スーパーロボッコ大戦   作:ダークボーイ

33 / 39
EP33

「下では何かやってるみたいね」

「まあね。でも、貴方はここから動かさないわよ」

「ふうん、それが何分続くかしらね」

 

 激戦の続く上空、イミテイトとオリジナル、二人のフェインティアが一進一退の攻防を繰り返していた。

 互いにダメージは浅からず、双方の攻撃ユニットにも損傷は及んでいた。

 

「不意打ちにしか使えないあんなチビ集めた所で、何をするつもりかしらね~」

「今に分かるわよ、シュート!」

 

 先程送信されてきた無茶としか言い様のない作戦を、イミテイトに気付かれないようにフェインティアが砲撃艦をイミテイトへと向けて発砲していく。

 

「そろそろ、アンカーユニット残して墜ちなさい!」

「あんたの方こそね!」

 

 二つの紅い閃光がぶつかり合う中、その下で別の煌きが生じた事に、フェインティア・イミテイトは気付いていなかった。

 

 

「刃持つ者は続けぇ!」

 

 封印していた烈風丸を引き抜いた美緒を先頭に、手に手に刀剣を携えた者達が一斉攻撃で生じた敵の隙間から一斉に突撃する。

 突撃した者達の狙う先、武装神姫達の一斉攻撃で作られた、一直線の傷跡に刃が次々と振り下ろされる。

 

「烈風ざ…」

 

 先陣を切って白刃を振り下ろす美緒だったが、刃にまとっていた魔力の燐光が相手を斬り裂く前に薄れて消失する。

 

「くっ、私にはもうそれだけの力も………」

 

 烈風丸が半ばまで食い込んだ所で止まり、美緒は愕然とその光景を見つめる。

 

「どうした坂本、力だけに頼るのがお前の剣か?」

「先生!?」

 

 動きが止まった美緒に突然掛けられた声に、美緒が振り向くと、そこには師である北郷の姿が有った。

 

「魔力が足りぬのなら技で補え。それで十分斬れる」

 

 手本を示すように、北郷はほとんど魔力の篭ってない二刀でワームの体をえぐってみせる。

 

「もたもたしていると、後輩に抜かれるぞ。ほれ」

 

 北郷が周囲を指さすと、そこには一斉に得物を振るう皆の姿があった。

 

「ライトニング~スマーッシュ!」

「MVソード!」

 

 ユナがマトリクスディバイダーPLUSを振りかざし、音羽がMVソードで連撃を刻んでいく。

 

「エレガントダンス!」

「トネール!」

 

 エリカがエレガンドソードの連撃を放つ隣で、ペリーヌが雷撃をまとったレイピアの刺突で白鯨型ワームをえぐっていく。

 

「MVランス!」

「おりゃああぁぁ!」

 

 エリーゼがランスを突き刺し、義子が気合と共に扶桑刀を一閃させる。

 その光景を見ていた美緒の顔に、鋭さが戻ってくる。

 

「手を休めるな! 再生する前に攻撃し続けろ! 次の段階への準備も!」

 

 半ば自らを叱咤するように叫びながら、美緒も白刃を振るう。

 武装神姫達によって穿たれた点が、明確な線へと広がっていった。

 

「退避! 次の段階へ!」

「ほらあなたも!」

「これは~~どう~~も~~」

 

 美緒の号令と共に、刃を振るっていた者達は一斉に退避、最後に詩織を伴ったペリーヌが距離を取る中、代わりに迫ってくる者がいた。

 

「魔力同調シーケンス、出力最大。行けます姉さん」

「よおし、全開・シュツルム!!」

 

 姉妹二人分の魔力を注ぎ込んだホルス1号機が、疾風をまとって高速旋回しながら無数の斬撃によって生じた線を更に深く、大きくえぐっていく。

 

「い、っけえええぇ!!」

「突破、します!」

 

 ハルトマン姉妹はありったけの魔力を注ぎ込み、白鯨型ワームの尾の付け根に浅からぬ傷跡を刻みこむ。

 

「次、行きますわよ! 全員準備!」

『おう~!』

「エグゼリカ!」「はい姉さん!」

 

 そこでペリーヌを先頭に電撃を扱える者達が集結し、トリガーハートがアンカーを外したのと同時に、一斉に電撃を放つ。

 

「トネール!」「スタンオール!」「プラズマリッガー!」

 

