バンドリ!~オプション付き5人と少女達の物語~   作:akiresu

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スケットは2バンド

 文化祭が終わり、季節は6月、いよいよ夏が始まろうとしていた。花咲川学園でも衣替えが行われ、学校に通う生徒たちも全員夏服になっていた。けれども俺らは相も変わらず朝は5人で登校し、昼休みには一緒に昼食を取り、放課後はバイトかバンドの練習に明け暮れていた。そして今日も放課後を迎えていた。

 

 レン「じゃあな香澄」

 

 香澄「うん、また明日」

 

 レン「さてと・・・明日香、来人、そろそろ行くぞっ・・・て…」

 

 来人「・・・フッ…」

 

 なんか来人が教室を儚げに眺めていた。それはもう薫さんみたいに、てか薫さんそのものだ・・・

 

 レン「おい来人どうした?薫さんの真似したってお前はモテないぞ?」

 

 下手した千聖さんに消されるぞ?

 

 来人「ちげーよ!てかモテない言うな!」

 

 レン「じゃあ何してたんだよ?」

 

 来人「フッ、レン、教室内を見てみろ」

 

 教室内?見渡してみたけけど見えるのは・・・

 

 レン「机と椅子がどうかしたのか?」

 

 来人「そっちじゃねえよ!他に見えるものがあるだろ?」

 

 他に?他に見えるものといったら・・・

 

 レン「夏服姿の女子?」

 

 来人「そう!見てみろよ、衣替えする前とは違って袖とスカートの丈が短くなって、以前は隠されていた色白の腕と太腿!薄い生地になったことによってよりはっきりと分かるようになった体のライン!男にとってこの時期の教室はまさにアヴァロン!」

 

 うわぁー・・・今朝からずっと様子がおかしいと思ってはいたけど授業中もそんなこと思っていたのかよ…

 

 レン「そうか、そういえば来人、もう1つ見えてるものがあった」

 

 来人「なんだ?」

 

 レン「今お前の後ろに立ってる明日香」

 

 来人「え?」

 

 ―――ズキュシッ!―――

 

 来人「ああああああ!目がああああああ!」

 

 来人は後ろに立っている明日香から目つぶしを喰らい、大声を上げてのたうち回っていた。

 

 明日香「ケダモノ」

 

 明日香は来人に向けて一言いい放つと、ワイシャツの襟を掴み教室から引きずっていった。俺はギターケースを背負うと明日香に続き、校門前で待つ碧斗、利久と合流して一緒に帰宅した。そして翌日、その日は土曜日だった為俺達は来人の家に集まりいつも通り練習をしていた。

 

 レン「よし、じゃあまず今日はこの前の新曲を最後までやるぞ」

 

 来人「了解、今日はこいつでやってみる」 

 

 そう言うと来人はエレキバイオリンを手に持ち、碧斗がカウントを取り演奏が始まった。

 

 レン「利久どうだった?」  

 

 利久「問題ないです、来人もこの曲をバイオリンで演奏するのは初めてでしたけど上手く弾けていたので良かったです」

 

 来人「よし、じゃあ他の楽器でも演奏してみていいか?」

 

 レン「ああ、もちろんだ」

 

 来人「じゃあ次はこいつだ」

 

 そう言って来人がサックスを手にしたその時だった。

 

 ―――ピロン!―――

 

 突然俺のスマホの通知音が鳴った。

 

 レン「ちょっと待ってくれ」

 

 碧斗「ああ」

 

 俺はスマホの画面を点けるとそこには凛々子さんからメッセージが着ていた。

 

 明日香「誰から?」

 

 レン「凛々子さんからだ。ええと何々・・・え!?」

 

 俺はメッセージの内容を見て絶句した。

 

 利久「どうかしましたか?」

 

 レン「SPACEのスタッフが全員インフルエンザで倒れたって…」

 

 来人「なんだって!?」

 

 利久「確か今日のライブは・・・」

 

 明日香「グリグリとRoseliaが出るはずじゃあ…」

 

 レン「ああ・・・今師匠が1人でライブの準備をしようとしてるらしい…」

 

 利久「レン」

 

 レン「ああ、わかってる。悪いな、今日の練習はここまでだ。じゃあな」

 

 俺はギターをしまうと、利久と一緒に来人の家を後にしようとした。しかし・・・

 

 碧斗「待て」

 

 碧斗に呼び止められた。人が急いでるときになんだ?

