バンドリ!~オプション付き5人と少女達の物語~   作:akiresu

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やっぱり朝は少し騒がしい

 SPACEでのアルバイトが始まってから数日が経った。この数日で色々やったが結構大変だった。と言うよりもよりも、師匠・・・人使いめっちゃ荒い!しかも明らかに他のスタッフよりも仕事量が多い!なに!?何なのあの人!俺が弟子だからって何の躊躇いも無くこき使ってんの!?容赦ねえな…まあ、そんな愚痴てたって学校を休むわけにはいかない。俺は今日も4人と一緒に登校しているのだが・・・

 

 利久「・・・zzz・・・スピー・・・ムニャムニャ・・・」

 

 来人「重いー!おいお前ら代われ!」 

 

 今絶賛利久は来人に背負われながら眠りこけている。今朝駅に集まったら利久はまた前と同じ様にかなり寝不足気味だった。そしたら急に倒れ、偶々近くにいた来人が支えた結果そのまま負ぶらせ登校している。それにしてもさっきから五月蠅い。全くこの中で1番運動できるくせに・・・

 

 来人「だから代われって!」

 

 レン「やだ」

 

 碧斗「断る」

 

 明日香「無理」

     

 来人「ひどい!薄情物!こいつどんだけ重いと思ってんだよ!」

 

 レン「我慢しろ、それぐらい負んぶ出来なきゃ女の子も負んぶすること出来ないぞ?」

 

 来人「ふざけんな!こんなダラシねえ寝顔してる天然野郎と可愛い女の子を一緒にすんな!少なくとも女の子はこいつよりはぜってー軽い!」

 

 そんな事ねえと思うけどな・・・事実重かったし…てか来人、お前女の子を負んぶしたことあんのか?お前がやったら通報物だぞ?てか、ダラシねえって・・・お前仲間に対して容赦ねえな…

 

 来人「なあ碧斗、お前もそう思うだろ!?こいつと女の子を一緒にするなんて女の子に対して失礼だろ!?」

 

 そこかよ!?てかなんで碧斗に聞いたんだよ・・・ほら、碧斗も呆れてるし… 

 

 碧斗「下らない、そんなこと俺が知るか」

 

 来人「なら例えを変えよう、霜降り牛肉とそこにいる鈍感野郎は同等か?」

 

 そう言いながら来人は俺に指をさしてきた。いや例えを変えるって対象人物まで変えるのかよ。

 

 碧斗「そんなボケナスと高級食材を一緒にするな!」

 

 いや、お前もかよ!てかボケナスってなに!?ひどくない!?うん?なんか寒気が・・・そう思って後ろを見ると・・・

 

 明日香「3人とも・・・遅刻するよ?」-ゴゴゴゴゴゴ―    

 

 レ碧来「「「ヒッ!」」」

 

 笑顔だけど目が笑っていない明日香の姿があった。めっちゃ怖い…

 

 明日香「来人?」

 

 来人「はいッ!」

 

 明日香「利久のことは責任を持ってちゃんと学校まで負ぶってね?」

 

 来人「わかりました!」

 

 結局、利久は来人が負ぶって行く事になった。この間にも利久は呑気に眠っていた。

 

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  

 

 香澄「おっはよ~!」

 

 有咲「それやめろ!」

 

 校門の前に着くと、ランダムスターを弾き鳴らしている香澄とそれを止める有咲の姿があった。

 

 香澄「あ!レン君、碧斗君、あっ君、ライ君、リッ君、おはよう!」

 

 有咲「っ!ご、ごきげんよう」

 

 明日香「おはよう」

 

 碧斗「ああ、おはよう」

 

 来人「2人とも、おはよう!今日も可愛いね!」

 

 レン「香澄、そのギター・・・」 

 

 それって確か有咲の家の蔵にあったやつだよな?

