バンドリ!~オプション付き5人と少女達の物語~   作:akiresu

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バイト初日は大変

 放課後、俺と利久はライブハウス『SPACE』を目指していた。そう、今日から俺と利久はあそこでバイトをすることになっている。つまり今日はバイト初日だ。

 

 レン「利久、急がないとまた師匠にぐちぐち言われるぞ」

 

 利久「・・・はぁ~・・・・・」

 

 レン「利久?」

 

 利久「え?何か言いましたか?」

 

 レン「だから、急がないと師匠にぐちぐち言われるぞって」

 

 利久「あ、そうですね。早くいきましょうか」

 

 レン「大丈夫か?昼休みの時から元気ないぞ」

 

 利久「ええ、実は――――――――――――――」

 

 俺は利久から元気がない理由を聞いた。 

 

 レン「なるほどな、有咲に避けられて落ち込んでたのか」

 

 利久「はい・・・今朝から話しかけても無視されたり、キツイ反応されてりして・・・昨日のことも謝りたいのに・・・」

 

 確かに有咲のやつ昨日めっちゃ怒ってたもんな。けど、あいつなんであんなに怒ってたんだ?ただ可愛いって言われただけだろ?むしろ褒められてるのになんでだ?そんなに可愛いって言われるのが嫌だったのか?でもそんなこと言われて怒る女の子なんているわ・・・いやいるな…アイツも前に可愛いって言ったとき機嫌損ねてたっけ…つまり有咲はアイツと同じ類の女ってことか・・・となると話は簡単だな。

 

 レン「大丈夫だ利久、話しかけたら先ずは即謝れ。そうすれば有咲は許してくれる」

 

 利久「本当ですか?」

 

 レン「ああ、俺を信じろ」

 

 利久「わかりました!明日ちゃんと謝ってみます!」 

   

 レン「よし、それじゃあ急ぐぞ。時間食っちまったからな」

 

 利久「はい」

 

 俺と利久は走り、『SPACE』へと急いで向かった。

 

 

 

         ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 オーナー「やっと来たのかい、次からはもっと早く来な」

 

 俺と利久は急いで来たが結局師匠に小言を言われた。 

 

 オーナー「まずはこれに着替えな」

 

 そう言うとオーナーはここのスタッフが着るTシャツとズボンを渡してきた。

 

 レン「はい」

 

 利久「わかりました」

 

 俺は服を受け取るとそれをもってスタッフ専用の更衣室に入り、渡された服に着替えた。

 

 オーナー「着替え終わったかい。それじゃあ、仕事方は真次に聞きな。それとここで仕事してる間はオーナーと呼びな」

   

 そう言い残すと師匠は自室に入っていった。いや人任せかよ・・・で、その真次さんって?そう思っていたら同じスタッフTシャツを着た俺らより年上の女の人がいた。あれ?この人って確かいつもカウンターに立ってる人だよな?

 

 凛々子「君達が赤城 レン君と石美登 利久君だよね?オーナーから話は聞いてるよ。私は真次 凛々子、ここでの仕事で分からないことがあったら何でも聞いてね?」

 

 レ利「「はい、よろしくお願いします」」

 

 そして俺と利久は凛々子さんから掃除の仕方やステージのセッティングに機械の扱い方、カウンターでの仕事のやり方等ここでのことを色々と教わった。やってみて分かったがライブハウスの仕事って結構大変なんだな。

 

 凛々子「あ、そろそろ時間ね」

 

 レン「え?時間って何のですか?」

 

 俺が凛々子さんに聞いたその時、師匠が先程の部屋から出てきた。

 

 オーナー「そろそろオーディションの時間だよ。石美登、お前が音響をやりな」

 

 利久「あ、はい」

 

 師匠は利久を連れ会場の方にに入っていった。ああ、なんだオーディションか。ここではバンドがライブに出るにはオーディションに合格しなくてはいけない。オーディションに合格するには演奏技術はもちろん求められるが、それよりももっと求められることがある。それは・・・演奏をやりきったかどうか。師匠はオーディションを受けたバンドには演奏が終わった後に必ずやりきったかどうかを聞く。なんでも昔ライブでやる気のない演奏をしたバンドがいたらしく、それ以来ここではライブをする度にオーディションを行い、そこで全力の演奏をしたバンドだけにライブに出ることを許している。利久を連れてったってことはおそらく利久に演奏の評価をさせるんだろう。そう思っていると入り口の扉が開いた。お、どうやらオーディションを受けに来たバンドが来たようだ。

