が消えただけ。確かにこれは不気味です。サカキがこのカントー地方に喧嘩を売った後なら尚更のこと。しかしはたから見ればロケット団がいない、すげー平和な光景に見えませんか?」
コブキ「そ、それは…」
はちまん「それにサカキが動いたときの被害と言っても大きな船が壊れて、俺が天井から落ちて怪我したくらいじゃないですか」
コブキ「…」
はちまん「アンタは進もうとしただけです。このカントーを守るために。ロケット団を倒すために。その結果俺が怪我したってだけ。それがなんだって言うんですか。俺はこの通りピンピンしてますし、怪我した事もさっきまで忘れていました。だから貴女は俺の事なんか気にせず前だけ向いていてください」
コブキ「…はちまんさん」
はちまん「貴女はこのチームの光です。貴女が塞ぎこんだら…えーと…あれ、特に何もないかな」
コブキ「え…………?」
ウキワ「はあ!?」
レイン「ちょ、ちょっと!?はちまん君!?」
ニン「あ、アホ毛くん〜?」
シオン「………………………なにもないの?」
はちまん「いやだってお前らしっかりしてるじゃん。コブキさんが塞ぎこんでも自分達で何とかできそうだし」
レイン「は、はちまん君…いいところだったのに…。でも私もそう思うから何とも…」
コブキ「れ、れいん…?」
ウキワ「レインさん!?」
レイン「だって、みんなが力を合わせれば何でも出来るよ!塞ぎこんだリーダーなんか首が折れるくらいに前を向かせられるよ!」
コブキ「く、くびを…」
レイン「ね、ウキワもそう思うでしょ!」
ウキワ「た、確かに私達が力を合わせれば…。しかしリーダーがいないと…」
レイン「えー!でもでも!リーダーの自分一人で抱え込むクセ、ウキワも嫌いだって言ってたじゃん!」
ウキワ「はいそれは嫌いです」
コブキ「う、うきわ…?」
ウキワ「何でもかんでも私が悪い私が悪いって、もういい加減にしてって思ってますから。私が失敗した時も私が私がって、自分のケジメくらい自分でつけさせて欲しいです」
コブキ「そ、それは…」
ニン「たしかに〜ときどき〜ほっといて〜ほしいなって〜ときはありますね〜ふふふ♪」
コブキ「に、にん…?」
ニン「わたしが〜ひとりで〜いたいときも〜おかしをつくろうとか〜さいほうをやってみようとか〜いろいろ〜言ってくるのが〜だるいと言うか〜ふふふ♪」
コブキ「だ、だ、だるい……」
はちまん「確かにそれは嫌だな」
コブキ「あ、ああ…」
コブキ「あわわ…わたしは…わたしは…」ガクガク
総攻撃によりグロッキー状態のコブキさん
コブキ「はっ!」
シオン「………………………?」
そこで先ほどから何も言わないシオンを見つけた
救いの女神、癒しの天使のようなシオンに救いを求める
コブキ「し、しおん…シオン…貴女は私をどう思っていますか?」
シオン「………………………りーだー」
コブキ「そ、そうではなく、私の普段の行いをどう思っているのか…」
シオン「………………………あんまりりーだーといっしょにいない」
コブキ「…………そ、それでもなにかありませんか?」
シオン「………………………うーん」
コブキ「どきどき」ドキドキ
シオン「………………………あ」
コブキ「な、何かあるんですね?」
シオン「………………………ふれんさんがいってた」
コブキ「フ、フレンが!?私の事をどう言っていたんですか!?」
シオン「………………………ふれんさんが」
コブキ「は、はい」
シオン「………………………りーだーは」
コブキ「わ、私は…?」
シオン「………………………おむねがちいさいって」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
コブキ「で、では、は、話しの続きをしましょう」ぐすん
コブキさんはシオンにトドメを刺された後
何とか崩れ落ちる寸前にリーダーの意地で踏み止まり
涙目になりながら、いまはソファーに座りウキワの淹れたお茶を飲んでいる
強い人だ、涙目だけど
ちなみに席順は左から
シオン、俺、ニン
お向かいは
ウキワ、コブキさん、レイン
涙目のコブキさん可愛いかったです
はちまん「どこまで話しましたっけ」
ウキワ「私達がどうするかを相談していたわ」
はちまん「それで、結局どうするんですか?」
コブキ「私は、レインの言う通りにしたいです」
レイン「え?私何か言ったっけ?」
はちまん「この街を守りたいって言ってたぞ」
レイン「おーそうだそうだ!ありがとうはちまん君!」
コブキ「私は何があろうとこの街を守ります。例え勝てなくても、この街の人達は絶対に守り抜きます」
はちまん「具体的には?」
コブキ「いえ、正確に言うと何があるのかまだわからないので保留です」
ウキワ「保留?」
コブキ「まだゲームセンターがロケット団と関係しているかわからないんですよね。ならば今はロケット団をどうするか考えるよりこの街を守る決意をします。もしロケット団と関係があった場合はその時に決めます」
つまりコブキさんはいまするべきことを考えている
それはロケット団がゲームセンターにいるのかどうかという問題を解決しろと
確かにロケット団と関係なければ取り越し苦労
無駄な労力を割く事になる
それよりはまずしっかりと確認してから
その後にきちんと作戦を立てればいい
焦って難しく考えるよりはずっと楽だ
はちまん「…まあ妥当なところか。いまから確認しに行くわけだからすぐに結果はわかる。ロケット団と関係していたとしても今日中に決められるし、後手後手に回る心配もない、か」
コブキ「それともしロケット団がいた場合はとりあえずその場で警戒してください。こちらからは決して手を出さないで下さい」
ウキワ「リーダーの指示ならば異論はありません」
レイン「私も!いろんなし!」
ニン「わたしも〜ありません〜ふふふ♪」
シオン「………………………わたしもない」
リーダーコブキの指示は『保留』
ただしロケット団がいた場合は『手を出さない』
リーダーの指示だ
メンバーである4人はこれに従う事になる
はちまん「そうなると…。あ、やべ」
コブキ「どうしました?」
このチームの方針が『手を出さない』となると少しややこしい
なぜならこのチームの他にエリカがいる
エリカは別の勢力として動いてもらう事になっているため
コブキさんの指示を聞く必要がない
エリカがロケット団と戦う事になれば
コブキさんの指示が意味をなさなくなる
エリカならこの意見を聞いてくれると思うが
タマムシシティのジムリーダーエリカとしてはどうだ?