 

 レン「なんだ?」

 

 碧斗「お前ら2人だけ行ってライブの準備間に合うのか?」

 

 レン「それは・・・」

 

 確かにそうだ・・・でも足の不自由な師匠が1人でもライブの準備をやろうとしているんだ。バイトといえど動ける俺ら2人が行かないわけにはいかない。

 

 レン「確かにその通りだ。けどそんなこと知るか、師匠が1人でもやろうとしているんだ。弟子の俺が手伝わなくてどうするんだ!」

 

 碧斗「そうかよ・・・」

 

 明日香「はぁ~・・・」

 

 来人「馬鹿だなコイツ」

 

 レン「はぁ!?」

 

 利久「レン、碧斗は一緒に手伝いに行くと言っているんですよ」

 

 明日香「それに今の言い分だと僕達全員行かない訳にはいかないんじゃないの?」

 

 来人「どうせ今日はこの後暇だしな?」

 

 レン「お前ら・・・」

 

 碧斗「ほら、とっとと行くぞ。時間は限られているんだ」  

 

 レン「ああ!」

 

 俺ら5人は練習を中断して師匠を手伝うためにSPACEに向かった。するとそこには香澄達Poppin’Party5人の姿もあった。

 

 レン「香澄!オーナー、手伝いに来ました」

 

 香澄「レン君!」

 

 オーナー「なんだ、海原たちも付いて来たのかい。ならとっと準備しな!嬢ちゃん達も花園とこいつらから仕事のやり方聞きながらやりな」

 

 『はい!』

 

 俺達10人はスタッフ専用のシャツに着替えると早速ライブのじゅびに取り掛かった。碧斗と来人と利久はステージの掃除をやり、俺は香澄と有咲と沙綾と一緒に玄関前の掃除、明日香はりみちゃん、おたえと一緒にロビーの掃除をやっていた。掃除を終えると今度は俺と香澄、沙綾、有咲はドリンクカウンターの準備に取り掛かった。

 

 レン「ドリンクの補充完了、ジュースはこのコップに、コーヒーと紅茶はアイスの時はジュースと同じコップに、ホットはこのカップに、日本茶はこの湯呑に入れて出してくれ」

 

 沙綾「了解」

 

 有咲「よし、全部覚えた」

 

 沙綾「流石学年トップ」

 

 有咲「余裕~」

 

 オーナー「1回練習してみな」

 

 香澄「じゃあ行くね、コーラとメロンソーダと紅茶と昆布茶ください」

 

 有咲「1200円になります」

 

 香澄「計算早や!」

 

 有咲「全部値段同じだし」

 

 有咲が香澄に突っ込みを入れている間に沙綾はドリンクを容器に注ぎ、カウンターの上に並べた。

 

 沙綾「お待たせしました」

 

 香澄「準備早や!」

 

 沙綾「パン屋で慣れてるから」

 

 香澄「チームワークいい!」

 

 オーナー「後片付けておきな」

 

 オーナーは一言いい残すとステージの方へと入っていった。

 

 沙綾「飲んでいいのかな?」

 

 香澄「メロンソーダ」

 

 有咲「あ!狙ってたのに!だいたいお前何にもしてねえじゃねえか!」

 

 沙綾「昆布茶いい?」

 

 有咲「渋いね…」 

 

 レン「じゃあ俺はコーラ」

 

 有咲「あー!それも狙ってたのに!」

 

 レン「早いもん勝ち。それよりも早く飲め、次はステージのセッティングだ」

 

 俺はコーラを一気に流し込むとホールに入り、全員でステージ準備を始め、碧斗とおたえは脚立を使って照明のセッティングをやっていた。

 