 

 レン「あ、こんにちは。オーディションを受けに来たバンドですか・・・って」

 

 俺はバンドに挨拶をしようとして止まった。

 

 ?「ヤッホ~~~!ファイヤープリンスレン君!久しぶり~~~~!」ワシャワシャ

 

 突然、花咲川の制服に身を包んだめっちゃテンションが高いショートヘアーの女の人が俺に飛びついてきて頭をワシャワシャッとしてきた。

 

 レン「ちょ・・・ひなこさん・・・やめてください」

 

 この人は二十騎 ひなこ。俺らの先輩の3年生でGlitter*Greenのドラムでもある。普段からめちゃくちゃテンションが高く、よく大声を上げたり、叫び声を上げたりしている。今絶賛俺にしてきているこのやたらと激しいスキンシップもこの人の挨拶のようなものなのだが、こんなことしていると・・・

 

 ?「こらぁ!アンタはまたそうやって!ごめんねレン君、いきなりひなこが飛びついたりして」

 

 突然ひなこさんは茶色い髪をシュシュでまとめポニーテールにした女の人に引きはがされた。この人は鵜沢 リィ。ひなこさんと同じく花咲川に通う3年生でGlitter*Greenのベースを担当していて、いつもデべコというキャラクターのぬいぐるみを持ち歩いている。この町にある江戸川楽器店という楽器屋さんでアルバイトをしていて俺もよくお世話になっている。

 

 レン「リィさん、ありがとうございます」 

  

 ゆり「あら、レン君その格好どうしたの?」

 

 七菜「もしかしてアルバイト?」

 

 今度はゆりさんと七菜さんの2人が中に入ってきた。これでGlitter*Greenが揃った。 

 

 レン「ゆりさん、七菜さん。ええ、ちょっと訳ありで今日から利久とここでバイトすることになったんです」

 

 ゆり「そうだったの。それで利久君は?」

 

 レン「オーナーと一緒にステージの方に、多分オーディションの審査だと思います。皆さんも次のライブのオーディションを受けに来たんですよね?」

 

 ゆり「ええ、そうよ。けど利久君も審査に加わるとなると今日は一段と厳しくなるな~」

 

 レン「大丈夫ですよ!グリグリの演奏はSPACE1ですし、なによりも求められるのは演奏技術じゃなくて・・・」

 

 ゆり「やり切ったかどうか。でしょ?」

 

 ゆりさんは笑顔で俺に聞いてきた。さすがSPACE常連、よくわかっている。

 

 レン「それじゃあ、オーディション頑張ってください!」

 

 ゆり「ええ、よかったらレン君も見ててね?」 

 

 レン「はい!もちろんです!」

 

 ゆり「じゃあ、また後でね」 

 

 七菜「アルバイト、頑張ってね」

 

 ひなこ「レ~ン~く~ん!ファイト~!」

 

 リィ「うっせぇ!とっとと行くぞ!ごめんねレン君バイト頑張ってね~」 

 

 レン「はい、皆さんも頑張ってください!」

 

 グリグリの4人はステージへと向かっていった。俺はロビーにあるモニターの方に目を向けた。するとそこにはステージに立つグリグリの4人の姿が映し出されていた。ここではオーディションの様子を他の人にも見れるようにしていて、その模様はこのモニターで見ることが出来る。

 

 グリグリ『Glitter*Greenです。よろしくお願いします!』

 

 4人は師匠に一礼すると演奏を始めた。俺は夢中になって4人が演奏する姿を見ていたがあっという間に演奏は終わった。

 

 オーナー『石美登、あんたは今の演奏聴いてどうだった?』 

 

 利久『そうですね、とてもよかったと思いますよ?ただベースが少しだけ勢いが足りていませんでした。あとドラムのテンポが所々少し早くなりそうになっている所がありました。』

