バンドリ!~オプション付き5人と少女達の物語~   作:akiresu

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遊びの誘いは唐突に

 碧斗「4人とも、また明日」

 

 来人「おう、じゃあなー」

 

 明日香「それじゃあまた明日」

  

 利久「ええ、また明日」

 

 レン「じゃあな」

 

 一緒に帰っていた俺達はそれぞれの家に帰るため途中で別れ、それぞれの帰路をたどっていった。4人を見送ると俺はカバンからイヤホンを取り出し、自分の耳に着けると携帯を操作して、最近はやりのアニソンをかけ、途中で鼻歌を歌ったりしながら軽快な足取りで自分の帰路をたどった。そうしているといつの間にか自分の家にたどり着いていた。俺の家はその辺にある普通の家よりも結構大きく、大抵の人が羨ましがる程だ。けど俺はこの家をあまり好きではない。家が大きいと掃除が大変だ。そして何より、これだけ広いと・・・独りで居るとかなり寂しさを感じるからだ。

 

 レン「ただいまー」

 

 そう言いながら俺は家の入口の扉を開けた。しかし、帰ってくる声はなくただ暗い家内がシーンと静まり返っていた。まあ・・・

 

 レン「誰もいないなんて分かり切っているんだけどね・・・」

 

 何せ今、この家には俺以外の人はだれも住んでいないのだから。俺には両親の他に三つ年の離れた兄が1人いた。父は大企業の社長をしており、母は有名なファッションブランドのデザイナーをしていた。父は3年前から仕事の都合でヨーロッパの方に単身赴任をしている。しかし、長期休みや記念日の日には必ず休みを取って一時帰国してくるが、基本的にはこの家で俺と母と兄との3人で暮らしていた。しかしある事情で母と兄も父の下へと行ってしまい、俺は独りこの町に残り独り暮らしをしているのが現状だ。

 

 レン「さてと、今日はこの後どうするかな~」

 

 俺が午後からどうするか悩んでいたその時だった。

 

       ーピロンー

 

 携帯から通知音が鳴り、通話アプリを開くとグループトークにメッセージが来ていた。

送り主は利久だった。

 

 利久『今から遊びに行きませんか?』

 

 レン「・・・唐突だなおい…」

 

   ――――――――――――――――――― 

 

 利久から突然の誘いを受けて俺は制服から普段着に着替えて近くのゲームセンターに来ていた。というかつい30分くらい前に「また明日」て言って別れたばっかだぞ。にしても・・・

 

 レン「珍しいな、碧斗と明日香がまだ来てないなんて」

 

 利久「ええ、僕達3人ならともかくあの2人は本当に珍しいですね」

 

 俺ら5人の中でも特にまじめで集合より10分前には必ず来ている二人がまだ来ていないなんて・・・

 

 来人「お!来たぞ・・・ってどうしたんだ明日香?少し疲れた感じになってるけど」  

 

 碧斗と明日香が一緒に来たが何やら明日香の表情が少し疲れている。碧斗は明日香に同情しているような視線を向けているし。いったい何があったんだ?とりあえず聞いてみるか。

 

 レン「2人とも遅かったけど、何かあったのか?」

 

 明日香「いやー・・・ちょっとね…」

 

 碧斗「ここに来る途中に明日香がナンパされた」 

 

 明日香「ちょっと碧斗!」

 

 ああ、成程な。前にも言ったが明日香はこの見た目と声のせいでよく女と間違えられる。前に一回女の子しゃべりをやってもらった事があったが、その姿あはまんま美少女であまりの可愛さに普段は冷静で女っ気のまったく無い碧斗ですら顔を赤らめてしまい、来人にいたっては大量の鼻血を噴き出し気絶してしまうほどだった。つまり明日香はそれくらい可愛くてこいつのことを初めて見た人は大抵誰でも女と間違え、街中を歩くと何も知らない男達からよくナンパされるのだ。だがしかし・・・

 

 レン「今回は碧斗も手伝ったのか?」

 

 明日香「そうなんだよ、碧斗が来てくれて本当に助か「いや、俺が見た時には全員明日香が片付けてた」碧斗!」 

 

 レン「そ、そうか」

 

 しかし、明日香をナンパした奴は全員失敗している。理由は二つ、ひとつは明日香は口がうまくナンパしてきた人達をうまく撒いているから。そしてもうひとつは明日香と来人のやり取りを見ている者なら察しが付くだろう。

中には無理やり明日香を連れて行こうとする連中も多々いる。そう言った連中は全員・・・明日香に粛清されているのだ。どう粛清されるかというともう△△△とかxxxでしか表せない感じだ。俺達5人は腕っぷしにはかなりの自信があり、特に明日香は俺達5人の中でも特にやばい。

 

 利久「そんな事よりも全員揃ったんですから、早く中で遊びましょうよ」 

    

 突然利久が口を開いた。そうだな、ここでこんな話をしていても時間の無駄だしな。俺達は利久の意見に賛成して、ゲームセンターへと入った。中に入ると俺達は色んなゲームで遊んだ。ただ・・・

 

 -エアホッケー- 

 

 

 利久「それ!」

 

 ガコン!