 電撃の嵐が再生しようとしていた部位を堰き止め、至らない部分は更に状態異常を引き起こす攻撃が次々と叩き込まれていく。

 

「あいつら、何を…」

「よそ見している暇は無いわよ!」

 

 ようやく下の様子がおかしい事に気付いたフェインティア・イミテイトだったが、そこにフェインティアがアンカーとビーム攻撃を同時に叩き込み、防戦に回らざるを得なくなる。

 

「観測位置 送信、マーカー撃ち込みます!」

「総員退避! 巻き込まれるぞ!」

 

 大きく穿たれ、一時的に動きを封じられた白鯨型ワームに、可憐の風神からマーカー内蔵ミサイルが撃ち込まれ、その情報が攻龍へと送られていく。

 同時に、美緒の号令で攻撃に参加していた者達が一斉に距離を取り始める。

 

「詳細位置、入力完了!」

「全誘導弾、発射」

「発射!」

 

 門脇艦長の号令で、攻龍の後部ランチャーからありったけの誘導弾が発射される。

 マーカーの情報を元に、誘導弾が次々と穿たれた傷跡に命中、大きくその体を吹き飛ばしていく。

 

「ようし、これなら!」

「いや………」

 

 爆風が吹き荒れる中、音羽は成功を確信しかけるが、魔眼を発動させていた美緒は冷静に効果を確認していた。

 

「攻撃部位が再生を始めています! 追加攻撃を!」

『それが、誘導弾は残弾が有りません!』

「ウソッ!?」

「火力の有る人達は再攻撃を…」

 

 可憐が風神のセンサーをフル稼働させて予想よりも白鯨型ワームの防御・再生力が高かった事を報告するが、返ってきたのは絶望的なタクミからの返信だった。

 エリーゼが思わず裏返った声を上げるが、そばで聞いていたポリリーナが残った火力を結集させようとした時だった。

 

『皆どいて!』

「総員、大和の直線上から退避!」

 

 亜弥乎の声と同時に、彼女が何をするつもりなのか悟ったミーナが叫ぶ。

 皆が慌てて左右へと避けた直後、轟音と共に大和から放たれた46cm砲弾が次々と再生を始めた部位にピンポイントで炸裂していく。

 のみならず、本来ならあり得ない連射速度で砲弾が発射され続ける。

 

「これは…」

「亜弥乎ちゃん!」

 

 美緒ですら茫然とする中、ユナは思わず叫ぶ。

 大和の艦上、その第一砲塔の上にしゃがみこんだ亜弥乎が、自らの能力で腕から伸ばした無数のケーブルを大和へと侵食、制御する事でこの時代にはあり得ないピンポイント砲撃と速射を行っていた。

 

「これじゃ足りない! そっちも!」

 

 亜弥乎は更に腕から伸びたケーブルを侵食させ、破損していた第二砲塔の破損部分を無数のケーブルで修復、二つの砲塔、計六門の46cm砲が続けざまに砲声を轟かせ続ける。

 

「すさまじいな………」

「ええ、しかし………」

 

 杉田艦長が明らかにスペック以上の攻撃をしている砲塔を見つつ呟くが、土方は冷静にその回数をカウントしていた。

 

「残弾は」「残り10発を切ります! それよりも…」

「砲塔上のウィッチに連絡! それ以上は砲身が持たない!」

 

 土方が持ち込まれていた通信機をアーンヴァルに教わった手順でなんとか操作しつつ叫ぶ。

 元から連射なぞ想定されてない46cm砲は、亜弥乎による連射でかなりの負荷が生じ、砲身内は赤熱化しつつすらあった。

 

「あと、もう少しなのに………!」

 

 白鯨型ワームの尾はすでに千切れかけ、あと一押しという所だったが、亜弥乎自身、砲塔の限界は感じており、ましてや旧式とは言え、これ程の大型艦の巨砲を単独で制御する無理と激戦の疲労も重なり、すでに暴発の危険性でこれ以上は撃てない事を悟らずにはいられなかった。

 

「艦長、こうなったらコアシステムを!」

「あれはオペレーションマルスの切り札だ、だが………」

『あと一撃、こちらで用意しよう』

 

 そこに飛び込んできた通信に、大和のブリッジ内では艦長含め数名が首を傾げた。

 

「今の声、どこかで………」

 

 

「坂本、皆を退避させろ。シールドも全開で張れ。私は無理だが」

「分かりました先生。宮藤! 済まないがこちらに来てくれ!」

「は、はい坂本さん!」

「宮藤? そうか宮藤博士の娘さんか」

 