 

 香澄「レン君の言った通りだったよ。何度もお願いしたら有咲がギターを譲ってくれたの!」

   

 レン「そうか・・・けど弾きながら登校するのはやめた方がいいぞ」

 

 せめてケースには入れて持ち歩けよ。

 

 香澄「あ、おはようございます!」

 

 香澄は俺が警告しているにもかかわらず無視して近くの人に挨拶をした。そこには七菜さんと他の生徒会の人が居た。あ、これやばいな・・・ 

 

 「没収」

 

 香澄「ええ!?ギターダメなんですか!?」

 

 「弾きながらとかありえないから!」

 

 七菜「放課後、生徒会室に来て」 

 

 香澄はギターを生徒会の人に没収されてしまい落ち込んでしまった。何やってんだ・・・そう思い呆れていると不意に後ろから声をかけられた。

 

 りみ「レン君、なにかあったの?」

 

 レン「りみちゃん、おはよう。いや、香澄がギター弾きながら登校して生徒会にギター没収された」 

 

 りみ「そ、そうなんだ・・・か、香澄ちゃん!」

 

 香澄「あ、りみり~ん!」

 

 香澄はりみちゃんに気が付くと駆け寄り泣き付いた。急に抱き着かれりみちゃんは少し戸惑っていた。

 

 りみ「あ・・・え、えーと、ななちゃん・・・生徒会長なら大丈夫だよ…」

 

 りみちゃんの言葉を聞き、香澄はりみちゃんから離れた。けど・・・

 

 レン「ごめん、りみちゃん。あれを見せられると大丈夫じゃない気がしてくるんだけど…」

 

 りみ「え?」

 

 俺が指をさした方を見るとそこには・・・

 

 七菜「3人とも、しっかりと押さえててね?」

 

 来人「承知しました」

 

 明日香「はい」

 

 碧斗「どうぞやってください」

 

 依然として眠っている利久のことを碧斗、明日香、来人がホールドしながら立たせている姿があった。

 

 七菜「それじゃ・・・すぅー・・・」

 

 七菜さんは息を深く吸うと手を振り上げ、そして・・・

 

 

 

 

 ――――――パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!――――――

 

 

 

 

 

 利久の頬に思いっきり往復ビンタをかました。うわぁ~痛そ~…

 

 利久「ふぁ~~~・・・あれ?どうして七菜さんが目の前に?後なんか頬っぺたが少しヒリヒリします…」

 

 ようやくお目覚めかよ・・・まったく、どんだけ寝不足なんだか… 

 

 七菜「利久君、あなたまた夜遅くまでゲームしてたわね?夜はしっかり睡眠をとらないとだめよ?」

 

 利久「は、はい・・・ごめんなさい・・・来人もご迷惑をおかけしました・・・」  

 

 そう言うと利久は他の3人と一緒に校舎へと入っていった。さっきの絵面を見せられた香澄と有咲とりみちゃんは呆然と立ち尽くし、香澄はより不安げな表情をしていた。

 

 有咲「よ、容赦ねーな・・・」

 

 香澄「だ、大丈夫かな・・・?私のギター、ちゃんと帰ってくるかな?」 

 

 りみ「だ、大丈夫だから、安心して・・・」

 

 レン「大丈夫大丈夫、七菜さん結構優しいから」

 

 ほんと、見つかったのが紗夜さんじゃなくてよかった。あの人はめっちゃ厳しいから反省文とか書かせてきそうだしな。

 

 香澄「あ!そうだ!2人とも、バンドの練習、有咲の家でしよう!」

 

 有咲「勝手に誘うな!」

 

 香澄「え~」

 

 香澄は突然思い出したかのようにそう言いながら俺とりみちゃんの肩をつかんできた。バンドの練習?あ!そうだった、俺まだ断ってなかった・・・て、りみちゃんも?もしかして・・・ついにりみちゃんもバンドを始めるの?俺はりみちゃんの方に視線を向けた。するとこちらを見ていたりみちゃんと視線が合った。その目を見て何が言いたいのか伝わってきた。

 

 りみ(え?レン君香澄ちゃんとバンドやるの!?)

 

 レン「いや、入らないからな!?香澄が勝手に言ってるだけだからな!?第一リーダーが他のバンドに入っちゃダメでしょ!」

 

 俺は何とか小声でりみちゃんに伝えた。それを聞いてりみちゃんは「そっか」と少し安心した表情をしていた。

 

 レン「わるいな香澄、俺はお前とバンドはやらない」

 

 香澄「え!?どうして!?」

 

 本当はここで俺もバンドやっててリーダーだからって言えばいいんだろうけど言ったら言ったで面倒なことになりそうだから黙っておくか…

 

 レン「バイトが忙しいんだ。雇い主の人が俺のこと結構こき使うし、何より俺にその気がない。それにグリグリを見てバンド始めようと思ったんだろ?だったら女子だけでガールズバンドやった方がいい」

 

 香澄「そっか~、残念・・・それじゃありみりんは!?」

 

 りみ「えーと・・・」 

 

