バンドリ!~オプション付き5人と少女達の物語~   作:akiresu

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偶然会っては振り回される

 高校生活が始まって数日がったある日の昼休み、俺達5人は屋上で昼食をとっていたのだが・・・

 

 利久「はい、チェックメイトです」

 

 来人「くっそ~!また負けた~!」

 

 お昼を食べながら利久と来人はチェスをやっていた。結果は・・・言うまででもないだろう…

 

 碧斗「これでチェス73連敗、将棋57連敗、囲碁32連敗、オセロ111連敗、麻雀21連敗だな。また連敗記録更新だな」

 

 明日香「来人も懲りないね、そもそもゲームで利久に勝とうなんて無理な話なのに」

 

 利久「でも、腕は上がってきましたよ。もっと腕を上げれば本気の僕ともまともにやりあえるかもしれませんよ」

 

 レ碧来「「「まだ本気じゃなかったのか・・・」」」

 

 こいつの性格からして褒めているんだろうけど嫌味にしか聞こえねえ…

 

 利久「そういえば4人はどこか部活に入るんですか?色々見て回ってたみたいですけど」

 

 そういえば俺は学校の中をただ見て回りたかったからそのついでで部活見学に行ってたけどこいつらはどうなんだ?

 

 明日香「僕は入らないよ?」

 

 碧斗「俺もどこにも入るつもりはない」

 

 来人「俺も、別に部活やりたくて見学行ってたわけじゃないし」

 

 レン「え?なんだ3人もか?」

 

 碧斗「ああ、俺はただ単にこの学校のどこに何があるか知りたかっただけだしな」

 

 明日香「うん、僕も同じく」

 

 来人「俺も大体そんな感じだ」

 

 なんだ、考えていることは全員同じだったてことか。

 

 利久「それじゃあ皆放課後はどうするの?」

 

 レン「放課後かー、どうするかな・・・」

 

 俺がこれからの放課後をどう過ごそうか試行していたその時だった。不意に碧斗が口を開いた。

 

 碧斗「そういえばレン、ここ最近俺達やってないけどいいのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――"バンドの練習"――――――    」

 

 

 碧斗の言葉に他の3人も反応した。今はその話題出さないでほしかったな・・・実は俺達5人はバンドをやっている。俺達のバンドは周りからかなり変わり者呼ばわりされていて、理由は色々あるが一番はパートにある。パートは碧斗がドラム、利久がキーボード、明日香がベース、俺がギター、そして来人はサックスをやっている。管楽器がいるバンドは確かに珍しいが、それだけじゃない。バンドには楽器と欠かせない存在があと1つある。そう、ボーカルだ。俺達のバンドのボーカルは俺と明日香の二人でやっている。別にボーカルが2人いるバンドなんてちょっと珍しいくらいにしか思われないかもしれないが俺達のバンドは曲によって歌い手が変わるのだ。俺が歌う時もあれば、明日香が歌う時もあり、2人でデュエットすることもある。俺達のバンドがなぜこのようになっているかというと色々と理由はあるが兎に角この異色さから俺達のバンドはかなり目立った存在だった。

 

 利久「確かに、部活の見学に行ったりであんまりやりませんでしたしね」

 

 明日香「そうだね、僕も久しぶりに演奏したいし」

 

 来人「少しやってなかったからだいぶ鈍っちまってるかもしれないしな」

 

 3人が練習をやろうと言ってきたがどうしようか・・・

 

 碧斗「でもまあ、お前がやるって言うならやるし、やらないって言うならやらない。

俺達はお前に合わせるよ。なんたってこのバンドの・・・「Brave(ブレイブ) Binae(ビーネ)」のリーダーはお前なんだからな」

 

 レン「碧斗・・・」

 

 碧斗の奴、口ではああ言ってるけどきっと練習したいんだろうな。確かにさっきの3人の言う通り俺達はここ最近練習できてなかったし、そして何よりも腕が落ちてたら怒る人がいるからなぁ…

 

 レン「よし分かった。明日の放課後やるか」

 

 碧斗「そうか分かった。あっ、そういえば放課後といえば今日グリグリのライブがあるらしいぞ。俺は行かないが4人は見に行くのか?」

 

 「Glitter*Green」、グリグリの愛称で呼ばれているこの学校の先輩4人がやっているガールズバンドで生徒会長の鰐部 七菜さん、そして俺と明日香と来人のクラスメイトの牛込 りみの姉、牛込 ゆりさんもこのバンドのメンバーだ。

 

 明日香「僕は行こうかな?」

 

 利久「僕も行こうと思います」

 

 来人「う~ん・・・悪いけど俺はパスで」

 

 グリグリのライブか・・・という事はあそこでやるのか。行きたいのは山々なんだが場所がねぇ…

 

