■■■■たちが異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】   作:白結雪羽

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─白と■■■■と火龍誕生祭─
北への招待状


(れん)ー、』

 

『んー、どうしたの(せい)

 

『なんで、僕たちってお父さんとお母さんがいないんだろう?』

 

『……うーん…………さぁねぇ。星は、お父さんとお母さんがいないのはイヤなの?』

 

『ううん。僕には戀がいるもん。それで、戀には僕がいる………だから、イヤじゃない』

 

『そう? フフ、お姉ちゃんうれしいなぁ~』

 

『ずっと、ずぅっと………一緒だからね?』

 

『えぇ、そうねェ。私と星はずっと一緒………………だから────皆ジャマだよねェ?』

 

『うん、みーんな……すっごくジャマだよ。だからさっ……消しちゃおう?』

 

『フフ、消しちゃおっかァ』

 

『『みーんな、町も国も星も────神様も。みーんな消しちゃおうっ』』

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 ペルセウスの件から凡そ一ヶ月。〝ノーネーム〟の一行(特に問題児三人)は自由気ままな時を過ごしていた。他のコミュニティのギフトゲームを制覇したり(もとい荒らし)、本拠近くの農地を暇潰しにと再生させたりetc……。兎に角、有意義な日々を送れていたのだ。

 

 そんな今日も平和です! なノーネームの屋敷の広間 にて、レティシアは一人物憂げに浸っていた。黒ウサギは外で子供達と農地の開拓中。ジンは、十六夜と共に地下の書庫に篭っている。彼女だけが手持ち無沙汰なのだ。

 

 

「はぁ………」

「―─何かお悩み、レティシア?」

「っ……あぁ、飛鳥か。君は何時も神出鬼没に消えたり現れるな。正直心臓に悪いのだが……」

「あら、ごめんなさい。なるべく心停止しない程度に努力するわ」

「止めてはくれないのだな………はぁ」

 

 

 クスクスと笑う飛鳥にレティシアはもう吐き尽くしそうな溜め息を吐く。だいたい彼女が送ってきた日々はこんな感じだ。特に何をしろと言われる訳でもなく暇で怠惰な一ヶ月。所有権を持つ十六夜、飛鳥、耀から何も音沙汰無いのだから彼女としてはだいぶ参ってしまっている。 無論、彼女も何もしようとしなかった訳ではない。以前、魔王との戦いで死んでしまった農地の復興を黒ウサギ共々何とか取り掛かろうとした………が、それは耀と十六夜が未だに謎の恩恵(ギフト)でアッサリと解決。今や死んだ土地は嘗ての生命の息吹を吹き返していた。 その時、無性に虚無感と敗北感を感じたのは秘密らしい……飛鳥にはバレていたが。 その後、色々と自分が出来る事がないか模索したが、ほぼ解決か間に合っている。この時程、優秀過ぎる人材は却って必要ないと思えてしまう、そんな現実を見たレティシアなのだった。

 最終的には使用人という立場という、言うなれば下の下の役目に付こうと至ってしまった。兎に角何か仕事をしたかったのだ。役目が切実に欲しかったのだ。最早軽いワーカーホリック(仕事中毒)患者である……事は否めないだろう。因みに彼女のメイド案は、特に要らないと問題児三人にバッサリと切られ、黒ウサギとジンからは慌てて止められたので没。

 

 

「飛鳥………」

「仕事が欲しいの?」

 

 

 レティシアの思いを先読みして口にする飛鳥。以前からそういった素振りを見せてはいたが、彼女のギフトは読心系統のものなのだろうか? そう当たりを既に付けているレティシアであった。まあ聞いた所ではぐらかされるのは目に見えているので問いはしないが。

 

 

「私は………何の為に此処に居るのだろうか……」

「………大丈夫? 流石に末期症状よ、それ。まだ貴女が戻ってきて高だが一ヶ月程度じゃない。黒ウサギも大丈夫って言ってくれてるんだし、素直に受け入れた方が気が楽よ?」

「そうは、言ってもな……。皆がコミュニティの為に勤しんでいる中、私だけ暇を持て余しているなど……申し訳が立たないではないか」

「何なら私と暇を潰す? 今ならペルセウスのお墨付きギフトゲームでお相手するわよ?」

「コミュニティの御旗を消滅させるなんて大業をやらかした君達の相手を? 冗談にしても笑えないz────!?」

 

 

