平成狸合戦ぽんぽこ(ガチ)   作:公家麻呂

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昨日閲覧した皆さま、失礼しました。
これが正しい投稿順です。


16話 それぞれの…

 

妖怪大作戦は成功、狸たちは刑部や義男と言った負傷者を除いて連日連夜の宴会騒ぎであった。

 

その片隅では、インテリな狸たちを相手に金長と禿が講釈をしている。

 

「真相究明が進めば進むほど。人々が目にし耳にしたものは、決して神経の見せるものではなく、認めざるを得んようになるであろう。そして、いかなる科学も合理的解釈も、この謎は解けないことを理解する。」

「そして、人間たちは森羅万象の神秘に驚き、いかに人間が小さき存在かを思い知るのじゃあ。諸君、果報は寝て待て、でも寝るのは惜しい。ならば、祝え。飲めや歌えや、踊らにゃ損じゃ。」

 

そんな狸たちでさえ、浮かれるほどであった。

 

しかし、その数日後事態は思いもよらない方向へ進みだす。

 

『先日の妖怪騒ぎは、ワンダーランドの宣伝隊であったことがわかりました。』

 

『この度、世間をお騒がせしたことを心からお詫び申し上げます。当社が総力を結集して建設しているワンダーランド、このワンダーランドのすばらしさを知っていただくためには,

街頭に出て無料奉仕で皆さんに楽しんでいただくしかない。そう考えた次第でございます。』

 

怒りに打ち震えた権太はTVを怒りのままに破壊した。

このニュースは狸たちを大混乱に陥れた。

多摩丘陵の狸たちはこの報道に激怒し、事態の無念さに悲憤慷慨し、悔し涙に暮れたあと、頭を抱え、すっかり無力感に陥ってしまった。

 

この報道が意味することは、狸たちの総力を結集した化け学作戦であった妖怪大作戦は失敗に終わり、強欲な人間の食い物にされると言う狸たちにとって、最も望まぬ結果になってしまったということであった。

 

また、人間たちの乱開発に脅かされていた日本中の狸たちにとって、四国三長老が主導した妖怪大作戦に対する期待は大きかった。それ故に、失敗による反動は非常に大きいものであり、狸社会に暗雲が立ち込めたのであった。

 

また、映像に残っていなかったこともあり報道は次第にしりすぼみになり、妖怪パレード騒ぎはたちまち沈静化してしまったのであった。

 

 

この頃になってようやっと佐渡に旅に出ていた文太が、佐渡より二つ岩マミゾウを連れて戻って来たのであった。

 

しかし、四国三長老たちであったが陰神刑部は作戦の際に消費した力の消費により、余命いくばくもない病床の者となり、屋島の禿は意気消沈し心身喪失状態となっており、まともに応対できたのは金長狸だけであった。

 

一度は、関東を中心に結束しつつあった狸たちであったが、その結束は綻びを見せ始めていた。

 

 

 

金長とマミゾウは、マミゾウの所有する都内の高層マンションの一室で会合を開く。

 

「この、おかしい世界を作ったのが人間だ。あたしら狸が寄り集まったところで…、これをどうこうできると思うか?金長よ…。」

 

「我ら狸も、狐に倣い人間として人間の世界に潜るしかないのであろうか。」

 

金長の言葉にマミゾウは、難しい顔をしてから重たい口を開く。

 

「それしかないのではないか…。それに、全ての山林が消えるわけではないんじゃから…。」

 

金長の肩を落とした姿に、マミゾウは幻想郷に来いと言うことが出来なかった。

あくまで故郷に居続けることに拘る狸社会と、幻想郷の作りの関係で、別段忘れられたわけでもない狸たちの大規模移住など、どんなに贔屓目に見ても妖怪未満の変化狸では大規模移住の際に人目を引いてしまうことへのリスクを幻想郷の管理者が認めるとは思えなかったからだ。

 

そして、今なお狸たちを守ろうと思案する金長に、自分たちだけ助かろうなどと厚顔無恥なことなど言える訳がないと、マミゾウも一層表情を暗くした。

 

 

マミゾウや金長が、多摩を離れていたころ。長老会議では議論が重ねられたが、これと言った成果はなく、会議の形骸化が始まっていた。

 

形骸化した長老会議に見切りをつけた権太は、傷の癒えた義男と共に強硬派の仲間を公然と募り始めた。

 

妖怪大作戦の失敗は、事を起こした狸たちを意気消沈させたが、逆に他の者たちをたきつけることに成功していたのであった。

 

そして、義男たちが仲間集めに勤しんでいた時。彼らは接触してきたのであった。

 

「お久しぶりですね。何年か前に鈴ヶ森まで送った時ぶりですか?」

 

「貴方は…。」

 

堀之内の竜太郎を中心とした狐たちであった。

 

妖怪大作戦を見ていたのは人間だけではなかった。

狐や化け猫と言った変化者たちの目にも止まっていたのだ。

 

 

義男や権太と言った強硬派、病身を押してやってきた刑部らは、狐たちの持つ料亭で大きな席を持つこととなった。

 

この席には、多摩以外の強硬派たちも列席し、この会合で話し合われる内容がいかに重要なものかを物語るものであった。

 

「かつて、我々狐は人間に一矢報いることなく、こうして人間社会に潜むことを選択しました。ですが、しょせんは違う生き物、どこかで綻びが出て来るものなのでした。我々は皆さんの妖怪パレードを見たときに思ったのです。なぜ戦わなかったのかと…」

 

竜太郎の言葉に、狸の一匹が水を差す。

 

「だが、俺たちは負けたぞ。」

 

「そうでしょうか?すべてから逃げて妥協した我々狐と、人間に一矢は報いた皆さん狸とでは、やはり違うのではないでしょうか?それに、完全に止めることこそできていませんが、開発を遅れさせることは出来たではないですか?」

 

「あぁ、確かにその通りだ。俺たちは人間が憎い!!人間に紛れているお前たちはどうなんだ?」

 

権太の言葉に、向かい側に座る狐たちはこちら側をにらみつけるようにしてから口を開く。

 

「…憎い。憎いに決まっています!皆さんとは違って、一旗揚げ損なった我々が、皆さんのパレードを見て、どれだけ自分たちを情けなく思ったか!」

 

「竜太郎さん。」

 

「私たちは、皆さんより長く人間と言う生き物を見てきたことか。だから、わかるのです。あの不自然で理不尽な生き物が、いかに歪んで醜い存在かを…。狐の妖怪で有名なのは九尾の狐です。かの大妖怪は、陰陽師に封印された後も殺生石と呼ばれる瘴気を出す石として、人間たちに呪詛を吐き続けました。」

 

狐たちの目が妖しく光る。

 

「狸の皆さんの気持ちが、私たちにも伝わってきましたよ。憎しみの感情が…ね。私たちは同志です…人間を憎む同志です。今こそ奴らに罪を贖わせるときです。今こそ血の贖いを…。」

 

 

 

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