 碧斗「照明のセッティング終わったぞ」

 

 たえ「点けてみて」

 

 りみ「あ、えーと・・・」

 

 オーナー「パーライト!」

 

 りみ「あ、はい!えーと・・・きゃあ!」

 

 りみちゃんはおたえに照明をつけてほしいと頼まれたが、機械の操作方法が分からず間違えてミラーボールのスイッチを入れてしまった。

 

 オーナー「違うやり直し!」

 

 りみ「あ、はい!えーと・・・」

 

 利久「そこの右上のボタンを押して」

 

 りみ「うん!」

 

 しかし困惑していたりみちゃんに利久が助け舟を出して照明のスイッチの場所を教えてもらい何とかつけることが出来た。

 

 オーナー「本番までに覚えな」

 

 りみ「はい!利久君ありがとう」

 

 利久「どういたしまして。大丈夫ですよ、本番の時も分からなくなったら僕が隣で教えますから」

 

 りみ「うん」

 

 ステージのセッティングを終えると今度はチケット売り場の準備をすることになり、お釣の確認と補充をしていた。

 

 レン「えーと、5000円札がひーふーみー・・・15枚で75000円、1000円札が30枚で30000円と」

 

 有咲「100円が50枚で5000円、500円が50枚だと25000円」

 

 香澄「お~、大金だ」

 

 沙綾「貸して」

 

 沙綾は棒状にまとめられた小銭を金庫の角に打つ付けると小銭をばらして金庫の中に入れた。

 

 香澄「やりたいやりたーい!」

 

 それを見た香澄は自分もやりたいと子供のように言いだした。

 

 沙綾「待って待って」

 

 オーナー「あんた達!遊びじゃないんだよ」

 

 香有沙「「「は、はい!」」」

 

 しかしその一部始終をオーナーに見られてしまい怒られてしまった。  

 

 オーナー「レン!あんたもしっかりと注意しな!」

 

 レン「は、はい・・・すいません…」

 

 ついでに俺も怒られた。解せぬ…

 

 オーナー「それが終わったらあんた達3人は楽屋の掃除をやりな。レン、お前はステージの方に行って機材の準備をやりな」

 

 レン「はい、じゃあ後は任せた」

 

 香澄「うん」

 

 俺は香澄達に一言言い残すと、ステージの方に向かった。

 

 

 

 

 

     ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 オーナーに怒られた香澄達は指示を受けて楽屋の掃除をやっていた。 

 

 有咲「オーナー怖えー」

 

 沙綾「あれは怒られるよ」

 

 有咲「やっりずれー」

 

 沙綾「まあまあ」

 

 その時、机の上を拭いていた香澄は上に置かれ、表紙にSPACE NOTEと書かれた1冊のノートに目が留まった。

 

 香澄「ノートだ」

 

 香澄はそれを開くとそこには今までここでライブしてきたバンド達のライブでの感想やオーナーへの感謝の言葉など、様々な書置きが書かれていた。

 

 沙綾「みんなバンド?」

 

 有咲「へー」

 

 中には若かりし頃の姿や笑顔でバンドの娘達と一緒にいるといった様々なオーナーの姿を収めた写真も貼られていた。

 

 沙綾「オーナーも笑ってるね」

 

 香澄「うん・・・あ、見て見て!これ!」

 

 有咲「これって・・・」

 

 沙綾「あ!」

 

 香澄がページを進めると、そこには自分たちもよく知る二つのバンドの書置きと、オーナーとともに写る写真が貼られているのを見つけた。1つは今日のライブに出る自分たちの先輩バンドのGlitter⋆Green。

 

 香澄「ゆりさん達だ!」

 

 有咲「前にりみが言ってたファーストライブの時のか」

 

 沙綾「それにこっちは・・・」

 

 そしてもう1つは今現在、自分たちと共にライブの準備作業をしているBrave Binaeだった。

 

 香澄「レン君達だ」

 