 体が言う事を聞かない。突如として自由を奪われたレティシアは、冷や汗を流す。

 そんな彼女に飛鳥は清々しい笑顔で視線を合わせた。

 

 

「まあまあ遠慮しないでっ。今ならそのお堅い性格も不自由無い程度には矯正してあげるわよォ?」

「い、いや……それは遠慮願いたいな……本当に、本気で……!?」

 

 

 戯れな雰囲気ではあるのだが、それでも平気でやらかす彼女だ。冗談も冗談として機能は全く果たしていない事など、あの時及びここ一ヶ月でレティシアは理解した。

 あら、そう……と、飛鳥は残念そうに肩を落として、レティシアの拘束を解いてあげた。これも、レティシアの憶測だと〝威光〟とは別のギフト〝心神の種〟の影響らしい。

 

 

「飛鳥………悪ふざけでも君のギフトは強力すぎる。悪戯に力を振りかざしていては何時か手痛いしっぺを喰らうぞ?」

「ん? レティシアが私を襲うの? それもそれで有りね」

「そういう事では無くてな……」

 

 

 何を如何曲解したら今の忠告を前向きに取れるのか……不思議でならない。十六夜にも言える事だが、如何にも彼らは危機感を履き違えているのかもしれない。

 

 しかし、レティシアはこうして飛鳥と話をしていないとトコトン暇で仕方が無いか……。その点で彼女は今飛鳥に感謝すべきと言え────

 

 

「あーあ。レティシアの仕事をあの手この手で潰して反応を楽しんでたんだけど………そろそろ飽きたわね……」

「ちょっと待て飛鳥。詳しく話を聞かせてもらおうじゃないか」

 

 

────なかった。悪意十割の陰謀が渦巻いていた事実にレティシアは思わず食って掛る。

 

 

「んー………やっ!」

「そんな赤子の様に振舞っても駄目だ! なんだ、私の気苦労は全て君達の暇潰しだったのか? 私は良いように遊ばれていたのか……?! 私が憔悴していく様を陰で笑ってみていたのか!?」

「そうだけど?」

 

 

 ガクリと膝を付くレティシア。此処一ヶ月、不自然に暇を持て余していた理由が判明したのであった。最早軽く泣けてくる。嘗ては〝箱庭の騎士〟と謳われてきた自分が、こうも弄ばれるなどと、過去の彼女は想像出来たであろうか? というか本来彼女は怒り狂っても可笑しくない事をされているのだが、何故か脱力感の方が激しい。怒る気にもなれない。これも飛鳥のギフトのせいなのか? と自問する。もう、わけが分からなくなってきていた。

 

 

「まあレティシアも相当苦労してきたんだから、その労いって意味も加味してくれてもいいわ」

「……一応、感謝しておく」

 

 

 レティシアは膝を抱えていじけてしまった。〝箱庭の騎士〟とは一体何だったのか………ヨシヨシと慰めるように頭を撫でる飛鳥の意地の悪い気遣いが余計に彼女を沈ませるのであった。

 すると、

 

 

「よ、耀様! 待ってください! せ、せめて下だけでも……!」

「……二人とも、」

「? 春日部さん………って、何て格好してるのよ」

 

 

 寝起きなのか、瞼を擦りながら覚束無い足取りで二人の元へ歩いてきた耀。その格好は………無地のブラウス一枚という何とも子供の教育上宜しくない際どいものであった。それでも恥かしげも無く居るあたり、彼女は意外に神経が図太いようだ。因みにブラウスは黒ウサギからの貰い物である。

 

 

「………ニューファッション?」

「そんな流行が来たらいよいよ世の中は末期ね、面白そうだけど」

「そ、それよりも耀様! 早く下だけでも穿いて下さい!」

 

 

 耀のブラウスを引っ張り、片手に彼女のショートパンツを持った少女が顔を真っ赤にして叫ぶ。狐耳とパタパタと動く二尾が特徴的な彼女・名前をリリ。〝ノーネーム〟の年長組みの筆頭で、問題児一行とは農園や菜園の復活、手伝いの時に親交を深めていたのだ。

 そんな彼女、朝食の準備が出来たので耀を呼びに彼女の部屋を訪れた所、ドアを開く前に彼女が今の格好でフラフラ~と出てきたのだ。それを止めようとして、今に至ると……

 

 

「………それで、飛鳥さん」

「うん……取り敢えずリリちゃんに構ってあげたら? 泣きそうよ?」

 

 

