バンドリ!~オプション付き5人と少女達の物語~ 作:akiresu
このライブハウスSPACEはガールズバンドの聖地と呼ばれている。このライブハウスのオーナー、都築 詩船さんは全国ツアーもやっていた人気バンドの元メンバーであったがバンドを引退後、「ライブハウスは怖い」というイメージを無くすために立ち上げた。そしてこの人は俺達Brave Binaeの師匠でもある。バンドを始めようとしたとき俺達5人、特に碧斗、利久、来人の3人はバントのことを知らないバンド初心者だった。俺と明日香はある理由である程度のことは知ってはいたがバンドを組むのは初めてだった。しかし、ある伝手でSPACEのオーナーに出会い、楽器の弾き方等のバンドのイロハを教わり今現在も活動することができている。そして・・・
レン「えーと・・・それで師匠、何か御用でしょうか?」
今現在、そのオーナーは俺の制服の襟をつかんできている。さっき香澄たちと話していた時と表情は変わってはいないが少し不機嫌なのがオーナーの手を通して伝わってくる。俺は恐る恐るオーナーに俺を引き留めている理由を聞いてみた。ぶっちゃけ早く放してほしい。早く会場に入らないとライブ始まっちゃうですけど…
オーナー「じゃあ聞かせてもらうけど・・・なんでここ2ヶ月顔も見せに来なかったんだい?」
レン「・・・え?」
オーナー「言ったはずだよ、1ヶ月に2回はここに来て演奏を見せに来るようにって」
うっ、確かに練習さぼってないか確認するためだとかでそう言われてたけど・・・たったそれだけのことを聞くためだけに引き留められたの?
レン「いや-、それには少し事情がありまして…」
オーナー「まさか練習をずっとさぼってたなんて言うんじゃないだろうね?」
レン「そ、そんなことある訳ないじゃないですかー」
図星だった・・・けど、ここはごまかさないと後々面倒なことになる。それにこっちだって色々とあったんですから…
オーナー「ふーん・・・まあいいさ。とりあえずここに来なかった罰は後で言い渡すとして今日はライブ見に来たんだろ?とっとと行きな」
レン「・・・はい、失礼します」
師匠に言われて俺はとりあえず会場に入った。いや、あんたが引き留めたんでしょうが!声に出して言いたかったが言うと面倒くさいことになりそうだから黙っておくことにした。というか罰があるのかよ…まあいいか、兎に角今はライブを楽しむとしますか。
香澄「あっ!レン君遅いよー!何所に行ってたの!?」
レン「ごめん、ちょっとトイレに行ってた」
香澄「もう!ライブ始まっちゃうところだったんだよ!」
会場に入ると入口の近くにいた香澄が問い詰めてきた。隣にいた有咲はさっきから携帯で何かを調べているようだった。
レン「だからごめんって。ところで有咲、さっきから何調べてるんだ?」
有咲「えっ?ああ、ちょっとここのこと調べてた。ええと何々、ガールズバンドの聖地?今日ライブするバンドも知らない名前ばっか」
レン「そりゃあそうだろ、メジャーデビューしてる超有名バンドが学生バンド用のライブハウスに来てライブすると思うか?ましてやお前はライブハウス初めてなんだろ?」
有咲「まっ、それもそうだな」
有咲がそう言うとステージの照明以外の明かりが消えてステージの脇から黄緑色のステージ衣装に身を包んだ俺達の先輩バンド、Glitter⋆Greenの4人が出てきた。その瞬間、会場にいた観客の人達から歓声が上がり、グリグリの4人はそれぞれの楽器を手にすると白いギターを手にしたボーカルの牛込 ゆりさんがマイクを使って会場に呼び掛けた。
ゆり「SPACE!遊ぶ準備はできてますか!」
ゆりさんの呼びかけが会場内に響くとそれに応えて観客の人達も手を突き上げたり、ペンライトを振ったりしながら再び歓声を上げた。
ゆり「OK!いくよ~!」
その掛け声とともにグリグリの曲「Don'tbe afraid!」の演奏が始まった。その演奏している姿を見て隣にいた香澄も目をキラキラと輝かせながら歓喜の声を上げていた。
香澄「すごい!すごいね!」
レン「ああ、そうだな」
うん、その通りだな。やっぱりいつ見てもこの4人の演奏はすごい。俺達も負けてられないな・・・ふとそう思ったその瞬間、いきなり手を掴まれた。またかよ!今日なんか俺掴まれすぎじゃね!?しかもそのたびに色々と面倒な目に合ってるし!今度は何だよ!?俺は隣に視線を向けると香澄が俺と有咲の手を掴んでさっきと同じキラキラと目を輝かせながら見てきていた。
香澄「ねえ2人とも、バンドやろう!」
有レ「「はぁ?」」
香澄のこの一言に俺と有咲の声がはもった。急に何言い出してんの?