 有咲「この写真だけオーナー笑ってねーな、しかも直筆でダメ出しまで書かれてるし…」

 

 沙綾「あははは・・・弟子には厳しいね…」

 

 香澄達はそのページを一通り見終えるとまたページを進めた。しかし、また1つのページで手が止まった。

 

 香澄「え・・・」

 

 有咲「どうした香澄?」

 

 香澄「ここに写ってるのって・・・」

 

 香澄はある男女混合の5人組バンドの写真を指さした。

 

 香澄「レン君と・・・あっ君?」

 

 有咲「え!?いや・・・違うな。でもスゲー似てる…」

 

 その写真にはオーナーの他にドラムスティックを手に持ち、前髪を目元まで伸ばした灰色の髪の青年、虹色のギターを持ち、所々に色とりどりのメッシュが入った茶髪の青年、キーボードを抱えた薄水色の長い髪の女性、そして赤いギターを持ったレンにとてもよく似た赤い髪の青年と桜の花びらが描かれた薄紅色のベースを手に持った明日香に似た長いピンク色の髪の女性が写っていた。香澄と有咲はそのバンドの写真をまじまじと見ていた。すると香澄は不意に首を傾げた。

 

 香澄「あれ?でも私、この人のこと・・・見たことある気がする…」

 

 有咲「はあ?さっきレンに似てるって言っただろ?なあ沙綾・・・」

   

 沙綾「・・・」

 

 有咲は沙綾に話しかけたが沙綾はそれに反応せず、ただその写真を見つめていた。しかしその表情はどこか何かを懐かしんでいる様だった。しかしその時だった。

 

 リィ「おはようござ・・・おや」

 

 そこにデべコのぬいぐるみを手に持ち、昨日楽器店で会っていた鵜沢 リィが楽屋の入り口に立っていた。 

 

 香澄「あ、おはようございます」

 

 沙綾「今日だけお手伝いなんです」 

 

 リィ「そうなんだ、よろしく~!ドラムどう?」

 

 沙綾「いい感じです」

 

 リィ「よ~し」

 

 沙綾は昨日購入した電子ドラムのことでリィと会話していた。しかしその後ろで有咲は何かを警戒するように香澄の背に隠れていた。

 

 有咲「あの・・・あの人は・・・」

 

 リィ「うーん・・・あっ!あー!しまった!どこ行った!?」

 

 あの人と聞かれリィは一瞬誰の事だろうと考え込んだがすぐに気が付き当人を探した。するとその張本人である二十騎 ひなこはその近くで、近所の犬を可愛がる様にりみの頭を撫でまわしていた。

 

 ひなこ「よーし!よしよしよし!」

 

 リィ「ヤバい捕まえに行かないと!」

 

 リィはひなこを取り押さえるためにひなこのもとに駆け寄った。リィが入り口の前からいなくなるとそこから今度はゆりと七菜が姿を見せた。

 

 ゆ七「「おはようございます」」

 

 香有沙「「「おはようございます」」」

 

 ゆり「レン君から話聞いた」

 

 七菜「今日のライブよろしくね?」

 

 香澄「生徒会長」

 

 沙綾「どうして此処に?」

 

 七菜「ふふっ、これでいい?」―――カチャ―――

 

 香沙「「えー!?」」

 

 有咲「マジか・・・」 

 

 七菜はライブの時と同じように眼鏡をはずしその顔を香澄達に見せた。すると3人はその顔を見て七菜がグリグリのキーボードであることをそこで初めて知り、驚愕した。

 

 

 

 

 

     ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 レン「お、始まったか」 

 

 俺ら4人はグリグリがリハーサルをやっている間、ある程度の準備は終わらせていたため、少しロビーで休憩しながらその様子をモニターで見ていた。その時だった。

 

 「「「「「おはようございます」」」」」

 

 入り口の扉が開き、あこちゃん、燐子さん、紗夜さんに長い銀髪の髪に黒帳の髪飾りを付けた女の人とウェーブがかかった長い茶髪をポニーテールにしたギャルっぽい女の人を加えた今日のライブに出るバンドRoseliaの5人が入店した。5人は中に入ると俺等の存在に気づき銀髪の女の人と、ギャルっぽい女の人が声を掛けてきた。