 芳佳の方を横目で見ながら、北郷は懐から何かの装置を取り出す。

 

「急いで! 再生が始まってる!」

「先生、一体何を…」

 

 皆を退避させながらポリリーナが叫び、準備が済んだ事を確認した北郷は装置のフタを外し、そこにあるスイッチを押し込んだ。

 僅かな間を持って白鯨型ワームのそばにあった伊901が突然爆炎を吹き上げ、白鯨型ワームを巻き込んで爆裂していく。

 

「さ、坂本さん、これって!」

「自爆装置!? なんでそんな物が………」

「あれの技術を他の国に知られたくない、軍上層部の連中が仕掛けたらしい。もっともあんな欠陥品、私はハナから用が済んだら沈めるつもりだったからちょうどいい」

 

 爆発に巻き込まれ、白鯨型ワームが大きくを身をよじらせる。

 再生しかけていた尾はその爆発によって千切れて崩壊しながら水中へと没していった。

 

「よし、やったぞ!」

「次の段階へ! 負傷した者、弾薬の少ない者は下がれ!」

 

 皆が歓声を上げる中、白鯨型ワームは苦悶するかのように身をよじらせ続け、周囲を大波が荒れ狂う。

 そんな中、白鯨型ワームはその巨大な口腔を開き、残っていた全戦力を放出しようとした。

 

「待っていたぞ、その時をな」

 

 白鯨型ワームの正面、そこにはルーデルを中心としてナイトウィッチ達のような重火器を装備したウィッチ、そしてD・バースト発射体勢を整えた天使達が待ち構えていた。

 

「Feuer!!」「発射!」

 

 カールスランド語の号令と、ジオールの号令を合図に、無数の大口径弾とロケット弾、そして全RVのD・バーストが今まさに飛びたたんとする敵性体がひしめく白鯨型ワームの口腔へと叩き込まれていく。

 口腔内で無数の爆発が連鎖し、吹き荒れた爆炎と爆風がそこにいた全てを巻き込み、焼きつくし、押し潰して外へと噴出する。

 

「うひゃあ!?」

「退避!」

 

 吹き出した火柱に亜乃亜が思わず悲鳴を上げ、ルーデルが号令をかけるまでもなく、ウィッチ達は全弾発射と同時にその場から退避していた。

 

「内部の敵反応、ほぼ喪失」

「あれだけ叩き込んだのじゃ。効いてないはずなかろう」

「目標も静止、でもこれは………」

 

 サーニャ、ハインリーケ、ハイデマリーの三人が各個に魔導針で状況を確認する中、前後共に深刻なダメージを受けた白鯨型ワームが沈黙するように動かなくなる。

 

「よし、今の内に…」

「まだ構成セルが多いです! もう少し減らさないと!」

「総員次弾装填!」

「各機、LASER斉射を…」

 

 

 音羽が出ようとするのを可憐が制止、まだ相手のダメージが足らない事を素早く計算し、それを効いたルーデルとジオールが駄目押しを叩き込もうとする。

 

「待て、これは!」

「目標のエネルギー上昇! これはさっきのと同じ…」

 

 ハインリーケと可憐が同時に叫ぶ。

 説明よりも早く、白鯨型ワームの頭頂部、本来のクジラなら鼻にあたる部分に光が宿り始める。

 

「さっきの拡散ビーム!?」

「撃たせたら終わりよ!」

「総員攻撃を…」

 

 それが先程、艦隊を壊滅状態に陥れた拡散ビーム攻撃の予兆だと悟った者達が、口々に叫びながら一斉攻撃を開始しようとする。

 

「行くですぅ~~~!!!」

「どおりゃああああ!!」

「ええ~~い!!」

 

 後ろから響いてきた声に、何人かがそちらを振り向き、硬直する。

 そこではユーリィを中心とし、バルクホルンや真美のようなパワー型ウィッチも協力し、総員退避して無人となった空母を持ち上げていた。

 

「手が足らん! 力が余ってる者は手を貸せ!」

「貸せって言われても………」「今行きます!」

「エグゼリカ!」「はい姉さん!」

 

 必死になってるバルクホルンの声に圭子は引きつった顔をするが、芳佳を始めとした若いウィッチ達が次々と応援に向かい、クルエルティアとエグゼリカはアンカーを持ち上げられていく空母へと突き刺す。