 俺の返答を聞いた香澄は残念がったがすぐに立ち直り今度はりみちゃんの方に聞いた。ゆりさんに強い憧れを抱いている彼女のことだ、ついに自分もバンドを組めるのだから喜んで行くと思っていた。しかし・・・その表情は少し悲しげだった…

 

 りみ「あの!ごめんなさい!やっぱり・・・バンド・・・できない…」

 

 香澄「え?」

 

 そう言うとりみちゃんは校舎の方へと走っていってしまった。俺と香澄と有咲は突然の彼女の謝罪に呆気に取られ、呆然と立ち尽くしてしまった。しかしすぐに気が付き、りみちゃんのことを追いかけた。

 

 

 

 

     ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 一方その頃教室では―――――――――

 

 

 明日香「来人、何か言うことはあるかな?」

 

 来人「別に俺は普通に朝の挨拶をsオーケー、オーケー、分かったからその手を放してはくれないか?」

 

 今現在、僕は来人のことをこの手で机の上に組み伏せていた。理由は勿論いつものように来人が女の子に手を出していたからだ。 

 

 明日香「まったく、なんで女の子に手を出すのかな?」

 

 来人「そこに女の子がいるからd待って待って待って、力を込めるな。骨が逝ってしまう」

 

 明日香「え?なに?もっと力を込めて二度とナンパが出来ないように腕を折ってトラウマを植え付けてくださいだって?喜んで」

 

 来人「言ってない!言ってない!言ってない!それはただお前がやりたいだけだろ!?」

 

 明日香「予防だよ」

 

 来人「俺の行動を風邪みたいに言わないでくれます!?」

 

 明日香「やめなよそんなこと言うの・・・風邪のウィルスが不快な思いをするでしょ?」

 

 来人「なんでだよ!なんで病原菌の心配をするんだよ!?」

 

 明日香「病原菌以下が何言ってるの?」

 

 来人「ひどい!」

 

 まったく、いっつも思うけどなんでナンパなんてするんだろ?ちょっとは学習してほしい・・・少しはレンを見なら・・・いやダメだ。下手したらアレはコレよりもたちが悪い…アッチもアッチで少しは学習してほしい… 

 

 来人「てか明日香!いい加減に放せよ!」

 

 明日香「あ、ごめんごめん」

 

 すっかり忘れてた。僕はすぐに来人を放した。その時だった。それと同時にりみちゃんが教室に駆け込んできた。そして彼女は自分の席に向かうと息を整えた。

 

 りみ「やっちゃった・・・」

 

 やっちゃった?微かだったけど確かにそう言ったよね?りみちゃん、なにかあったの?そう思っていると今度は彼女を呼ぶ声が聞こえてきた。

 

 香澄「りみりーん!」

 

 りみ「あっ!」

 

 今の声、香澄ちゃん?何故か分からないけどりみちゃんは今の呼び声を聞いて狼狽るとカーテンの後ろに隠れた。けど・・・足が丸見え・・・全く隠れられてない…案の定、香澄ちゃんが教室に入ってきたらすぐに見つかちゃった。

 

 香澄「りみりん発見!」

 

 そう言うと香澄ちゃんはカーテンごとりみちゃんに抱き着いて、りみちゃんはカーテンにくるまれながらもがいていた。止めに行こうかと思ったその瞬間、調度レンも教室に入ってきた。レンは香澄ちゃんを見つけると深いため息をついて香澄ちゃんの頭に手刀を振り下ろした。

 

 レン「はぁ~、ていっ!」

 

 香澄「痛いっ!レン君なにするの!?」 

 

 レン「それはこっちのセリフだ。嫌がってるだろ?」

 

 香澄「う、ごめん…」

 

 りみ「ぷはぁ~」

 

 香澄ちゃんが離れるとりみちゃんはカーテンから顔だけを出した。ミノムシかな?

 

 香澄「なんでダメなの?」  

 

 ダメ?りみちゃん、香澄ちゃんと何かやろうとしてたのかな?

 

 香澄「親にダメって言われた?」

 

 りみ「ううん」

 

 香澄「誰かに脅された?」

 

 りみ「ううん」

 

 香澄「じゃあ・・・やっぱり私とやるの・・・」

 

 りみ「あ、うんうんうんうんうんうん」

 

 りみちゃんは全力で否定したけど首を振りすぎて目を回してその場にへたり込んでしまった。て、大丈夫!?