 

 利久「やった!また僕の勝ちですね!」

 

 来人「・・・・・・」

 

 -マ〇カー- 

 

 利久「よっし!また僕がぶっちぎりで1位です!」

 

 碧斗「・・・・」

 

 -格闘ゲ-ム-

 

  YOU WIN!

 

 利久「どうですレン、これが嵌め技の力です!」

 

 レン「・・・・・・」

 

 俺達は色々と対戦型のゲームをやって遊んでいた。しかし・・・

 

 利久「あれ?レン、碧斗、来人、どうしたんです?浮かない顔して」

 

 レ碧来「「「みんなお前が一人勝ちしてるからこうなってんだろうが!」」」

 

 そう、ゲーセンで遊び始めてから20分しかたっていないにもかかわらず俺達3人は利久に完膚なきまでに叩きのめされていた・・・

 

 利久「そうなんですか?僕は一緒に遊べてすごく楽しいですけど」

   

 レ碧来「「「・・・」」」

 

 笑顔でこう言われてしまっては黙る事しかできない。利久がこういう天然な性格なのは俺達もよく分かっているし何よりも利久にゲームに勝とうなんて無理な話だ。あれ?そういえば・・・

  

 レン「明日香は?」

 

 明日香「ねえ利久、これ取ってよ」

 

 声のした方を見ると明日香がUFOキャッチャーのところにいた。利久を呼んだってことは如何やら景品が取れないみたいだ。あいつが今取ろうとしているのは今流行りのキャラクターのぬいぐるみだった。

                

 利久「ええ、まかせてください」

  

 そう言うと利久は難なくぬいぐるみを取ってしまった。相変わらずすごいなおい。俺は利久のゲームの腕に改めて感心しつつ次にどのゲームで遊ぶか中を見渡していた。すると、

 

 ?「フフフっ・・・我が闇のえーとえーと、リンリン次なんて言うんだっけ?」

 

 ?「そこは・・・・・だよ?」

 

 ドラムの演奏ゲームのところで目が留まった。格好つけて何か中二病くさいことを言おうとしていた黒いリボンを付けて薄紫色の髪をツインテールにした少女と、その子に何か耳打ちしながら言っている少し大人しい雰囲気の黒髪ロングの少女の姿があった。そしてこの2人は間違いなく俺達の知り合いだ。

 

 ?「フフフっ・・・我が闇n「あこちゃん、燐子さん」ウェッ!」

 

 ?「キャッ!」

 

 後ろから声をかけたがかなり驚かれてしまった。そこまで驚かれるとさすがに傷つくな~

 

 あこ「え?レ、レン君!?」

 

 この薄紫色の髪をツインテールにしたこの子の名は宇田川 あこ。Roseliaというバンドのメンバーでドラムをやっている中学3年生だ。

 

 燐子「あ、レンさん・・・どうも」

 

 先程あこちゃんにリンリンと呼ばれていたこの黒髪ロングの大人しい雰囲気の人は白金 燐子さん。彼女もRoseliaのメンバーでキーボードを担当している。いったいこんなところでどうしたんだ?

 

 レン「2人とも今日はどうしてここに?」

 

 あこ「レン君の方こそどうしてここに・・・」

 

 レン「いや、ちょっとみんなで遊びに行こうってことになって」

 

 俺がそう言うと燐子さんが反応した。

 

 燐子「あの・・・もしかして、利久君も一緒なんですか?」

 

 レン「え?ええ、そこにいますけど」

 

 俺はそう言うとUFOキャッチャーの方を指さした。すると燐子さんは頬を赤く染めて少しモジモジし始め、利久の方から視線をそらした。本当にどうしたんだいったい?

 

 燐子「あの!そ、それじゃあ私達帰りますから!」

 

 あこ「え?ちょ、ちょっとリンリン!?」

 

 そう言うと燐子さんはあこちゃんの手を掴むと顔を赤くしながらそそくさとゲーセンから出て行ってしまった。

 

 碧斗「今の人って・・・」

 

 来人「あこちゃんと燐子さん?」

 

 利久「何かあったんですか?」

 

 明日香「急に帰っちゃったけど」

 

 ちょうどあこちゃんと燐子さんが出ていくところを目にした4人が俺に聞いてきた。

 

 レン「さあ?俺にもさっぱり・・・そういえば利久がいるか聞いたら顔を赤くしていきなり帰っちゃたんだよ」

 

 利久「え、僕?」

 

 利久、まさかとは思うが・・・

 

 レン「お前、燐子さんに何かしたか?」

 

 利久「いやいやいや!僕は何もしてないですよ!」

 

 レン「本当に?」

 

 利久「本当です!」

 

 ふむ、ここまで言うってことは本当なんだろう。けどそうなるとなんで利久がいるのを知ったとたんに顔を赤くして帰ったんだ?あれ?なんか俺と利久のことを来人と明日香が睨みつけてきた。あれ?なんで俺まで?

