平成狸合戦ぽんぽこ(ガチ)   作:公家麻呂

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14話 邂逅 

 

 

「諸君!我らは道中、山の変貌をつぶさに目にしてきた。同情に堪えん!!ただちに招集をかけて、今夜大集会を開いていただきたい!」

 

四国より来た金長狸の言葉によって、四国三長老を迎えて決起集会が開かれた。

しかし、金長の要求通りの即日での集会とはならなかった。

 

5日後の満月の夜に開かれることとなった。

これは、共闘勢力に当たる藤野の狸たちにも四国三長老の到着を知らせるべきと言う意見が、臨時長老会議で出たためであった。

 

会議で大集会延期が決まった、その日の夜。

藤野の林より、返事の使者が来る。

その使者は、1週間後の大集会開催を要求した。

使者を介した林の回答は、以下の通りである。

多摩丘陵の狸たち同様に、ニュータウン開発に苦しんでいる狸たちにも連絡し、大集会に参加させたいという旨が伝えられた。

これを伝え聞いた。四国三長老は多摩同様の開発が関東近郊で複数進んでいることを危惧し、彼らの参加を認め。1週間後に大集会開催とした。

 

1週間後、ニュータウン計画及び土地開発計画によって危機に立たされている関東圏の狸たちの代表団が到着。

 

万福寺には全国的に有力な狸たちが集結した。

 

 

三長老の中心格である真ん中に立つ老狸が口を開く。

その、穏やかな声の中に力強さを感じた狸たちは、普段の様なおちゃらけた態度はなかった。

 

「今宵はよい月が出とるのう。皆の衆…、儂は屋島の禿じゃ。今年で999歳になる…。」

 

次に刑部狸が語りだす。

「諸君!本州に比べて、四国の開発が進んでないのか?それは我々狸が、御山をしっかり守っているからである。四国では狸を怒らせたら、どんな災難がふりかかるかを人間たちはよーくわきまえておる。その証拠に、各申すここに居並ぶ3人はすべて神社仏閣にまつられ、人間にあがめられているのじゃ!申し遅れたが、儂はかの八百八狸を統率する松山の陰神刑部である!」

 

三人は御神体に変化して注目を集める。

老狸の中には手を合わせたり平伏するものすら現れる。

 

「私はかの金長大明神の末裔、六代目金長である。我らは東京の人間をあっとしさる為に、秘術・妖怪大作戦を発動することを決めた。この妖怪大作戦には恐るべき精神集中力を必要とするため。我らは術に準じて命を落とすやもしれん。しかし諸君。諸君らがこの作戦を誤りなく完遂するならば…。人間どもは必ず、我々狸に対する尊敬と畏怖の念を、その心に取り戻すにちがいないのじゃ。」

 

狸たちが握手と歓声で応じる。

「「「「わぁあああ!!」」」」「「「「おぉおおお!!」」」」

 

「そうなれば!その驚き慄き恐れる心を翻弄し、開発を中止させることが一気にできるであろう!!打てる手はいくらでもある!我らはカチカチ山の泥船ではなく、大船を諸君らに用意してきたつもりだ!!諸君!!安んじて我らの船に乗ってもらいたい!!」

 

刑部が腕を突き上げて演説する。

 

 

「「「「「「「わぁああああああ!!」」」」」」」「「「「「「「おぉおおおおおお!!」」」」」」」

 

そして、最後に禿が口を開く。

 

「わしらは満月が好きじゃ。この満月にわしらの企ての成功を祈ろうではないか。のぅ、皆の衆。」

 

禿の言葉に多くの狸が頷き、満月に手を合わせた。

 

真剣に…。

 

かくして、多摩丘陵における妖怪大作戦は関東圏の狸たちの見守る中、発動されるのであった。

 

 

 

 

 

 

四国三長老の到着を機に、各所へ送られた使者たちが帰還もしくは、何らかの方法で連絡してくることが増えた。残念ながら、使者に送ったもの達の大半からは、頼りにした大妖怪の訃報や、神々がすでに現世にいないことが知らされる内容であった。