 

「それじゃあ、みなさ~ん! せえの!」

『せえの!!』『アンカーパージ!』

 

 ユーリィを先導にし、ウィッチ達とトリガーハートのアンカーで持ち上げられた空母の巨体が、今にも拡散ビームを発射しようとする白鯨型ワームの、その発射口へと叩き落とされる。

 発射寸前のビームに鋼鉄の塊が衝撃を伴って直撃、すさまじい爆発が巻き起こり、周辺を赤く照らし出す。

 

「よし!」

「いいのかしら………」

 

 間違いなく大ダメージを追わせた事にマルセイユがガッツポーズを取るが、圭子は思わずカメラを構えたまま呆れる。

 

「ねえティナ。今の撮ったけど、売れると思う?」

「4月1日用ならな」

「後で焼き増しを頼む。執務室に飾りたい」

「はあ、構いませんが………」

 

 ガランドも楽しそうに見つめる中、爆炎もまだ消え去らぬ中、ソニックダイバー達が突撃していく。

 

「構成セル35%超喪失! セル再生速度低下! 今です!」

『ペンタゴンフォーメーション、発動!』

「ペンタゴンフォーメーション!」

「「ペンタゴン・ロック」座標固定位置送りますっ!!」

 

 可憐の報告を聞いた冬后がフォーメーション発動を指示、瑛花の号令と同時に五機のソニックダイバーが白鯨型ワームの直上を取ると、綿密にシミュレーションされた座標にそって急降下していく。

 

「チャンスは一度だけ………! 行くよゼロっ!」

「ミラージュ! ミラージュ・キャノンの用意!」

「総員援護射撃開始!」

「D・バースト用意!」

「有事に備えて各マスターの元へ!」

「上空のイミテイトを抑えるわ!」

 

 全員が一度きりのチャンスを絶対成功させるため、総力を上げてソニックダイバー隊を支援する。

 

「座標、固定OKっ!!」

「4!」「3!」「2!」「1!」

『ペンタゴンロック!』

 

 無数の援護射撃の中、突撃した零神がMVソードを半ばまで一息に突き刺し、ソニックダイバー五機がかりでホメロス効果を強制発動させる。

 

『セル強制固定率、35、40、45』

「人工重力場の出力が足りません! このまだと目標の完全捕捉が困難…」

 

 七恵と可憐の報告が続く中、人工重力場に覆われ空中へと持ち上げられていく白鯨型ワームだったが、体の一部が突如として触手のように伸びたかと思うと、重力場の一部を突き破る。

 

「漏れてきたぞ!」

「せえのぉっ!」

 

 誰かがそれに気付いて叫ぶが、そこへホルス2号機に乗ったユーティライネン姉妹が接近、アウロラが手にした巨大スコップを漏れてきた触手へと渾身の力を込めて叩きつけ、強引に引っ込めさせる。

 

「さあ次はどこだ!」

「右上、一時の方向ダ! 他にもあちこち出てクルぞ!」

 

 エイラの未来予知で探った場所に急行する中、他の場所から漏れ出てきた触手にソフトボールとサッカーボールが直撃して叩き返す。

 

「大リーグシューター!」「ハリケーンシュート!」

 

 マミとルイが次球を用意し、別の箇所から漏れてきそうになった触手を発見すると即座に発射していく。

 

「反対側、誰か回れ!」

「過度の攻撃は重力場の破損に繋がるわ! 叩き返すくらいで!」

 

 ガランドの指示にマドカの忠告が重なり、ウィッチや光の戦士達が散開しながら漏れてきた部分を叩き返し始める。

 

「なんだってこんな悪趣味なもぐら叩きする羽目になるのよ!」

「最後の悪あがきだ! やり過ぎるとこのシールドは壊れそうだ!」

 

 ゴールドアイアンを降る舞の隣で、大型機関銃の銃身部分を握ってハンマー二刀流を振るうバルクホルンが怒鳴り返す。

 

「おりゃああぁ!」

「あっちの小さい子、素手で殴り返してるわよ………」

「それはやるな」

「もう少しで完全にセルが固定出来ます!」「そうすればこいつは動けなくなるよ!」

 

 他にも奮戦してる者達を横目で見ていた舞とバルクホルンだったが、M4ライトセーバーを手にしたアーンヴァルとジレーザ ロケットハンマーを振りかざしたストラーフがすれ違い様に告げると、二人で頷いて得物をかざす。