 

 明日香「まったく・・・2人とも鈍感」

 

 来人「ほんと、爆発四散すればいいのに…」

 

 いや、ひどくない!?ほんと何なんだよ!?まあ、とりあえずこのことに関しては今考えても仕方ない。とにかく今は遊ぶか。

 

 レン「まあ、とりあえず遊ぼう。時間がもったいないし」

 

 碧斗「それもそうだな」

 

 利久「ですね」

 

 来人「次どうする?」

 

 明日香「そろそろ他のところにもいかない?」

 

 利久「僕は賛成です」

 

 来人「俺も!」

 

 碧斗「いいんじゃないか?」

 

 そのあと俺達はCDショップやカラオケに行き遊んだ。しかし、かなり遊んだためか少し小腹がすいた。

 

 レン「なあ、少し小腹空かないか?」

 

 明日香「確かにちょっと空いたかも」

 

 利久「僕も少し空きました」

 

 来人「俺も少し空いた」

 

 碧斗「確かに、そうだな」

 

 全員一致ということで俺達は小腹を満たすためにある場所へと向かった。そこは、商店街の中にあるやまぶきベーカリーというパン屋だった。俺達は店の中に入るとそこには案の定見知った人物がレジに立っていた。

 

 沙綾「いらっしゃいませ・・・て、なんだレン達か」

 

 レン「悪かったな俺達で」

 

 沙綾「で、何にするの?」

 

 レン「いつもので」

 

 碧斗「俺もいつもの」

 

 来人「俺も!」

 

 利久「僕もいつものやつで」

 

 明日香「僕もいつもの」

 

 沙綾「了解」

 

 沙綾はそう言うと袋にメロンパン、クロワッサン、チーズパン、アンパン、チョココロネを入れて差し出してくれた。

 

 沙綾「丁度1000円ね」 

 

 レン「サンキュウ」

 

 袋を受け取ると俺がメロンパン、碧斗がクロワッサン、来人がチーズパン、利久があんパン、明日香がチョココロネを袋から取り出し口に含んだ。

 

 レン「うん、相変わらず美味い」

 

 碧斗「ああ、そうだな」

 

 来人「俺、ここに婿入りしたい!」

 

 利久「ほんと、最高においしいです」

 

 明日香「もう1個買っちゃおうかな?」

 

 沙綾「フフッお褒めの言葉ありがとうございます。あと来人、そんなこと絶対にさせないから」

 

 来人「そんな~」

 

 俺達は美味しいと口にしながらパンを食べた。そして食べ終えると俺達は店を後にした。

 

 レン「じゃあな沙綾。また明日学校でな」

 

 来人「またな!」

 

 明日香「じゃあ、また明日」

 

 碧斗「また来る」

 

 利久「ごちそうさまでした」

 

 沙綾「ありがとうございました。また明日ね」

 

 さてと、店を出て時計を確認したが時刻は4時半を回っていた。日も傾き始めてきたしそろそろ帰るか。

 

 レン「じゃあ、そろそろ帰るか」

 

 碧斗「そうだな、じゃあ今度こそ本当にじゃあな」 

 

 来人「おう!またな」

 

 利久「ええ、また明日」

 

 明日香「レン、利久、来人、明日遅刻しないでよ。じゃあ、また明日」

 

 俺達はそれぞれの家に帰るためにここで別れることにした。あ、そうだ。利久に聞こうと思ってたことがあるんだった。

 

 レン「あ、そうだ利久」

 

 利久「うん?なんですか?」

 

 レン「どうして今日は急に遊びに行こうなんて言い出したんだ?」

 

 利久「ああ、それはねレンが家で一人で寂しがっているんじゃないかと思って」

 

 レン「そ、そうか・・・ありがとな!」

 

 なんかちょっと馬鹿にされた気がするけどそこは天然な利久だから仕方ない。俺の家の事情っを知っていてそんな風に気を使ってくれたなんて泣かせるじゃねえか…俺はいい友達に巡り合えて幸せ者だな…

 

 利久「まあ、本当は僕がみんなと遊びたかったってだけなんですけどね」

 

 レン「・・・・」

 

 俺の感動を返しやがれこの天然眼鏡

 

 利久「それじゃあ、また明日」

 

 レン「うん、また明日…」

 

 こうして俺達は本日二度目の帰宅をするのだった。  


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