 碧斗「レンはどうする?」

 

 レン「俺もパスで…」

 

 悪いけどあそこに行ったら絶対あの人に出くわすから・・・

 

 碧斗「そうか、あっ、そろそろ昼休み終わる時間だな。教室に戻るぞ」

 

 碧斗のその一言を聞き俺達は教室へと急いで戻り屋上を後にした。

 

  -放課後-

 

 4人と別れて俺は今日も独り家路についていた。 

 

 レン「はぁ~俺もグリグリのライブ見に行きたかったんだけどなぁ~・・・あれ?」

 

 俺はそうぼやいでいると目の前に電柱の前でかがんでいる見覚えのある少女の後姿があった。花咲川学園の制服に、特徴的な猫耳のような髪形、もしかして…

 

 レン「おーい、香澄」

 

 俺が名前を呼ぶとその少女、戸山 香澄は振り返った。

 

 香澄「あっ!レン君」

 

 レン「今帰りか?」

 

 香澄「うん!レン君も?」

 

 レン「ああ、ところでこんな所でどうしたんだ?」

 

 香澄「そうだレン君、これ見て!」

 

 そう言いながら香澄が手に持ったものを見せてきた。香澄の手には夕陽に照らされて光る星のシールがあった。

 

 レン「星のシール?」

 

 香澄「うん、ここに落ちてたの。あっ!見てそこにも張ってある!あっ!あっちにも!」  

 

 香澄はそう言いながらガードレールと隣の電柱を指さした。本当だ、それになんか続いてるみたいだ。なんでこんなに貼ってあるんだ?

     

 香澄「ねえレン君、行ってみよう!」

 

 レン「え?ちょ、香澄!?」

 

 俺は香澄に腕を掴まれるとそのまま彼女に引っ張られてしまった。香澄って、なんかちょっとこころみたいだな・・・そう思いながら俺は香澄に連れられて星のシールの後をたどった。そして少し走ったところで香澄の足が止まった。

 

 レン「うおっ!ちょっとどうしたんだ急に止まって?」

 

 見るとそこには「流星堂」と書かれた看板が掛けられたお店の前だった。

 

 香澄「ここって…」

 

 レン「質屋か」

 

 看板にも質って大きく書かれていたし、店の外から見えるガラスケースの中にもアンティークな品が入っていたから恐らくそうだろう。

 

 香澄「流星堂・・・あっ!」

 

 香澄は声を上げると店の横にあった塀に挟まれた細い道へと進んでいった。塀の壁には無数の星のシールが貼られており、進んだ先には蔵があった。

 

 レン「ちょっ、香澄。そっちに行っちゃ駄目だって!」

 

 香澄「大丈夫だよ!それに何があるかレン君気にならない?」 

 

 レン「うっ、確かに気にはなるけど・・・っておい!何勝手に開けてるんだ!?」

 

 香澄は俺の注意も聞かずに勝手に蔵の戸を開けてしまった。おい、マジで何やってんだ!?

 

 香澄「すみませーん」

 

 戸を開けた香澄は中をキョロキョロと見渡しながら誰かいないか呼びかけたがかえってくる声はなく、俺も中を覗いてみたが中は埃をかぶった色んなものが置かれていた。 

 

 レン「物置みたいだな」

 

 香澄「うん、あっ!」

 

 レン「うん、どうした?」

 

 香澄「あれ・・・」

 

 香澄が声を上げて中を指さした。見るとそこには赤い大きな星のシールが貼られたギターケースがあった。

 

 レン「ギターケース?」

 

 俺がそう呟いたその時だった

 

 ?「両手を上げろ!」

 

 香澄「ひゃっ!」

 

 レン「うぉっ!」

 

 突然の声に驚き俺と香澄は裏返った声を上げながら言われた通りに両手を上げた。振り返るとそこには鋏を持ったツインテールの金髪の少女がいた。

 

 ?「簡単に見つかるとはとんだ素人だな!初犯!?」

 

 え?香澄はともかく俺見ず知らずの人に犯罪者ってみなされてるの!?