この街を守るためにこんな悠長な事が受け入れられるか?
衝突を避けるために勢力を分けたのがすれ違いを生むかも知れない
いや、その為に俺がいるのか
俺がエリカとこのチームの架け橋になれば
情報、意向のすれ違いがなくなるかもしれない
その為には…
エリカとの約束でコブキさんに俺の事をどう思っているかを聞かないといけないんだが
どうしよう、何て聞こう
いいやもう聞いちゃえ
色々考えるのもめんどくさい
時間もないし
例え嫌われていても俺にはエリカがいる
はちまん「コブキさん」
コブキ「何ですか?はちまんさん」
はちまん「俺の事、どう思ってます?」
コブキ「へ?」
レイン「ウキワ、はちまん君って意外と大胆だよね」
ウキワ「いえ少し事情がありまして、アレはただ開き直っているだけです」
ニン「ウキワさん〜どういうことですか〜?ふふふ〜♪」
シオン「………………………?」
ウキワ「ちょっとこちらへ」
ウキワがレイン達を部屋の隅に連れて行く
事情を説明するためだろう
あっちは大丈夫そうだな
問題はこっち
コブキ「それはどういう…」
はちまん「答えてください」
コブキ「えっと、はちまんさんですか…」
ウキワ「それでエリカ様と…」
レイン「ほえー、よくわかんないなー」
ニン「それって〜」
シオン「………………………はち」
コブキさんは俺を見ながら考えている
なんかドキドキしてきた
中学で女の子に告白したときもこんな感じだったなー
懐かしいなー
コブキ「……はちまんさんとはあまり話したことがないのでどう答えればいいのか」
はちまん「それでもお願いします」
コブキ「…わかりました。では、お答えします」
はちまん「は、はい」
レイン「うわー、ドキドキするー」
ウキワ「…大丈夫です、多分」
ニン「アホ毛くん〜」
シオン「………………………はち」
コブキさんは姿勢を正す
俺も背筋を伸ばす
き、緊張する
コブキ「私ははちまんさんを…」
はちまん「はい…」
コブキ「認めています」
ん?あれ?
俺の期待した答えと違った
あ、聞き方が悪かったか
はちまん「すみません、聞き方が悪かったです。俺の事を信じているかどうかを教えてください」
コブキ「信じていますよ」
はちまん「あれ、そんなアッサリ?」
レイン「うわっ!ぐだぐだ!」
ウキワ「そ、それでも信じているようですね」ほっ
ニン「よかった〜」ほっ
シオン「………………………はち」ほっ
これで俺はこのチームの協力者として動けるが…
果たして本当に?
はちまん「本当ですか?」
コブキ「はい」
はちまん「で、でも俺とコブキさんが話したのって少しだけしか…」
コブキ「はちまんさんが私に聞いたのは話した時間ではなく、私がはちまんさんを信じているかどうかでは?」
はちまん「へ…?そ、それはそうですが…」
コブキ「話した時間と比例して信頼が得られるならば、私は悪人とも信頼関係になれる自信があります」
はちまん「そ、それは極論では…」
コブキ「では、はちまんさんはどう考えているのですか?いいえ、はちまんさんは何に怯えているのですか?」
はちまん「怯えて…?」
コブキ「怯えているから疑問を持つのでしょう。自分を守る為に。ならば聞かせていただきませんか?はちまんさんが何に怯えているのかを」
はちまん「……俺は、裏切られるのが怖い」
コブキ「ならば裏切り返せばいいのです」
コブキ「信頼関係とは人と人との相互関係です」
コブキ「恩も仇も、好きも嫌いも、貸しも借りも、愛する事も愛される事も」
コブキ「なので裏切られたと思ったら」
コブキ「裏切られた事を裏切り返せばいいのです」
コブキ「愛を裏切られたら愛で裏切ればいいのです」
コブキ「だから、そうですね…」
コブキ「私がはちまんさんを裏切ったとはちまんさんが思ったら」
コブキ「私を抱きしめてください」
コブキ「そのかわりはちまんさんが私を裏切ったら」
コブキ「私がはちまんさんに抱きつきます」
コブキ「これを私とはちまんさんの『信じる』という意思表示にしましょう」
コブキ「言葉で言ってもわからない事は沢山あります」
コブキ「だから行動で示しましょう」
コブキ「事前に決めておけば勘違いもすれ違いも」
コブキ「間違いも起こらないでしょう」
はちまん「」ポカーン
俺は何も言えなかった
そんな
そんな簡単な事なのか?
コブキ「あ、でも勘違いはしちゃいますね…ふふ」
そういうコブキさんの笑顔は眩しかった