有咲「何でアタシがそんなことしなくちゃなんねえんだよ」
香澄「あっ!ちょっと待って!」
そう言うと有咲は後ろを向いてこの会場から出て行こうとした。しかし・・・
?「きゃっ!」
有咲「あっ、すいません」
前を見ていなかったせいか有咲はすぐ後ろにいた人に気付かずぶつかってしまった。
レン「おい有咲何やってんだよ。大丈夫ですか・・・って」
俺はぶつかった人を見るとそこにいたのはグリグリのボーカルのゆりさんの妹で俺と香澄のクラスメイトの牛込 りみだった。
レン「あれ、りみちゃん」
りみ「えっ?あっ、レン君。それに市ヶ谷・・・さん?」
香澄「え?市ヶ谷?」
有咲「っ!・・・返して!」
香澄「あっ!まって、市ヶ谷さん!」
有咲は香澄を睨みつけると香澄の腕からランダムスターを取り上げてSPACEから出て行き香澄も後を追って会場から出た。
スタッフ「あれ、帰るの?」
会場を出て受付にいたスタッフの人に聞かれると香澄は振り返り、先程と変わらないキラキラした目をして答えた。
香澄「また来ます!絶対ここでライブします!」
そう言うと香澄は有咲を追ってSPACEを後にした。その様子を会場の出入り口の前で俺とりみちゃんはただ茫然と見ていた。しかし、そんなことよりも俺には気になることがあった。今確かりみちゃんが有咲のことを市ヶ谷さんって呼んでたよな?まさかとは思うが・・・ちょっとりみちゃんに聞いてみるか。
レン「ねえりみちゃん、今有咲のこと市ヶ谷さんって呼んでたけど知ってるの?」
りみ「え?う、うん、ほら、入学式のときに学校に来てなかった人いたでしょ?あの人だよ」
レン「てことはあの市ヶ谷 有咲!?」
りみ「う・・うん、そうだけど…」
マジかよ、そうと分かってたなら入学式のときの文句、言っておくべきだったな・・・今度言いに行こう…俺がそう決意したその時、後ろから声がきこえてきた。後ろには花咲川学園の男子の制服を着た俺のよく知る2人の人物、明日香と利久がいた。
明日香「りみちゃん、そんなところでどうしt・・・あれ?レン!来てたの!?」
利久「えっ?あっ!レン、どうしてここに!?来ないって言ってたのに!?」
りみ「あっ、明日香君、利久君」
レン「明日香、利久、ちょっと色々あってな」
明日香「そうなんだ、まあ、何があったかは聞かないでおくよ・・・それよりもレン、僕と利久はそろそろ帰るけどレンはどうする?」
りみ「えっ、明日香君もう帰っちゃうの?」
明日香と利久の早すぎる帰宅宣言を聞いてりみちゃんがいきなり驚きの声を上げた。ちょっとびっくりした。
明日香「うん、僕たちはあくまでグリグリのライブを見たかっただけだから目的は果たせたからいいかなって」
レン「そうか、じゃあ俺も帰る。それじゃありみちゃんまた明日」
利久「りみちゃん、また明日」
明日香「また明日学校で」
りみ「う、うん・・・また明日…」
明日香がもう帰ると聞くとりみちゃんは目を潤わせてとても残念そうな表情をしていた。なんでそんなに残念がるんだ?そう思いながら俺達3人はSPACEを後にしようとした。けどなんか忘れているような…
レン「じゃあk「帰らせると思っていたのかい?」あっ…」
利久「えっ?」
明日香「あっ…」
受付の方から声がして俺達3人はそっちを見た。そこには受付の椅子に座った師匠の姿があり、先程までいたスタッフの女の人はいなくなっていた。そうだ思い出した・・・師匠に罰を言い渡されるんだった…
