新幹線変形ロボシンカリオン ふたりのはやぶさ 作:小田急ロマンスカー
タツミの参戦話にしようとしたんだけど公式に先越されたので改変
今日のお話で直接出てくるんだろうけど
N700系ひかりのシンカリオンに乗るミユちゃんとかも考えたけど本当に書くかは不明
この日ハヤトは連休を利用して日頃の稽古の成果を見せるべくセイリュウと上田アズサを伴って名古屋支部へと来ていた
名古屋支部の道場では道着姿のリュウジが少女と話していた
「来たか」
「リュウジ、その子は?」
「妹のミユだ、どうしても見学したいというのでな」
「いつもお兄ちゃんがお世話になってます」
「あ、こ、こちらこそ、今日はよろしくお願いします」
礼儀正しく挨拶するミユに戸惑いながら挨拶を返すハヤト
「なるほど、ちゃんと稽古は続けていたようだな」
「もちろん、俺は時間と言ったことは守る男だからね」
「ふっ、そうだったな」
軽い組手で互いの調子を確かめ合うハヤトとリュウジ
「へぇ、案外様になってるじゃない………」
「わぁ………」
そんなハヤトの姿に感心していたアズサはふと隣のミユが瞳を輝かせてハヤトたちの方を見ているのに気づいた
「ミユちゃん?」
「あ、ごめんなさい、お兄ちゃんがまた道着を着ているところを見れるのがうれしくて………」
熱心にハヤトを指導するリュウジの姿をミユは夢中になって見ていた
父を亡くした時ミユはまだ生まれたばかり
父の顔を写真でしか見たことが無かった
当時の兄たちがどれほどショックだったか知ることは出来ない
「でも、前に教えてもらったんです、お兄ちゃんは空手と出会って立ち直ることが出来たって、なのに今度は………」
母が倒れ家族のために大好きだった空手を辞めたリュウジ
兄の影響で空手を始めたタツミを見送る目が寂しそうだったのをミユは知っていた
「私はシンカリオンのことも、新幹線のこともよくわからないけど………」
汗を散らしながらハヤトと真剣な表情で打ち込むリュウジを見て笑顔になるミユ
「今、お兄ちゃんがこうして笑っていられるのも、シンカリオンのおかげなんだよね」
「ありがとうございました」
稽古を終え礼を行うハヤトとリュウジ
「お兄ちゃん、お疲れ様」
「ああ、ありがとう、ミユ」
タオルを渡すミユとそれを受け取るリュウジ
仲の良さそうな二人の様子を見たセイリュウは不思議そうな表情をしていた
「どうしたのセイリュウ?」
それに気づいたアズサが問いかけるとセイリュウはミユの方を見た
「あいつは………自分に無関係なことで、なぜあそこまで嬉しそうでいられる?」
「無関係ってわけじゃないんじゃないかな、やっぱり家族なんだし」
「家族………」
「あっ………」
名古屋支部の食堂で揃って食事を摂るハヤトたち
「これは………」
初めて食べる味噌カツの味に驚くセイリュウ
「セイリュウ、こっちの小倉トーストも食べてみなよ、甘くておいしいよ」
「甘いのか!」
アズサの言葉に目を輝かせるセイリュウ
そんな様子にミユが首をかしげる
「あ、こいつ外国から家にホームステイしてるの、だから色々興味持っちゃって」
「そうなんだ、ねえ、私のも食べる?」
「いいのか?」
セイリュウたちと楽しそうに話すミユの様子にハヤトはこっそりリュウジに耳打ちする
「ミユちゃんすごくしっかりしてるじゃないか、何も心配することなさそうだけど………」
「無理をしているんだ、ミユ、ここ、ついてるぞ」
そういってリュウジが自分の口元を指で突く
ミユが首をかしげながら同じ場所に触れてみると食べかすがついていた
恥ずかしそうにするミユを見て全員が笑いを堪える
「そういえば今日タツミは?」
「あいつは道場で稽古だ、後で合流する」
すでに食べ終わっていたリュウジはそう説明するとトレーを片づけるべく席を立った
「ハヤトさん」
「ん?なに?」
リュウジの姿が見えなくなるとミユはハヤトに声をかけた
「お兄ちゃんたちのこと、お願いしますね、本当は私怖いんです、夏くらいにお兄ちゃん怪我して帰ってきたし、もしお母さんやお父さんみたいになったら」
ミユのその言葉にアズサが飲んでいたジュースを吹いて咽てしまった
「アズサさん!?」
「おい、どうした」
「え?今吹くところあった?」
「ハヤト君、夏の怪我というのはもしや………」