 

 「あなた達がどうして此処に?」

 

 「もしかして今日のライブにでる・・・て訳じゃなさそうだね?」

 

 銀髪の女の人は湊 友希那。Roseliaのリーダーでボーカルを担当している。歌唱力がとても高く、バンドを結成する前は数多くのライブハウスで1人で歌を披露していたため孤高の歌姫という異名を持っている。ギャルっぽい女の人は今井 リサ。Roseliaのベース担当で友希那さんとは幼馴染の関係にある。見た目とは裏腹にお菓子作りが得意だったりと、とても女の子らしくお姉さん気質で、あこちゃんからはリサ姉と呼ばれている。

 

 レン「おはようございます、実は今日他のスタッフが全員インフルでダウンしちゃって・・・」

 

 明日香「それで僕達5人と香澄ちゃん達・・・同じ学校のバンドの娘達が手伝うことになったんです」   

 

 リサ「へぇ~、あれ?そういえば利久は?」

 

 レン「あー、利久なら音響に入って師匠のサポートをしてます」

 

 リサ「ふーん、だってさ~燐子」

 

 燐子「え!?えーと・・・その///・・・」

 

 まただ、また利久の名前が出たとたん燐子さんの顔が赤くなった。利久、お前本当に何もしてないのか?

 

 友希那「そう、兎に角私達の足を引っ張るような真似だけはしないでおいて」

 

 リサ「ちょっ!友希那・・・」

 

 レン「いいんですよリサさん。大丈夫です、任せてください」

 

 相変わらず友希那さんは音楽に関しては他の人に対して厳しいな。けど、けして妥協を許さない音楽に対する思いがきっとRoseliaという実力派バンドを作り上げたんだろう。俺達も見習わないといけないとつくづく思う。

 

 友希那「そう・・・」

 

 友希那さんは一言言い残すと楽屋の方に入っていった。

 

 リサ「ごめんねレン、じゃあまた後でね」

 

 あこ「りんりん行こう!」

 

 燐子「う、うん・・・あの・・・今日は・・・・・よろしくお願いします・・・」

 

 友希那さんに続いてリサさん、あこちゃん、燐子さんも楽屋の方に入っていった。けど紗夜さんは楽屋に向かう前に俺と来人のことを睨みつけてきた。

 

 紗夜「レンさん、黄島さん、ライブを観に来た観客の方に手を出すようなことがあったら・・・その時は分かってますね?」

 

 来人「しょ、承知しました!」

 

 レン「ひっ!ちょっと待ってくださいよ!俺はそんなことしませんから!てか今までもそんな事したことりませんから!」  

 

 紗夜「本当ですか?この年で既に婚約者がいて、それにもかかわらず何人もの女の子を惑わせているのにですか?それに・・・日菜と丸山さんの時のことはどう説明するんですか?詳しく聞きたいですね?」

 

 レン「いやまあ・・・それに関しては来人が俺を巻き込んだんですよ!それに前者は事実と違います!」

 

 碧斗「いや、当たってるだろ」  

 

 明日香「これ以上ないほどに的を射ているね」

 

 レン「どこがだよ!?」

 

 来人「巻き込まれたって言ったけどほんとは少し嬉しかったクセに」

 

 紗夜「黄島さん、少し黙りましょうか?」

 

 来人「はい、黙ります」

 

 リサ「紗夜~!何してるのー?早く来なよー!」

 

 紗夜「すいません、すぐに行きます。そういう訳なので、くれぐれもさっき言った様なことがないようにお願いします」

 

 紗夜さんはそう言い残すと楽屋の中に入っていった。しばらくするとRoseliaのリハーサルが始まり、それが終わると香澄達と師匠が出てきた。

 

 オーナー「開店準備!」

 

 『はい!』

 