 

 香澄「すみません!これ見つけて「両手!」はいっ!」

 

 香澄は謝罪しながら拾ったシールを見せようとしたら金髪の少女に威圧され裏返った返事をして両手をぴんと伸ばした。

 

 ?「名前!」

 

 香澄「戸山 香澄、15歳です!」

 

 ?「ほら!そっちの共犯者も!」

 

 え?共犯者?どこどこ?どこにいるの?辺りを見渡してみたがそれらしき人は見当たらないけど…

 

 ?「お前のことだよ赤髪!」

 

 ですよね~・・・はぁ~こんなことならあの人に会うの我慢して利久と明日香と一緒にグリグリのライブに行けばよかった~… 

 

 ?「ほら名前!」

 

 レン「ヒっ!赤城 レン、同じく15歳です!」

 

 ?「それ本名?偽名使ってんなら・・・止めるよ」

 

 そう言いながら少女は鋏を見せつけてきた。え?止めるって何?息の根を!?いやいやいや!それだけで!?こえーよ!そう思ったその直後、香澄が口を開いた。

 

 香澄「お泊り?」

 

 レン「いや、なんでs「違う!あんたら2人を捕まえるって言ってんの!」

 

 俺が香澄に突っ込みを入れようとしたら金髪の少女に先を越された。おお、見事な突込み。

 

 香澄「え!?ドロボーじゃないです!」

 

 香澄がそういったその刹那、金髪の少女が俺達を見て「あっ!」と声を上げた。え、なに?

 

 ?「花咲川・・・うちの生徒か…」

 

 香澄「同じ学校!?何年生!?私高1!」

 

 ?「違うから~!」

 

 レン「いや、今完全にうちの生徒って言ったよな」

 

 ?「!・・・・もう出ってって!質屋はあっち!こっちは全部ごみ!」

 

 香澄「ごみ?あれも?」

 

 そう言いながら香澄はさっきのギターケースを指さした。 

 

 ?「はぁ?」

 

 香澄「あの星の」

 

 ?「質流れのギターかなんかでしょ」

 

 香澄「見てもいい?」

 

 ?「はぁ?」

 

 レン「おいこら香澄この状況で聞くことか?」

 

 香澄「だって気になるんだもん。ねえ、触っていい?」

 

 ?「お前なぁ~・・・」

 

 香澄「ちょっとだけ!ちょっだけ~!」

 

 香澄はそう言いながら金髪の少女の服を掴みんでゆすり、駄々をこねだした。

 

 ?「ちょと!やめろ!はなせって!服が伸びる~!おいそこのお前!こいつ引きはがせ!」

 

 結局金髪の少女は俺に助けを求めてきた。けど・・・

 

 レン「ごめんなさい、この子は俺では手に負えません」

 

 駄々っ子鎮めるなんて面倒だもの

 

 ?「はぁ!?ちょっとお前ふざけんな!」

 

 香澄「ねえちょっとだけでいいから見せて~!」

 

 ?「ああ~もう分かったから離れろ~!」

 

 香澄の押しに負けて少女は諦めて俺達にギターを見せてくれた。

   

 ?「はぁ~、触ったら出っててよ…」

 

 香澄「うん」

 

 香澄はうなずくとギターケースを開けた。すると中には星の形をした赤いギターが入っていて、香澄はそれを目を輝かせながら手に取った。このギターって確か・・・

 

 香澄「星のギター」

 

 レン「ランダムスター…」

 

 香澄「レン君知ってるの?」

 

 レン「うん、ちょっとな」

 

 香澄「へ~ランダムスターって言うんだ」

 

 そう言うと香澄は手に取ったギターの弦を一本弾いた。すると小さい音が響いた。

 

 香澄「うわぁ鳴った!すごい!鳴ったよ!聞こえた!?」

 

 香澄ははしゃぎ、目を輝かせながらさらにギターを弾いた。そういえば、俺も初めてギターを持った時、こんな感じではしゃいでたな~・・・なんか懐かしい…

 

 ?「ハイ終わりー」

 

 香澄「え?待って、もうちょっと」

 

 ?「終わりっつったろー!」

  

 香澄「もうちょっと!もうちょっと!」

 

 少女にギターを弾くのをやめさせられた香澄がまた駄々をこねだした。さすがにこれは止めた方がいいかな?

 

 レン「ほら香澄、もういいだろ。これ以上この人に迷惑かけるな」

 

 香澄「でも、もうちょっと弾きたいー!」

 

 ?「そんなに弾きたきゃ楽器屋さんとかライブハウスに行けよ!」

 

 香澄「え?ライブハウス?どこにあるの!?」

 

  ?「知らねーよ!」

 

 香澄「わかった!探してくる!」

 

 そう言うと香澄はランダムスターを抱えたまま蔵を飛び出て行った。その姿を見て俺と金髪の少女は呆気にとられてしまった。

 

 ?「あいつ、何なんだよ…」

 

 レン「何かすまん・・・俺のクラスメイトが…」

 

 ?「別にお前が謝る事じゃねえだろ?」

 

 レン「うん、そうだな…ところでさあ」

 

 ?「なに?」

 

 レン「香澄のこと、追いかけなくていいのか?あいつ、ギター持って行ったぞ」

 

 ?「え?あっ!ドロボー!」

 

 レン「それじゃあ、後は任せた」

 

 俺はクールに去るぜ…-ガシッ-え?なに、不意に腕を掴まれたけど・・・まさか!