「あっ!」
カバンの中のシャショットの指摘でハッとなるハヤト
夏の怪我というのはブラックシンカリオンとの戦いで負った怪我
つまりリュウジに怪我をさせた張本人はいまミユの目の前にいるわけで………
幸か不幸かセイリュウもミユも全く気付いていないようす
「箸が止まってるぞ」
戻ってきたリュウジが指摘すると4人は慌てて食べ始める
ミユはご飯をのどに詰まらせたようで慌ててリュウジが水を飲ませる
彼女の背中をリュウジがさすって落ち着けているとハヤトたちの携帯からアラームが鳴り響いた
「12時15分、名古屋駅付近に黒い貨物列車出現」
「捕縛フィールド射出」
羽島指令長の指示で捕縛フィールドが展開され黒い貨物列車がその中で停車する
と同時にコンテナが開きその中から巨大なひれをもった巨大怪物体が出現する
額のあたりに光る球体を確認した
「シンカリオン E5はやぶさ」
「シンカリオン ドクターイエロー」
「ブラックシンカリオン」
「あれもクレアツルスなの?」
「ああ、だが少しマズイ」
ハヤトの問いかけに答えるセイリュウの表情はわずかな焦りが
「あれって、おっきいエイ?」
「コードネームはランページ・トルペディネとします、全長推定70メートル」
クレアツルスの体に電気が帯びて一気に放電されると一直線にシンカリオン各機に襲い掛かる
「何あれ!?エイって放電するの?」
「シビレエイ目に属するエイは捕食や防御のための発電器官をもっています」
驚くアズサの疑問に名古屋支部のオペレーターが答える
「よけられたからよかったが、まともに浴びれば運転士にも危険が及ぶ可能性があるな」
電気を放ち続けるランページ・トルペディネに近づくことが出来ないシンカリオン
引火の危険があるためグランクロスなども下手に撃つことは出来ない
「あっ!」
E5に電撃が迫るが
「検測!レーザーシールド!」
ドクターイエローの展開したシールドでかろうじて守られた
「お前たちはドクターイエローの後ろに」
E5とブラックシンカリオンがドクターイエローの後ろで構える
「セイリュウ、前みたいに跳ね返せないの?」
「無理だな、電圧が強すぎる、孤のシールドもいつまでもつか………」
「お兄ちゃん………」
苦戦を強いられているシンカリオンの姿にミユは思わず目をそらしそうになるが
「心配するな、お前が見ていてくれる限り俺は負けない、ミユ、俺たちの戦いを見ていてくれ」
ドクターイエローが力の限り手を広げ電撃を押し返そうとする
しばしの均衡状態ののちドクターイエローが押され始めるが
「なっ」
ブラックシンカリオンがその背に手を置いて支え始めた
「勘違いするな、お前を心配しているあいつのためだ」
「俺も………」
電撃を防御するドクターイエロー
「何とか持ち直したか、だが守るばかりでは………」
「俺が行く!」
羽島指令長の言葉を遮ったのは息を切らした状態で入ってきたタツミだった
「兄貴たちがあいつを引き付けてる間に俺が攻撃する」
「よし、シンカリオンN700A、発信準備」
「シンカリオン N700Aのぞみ」
「エアロダブルスマッシュ!」
ランページ・トルペディネの背後からN700Aが勢いよく突っ込んでいき光を纏った拳とそこから延びる光の刃を突き付けた
それによって一瞬ランページ・トルペディネの動きが止まり電撃から解放される
「よし!」
防御から解放されたドクターイエローが巨大な剣を構える
「レーザーソード!」
ドクターイエローの攻撃を受け吹っ飛ばされたランページ・トルペディネは地面にたたきつけられる
「今だ!」
「ぐっ!」
E5とブラックシンカリオンが左右から鰭に剣を突き刺してランページ・トルペディネの動きを止める
「チェンジ!アドバンスドモード!」
N700Aが変形し更なる姿へと進化する
「ドラゴンナックル!」
拳から放たれたエネルギーがその名の通り竜を象りながらランページ・トルペディネに向かっていく
光の球体を直撃したことでランページ・トルペディネを撃退する
「お兄ちゃん!」
「あ、ミユ」
ホームに戻るとミユは真っ先にリュウジとタツミに飛びついた
「お兄ちゃんたちすごくかっこよかった」
「へへっ」
「ふっ」
仲のいい3人の姿を遠目に見ていたセイリュウ
「あれが………家族か」