 そろそろリリが涙目に縋り付いてきたので、耀は渋々下を穿く。と、その際に彼女は一通の封書を飛鳥へと預けた。

 

 

「うん? 春日部さん。まさか用件ってこれ?」

「はい。空から降ってきました……」

「………。あ、窓の外から降ってきたのね(まあ、流石にさっきの格好で外に出たなんて事は無いわよね)」

 

 

 状況判断と語彙の少なさが何とも誤解を生みそうな耀であった。

 それはさて置き、飛鳥は封書を改めて見る。宛先こそ記されてはいないが、封蝋には何時ぞやに見た双女神の紋章が刻まれていた。要は〝サウザンドアイズ〟からの手紙。

 

 

「ふーん? ねえレティシア…………レティシア?」

「………なに?」

 

 

 未だ蹲りいじけていたレティシアは投げやりに返答した。こんなに彼女はメンタルが弱かったっけ? と疑問に思うが、それよりも面倒臭い気持ちが先行する飛鳥。これでは見た目通り拗ねた子供としか言いようが無い。

 

 

「ほら、もう子供じゃないんだから何時までも拗ねないの。〝箱庭の騎士〟の名が泣くわよ? まあ、レティシアは見た目通りの器ならそれで良いんだけどねェ?」

「それで、如何したんだ飛鳥?」

 

 

 復活の早いレティシアだった。

 飛鳥は苦笑しながらも、サウザンドアイズからの封書をレティシアに見せる。

 

 

「ほう……これは、サウザンドアイズ直々に……いや、白夜叉直々の招待状だな」

「白夜叉さんからの……?」

「ああ。この双女神の印璽が何よりの証明だ」

「招待状って事はギフトゲームの……。へえ? 近々大規模な催し物が開かれる予定でもあったの?」

「た、確か……北側の都市で北と東のフロアマスターが合同で開く大祭、って黒ウサギのお姉ちゃんが言ってました!」

 

 

 飛鳥と耀は暫し無言。次に双眸をギロッとレティシアに向け、目で問う「知ってた?」と。レティシアは頷いた……途端肩を思いっきり掴まれた。

 

 

「ねえレティシアァ? 貴女……こんな面白そうな事を知ってて隠していたの……?」

「い、いや、隠していた訳では……! ただ……そのな? 今の〝ノーネーム〟では北側へ向かうには懐が寂し過ぎると黒ウサギと以前────」

「春日部さん、判決は?」

「私刑」

 

 

 とても良い笑顔(耀は相変わry)の二人に片腕ずつホールドされたレティシアは、ズルズルと問答無用で連行される。彼女は一瞬飛鳥の顔を見た………見てしまった。その時の飛鳥の笑顔は……〝箱庭の騎士〟である彼女が底冷えする程過剰に慈愛に満ちていた。

 

 

「ま、待つんだ二人とも! 仕方が無いだろう!? いくらごねてもウチの懐事情は変わらないぞ!?」

「そうね。今から貴女がごねる結末は変わらないわ」

「それは意味が違うと思うのだが!?」

「如何しますか飛鳥さん?」

「そうねェ………先ずはこの残念な性格から矯正してみようかしら」

「そこまで否定されるような事を私はしたか?!」

 

 

 もう柄にも無く叫ぶレティシア。今の彼女を見て旧知の者達は一体如何思うのだろうか? 飛鳥に一ヶ月間遊ばれていのが結構応えているようだ。

 そのまま何処へとも知れずに連行されていくレティシアの哀憫な姿を、リリは呆然と見届け……

 

 

「あ……ま、待ってください皆さああぁぁぁぁぁん!!」

 

 

……るなんて事はせずに慌てて三人の後を追いかけるのだった。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 ノーネームの本拠は意外と広い。屋敷の階層は上から地下したまで含めると二十近くあり、外には魔王との戦いで荒廃した農園区など、〝ノーネーム〟としては箱庭内最大の規模を誇っている。しかも荒廃しきった農園区に至っては、一週間程前に耀と十六夜が土壌の性質ごと完全再生させている。今では栽培も充分可能な状態なのだ………ただしその栽培するべき元種は無い。

 

 でだ、場所は外ではなく屋敷内・地下書庫。其処に十六夜とジンは本の山に埋もれながら寝息を立てていた。

 ノーネームの地下書庫は地下三階に位置し、莫大な内容量を誇っている。幾列に天井まで聳り立つ本棚は存外爽快な事だろう。

 

 

「…………ん……くぁー……ぁ………ふぅ」

 

 