 師匠の一言で俺らは動き、俺は開店時間になると入口の札を裏返してCLOSEからOPENにした。すると外で待っていたお客さんが店内に流れ込んできて、俺らはチケットの販売やドリンクの受け渡し等、忙しく動いていた。そしてライブが始まると人気バンド2組のライブだけあってか観客は一気に盛り上がり、今日のライブは大盛況で終わった。

 

 ゆり「お疲れ、お先に失礼するわね」

 

 レン「はい、ライブお疲れさまでした」

 

 ライブが終ると俺はゆりさん達を見送り、入口の扉に掛かっていた札を裏返して閉店作業に取り掛かりロビーの掃除をしていた。

 

 レン「ここは大体こんなもんか。次は楽屋の掃除しなきゃだけど・・・」

 

 俺は楽屋の掃除をやろうとしていたが実は今楽屋にRoseliaの5人がまだ残っていた。師匠も様子を見に行ったみたいだけどいったいどうしたんだろう?

 

 香澄「私、金庫返してくる」

 

 有咲「ちょ、待て!」

 

 レン「あ、俺も行く」

 

 俺が楽屋の方を気にしていると、香澄と有咲が金庫を師匠に返しに行こうとしたため俺も付いていった。

 

 有咲「それ大丈夫か?ほんと大丈夫か?」

 

 香澄「えー、大丈夫だって」

 

 レン「不安要素しかないのは気のせいか?・・・うん?」

 

 俺は楽屋の前まで行くと扉が開いていて、そこから女の人のすすり泣く声が聞こえてきた。今の声は・・・リサさん?俺らは楽屋の中を覗くとソファーに座りながら涙を流すリサさんとそれを慰める友希那さん達4人と師匠の姿があった。

 

 リサ「う・・・グスッ・・・う・・・・・」   

 

 オーナー「何時までも泣いてんじゃないよ。ライブってのは完璧な演奏が全てじゃない」

 

 リサ「え・・・」

 

 オーナー「客はどうして態々ライブハウスに歌を聞きに来てると思う?」

 

 リサ「それは・・・」

 

 オーナー「今この瞬間、目の前のアンタ達がどんなステージをやり切ってくれるか、それを楽しみにしているんだ」  

 

 リサ「・・・」

 

 オーナー「やり切ったんだろ?」

 

 リサ「・・・はい…」

 

 オーナー「胸を張って帰りな」

 

 リサ「・・・はい!」

 

 師匠の激励の言葉を聞いたリサさんは涙を拭うと、何時ものリサさんらしい明るい笑顔になっていた。

 

 レン「リサさん・・・」

 

 利久「レン、香澄ちゃん、有咲ちゃん」

 

 レン「利久」

 

 香澄「あ、リッ君」

 

 有咲「なんでお前まで・・・」

 

 後ろから声を掛けられ、振り向くとオレンジジュースの入ったコップを5つのせたトレーを持った利久がいた。

 

 レン「リサさんどうしたんだ?」

 

 利久「実はさっきのライブでミスをしてしまいまして・・・でももう心配いらないみたいですね?これ、オーナから頼まれていたので5人に渡してあげてください」

 

 レン「ああ、わかった」 

 

 俺は利久からトレーを受け取ると楽屋の中に入った。

 

 レン「失礼します、ライブお疲れさまでした」

 

 リサ「レン・・・それは?」

 

 オーナー「うちからの差し入れだ。飲んでいきな」

 

 紗夜「いいんですか?」

 

 オーナー「なんだい?料金なら気にしなくていい、こいつの給料から引いておく」

 

 そう言うと師匠は俺のことを指さしてきた。て・・・

 

 レン「はあ!?」

 

 紗夜「そういう事ならありがたくいただきます」

 

 友希那「そうね」

 

 リサ「いや~レンありがとう」

   

 あこ「レン君ありがとう!」

 

 燐子「その・・・ありがとう・・・・ございます・・・・」

 

 レン「ええ!どういたしまして!」

 

 俺はそう言い残すと楽屋を出ていき、閉店作業の続きに取り掛かった。ちっくしょぉーーーーーー!