 

一部の例外として諏訪大社の神々と言った存在もいたが、人間と対立するような行動は神々には受け入れられず。生き残りの極わずかな妖怪たちもほぼほぼ門前払いであった。

 

そんな中で、一つの勢力から謁見の許可が下りた。

 

東京都内に潜伏している吸血鬼の集団のまとめ役に当たる家系の頭首であった。

 

義男は変化術を行使し、影を含めた自身の側近数名を連れて都内某所のホテルの最上階にいた。

 

エレベーターに乗った義男たちは背広を着こみ、ホテルの上層階へ到着した。

影を連れてきたのは、影が最も強いからと言う単純な理由であった。

 

エレベーターを降りると中華装束を来た女性が待っていた。

女性の持つ圧倒的な妖気に圧倒される一同であったが義男はなんとか声を絞り出す。

 

「馬引沢の義男様ですね。我が主が御待ちです。」

「あ、案内をお願いします。」

「こちらへ…。」

 

すれ違う、貴人たちもただならぬ気を感じる。これが吸血鬼と言う存在か。

中華装束の女性に案内された部屋の向こうには、玉座としか表現できない空間が広がっていた。一応の応接室であったが、部屋の主が醸し出す空気が、そこを玉座たらしめていた。

 

義男はその場で膝をついた。

 

「この度は、このような機会を設けていただきありがとうございます。」

「えぇ、そうね。幻想が滅びつつある現世において、神秘を再興させようとしているかのようなあなたたちに興味を抱いただけ。」

 

玉座の主、レミリア・スカーレットは義男に顔を上げるように指先を動かす。

義男は、意を決して顔を上げるとそこには圧倒的な存在。力とカリスマが具現化した様な存在がいたのだ。

思わず、言葉が詰まりそうになるが何とか声を絞り出す。

 

「ぶ、無礼を承知で!お願いしたき誼があります!!」

「一応は聞いてやる。」

「わ、わたしは多摩丘陵馬引沢の義男と申すもの。この度、スカーレット卿にお目通り願ったは、そのお力を多摩丘陵開発阻止のために奮っていただきたく参った次第!!何卒、哀れな多摩丘陵の狸にお力をお示しください!!」

 

レミリアは、少しだけ思案するも要望を拒否した。

 

「確かに、力なきお前らに同情が全くないわけでもない。だが、貴様らに協力することはできない。我々はもうしばらくしたらこの地を去るわ。」

「そ、そんな。」

 

「幻想郷、この世界唯一の妖怪の隠れ里。聞いたことはあるでしょう?私たちはそこに行くつもりよ。悪いわね…。」

 

レミリアはそう言って玉座を降りて部屋を後にしようとするが、影を見て立ち止まる。

 

「ほぅ…狼とは珍しい。この狼、貴様に従っているのか?」

 

レミリアはそう義男に尋ねる。

 

「影は、家族です。私が守りたい仲間です。」

 

レミリアは義男の目を見る。しばらくそれは続いた。

義男は、目をそらさず見返した。

 

「家族…仲間ね……気が変ったわ。でも、さすがに直接手伝うわけにはいかないわ。だけど、これくらいはしてあげる。」

 

そう言って、義男の前に短槍を放る。

 

「これは、グングニルのコピー品だ。私の友である魔法使いのパチュリーが作ったものだ。何かの役に立つはずだ持っておけ。」

 

義男は再度、手を貸してほしいと歎願しようとしたが声が出なかった。

若干の妖怪化があっても妖怪としてはまだまだ未熟。レミリアとは義男では天と地ほどの差があった。彼女のカリスマにあてられた義男に声を出せと言うのが無理であった。

そうしているうちに、レミリアとレミリアの友人の魔女は部屋を出ていった。

 

義男の側近は、まだその場にいた中華装束の女性に懇願するような視線を向けるが、反応はなかった。帰れと言う意味だろう…。

 

義男たちは、短槍をもらった以外は大した成果なく。

ホテルを後にすることとなった。

 

 

 

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