 

 オーナー『だそうだ。これを踏まえたうえで聞くよ。やり切ったかい?』

 

 グリグリ『はい!やり切りました!』

 

 オーナー『よし、合格だ』

 

 グリグリ『はい!ありがとうございました!』

 

 よかった、合格できたみたいだ。おっと、どうやら余韻に浸っている時間はないみたいだ。オーディションを受けに来たバンドが次々と入店してきた。さてと、それじゃあ仕事に取り掛かるとしますか。

 

 レン「お待たせしました。アイスコーヒーです」

 

 利久「次のバンド、準備お願いしまーす!」

 

 その後、俺と利久は忙しく動いていた。今まで知らなかったがライブハウスの仕事って結構大変なんだな。俺らはスタッフの大変さを噛み締めた。そして、数時間の激務が終わった。

 

 ゆり「2人ともお疲れ様」

 

 レン「あれ?ゆりさん達まだ残ってたんですか?」

 

 七菜「ええ、他のバンドも見たくて」

 

 ひなこ「レ~ン君!お疲れ?チョーお疲れー!?よ~し!ひなちゃんのハグで癒してあげよ~!」

 

 リィ「やめろ!余計に疲れるだろうが!」

 

 ゆり「それじゃあ、私たちは帰るから」

 

 七菜「また明日学校で」

 

 ひなこ「2人ともバイバ~イ!」

 

 リィ「お疲れさまでした」

 

 4人はSPACEを後にした。しかし途中でゆりさんが立ち止まり俺らの方を振り返った。

 

 ゆり「そういえばレン君、利久君、あなた達は次のライブに出ないの?」

 

 レン「・・・・・はい・・・残念ですけど、俺らは出ませんよ」

 

 利久「レン・・・」

 

 ゆり「そう・・・ごめんなさい、余計なこと聞いちゃったわね」

 

 レン「いえ、そんなことないです。気にしないでください」

 

 ゆり「そう、わかったわ。それじゃレン君、利久君、またね」

 

 そう言うとゆりさんはSPACEから出ていった。ごめんなさい、ゆりさん。俺は・・・もうここでのライブには出ないって決めているんです・・・

 

 利久「レン・・・レンがここでのライブには出ないって決めていることはわかっています。本当なら此処にはもう来ないようにしてたって事も。でも、もう一度出てみてもいいんじゃないですか?それに・・・他の3人に、あの人達だって、きっとレンがここでのライブに出ることを望んでいるはずですよ?まあ、無理にとは言いませんが…」

 

 レン「利久・・・けど・・・今の俺に出る資格なんて・・・」

 

 俺が呟こうとしたその時、スタッフルームの扉が開き中から凛々子さんが出てきた。

 

 凛々子「あ、2人ともお疲れ様。オーナーが今日はもう上がっていいって」

 

 利久「あ、はい!わかりました!じゃあレン、帰りましょう」 

 

 レン「ああ、凛々子さん先に失礼します」

 

 凛々子「ええ、あっ!そうだこれ、シフトの日程表。2人のシフトの入り時間が書いてあるから」

 

 レン「ありがとうございます」

 

 利久「それじゃあ、僕たちは着替えてきますね」    

 

 そう言うと俺と利久は制服に着替えSPACEを後にした。さてと、俺は行くとしますか。

 

 利久「あれ?レンの帰り道ってこっちじゃありませんでしたっけ?」

 

 レン「ああ、ちょっとスーパーに、冷蔵庫の中空っぽの儘ってわけにもいかないだろ?それにこの時間だとセールやってるし」

 

 利久「ああ、成程。じゃあ僕も行きます」

 

 レン「え?どうして?」

 

 利久「それは勿論、夜戦(NFO)に備えて物資(お菓子とジュース)の補給n「早く寝ろ!」わかりました・・・」

 

 利久はブーたれていたがまた明日もあんな状態で来て、授業中に寝るなんてことになったらこいつの成績にも関わるし、居残りや補修なんてなったらバンドの方にも支障が出るし、バイトでこいつの分の仕事が俺の方に回ってきやがる。それだけは断じて御免だ!