オーナー「なんだ、石美登と明日香も来てたのかい。丁度よかった、2人にも話がある」
師匠は俺達3人を睨みつけてきた。いや、普段から険しい表情をしているからそう見えているだけかもしれないが…けどそれだけでなく横にいた明日香と利久からも突き刺さるような視線が向けられてきた。
明日香「えーと・・・師匠、僕達何かしましたか?」
利久「全くと言っていいほど心当たりがないのですが?」
オーナー「そうかい、なら何であんた達、2ヶ月もここに顔を見せにすらこなかったんだい?」
レン「ですから、来た時にも言いましたけど色々とあったんですって」
明日香「そ、そうですよ!それに僕達3人だけ責められるなんてそれはないですよ!」
利久「そうです!碧斗と来人だって同罪じゃないですか!」
オーナー「あの2人なら定期的にここで楽器の演奏を聴かせに来てたよ」
レ明利「「「えっ?」」」
オーナー「来なかったのはあんた達3人だけだ」
俺達3人は師匠に言い分をぶつけたがあっけなく撃沈された。と言うか碧斗と来人来てたのかよ!
レン「で、俺達にどんな罰を下すんですか?」
とりあえず俺は諦めて潔く罰を受けることにした。人間、諦めが肝心ってどっかの誰かも言ってたし。さあ、どんな罰を言い渡すんですか?俺は覚悟を決めました!
オーナー「そうだね・・・それじゃあ・・・」
レ明利「「「-ゴクリ-」」」
オーナー「週4でここの手伝いに来な」
レ明利「「「え?」」」
オーナー「時給700円だ」
レン「ちょっーーーーと待ってください」
オーナー「何だい?なにか文句あるのかい?」
いえ、そうじゃなくてそれってつまり・・・
利久「ここでバイトしろってことですか?」
オーナー「そう言ったつもりだったけど伝わらなかったのかい?」
明日香「それが罰なんですか?」
オーナー「なんだい、もっと厳しい方がいいのかい?」
レン「いえいえいえ、そういう事じゃなくてですね」
利久「何でバイトなんですか?」
オーナー「うちも人手が足りてないんだ。それに、あんた達のことだからアニメのDVD買ったり」
レン「うっ」
オーナー「小説買ったり」
明日香「うぐっ」
オーナー「ゲーム勝ったりして財布がピンチなんだろ?」
利久「・・・」
オーナーはピンポイントで言い当ててきた。ごもっともです・・・返す言葉もございません…
オーナー「それにレン、あんたは独り暮らしなんだからバイト探してたんだろ?」
そこも見抜かれてましたか・・・なんかこの人には隠し事はできないな・・・
レン「わかりました。それで?いつからくればいいんですか?」
とりあえずいつからシフトに入ればいいのか聞いておかなくちゃな
オーナー「明日は人では足りてるから、明後日から来な。仕事内容は前に手伝ってもらった時とおなじだ」
明後日か、明日はバンドの練習するって約束してたから丁度良かった。
レン「わかりました。2人もそれでいいか?」
とりあえず明日香と利久にも確認を取る。もしかしたら何か予定が入ってるかもしれないしな。
利久「僕は問題ありませんよ」
よし、利久はOKかということはもちろん明日香も・・・
明日香「あの~すみません師匠・・・実は・・・」
明日香は何故か気まずそうにしていた。あれ?明日香その日何か予定でもあるのか?てっきりないと思っていたけど・・・しかし明日香の発言は俺の予想の斜め上を行くものだった。
明日香「実は僕、もう他にバイト先が決まっているんですよね…」
・・・まじかよ、というかいつの間に決まってたんだよ!何所だよ!
