バンドリ!~オプション付き5人と少女達の物語~   作:akiresu

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クライブはウサギと一緒

 レン「やっと終わった~!」

 

 俺は帰りのHRが終わると思いっきり体を伸ばした。今日は花の金曜日、明日は学校はなく、さらには嬉しいことにバイトのシフトも土日共に入っていない。休日にあの鬼師匠からこき使われずに済むなんて、こんなにも嬉しいことはない。帰宅するために帰り支度を終えたその時だった。

 

香澄「ねえねえ、3人も明日のクライブ観に来てよ!」

 

 明日香と来人と一緒に教室を後にしようとしていたら急に香澄に呼び止められた。

 

 来人「はい?」

 

 明日香「え?くらいぶ?なにそれ?」

 

 突然の香澄の誘いに何も知らない明日香と来人は混乱してしまった。まずクライブって単語すら新しいからな。

 

 香澄「分からないの!?」

 

 レン「いや、普通説明なしに言われたら分からないからな?」

 

 俺はまず香澄が蔵でライブするって言ってたから察することが出来たけどこの2人はそのことを知らないから当然だ。

 

 香澄「あ、そっか、ごめんごめん。私と有咲とりみりんとおたえも4人でライブするの!有紗の家の蔵に地下があって、そこでやるの!」

 

 来人「成程、蔵でやるからクライブか。随分としゃれてる」

 

 明日香「も、てことは他にも誰か観に来るの?」

 

 香澄「うん、有咲のお婆ちゃんと沙綾とゆりさん。あ、あとおたえが彼氏連れて来るって!」

 

 へ~、ゆりさんも観に来るのか。妹思いのあの人の事だからやっぱり妹の初ライブは観に行ってあげたいのか。うん?今聞き捨てできない言葉が聞こえたぞ?おたえの彼氏!?

 

 来人「なに!?たえちゃんに彼氏!?」    

 

 明日香「え?たえちゃん彼氏いたんだ」

 

 レン「マジかよ・・・」

 

 香澄「うん、昼休みの時に彼も連れて来るって」

 

 明日香「へー、どんな人なんだろ?」

 

 来人「彼・・・うん?彼って・・・あれ?」

 

 うん?来人、急に考え込んでどうかしたのか?

  

 香澄「それで、観に来る?」

 

 来人「え?ああ、もちろん行くさ!」

 

 明日香「うん、僕も観に行きたいな」

 

 レン「俺も行く。あ、そうだ、碧斗と利久も誘っていいか?」

 

 香澄「もちろん!大歓迎だよ!」

 

 よかった、なら碧斗と利久には後で伝えるか。その後俺は家に帰った後、携帯で碧斗と利久に蔵イブの事を伝えた。そしたら2人とも有咲に誘われていたそうだ。蘭のやつみたいにつんけんしてるアイツが珍しい。とりあえず俺ら5人は明日の午前中、有咲の家の蔵にクライブを観に行くことになった。そして俺らは土曜日を迎えた。

 

 レン「4人ともおはよう」

 

 碧斗「おはよう」

 

 利久「おはようございます」

  

 明日香「香澄ちゃん、りみちゃん、沙綾ちゃん、有紗ちゃんおはよう」

 

 来人「おっはよー!」

 

 香澄「レン君、碧斗君、あっ君、リッ君、ライ君おはよう」

 

 沙綾「あ、来た来た」

 

 りみ「おはよう」

 

 有咲「お、おはよう」

 

 明日香「あ、りみちゃんその髪飾り可愛いね。凄く似合ってるよ」

 

 りみ「う、うん///ありがとう///」

 

 俺らは流星堂まで来ると有紗と先に到着していた香澄と沙綾とりみちゃん、そして香澄の傍らには香澄によく似た茶色いショートヘアーの女の子の姿があった。あれ?この娘は?

 

 レン「香澄、その娘は?」

 

 香澄「あ、紹介するね!妹のあっちゃん!」

 

 ?「戸山 明日香です。あの、姉がいつもお世話になってます」

 

 そう言い自己紹介をすると彼女、戸山 明日香は俺らに一礼した。そういえば言ってたな、明日香って名前の妹が中等部に通っているって。信じられない・・・本当に香澄の妹なのか?随分と礼儀正しい。俺は彼女に感心していると彼女は顔を上げ、ギョッとした表情になった。うん?如何したんだ?