 本の山を押しのけ、欠伸を噛み殺し十六夜は起き上がる。その横ではジンが静かに寝息を立てていた。

 

 

「……ったく。無理して俺のペースに合わせる事ねえってのに。ま、勤勉なのは良い事か……」

 

 

 そう呟いた所で、また眠気が彼を苛む。三日三晩の勢いで本を読み耽っていたのだから当然とも言えよう。

 ────その時だった、

 

 

「十六夜君。 此処に居るの?」

「……ぅん……? 飛鳥、ヵ…………?」

 

 

 飛鳥の声が届く……ながらも、うつらうつらとした彼は今にも落ちそうだった。

 そんな彼を見つけた飛鳥及び耀は、

 

 

「こらっ、寝るんじゃないのッ。起きなさいっ!」

「わっ! ちょ、ちょっと待つんだ二人とm────!?」

 

 

捉えていたレティシアを躊躇なく十六夜にぶん投げた。彼女にはもう同情を求めても求めきれない、扱いがあんまりだった。

 

 

「っと、」

「きゃっ……!」

 

 

 十六夜はそんな彼女を危なげ無く受け止めた。あとレティシアの口から可愛らしい声が漏れた。

 

 

「………。お前らなァ……」

「目は覚めたかしら?」

「あぁ、レティシアの幼声でバッチリなっ」

「はい……可愛かったですね」

 

 

 レティシアをグサリグサリと言葉の矢が貫く。もう十六夜から離れるどころか、自身の情けなさに軽く目頭に涙が浮かんできた。先程の飛鳥の時もそうだが、あやすように頭を撫でてくる十六夜の気遣いが余計に辛かった。

 

 

「で? 人の睡眠妨害してまで何の用だ?」

「ふふ、いえね? 面白いものがきたから。十六夜君もきっと気に入るわよ? それと、リリちゃん、ジン君も起してくれる?」

「え? で、でもジン君……夜遅くまで頑張ってたみたいですし──」

「リリ、早く起した方がいいぞ。じゃないと飛鳥流の目覚ましが飛んでくる。眠気どころか下手したら命が飛ぶからな」

「え……ぅぇえ!?」

 

 

 リリは顔を真っ青にしてジンを起こしに掛かった。

 飛鳥が非難の目を十六夜に向けてくるが、彼はしたり顔で笑うだけ。そして、飛鳥から例の手紙を受け取った。

 

 

「双女神……白夜叉からか……────〝火龍誕生祭〟の招待状?」

「ね? とっても面白そうでしょ? レティシア曰く、黒ウサギは私達には秘密だったらしいわ」

「ほぅ? えーと……『北側の鬼種や精霊達が作り出した美術工芸品の展覧会及び批評会に加え、様々な〝主催者〟がギフトゲームを開催。メインは〝階層支配者〟が主催する大祭を予定しております』。…………おい、レティシア」

 

 

 ややドスの聞いた十六夜の声にビクッと女々しく体を揺らすレティシア。何だかデジャヴを感じる……

 

 

「黒ウサギと揃って随分と面白そうなもん秘密にしてたんだなァ? クク、俺達同士だよなぁ?」

「十六夜君……それはカツアゲですよ」

 

 

 耀のツッコミは無視。十六夜はレティシアを小脇に抱え立ち上がり、飛鳥と共に笑い合う。

 ジンを必死に揺り起こすリリは、悪い予感を察し必死に止めに入った。

 

 

「み、皆さん待ってください! 北側に行くのならせめて黒ウサギのお姉ちゃんに相談してから────、」

「リリちゃん……」

 

 

 リリの肩にポンッと手を置く耀。振り向くリリに彼女は………静かに首を横に振った。

 

 

「……って諦めちゃいけないですよ!? れ、レティシア様も何とか言ってください!」

「……フフ………リリ。人生一度でも、諦めは肝心だぞ……?」

「レティシア様?!」

 

 

 レティシアはもう色々投げていた。投げすぎて空笑いしか出てこないようだった。

 

 

「よし……行くかっ!」

「そうねっ」

「はい……」

 

 

 こうして、問題児御一行は地下書庫……ノーネーム本拠から姿を消した。その際、リリに黒ウサギ宛の手紙を預けて………

 因みに余談だが。ジンが一向に起きなかったのはやはりというか、飛鳥のせいだったりするのはここに伏せておこうと思う。

 

 

 

 

 




黒ウサギよりロリ勢を弄る方が個人的には楽しいです


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