新幹線変形ロボシンカリオン ふたりのはやぶさ   作:小田急ロマンスカー

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瞬間の勝負

「いったぁ………」

小気味いい音が響いてハヤトが頭を抱える

ミクの見事な面打ちを受け蹲っていた

「イタタ、ミクはすごいな、攻撃の瞬間が見えないや」

打たれた個所をさすりながらハヤトがミクを称える

「シノブもそうだけど、お前ら本当に足はえぇのな」

「いえ、私たちが特別速いというわけでもありません」

ツラヌキが感心しているとミクが訂正をいれる

「以前、剣道では下半身の力が重要と話したのを覚えてますか?」

「ああ、うん、攻撃の時有利になるんだよね」

「ええ、ですが剣道において、最も重視されるのは力ではなくむしろ速さなんです」

そう言って足先をトントン鳴らすミク

「もう一度構えてください、男鹿さんは私たちの動きをよく見ていてください」

「あの………おれは?」

ツラヌキの問いかけに対してミクはそっぽを向いて何も言わなかった

「なんか言えよ!」

「せーので打ち込みますよ」

「じゃあ、せーのっ!」

勢いよく振り上げたハヤトだったが次の瞬間ミクの攻撃が顔面を直撃してその場に倒れた

「ふぎゃっ」

「………なあ、お前なんか分かったか」

「話は読めた、二人の違いは足の高さだな」

「ええ、そうです」

「た、高さ?」

「勢い良く踏み込んだハヤトは足が大きく上がっていた、それに対して発音はほとんど足を上げていなかった、細かい理由までは俺にはさっぱりだが」

「すり足と言って剣道の最も基本的な動きです」

右足を前に出したまま構えたミクはそのままほとんど足を動かしてないように見えるにもかかわらず移動して見せた

「剣道は瞬間の勝負、攻撃も防御も一瞬で決まります、ですから少ない動きで無駄なく移動できるためにこのすり足を一番最初に身に着けることになるんです」

少ない動きで移動を繰り返すミクの姿に鼻をさすりながら既視感を覚えるハヤト

「あー!そうだ!シノブだ!」

「シノブがどうかしたのか?今日はいねーぞ」

「そういえば似てるな、二人の足さばき、ちょっと聞いてみるか」

ハヤトの言いたいことを理解したアキタはシノブに連絡を取るため電話を取り出した

 

「んだ、教えてくれて助かった」

シノブとの電話を終えたアキタが電話を切る

「どうだった?」

「シノブの話によると、すり足は剣道だけではなく、相撲や能にも用いられるそうだ、忍者も同様にすり足を使う、利点はさっき発音が見せたように少ない動きで躱せる点と、普通に歩くのと比べて足音が小さいから気づかれにくい、ということだそうだ」

ツラヌキの問いかけに答え終わったアキタは立ち上がるとハヤトたちの元へ歩み寄った

「おいおいどうした?」

「俺にも練習させてくれ、身につけておけば移動しながら狙いを定めることが出来る、E6にとってこの動きは大きな力になる」

「あ、俺は」

「重圧なE7には向かない技能だと思います」

ミクにバッサリと切り捨てられたツラヌキは体育座りで部屋の隅でいじけてしまった

その背中をシャショットがポンポンたたいている中ハヤトとアキタはミクの指導ですり足の練習を続ける

 

「だいぶ様になってきましたね」

アキタとハヤトの動きを見たミクは感嘆の意を込めて息を吐いた

アキタは練習用のライフルを構えながら右に左にと移動して見せる

ハヤトの方も一方的にミクに打ち込まれずかわそうとして

「いて」

失敗した

「完全に躱すのはまだ無理の様ですが、こればかりは慣れですから、シンカリオンでの動きには大きな力になると思います」

すると四人の携帯が鳴り響いた

「これまたタイミングがいい」

 

捕縛フィールドに突入した4人の前に現れたのは細長い体を持つ巨大怪物体だった

体そのものは今までの怪物体よりも小柄だがその銅の長さは圧倒的だった

「コードネーム、マッドスネーク、全長はおおよそ50メートル」

「なるほど、蛇ですか」

H5が剣を構えているとマッドスネークは一瞬で距離を詰め飛びかかった

何とか剣で受け止め弾き返すが二度同じことが出来るかどうか

「なんて速さなんだ」

「蛇の中には全身をばねのように使ってジャンプする種類もいます、夜行性も多く視力はあまり発達していないですが、舌を使って匂いを辿り、地面からの振動を体で感じることもできます」

指令部からの言葉を受けマッドスネークを観察する運転士たち

E7に飛びかかってきたのを何とか弾き返すとシャリンドリルを振るって反撃に移る

だが全身をばねのように使って一瞬で遠くまで

「クッソ、こいつちょこまかと」

「匂いや振動だけではありません、蛇は熱を感じ取る器官を持っています、それ自体は私が何とか出来ますが………」

「話は読めた、フミキリキャノンはまず間違いなく当たらない、懐に飛び込まなければやつは倒せない」

「あいつに気付かれず攻撃するには………」

と、ここでハヤトとアキタは閃いた

「「あれだ!」」

攻略法を思いつき構える運転士たち

「ツラヌキ、もう少しだけお願い、アキタ、リンク合体だ!」

「ああ」

「任せておけ!俺の好きな四文字熟語は電光石火だ!」

だがE7の攻撃はマッドスネークに悉くかわされてしまう

「ミク、熱の方はなんとか出来るんだね」

「はい、後は気づかれず接近できれば」

リンク合体を終えミクに問いかけるハヤト

残った懸念材料を解消する作戦がハヤトたちにはあった

「俺たちに任せて」

「わかりました、ハヤト君たちの作戦を信じます」

H5がカイサツソードを掲げエネルギーを込める

「ユーバリヒートシステム起動!はぁぁ!」

熱のこもった剣を地面に突き刺して温度を上げていくミク

かつてワイヤーに熱を通して破壊したように床の温度を上げてマッドスネークの熱感覚を封じる

地面からの高熱に戸惑う中E5が一瞬で距離を詰めてマッドスネークの懐に入った

「はあっ!」

威嚇のため体を上げたマットスネークの腹を斬りつけるE5

「今だ!」

H5が剣を掲げるとマッドスネークが光で出来た改札に閉じ込められる

「カイサツソード!」

H5に斬りつけられマッドスネークの体が爆散していく

 

「目標撃退」

「でも、どうやって気付かれず一瞬で」

本庄アカギが戸惑っていると出水指令長が眼鏡を光らせ口を開いた

「水平移動だ、右足を最低限の高さを維持した状態で踏み出して左足を地面に密着させた状態で移動する、音をたてないように一瞬で距離を詰めて踏み込んだんだ」

「それでリンク合体を、素早く距離を詰めるためにE6の機動力を加えたんですね」

 

巨大怪物体相手にすり足を上手く活用して勝利した運転士たち

そんな彼らは今

「うう~」

全員ダウンしていた

「いくら熱感知を封じるためっつってもやりすぎだろ」

「言い返す言葉もありません」

ユーバリヒートシステムで高温となった捕縛フィールドの床を伝ってシンカリオン本体にまで熱が伝わった

そのため運転士たちは戦闘中高温にさらされることとなってしまい全員汗だくだった

なにしろその作戦を実行したミク自身も顔を真っ赤にしてタオルを被りながら横になっているぐらいだ

特に最悪だったのが装甲の厚いE7で装甲内部に籠った熱が高温多湿の状態を作り出しツラヌキは脱水症状を引き起こして現在医務室である

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