 

 レン「じゃあな」

 

 利久「はい、また明日」

 

 利久と別れ、俺はスーパーに向かった。

 

 

         

 

 

     ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 レン「さてと、今日安いのは・・・お!ヒレ肉がお買い得だ!今日は豚カツかな?あ細切れ肉も」

 

 俺は籠の中に特売品のヒレ肉と細切れ肉を入れた。豚カツとなるとあと必要なのは・・・

 

 レン「げ、キャベツがちょっと高くなってる。あとは卵とサラダ油と・・・」

 

 俺は必要なものをかごに入れるとレジへと向かい会計を済ませた。ちょっと買いすぎたかな?

 

 ?「あれ?レン君?」

 

 レン「え?あっ!」

 

 ふいに声をかけられ振り返るとそこには俺が、というよりも日本中の人が良く知るピンク色のセミロングの髪の女の人がいた。

 

 レン「彩さん!?どうしてここに!?」

 

 彩「ちょっと仕事帰りにお母さんに買い物を頼まれちゃって」

 

 この人は丸山 彩。花咲川に通う高校2年生、つまり俺の先輩だ。俺と明日香と来人のクラスメイトの若宮 イヴちゃんと同じくアイドルバンド、Pastel⋆Palletのメンバーでボーカルを担当している。と言うよりも・・・

 

 レン「そうですか・・・てか変装しなくて良いんですか?人気アイドルがこんな所にいたら大騒ぎになりますよ?」

 

 彩「いやー、それが誰にも気づかれなくて・・・」

 

 レン「マジですか…」

 

 彩さんはコクリと頷いた。ええ・・・人気アイドルのましてやセンターの人が居るのに気づかないなんて…あ、でも確か彩さんってステージに立ってるときは髪をツインテールにしてなかったっけ?もしかして、今は髪を下ろしてるからそれで気づかれてないとか?

 

 レン「確かに・・・彩さんて普段からアイドルオーラほぼ皆無だしな…」

 

 彩「え!?ちょっとレン君!今のどういう意味!?」

 

 あ、やべ・・・声に出てたか…

 

 レン「えーと・・・ほら、彩さんって普段から「アイドルやってますよ~」って感じがしないじゃないですか。色々ドジをやらかしたり、ちょっと抜けてたりとかして・・・」

 

 彩「レン君・・・それ全然フォローになってないよ…」

 

 レン「え!?えーと、そうじゃなくて・・・俺が言いたいのは、その~え~と・・・」

 

 彩「ふふふ、もういーよ。気にしてないから」

 

 失礼なことを言ったにもかかわらず彩さんは笑顔で許してくれた。すいません・・・おれ、気が利いたこと言えなくて・・・ 

 

 彩「ところで、レン君も買い物?」

 

 レン「はい、調度セールの時間だったので。1人暮らししてるとこういうのは逃せないんで」 

 

 彩「そっか、大変だね?」

 

 レン「いえ、自分で決めたことですし。ところで彩さん、買物は終わったんですか?」

 

 彩「うん、ちょうど終わったところ。レン君は?」  

 

 レン「俺もちょうど終わったところです。あ、それなら家まで送りましょうか?」 

 

 彩「え?そんな悪いよ!」

 

 レン「でも可愛い女の子、ましてや人気アイドに暗い夜道を1人で歩かせるなんて事出来ませんよ」

 

 もしかしたら不審者に出くわすかもしれない、例えば狂信的なファンとか、ナンパ野郎(来人)とか、ストーカーとか、女好きのバカ金髪(来人)とか、アホ(来人)とか・・・ 

 

 彩「か・可愛い!?エヘヘ、そんなことないよ~///それにレン君もカッコいいよ~///」 

 

 レン「彩さん?」

 

 なんかブツブツ言ってるけどどうしたんだ?

 

 レン「彩さん?」

 

 彩「え!?な、なあに?」

 

 レン「さっきから何かブツブツ言ってましたけど・・・どうしたんですか?」

 

 彩「な、何でもないよ!ほら!じゃあ行こう!」

 

 レン「あ、はい」

 

 俺は彩さんを家まで送っていった。その道中彩さんの顔が赤かったように見えたがきっと気のせいだろう。  

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