 

 レン「あのーすみません、なんで俺の腕を掴んでいるんですかね?」 

 

 ?「お前ひとりだけ逃がすわけねえだろ共犯者さん。とっとと追いかけるぞ!」

 

 レン「ちょっと何で!?俺はただ巻き込まれただけなのに!?」

 

 ?「警察に通報するぞ?」

 

 レン「喜んでお供させていただきます。え~と…」

 

 ?「有咲」

 

 レン「え?」

 

 有咲「アタシの名前だよ」

 

 レン「そ、そうか」

 

 そして俺は有咲と一緒に香澄のことを追いかけることとなった。しかし、蔵を出て道に出るとそこには・・・立ち往生している香澄の姿があった。

 

 ?「あいつ何やってんだ?」

 

 レン「さあ?うん?まさか・・・」

 

 俺は辺りをキョロキョロしている香澄に声をかけた。

 

 レン「香澄」

 

 香澄「あっ、レン君!」

 

 レン「お前・・・ライブハウスの場所分からずに飛び出したな?」

 

 香澄「え?どうしてわかったの!?」

 

 やっぱりかコンチキショー

 

          

          ―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 そして俺と香澄と有咲はライブハウスを目指して歩いていた。そして香澄の腕には今もランダムスターが大事そうに抱えられていた。そして俺と香澄は有咲がネットで検索してくれた近くのライブハウスへと向かっているのだが・・・この辺のから一番近い場所でこの道、まさかとは思うがあそこじゃあないよな…

 

 有咲「あ、あった」

 

 如何やらついたようだが・・・やっぱりここだったか…俺等3人の目の前には俺が一番行きたくなかった場所、ライブハウス「SPACE」があった。

 

 レン「よし俺はこれで失礼s「あそこ?やったー!」うわちょっと香澄!」

 

 俺と有咲は手を引かれて今日のライブを見に来た人達の列に並ばされてしまった。抜け出そうにも香澄が俺と有咲の裾をつかんで離さないし、そして何より有咲がさっきから自分だけ逃げるなと言いたげな視線を送ってくる。マジで怖い…とにかく逃げられないとなったら仕方ない。どうかあの人とだけは出くわしませんように!そう祈っていたら・・・

 

 スタッフ「次の方どうぞ」

 

 列は順調に進み気が付いたら俺達の番になっていた。

 

 香澄「あの、ギター弾きたいんですけど」

 

 香澄はスタッフの人にそう言ったがスタッフの人は苦笑いしてしまった。

 

 有咲「ほら、やっぱりむりなんだって!」 

 

 レン「ああ、有咲の言う通りだぞ香澄。ここのステージに上がれ「ここのステージに上がれるのはオーディションに合格した奴らだけだ」ゲッ…」

 

 俺がこの場所のことを香澄に説明しようとしたら突然高齢の女性の声が聞こえてきた。

この声の主はすぐに分かった。俺が1番会いたくなかった人物がそこに立っていた。

紫色のメッシュが入った白髪頭に杖を突いて歩く高齢の女性、ここ「SPACE」のオーナー都築 詩船さんの姿があった。

 

 オーナー「あんた達、ライブハウスは初めてかい?」

 

 香澄「は、はい!初めてです!」

 

 オーナー「ライブ、見ていくかい?」

 

 香澄「良いんですか?」

 

 有咲「やばいって、頭振ったりとかするんだって」

 

 オーナー「見てもいないうちから決めつけるんじゃないよ」

 

 有咲「じゃあ、確かめてやる!チケット代いくら!?」 

 

 オーナー「高校生かい?」

 

 有咲「違います~」

 

 レン「おい、あんま見栄貼るもんじゃないぞ。素直に高校生って言っておけ」

 

 オーナー「1200円」 

 

 香澄「あの、高校生駄目ですか?」

 

 オーナー「600円」

 

 有咲「ええ!?」

 

 いわんこっちゃない、結局有咲は素直に高校生だと言って600円を払って会場の中へと入っていった。俺も行かないって言ってたけどせっかく来たんだからグリグリのライブ見て行くかな。そう思って俺も香澄と有咲に続いて会場に入ろうとした。しかしその瞬間

 

   -グイッ-

   

 レン「グエッ!」

 

 いきなり襟を掴まれた。掴んでいる人物はすぐに分かった。

 

 レン「あの~放してくれませんか?でないと俺、ライブ見に行けないんですよね・・・オーナー…」

 

 オーナー「そうかい、それならまずはいつも道理の呼び方で呼びな。今はアタシ等以外誰もいないんだ」

 

 レン「・・・はぁ~、わかりましたよ・・・

 

 

       

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              -師匠-…」    

 


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