オーナー「そうかい、なら仕方ない。明日香、あんたは免除だ。レン、石美登、あんたら2人は明後日から頼んだよ」
いやいやいや!罰をそんな簡単に免除していいのかよ!けどまあ仕方ない・・・俺と利久とで頑張るか。
レン「わかりましたそれじゃあよろしくお願いします」
利久「ほんと、助かります」
オーナー「礼なんていらないよ、とりあえず言いたいことはそれだけだ。今日はもう帰んな」
師匠にそういわれ、俺達3人はSPACEを後にしようとした。しかしその時、
オーナー「そうだレン、ひとつ聞き忘れてた」
再びオーナーに呼び止められた。今度は何ですか?
レン「なんですか?」
オーナー「今日一緒に来てたギターを持った嬢ちゃんは友達かい?」
ギターを持った嬢ちゃん?ああ、香澄のことか
レン「ええ、クラスメイトですけどそれがどうかしたんですか?」
オーナー「べつに、ただ気になっただけだ」
ただ気になっただけって・・・何かあると思ったらそんなことかよ…
レン「そうですか、それじゃあ失礼します」
そう言って俺はSPACEを出て明日香と利久の後を追った。その時俺はある事をふと思いだした。
レン「そういえば香澄のバンドの誘い、断るの忘れてた…」
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
レン達3人がいなくなったSPACEのロビー、そこでオーナーはスタッフのシフトの日程表を手にしていた。
オーナー「まったく・・・世話がやける弟子だね」
そう呟くとレンと利久のシフトをどこに入れるか考えながら日程表とにらめっこをしながら考えていた。すると奥のスタッフルームの扉が開き中から今日カウンターに立っていたスタッフの真次 凛々子が姿を見せた。
凛々子「あれ?オーナーどうしたんですか?シフトの日程表なんて見つめて」
オーナー「ああ、新しく入ったバイトをどこに入れようかと思ってね」
凛々子「え?いつの間に雇ったんですか?どんな人なんですか?」
オーナー「アタシのバカ弟子の中の2人だ」
凛々子「あー、確かBrave Binaeでしたっけ?あの子たちって面白いバンドですよね?」
オーナー「そうかい?あたしから言わせればあいつらはただのバカだ」
凛々子「あははは・・・結構手厳しいですね…」
オーナーのレン達5人に対する厳しいコメントに思わず凛々子は苦笑いしてしまった。しかし途中で何かを思い出したかのように「あっ」と声を上げた。
凛々子「面白い子と言えば今日来てたあの赤いギター持った女の子、絶対にここでライブします!なんて言ってましたね?」
オーナー「ああ、そうだったね・・・」
笑いながら凛々子は香澄のことを話していた。そしてオーナーもそのことを聞いて普段の硬い表情から不思議と笑みが浮かんでいた。そのオーナーの珍しい姿に凛々子は驚いた。
凛々子「オ、オーナー?どうしたんですか?」
オーナー「そういえば、同じことを言ってた馬鹿がいたのを思い出してね」
そう言うとオーナーは遠い目をして過去にこのライブハウスであったことを思い出していた
―――――――過去にここを訪れていた―――――――――赤い髪の少年のことを
「俺、----って言います!俺、バンドを結成してまたここに来ます!そして俺、
――――――――――――絶対にここでライブします!――――――――――――」
オーナー「
オーナーは懐かし気にそうつぶやくのだった。