 

 戸山妹「あっ!あの時の・・・」

 

 そう言うと彼女は俺の後ろにいた来人を指さした。俺達全員は来人に視線を向けた。すると来人も同じくギョッとした表情になって顔を青くしていた。

 

 香澄「え?あっちゃんライ君のこと知ってるの?」

 

 戸山妹「う、うん・・・」

 

 来人「あー・・・あの時はその・・・ごめんね…」

 

 レン「来人なにがあった?」

 

 明日香「今度は何をやらかしたの?」

 

 来人「いや実はな―――――――――――――――――」 

 

 来人は明日香ちゃんと会った時のことを俺ら4人だけに語りだした。

 

 

 

 

 

 

 

     ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――   

 

 

 

 

 

 

 

 俺は部活見学で各運動部を回って水泳部の見学に行った時の事だ。いやー水着姿の可愛い女の子がこんなにもいるなんて眼福眼福。そう思っているとかなり可愛い中等部の3人組の娘がいたのでちょっと話し掛けた。

 

 来人「こんにちは、君達可愛いね?名前はなんていうの?」

 

 戸山妹「な、なんですか急に!?」

 

 来人「ねえ、よかったら俺がタイムを伸ばす方法教えてあげるよ」

 

 俺は3人の女の子と仲良くなるために声を掛けた。その時だった・・・

 

 「とりゃ~~~~!」ドスッ!

 

 来人「ヒデブッ!」ドカッ!

 

 ―――バッシャーン!―――

 

 俺は突然横から飛蹴りを喰らい、プールに落とされた。何事!?水面に顔を出そうとしたその時だった。

 

 ―――ドスッ!―――

 

 頭を思いっきり踏まれて水中に押し戻された。

 

 来人「ガボボボボボボッ!?」

 

 い、息ができない!?

 

 ゆり「あなたたち大丈夫?なにもされてない?」

 

 今の声はゆりさん!?そう言えばこの人、水泳部の部長だっけ・・・て、そうじゃない!

 

 来人「ガボ!ガブボボ、ガボボボボボボボ!(ギブ!ゆりさん、俺死んじゃいます!)」

 

 戸山妹「は、はい・・・て、その人大丈夫ですか!?溺れかけてますけど!?」

 

 ゆり「大丈夫よ、未来の私の弟にお願いされてるの。もしこの人が部活見学の時にナンパしていたら、容赦なく排水溝に流してほしいって」

 

 明日香のやつ、そんな根回ししてやがったのか!?つーかマジでやばい!溺れる溺れる!

 

 戸山妹「は、はぁ・・・て、ダメですよ!?排水溝に流すなんて!?流石にそれはまずいんでその足どけてあげてください!」

 

 ゆり「うーん、あなたがそこまで言うなら」スッ

 

 来人「ブハッ―!はぁ・・・はぁ・・・死ぬかと思った…」

 

 女の子にお願されて、ゆりさんは足をどけてくれた。マジで助かった…

 

 ゆり「いい、来人君?今日はこの娘に免じて大目に見てあげるけど・・・今度水泳部の娘に手を出したら、七菜に言って氷川さんに伝えてもらうわよ?」ニコッ

 

 そう言うとゆりさんは俺に笑顔を見せてきた。この人の笑顔は素敵なんだけどこんなにも怖いと思ったことはない… 

 

 来人「はい、承知しました」

 

 

 

 

     

 

 

 

 

     ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 来人「てなことがあったんだよ…」

 

 そんなことがあったのかよ・・・ゆりさん容赦ねえな…それよりも・・・

 

 レン「お前また知り合いの妹に手を出したのかよ?日菜さんといいあこちゃんといい何やってんだよ…」

 

 俺ら4人は来人に対して若干冷ややかな目を向けてた。

 

 レン「ごめんね明日香ちゃん、このバカが迷惑かけて」

 

 戸山妹「いえ、気にしないでください。ところであなたは・・・」

 

 レン「おっと、そういえば自己紹介がまだだったな。俺は赤城 レン、香澄とは席が隣どうしなんだ。でこっちにいる4人が・・・」

 

 碧斗「海原 碧斗だ」

 

 利久「石美登 利久です。どうぞよろしく」  

 

 明日香「僕は桃瀬 明日香、僕も香澄ちゃんとはクラスメイトなんだ」

 

 来人「黄島 来人、よろしく」

 

 俺らは明日香ちゃんに自己紹介をした。

 

 戸山妹「赤城・・・レン・・・」

 

 その時、明日香ちゃんは俺を見て何か考えこんだ。いったいどうしたんだ?