 

 

 

 

 

     ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 利久「ふぅー、ようやく終わりました」

 

 明日香「こっちも終わったよ」

 

 碧斗「あとはステージの方か」

 

 利久「僕が様子見てきますね」 

 

 僕は閉店作業を粗方終えると、ステージの清掃をしている香澄ちゃん達の様子を見に行くことにしました。

 

 利久「5人ともステージの掃除は終わりましたか・・・あ…」

 

 中を覗くとそこには床の上で輪になって大の字で寝そべっている香澄ちゃん達の姿がありました。どうやら今日のライブの余韻に浸っているみたいです。すると香澄ちゃんが立ち上がりステージに上ると、それに続いておたえちゃん、りみちゃん、沙綾ちゃんもステージの上に上りました。

 

 沙綾「初めて立った…」

 

 香澄「・・・・・」

 

 たえ「・・・・・」

 

 りみ「・・・・・」

 

 沙綾「ここでライブしたいな…」

 

 りみ「またここで…」

 

 香澄「うん!ライブしよう!」

 

 たえ「次のオーディション、来週だよ」

 

 香澄「は!有咲!」

 

 有咲「マジか!?」

 

 香澄「みんなで受けよう!」

 

 沙綾「来週って・・・」

 

 りみ「ちょっと早すぎない?」

 

 たえ「毎日練習しなきゃ」

 

 香澄「今からやれば大丈夫だよ~」

 

 有咲「今から~!?」

 

 香澄ちゃん達はSPACEのオーディションを受けることを決めたみたいです。その光景を扉の陰から見ていた僕は彼女達がここでライブする姿を見るのが楽しみになりました。そして1週間後、この日もレンとシフトに入っていた僕はオーディションの様子をロビーのモニターで見ていました。しかし今日は碧斗、明日香、来人の3人も香澄ちゃん達がオーディションを受けると聞いてその様子を見に来ていました。

 

 香澄『Poppin'Partyです!』

 

 『よろしくお願いいます!』

 

 明日香「始まった」

 

 来人「でも・・・」

 

 碧斗「戸山以外表情が硬いな…」

 

 利久「ええ・・・あ、またズレが…」

 

 しかしかなり緊張しているせいか香澄ちゃん以外の4人の表情と演奏がガチガチで所々ミスが目立っていました。そして演奏が終わると師匠はいつものことを香澄ちゃん達に聞きました。

 

 オーナー『やり切ったと思う者は?』

 

 香澄『はい!』

 

 すると香澄ちゃんは手を上げて大きな声で返事をしました。しかし有咲ちゃん、りみちゃん、おたえちゃん、沙綾ちゃんは顔を俯かせてしまいました。それを見たオーナーは結果を告げました。

 

 オーナー『ダメだ!うちのステージに立たせる訳にはいかないね』

 

 香澄『また受けます!いっぱい練習して何回でも挑戦します!』

 

 流石元気で明るい香澄ちゃん、結果が不合格だったにもかかわらずまた挑戦すると元気に受け答えました。けれど、さっき一瞬師匠が浮かない声で「何回でもね…」と呟いたのが聞こえました。いったいどうしたんでしょうか?

 

 オーナー『頑張りな』

 

 師匠はそう一言告げると今度はおたえちゃんが口を開きました。

 

 たえ『あの、オーナー。スケジュール表見たんですけど後半が真っ白で・・・』

 

 香澄『え?』

 

 スケジュール?そういえば僕もちらりと見ましたけど何も書かれていませんでしたね。丁度僕も師匠に聞こうと思っていたので僕もその質問の答えに耳を傾けました。

 

 オーナー『花園とレンと利久にはまだ言ってなかったね・・・SPACEを閉めるよ』

 

 その言葉を聞いた瞬間、ステージとロビーを静寂が包み込みました。そして数秒後・・・

 

 『えぇ~~~!?』

 

 僕達の驚きの声がSPACE内に響きました。

 

 

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