新幹線変形ロボシンカリオン ふたりのはやぶさ 作:小田急ロマンスカー
余談ですが先日僕も上野に赴かせていただきました
とはいえ所謂隠れファンな僕には皆様にお声かけさせていただく勇気はなく
ただ商品を物色するだけで帰ってしまいました(しかも音楽を聴きながら)
「え?北海道に?」
突如告げられた用件に目を丸くするハヤト
「そうなの、実はミクさんが………」
「み!ミクに何かあったんですか!」
「お、落ち着いてハヤト君、そんな大したことじゃないの………」
ものすごい勢いで迫る
「捻挫?」
「うん、剣道の試合中に足を捻挫しちゃったんだって」
「まあ、そういうこともあるよな、俺だって金沢いた頃は現場で爪割ったりとかしてたし」
「俺も、山に入って時に野草で切った切り傷は何度も作ったな」
「おらも」
「あ、シノブは手にもあるよね、ほら、人差し指と中指の間」
「本当だ、何の傷だこれ?」
「暗器を持つ時に作った傷、まだ未熟だったころのだ」
「暗器………」
E5で新函館北斗駅へ降り立ったハヤト
「確か迎えが来ているって………あっ」
「よく来てくれたね」
「お久しぶりです、大沼指令長」
ハヤトとシャショットを出迎えたのは北海道支部の大沼ソウヤ
「えっと………今日はミクは………」
「さすがに松葉杖ではここまで来られないからね、支部で待っているよ、行こうか」
大沼指令長と共にはこだてライナーに乗って移動するハヤト
緊張した様子で時折指令長の顔色を窺っていた
「気になるかね?」
「あ、いえ………」
「そう緊張しなくても構わんよ、前に記念館の中を案内しただろう」
確かに初めて函館支部に来た時大沼指令長の案内で摩周丸記念館を見て回った
しかしあのときはアキタとツラヌキも一緒だった
二人きりとなると妙に緊張してしまう
「ははっ、真面目なんだな、そういうところはミクとよく似ている、さすが、同じはやぶさの運転士と言ったところか」
ハヤトの心中を察して笑う大沼指令長
「ミクもね、最初にあったときは君のように緊張していたものだよ」
「そう………なんですか?」
「ミクは小さいころからご両親に連れられてよく記念館に遊びに来ていたんだが、たまに声をかけても親御さんの後ろに隠れるばかりでね」
「へぇ、ミクって小さい頃は内気な子だったんだ」
「意外でございまーす」
「私がミクと仲良くなれたのは、あの子が剣道を始めてすぐのころ、一人で摩周丸にきていてね」
その日も大沼指令長は館内を見回りしていた
雪が降るなかお客さんの数もまばらだった
甲板に出てみても外に出ている人はいない、そう思っていたが
「おや………」
甲板の先端で一人柵に寄りかかって泣いているミクを見つけた
「女の子だからと通っていた剣道教室でバカにされて悔しかったそうだ」
「そっか、そういえば初めて会ったとき」
初めて会ったときのミクの態度を思い出すハヤト
あれはもしかしたらその時の影響なのかもしれない
「いらっしゃい、ハヤト君」
摩周丸記念館にある函館支部にやってきたハヤトはすぐにミクと合流した
「ミク、足は大丈夫なの?」
「このくらいだったらすぐに治ります、避けようとしたときに無理な体勢になってしまって」
ミクの左足にはテーピングが施されサポーターも装着されている
「ですが、捻挫は悪化すると怖いと聞くでありまーす」
「ええ、だからこうして固定して………移動も松葉杖で」
シャショットの言葉にそばに立てかけていた松葉杖を見せるミク
「よろしければシミュレーターで一緒に訓練しませんか?」
「え、でも怪我は………」
「足だけですから、シミュレーターくらいなら………」
器用に松葉杖で移動するミクの様子を気にかけたハヤト
「ずいぶん慣れているけど」
「ああ、試合中に捻挫したのは初めてではないので………剣道は限られた空間で激しく動き回りますから、よくあることなんです」
シミュレーターでの訓練を終え一息つく二人
すると警報が鳴り響き真剣な表情で顔を上げた
漆黒の新幹線が直線を猛スピードで通過していく
「湯の里知内信号場付近で漆黒の新幹線の目撃情報」
「海にほど近いエリアか」
「大沼指令長」
ミクとハヤトが指令室に入ってくる
「ハヤト君、すぐにE5で出動してくれ」
「了解」
「巨大怪物体確認、コードネーム、クラッシュヴァシルとします」
「あれは………砕氷船!」
「え?大崎から南浦和を経由して大宮まで来ている?」
ハヤトの聴き間違いで指令室の一同は一斉にずっこけた
「ハヤト君、それは埼京線、砕氷船というのは………なんでしたっけ、雪をかき分けながら進む赤い機関車」
「え?DE15形ディーゼル機関車のこと」
「それと同じです、流氷を砕きながら進む船のことなんです」
「へぇ」
「とにかく出動してくれ」
「はい」
ハヤトが駆けだすとともにミクが携帯を取り出しどこかにメールを出していた
「ミク?」
「勝手で申し訳ないのですが救援を」
「シンカリオンE5 はやぶさ」
E5が捕縛フィールドに入ると赤と白の体を持つ船の怪物体が猛然と迫ってくる
「赤と白の船体………そうか!あれは初代ガリンコ号」
「だがあれは観光用の砕氷船のはず………しかし」
接近を試みるE5だが弾丸が連射され近づくことが出来ない
ゆっくりと迫るクラッシュヴァシル
何とか回避するが捕縛フィールドの地面が強烈に抉れてしまった
「ひぃぃ!」
「なんというパワーだ」
弾丸をよけながら突進してくるクラッシュヴァシルから逃れるE5
「きりがない………このままじゃいずれ捕まって終わりだ」
「心配ありません」
「ミク?」
「手は打ってあります、もう少し耐えてください」
「わかった、俺、ミクを信じるよ」
クラッシュヴァシルの攻撃から逃れるE5
やがてフィールドのふちに追い込まれ窮地に陥る
「クッ………まだなの」
シャショットの悔しげな声とともに警笛の音が鳴り響いた
ハヤトが顔を上げるとフィールド内を駆けまわるE3の姿が
「シノブ!」
「チェンジ!シンカリオン!」
「E3、シンカリオンに変形します」
変形したE3がE5の隣に並び立った
「ハヤト君、敵が船なら弱点は船底に近い位置にあるエンジンルームです」
「そうか!そこをグランクロスで狙えば」
「だが、そのためにはやつに近づかなければ」
「そのためにおらが来た!」
フィールド内を駆けまわることのできるE3の力が加わればクラッシュヴァシルの懐に潜り込むことが出来る
「「リンク!シンカリオン!」」
「E5、E3、リンク合体します」
E3とリンク合体して素早く駆け回るはやぶさ
砲身がこちらを向くと分身が大量に出現しクラッシュヴァシルの注意を惹きつけた
「いまよ!ハヤト君!」
エンジンに近い位置に潜り込んだはやぶさがミクの言葉とともに構える
「「グランクロス!」」
放たれたグランクロスに貫かれクラッシュヴァシルが爆散する
「目標撃退」
「ほら、船のエンジンはこんな風に………」
「なるほど、新幹線のモーターもどの車体でも大体同じ位置にあるから」
「ええ、それで大体の位置はわかっていたので」
摩周丸記念館の展示物を見ながら仲良く話すハヤトとミク
笑顔で話す二人の様子を遠めに見ていた大沼指令長とシノブだったが
「それじゃ、邪魔にならないようにおらはここで」
「ん、協力ありがとう」