 

 戸山妹「あの、前にどこかで会いませんでしたか?」

 

 レン「え?いや、ないと思う・・・たぶん…」

 

 この娘とは今日が初対面のはず。けどなんだろう・・・昔どこかで会った気がする…どこだっけ?俺は思い出そうとしていたその時だった。

 

 ―――ビリッ!―――

 

 香澄が背負っていたギターケースをいれる袋の底が破れ地面に落ちそうになった。しかしギリギリのところで丁度香澄の後ろにいた明日香ちゃんがケースを受け止めた。

 

 香澄「あー!」

 

 りみ「大丈夫!?」

 

 香澄「あっちゃんありがとう!」

 

 危ない危ない、あのまま地面に直撃してたらギターが使えなくなって大変なことになってた。

 

 ゆり「来た?」

 

 その時、入り口からゆりさんが現れた。噂をすればなんとやら。

 

 戸山妹「先輩!」

 

 香澄「え?」 

 

 戸山妹「水泳部の部長」

 

 香澄、ゆりさんが水泳部の部長だってこと知らなかったのか?

 

 レン「ゆりさん、おはようございます」

 

 ゆり「あら、5人ともおはよう」

 

 来人「ひっ!」ビクッ!  

 

 ゆり「来人君どうかしたの?結構汗が出てるわよ?」 

 

 来人「い、いえ、大丈夫です…」

 

 来人はさっきの話の事があってか、ゆりさんを見るや否や冷汗があふれるように出てきていた。けど確かに今のこの人の笑顔はなんかちょっと怖い。

 

 ゆり「そう、あ!もう中には入れるわよ」

 

 レン「そうですか、ありがとうございます」

 

 ゆりさんに促され俺らはライブの会場となる蔵の地下室へと入った。中に入ると俺らは有咲のお婆さんにジュースをいただき、座りながら花園さんの到着を待っていた。

 

 「ジュースでよかった?」

 

 沙綾「はい、ありがとうございます」   

 

 レン「すいません、気を使わせてしまって」

 

 「いいのよ、それにレン君と利久君だわよね?この前は有咲にプリントを届けてくれてありがとう」

 

 利久「いえ、当然のことをしたまでです」

 

 俺達はライブが始まるまでの間、雑談をしていた。その時だった・・・

 

 香澄「待て―――!」

 

 香澄の叫び声が上から聞こえてきて、それと同時に明日香ちゃんの目の前に青と赤のオッドアイの茶色いウサギが現れ、香澄も階段を駆け下りてきた。

 

 レン「う、ウサギ?」

 

 来人「あれ?このウサギって・・・」

 

 香澄「ウサギどこ!?」

 

 戸山妹「ここ」

 

 香澄「よかったー」

 

 明日香ちゃんはウサギを抱き上げるとそれを見た香澄は安堵の息を漏らした。

 

 有咲「いきなり放すなー!」

 

 香澄「ごめ~ん」

 

 たえ「オッドアイのおっちゃんだよ」

 

 明日香「おっちゃんって・・・」

 

 碧斗「なんか歳喰ってそうな名前だな・・・」

 

 沙綾「おたえ・・・」

 

 おたえ・・・ライブにウサギ連れてきたのかよ…そう思っていると

 

 戸山妹「うわぁ!」

 

 おっちゃんは突如明日香ちゃんの手を飛び出した。そして・・・

 

 来人「ぐえ!」

 

 来人の鳩尾にダイブした。おお、見事にクリーンヒットした。

 

 来人「やっぱり、たえちゃんが言ってた彼っておっちゃんのことだったのか…にしてもこの体当たり、懐かしいな…」

 

 『え?』

 

 沙綾「来人、このウサギのこと知ってるの?」

 

 来人「ああ、昔通ってた幼稚園にたえちゃんがこっそりウサギを連れてきたことがあってな。そん時、幼稚園で飼ってたウサギと遊ばせようとしてウサギ小屋の中のウサギを全部外に出したんだよ。その時連れてきてたウサギがこのおっちゃんだったんだよ」