僕はりみちゃんに駆け寄った。

 

 香澄「りみりん!?」

 

 レン「りみちゃん!?」

 

 明日香「りみちゃん!だいじょうぶ!?」

 

 沙綾「牛込さん!?」

 

 あれ、沙綾ちゃん来てたんだ。て、そうじゃなくて!

 

 明日香「りみちゃん!しかっりして!」

 

 りみ「う~~・・・ごめんなひゃい・・・」

 

 りみちゃんは気を失ってしまった。ありゃりゃ・・・

 

 レン「気失っちゃってる・・・」

 

 明日香「仕方ない・・・よいしょっと!」

 

 僕はりみちゃんを保健室に運ぶために抱き上げた。いわゆるお姫様抱っこってやつだ。ちょっと沙綾ちゃん、ニヤニヤするのやめてもらえる?来人もニヤニヤしてるし、やっぱり腕の1本やっとくべきだったかな?

 

 レン「明日香、いいのか?別に俺が運んでも「いいから!」お、おう・・・」

 

 まったく、彩さんに見られたりでもしたらどうするのさ…あの人真に受けやすいからあらぬ誤解が生まれる。

 

 明日香「じゃあ、ちょっと行ってくる」

 

 そう言うと僕はりみちゃんを保健室まで運んだ。道中、色んな人に見られてヒソヒソ言われたけどあまり気にしてられなかった。けど、この時僕は気づかなかった。この状況を見られると面倒くさい人に見られていたことに・・・

 

 

 

 

 

 ――――――パシャリ!――――― 

 

 

 

 

 

 ゆり「ちょっと遅く来たけど中々いい光景が見れたわ。それにしてもりみをお姫様抱っこするなんて、明日香君も大胆ね!フフッ、明日香君が私の弟になる日が待ち遠しいわね」 

 

 ゆりさんはそう言いながらさっき撮った僕がりみちゃんをお姫様抱っこで運んでいる写真を眺めながらニヤニヤしていた。

 けど、そこではもう1人、プラチナブロンドの長い髪の女の人が僕がりみちゃんを運ぶ光景を見ていた。

 

 

 ?「明日香君が・・・女の子をお姫さま抱っこ?ふーん、朝からなかなか見せつけてくれるじゃない?これはちょっと色々と聞かないといけないみたいね?次ぎに合ったときは覚悟しておいてね?ねえ、明 日 香 君 ?

 

 

 明日香「ヒッ!今なんだか寒気が・・・」

 

 とりあえず僕はりみちゃんを保健室まで運ぶとベッドに寝かせ、教室に戻った。しばらくしたらりみちゃんは教室に戻ってきた。けどなぜだか顔が赤かった。大丈夫かな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 ―――――昼休み―――――

 

 俺らは屋上に来ていた。理由は勿論5人で昼食をとるためだ。けど今日はりみちゃんも一緒だった。俺達が来た時、りみちゃんは独りチョココロネをほおばっていた。そりゃあ今朝に香澄とあんなことがあったんだ、気まずくてお昼を一緒に食べるなんてできないだろうな。けど・・・なんでりみちゃん断ったんだろ?

 

 レン「ねえ、りみちゃん。どうして香澄の誘いを断ったの?」

 

 りみ「えっ!?」

 

 明日香「レン!」

 

 あ、やっぱ聞いちゃまずかったかな・・・

 

 レン「ごめん・・・ちょっと気になって・・・けど、香澄とやるの嫌じゃないんだろ?」 

  

 りみ「・・・うん・・・私、香澄ちゃんが誘ってくれて・・・めっちゃ嬉しかった・・・」

 

 利久「なら、どうしてですか?」 

 

 りみ「そ、それは・・・ごめん!」

 

 レン「りみちゃん!?ちょっと待って!」

 

 りみちゃんは屋上を立ち去ってしまった。俺はすぐにに立ち上がりりみちゃんを追いかけようとした。けど・・・

 

 ―――――ガシッ!―――――

 

 腕をつかまれ引き留められた。目を向けると碧斗が俺の腕をつかんでいた。

 

 レン「碧斗?」

 

 碧斗「追うな、今はそっとしておいてやれ」

 

 レン「けど・・・」

 

 碧斗「それに、それはお前の役目じゃない。もっと適任者がいる」

 

 そう言うと碧斗は明日香の方に視線を向けた。明日香?そうか、確かにその通りだな。

 

 明日香「は~・・・わかったよ。レン、僕に任せてもらえる?」

 

 レン「ああ、頼む」

 

 とりあえず俺達はこの一件を明日香に任せることにした。


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