 

「これで失敗したら覚えてなさいよ!」

「覚えてる暇があればだがな!」

 

 互いに捨て台詞を吐きつつ、二人はあらん限りの力で得物を振り下ろした。

 

 

 

「はあっ………はあっ………」

「大丈夫?」

「あと少しだ。持たせる」

 

 明らかに呼吸が荒く、目に見えて疲弊しているアイーシャの隣で、サーニャは警護にあたっていた。

 ほとんど壊滅させたが、今だ僅かに残っている敵機が、動けないソニックダイバーめがけて集中攻撃をしかけ、ウィッチや天使達がなんとかそれを防いでいる状況だった。

 

『60、65、70…』

「………今の内に言っておく。皆に、手伝ってくれてありがとう、と」

「そう言う事は、終わってから皆の前で言った方がいい」

「それは出来ない。私は、この機体に乗っている間の事を記憶出来ない。MOLPが高過ぎる副作用だ」

「え………」

 

 いきなりの告白に、サーニャが思わずアイーシャの方を見つめる。

 

『75、80…』

「ウィッチや天使、光の戦士やトリガーハート、それに武装神姫の子達、皆がいたからこそ、この作戦を発案出来た。だから、ありがとう」

「今言わない、フラグ立つ」

 

 淡々と礼を述べるアイーシャに、近寄ってきていた敵を撃破したティタが近寄り、その言葉を遮る。

 

「アレは私達全部の敵、だからお礼いらない」

「そう~~~ですね~~~」

「そうか」

 

 いつの間にか背後に来ていた詩織もティタの意見に賛同する中、アイーシャは機体の制御に集中する。

 

『85、90…』

「ロックが完成したら、一斉攻撃する。準備を」

「了解」「いつでもok」「分かりました~~」

『95…』

「今だ!」

 

 

 

『セル強制固定完了!』

「全機退避! 一斉攻撃準備!」

「お願いミラージュ!」

『はいユナさん。転移ゲート座標設定、ミラージュ・キャノン発射!』

 

 セルが完全固定され、人工重力場の中に封じ込められた白鯨型ワームに全員が一斉に攻撃体勢を取る中、人工重力場の真下に転移ゲートが出現、そこからすさまじいエネルギーの砲撃が発射された。

 

「今っ!!」

 

 ユナの声を号令とするかのように、全員が一斉に攻撃を開始する。

 人工重力場ごと白鯨型ワームを貫いたミラージュ・キャノンに合わせ、直撃を受けなかった部分にも無数の弾丸、レーザー、ビーム、そして固有能力等のありったけの攻撃が叩き込まれ、限界に達した白鯨型ワームが構成セルを崩壊させながら爆散、盛大な爆炎が天高く吹き上げていく。

 

『目標、完全消滅確認!』

『オペレーション・スーパーノヴァ、完了です』

「やったああ!」

「私達、勝ったんだ!」

 

 七恵とカルナダインからの通信を聞いた者達誰もが喝采を上げ、死闘の決着をおおいに喜ぶ。

 

『ソニックダイバー各機、帰艦してください』

「負傷した者は手近の艦に着艦して治療を。治癒系のウィッチを集結させよ」

「RV各機、機体状況を確認」

「さて、残るは………」

 

 それぞれが残務処理に入る中、何人かが上空を見る。

 そこには、4つの影があった。

 

「今度こそ、逃がす訳にはいかないわね」

「そうだね」

「もう一戦くらいならば、どうにか」

 

 ポリリーナが中心となり、それにハルトマンやジオールが近寄り、残弾やエネルギー残量をチェックする。

 

「じゃあ、行きましょう」

 

 僅かにしか残ってない余力を振り絞り、ポリリーナとミサキの瞬間移動で、それぞれのエース達がその場から掻き消える。

 

「あれ、あれ? ニパさんがいませんわよ!?」

「あ、ひょっとしてさっき爆発に何か人型っぽいのが混じって飛んでったの………」

「大変! でもどこに!?」

「だから上に………」

 

 

 

「そんな、あいつが破壊されるなんて………」

 

 完全に想定外の結末に、フェインティア・イミテイトは茫然とする。

 

「みんなの、いえ私達の力を過小評価し過ぎていたのでしょうね」

「残ったのは貴方だけです!」

「さて、どうする?」

 