 

 そんなことがあったのか・・・おたえ、何やってんだよ…

 

 たえ「うん、凄く懐かしい。あの時ライ君が草笛を吹いたらウサギが一斉にライ君に集まってきて、おっちゃんはさっきみたいにダイブしてた。でもその時だったよね?私とライ君が友達になったのも」 

 

 へ~、来人はその時から生き物に懐かれやすかったのか。実は来人は滅茶苦茶生き物に懐かれる。どんなにいう事を聞かない犬でも忠実になり、サバンナに行けばライオンがすり寄ってきて、公園のベンチで昼寝をすれば猫まみれになってしまうほどだ。ほんとこんだけ生き物に懐かれるのに女の子にモテないのは何でだろう?

 

 香澄「ライ君すごい!」

 

 有咲「つーか幼稚園にウサギ連れてってウサギ小屋のウサギ逃がすとかどんだけだよ…」

 

 ゆり「感心してるところ悪いけどライブは?」

 

 香澄「あ!やります!」

 

 そう言うと香澄達は楽器を手にしてそれぞれ指定の位置に立ち、一息入れると俺達に呼び掛けMCを始めた。ついに香澄達のバンドのファーストライブの幕が切って落とされた。

 

 香澄「こんにちわ、戸山 香澄です。クライブに来てくださってありがとうございます」

 

 そう言うと香澄達4人は一礼した。 

  

 「有咲~」 

 

 有咲「婆ちゃん!」

 

 すると有咲のお婆さんが有咲に向けて声援を送り、有咲はそれに少し顔を赤くした

 

 香澄「今日はおたえと沙綾とレン君、碧斗君、あっ君、リッ君、ライ君、あっちゃん、ゆりさん、お婆ちゃんをドキドキさせます。してくださったら嬉しいです!」

 

 ―――パチパチパチパチ―――

 

 香澄「いきます、『私の心はチョココロネ』!」

 

 香澄の掛け声を合図にりみちゃんがスマホで録音していたドラムの音を流し、4人の演奏が始まった。

 

 『わた~しの~ここ~ろは~ チョココロネ~ ひと口~かじれば~あふれちゃう~ 色んな~気持ちが~ はじけちゃう 』

 

 そして、演奏が終わった。俺達は無意識のうちに4人に拍手を送っていた。

 

 香澄「やった~!」

 

 有咲「マジでヤバかった!ホントヤバかったってー!」

 

 りみ「でも楽しかった!」 

 

 香澄「うん!」

 

 戸山妹「勝負じゃなかったんですか?」 

 

 沙綾「そうみたい」

 

 レン「別に香澄は最初から勝負だなんて一言も言ってないよ。おたえをドキドキさせるとしかね」

 

 戸山妹「え?じゃあどうして一緒に演奏していたんですか?」

 

 香澄「だって一緒に弾いた方がドキドキするから。ね!おたえ!」

 

 たえ「香澄!りみ!有咲!」

 

 有咲「うわぁ~!」

 

 おたえは嬉しさのあまり、香澄、有咲、りみちゃんの3人に思いっきり抱き着いた。

 

 利久「なんかデジャブですね」

 

 明日香「誰かさんをバンドに誘った時も、こんな感じで仲間になったもんね。ね、誰かさん」

 

 来人「うるせえ…けどまあ、これでたえちゃんは香澄ちゃん達のバンドに入ることは確定だな」

 

 レン「ああ、これでメンバーは4人だ。けど・・・」

 

 碧斗「このバンドは全てが揃っていない」

 

 明日香「うん…」

 

 利久「ですね…」

 

 そうだ、碧斗の言う通りこのバンドは完成していない。なぜならこのバンドには・・・

 

 碧斗「まだドラムがいない」

 

 そう、バンドをやる上で必要不可欠な存在であるドラムがまだこのバンドにはいない…ドラム担当が入るまでこのバンドは完成しない。

    

 来人「けど・・・やるやつは目星ついてるだろ?」

 

 そう、このバンドでドラムをやるべき存在は俺達の目の前にいるのだから…俺達の5人の視線は隣に座りながら笑顔で香澄達4人を見る山吹 沙綾に向いた。しかしその表情は、どこか辛そうで、そして・・・羨ましそうにしているように感じた…

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