 クルエルティア、エグゼリカ、フェインティア、三機のトリガーハートが三方向からフェインティア・イミテイトを包囲し、砲撃艦をサイティングする。

 さらにそこへ、瞬間移動してきた者達が素早く展開、周囲を完全に包囲した。

 

「貴方には聞きたい事がたくさんあるわ」

「お礼も色々しないとダメだよね」「まだ魔力、機体共に余裕は残ってます」

 

 バッキンボーを構えるポリリーナの対角線上で、ハルトマン姉妹がやる気満々で魔導エンジンの出力を上げる。

 

「オペレッタが次元サーチを開始しています。どこに飛んでも、必ず突き止めます」

「ま、逃がす気なんてないけどさ」

「全くだ」

 

 ジオールがRVのコンソールから幾つか操作を行う中、クルピンスキーとルーデルが正確に銃口を突きつける。

 

「ふむ、これが北方戦線を荒らした紅い悪魔か。噂は聞いていた」

「気をつけて、強いわよ」

 

 マルセイユが銃口を向けたまま興味深そうに相手を見つめ、ミサキは少しでも動こうとしたら引き金を引くべく、人差し指に力を込める。

 

「はは、トリガーハートならともかく、有機生命体程度にこの私が…!」

「ぁぁぁぁぁ………」

 

 ほとんど撃破され、一機だけとなった砲撃ユニットをフェインティア・イミテイトが操作しようとした時、どこかから声が聞こえてきた。

 

「今の声、どこから…」

「あ」

 

 フェインティア・イミテイトをサイティングしたまま、エグゼリカが周囲をサーチしようとした時、ふと上を見上げてハルトマンが声を漏らす。

 

「ぁぁぁぁあああああ!!」

 

 それが上から響いていくる悲鳴だと全員が気付き、僅かに上に視線をずらす。

 フェインティア・イミテイトも思わず上を見た時、誰もが予想外の事が起こった。

 

「ああああ!?」

「!?」

 

 悲鳴の主、運悪くミラージュ・キャノンの砲撃で巻き上げられた破片にぶつかり、そのまま爆風に巻き込まれ、挙句にストライカーユニットが両足からスッポ抜けて高空から自由落下する羽目になったニパが、落下の勢いそのままに、偶然上を見上げたフェインティア・イミテイトの顔面に、脳天から直撃した。

 

『あ………』

 

 当人以外のその場にいた全員が、間の抜けた声を漏らすしか出来なかった。

 直撃の威力で、ニパの頭部から鮮血が、フェインティア・イミテイトの額から砕け散ったコントロールコアが両者の激突面からこぼれ落ち、僅かな間、上下逆の両者はそのまま静止したかと思うと、二人そろって力を失って崩れ落ちるようにして落下していく。

 

「! カルノバーン・ヴィス!」「行ってディアフェンド!」

 

 我に帰ったクルエルティアとエグゼリカが同時にアンカーを射出。

 クルエルティアのアンカーがフェインティア・イミテイトを、エグゼリカのアンカーがニパをキャプチャーし、そこでようやく全員が硬直から復帰する。

 

「大丈夫かニパ君!」

「イミテイトはすぐに拘束! そっちの彼女はすぐに手当を! 誰か芳佳さんを呼んできて!」

「オペレッタ! 特殊拘束帯を用意して!」

「………私の偽者とは言え、なんて間抜けなやられ方するのよ」

「予想外の要素とは往々にして起きる物だ、マイスター」

 

 皆が拘束や治療の準備をする中、がっくりと肩を落としたフェインティアの肩を、下から戻ってきたムルメルティアが小さい手で叩く。

 

「フェインティア! 彼女を拘束、目が覚めたら尋問の準備!」

「分かったわよ~、その前にこっちの調整整備が必要ね」

 

 テンションがだだ下がりしたフェインティアが、普段からは考えられない気合の抜けた動きでカルナダインへと戻ろうとした時だった。

 

「!!??」

 

 何かを感じた、としか言い様のない感覚に、フェインティアは即座に振り返って砲撃艦を向ける。

 だが、そこには何もいない。

 

「今のは、何? センサーには何の反応も無かったけど………まさか、アイーシャが言っていたのって………」

「マイスター、周辺に敵機0。速やかな帰艦を推奨する」

「分かってるわよ、それに、まだ全て終わってないようね………」

 

 先程までの気合の抜けた顔とは一転、鋭い顔つきへと戻ったフェインティアは、全力でカルナダインへと向かっていった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。