■■■■たちが異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】   作:白結雪羽

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ようこそ、箱庭へ!

 

 

 

 

 

 上空4000メートルに放り出された少年少女達は、途中幾重もの水の膜を通る事でその落下速度を落とし、眼下の湖へと着水した。しかし当然ながら全身びしょ濡れ。水を吸った服というのは中々不快なもので、それは彼らとて例外ではなかった。

 

 

「ちッ……行きなり呼び出しておいて水の中に叩き込むとはな……」

「全くね。抗議の一つでもくれてやりたいわ」

「…………」

 

 

 十六夜と飛鳥は口々に文句を垂れる。その間に耀は……真っ先に湖から上がり、水を大量に吸った服上下一式を順番に軽く叩いた。それだけ、たったそれだけの動作で、彼女の服からは水が取り除かれ、完全に乾いた状態に戻った。それに、残りの二人はやや関心を示した。

 

 

「おい。それがお前の力か……って事は後で良い。取り敢えず俺達のも頼めねえか?」

「ええ、お願いしたいのだけど……ダメかしら?」

「……、良いですよ」

 

 

 耀は先程と同じ様に二人の服を乾かしてあげた。が、それが終わると、再びぶっきら棒な態度に戻ってしまう。敢えて、二人はそこを指摘する事もなく、「すまねえ」「ありがとう」と、簡潔に感謝のみを述べた。

 

 

「しっかし、何処だ此処は?」

「さあ? ま、良いじゃない、そんな細かいことは。それより、一応聞いておきたいのだけど――貴方達にもあの不自然な手紙が?」

「あぁ…っと。折角だ、自己紹介でもすっか……――――俺は逆廻十六夜だ。退屈と面倒は御免被るが、オモシレエもんは二十四時間受付中だ――。んで、アンタは?」

「私は久遠飛鳥。呼び方は好きにしてくれて構わないわ。退屈が嫌いなのと面白い事が好きな点は……十六夜君とは共感できそうね」

 

 

 お互いに不敵に笑い合う十六夜と飛鳥。どうやら今の遣り取りで通じ合うものを感じたようだった。

 二人は、最後にと黙りっぱなしの少女に視線を向ける。

 

 

「……春日部耀。好きに呼んでください」

「おう、そうさせて貰うぜ春日部」

「宜しくね、春日部さん」

「……」

 

 

 三者三様の軽い自己紹介を終える一同。そんな彼らを、陰で見ている者が居た。その視線は彼らを観察し……また同時に口からは陰鬱そうな溜め息が吐かれた。

 

 

(うわぁ………問題児ばっかりみたいですねえ……)

 

 

 とある事情で人手を欲し、彼らを呼び出した身であるその者は、彼らの協力する姿を考えてみたが、可能性がとてもじゃないが許容出来ルモノデハナク。ファーストイメージ的にはかなりの難敵認定されるのであった。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「んで? 呼び出されたはいいが何で誰も居ねえんだ。〝箱庭〟なんて御大層な場所に連れてきておいてナビゲーターの一人も居ないのか? あれか、最初からチュートリアル無しのハードモードってやつか?」

「ふふ、案内が無いっていうのも面白そうだけれどね」

「…………」

 

 

 十六夜はダルそうに、飛鳥はそれでも楽しそうと此処にきて反対の態度を見せた。耀は相変わらずなのでパス。

 一方、草むらに潜む十六夜で言うナビゲーターは非常に出倦ねていた。三人がもう少しパニックになるなりすれば間に飛び出しやすかったのだ。だが、彼らはそんな様子を一切見せず、寧ろこのままでは自分を置いて何処かへ行ってしまいそうな雰囲気を出している。

 

 

(ど、どうしましょう…………この際、お腹を括って出ていきましょうか。これ以上待たせて機嫌を損ねられでもしてしまったら厄介ですし――――)

 

 

 出ていった時に飛んできそうな罵詈雑言にやや怖じ気づいてしまいそうだが、そこは呼び出した者の責任としてしかと受け止めなければ。そう自らを奮起させ―――た時だった。

 

 

(――――ッ!?)

 

 

 不意に悪寒を感じた。それと同時に、本能的な恐怖も。まるで神経に氷柱でも差し込まれたかのような……

 

 

「――――おいそこの奴。そろそろ()()()()()。退屈は嫌いだが、値踏みされるような目はそれ以上に嫌いだ……」

「というか十六夜君、気付いてたのね」

「あれは隠れてるの内に入らねえよ。この辺りは大方把握した」

「………へぇ? ま、それも後ね。さぁそこの貴女、怖がらなくて良いから出てきてくれないかしら?」

「……」

 

 

 十六夜は軽く殺気を洩らしながら、飛鳥は逆に安心させるように微笑みながら、草むらに潜む者に視線を向ける。因みに耀は(ry――

 

 

「……あ、あははは。御三人様、そんな「断る」おおか、ってまだ何も言ってないですよ!?」

「長ったらしい言い訳なぞ聞きたくない。出てきたならさっさと説明しろ」

「でないと、私達の晩御飯が決定してしまうわ」

「どういう意味ですか?!」

 

 

 (今更だが、)兎耳の生えた少女――黒ウサギは、咄嗟に浮かんだ建前を言う事も許されず軽く遊ばれていた。しかし、同時に三人をそれぞれ値踏みしていた。彼女曰く、肝っ玉は及第点かそれ以上、少々押しが強いのも許容点。問題は扱いの難しさ位か、と。

 

 

「あら? 十六夜君、私達はどうやら有用判定されたようよ」

「――――え!」

「へーそうか。大方度胸でも測ってたのか? 俺としちゃあ、値踏みは嫌いだって告げたばかりで値踏みしようなんて自殺精神に度胸を感じるがなぁ?」

 

 

 少し十六夜の殺気が濃くなった、そんな気さえする。実際はそうでもないのだが、黒ウサギは冷や汗が止まらなかった。だけど、そこは度胸のある彼女。頭の中は冷静に三人への対応を――

 

 

「フギャ!」

 

 

――考えられなかった。原因は何時の間にか黒ウサギの横まできて頭上の兎耳を引っ張った耀だ。それも、躊躇も何もない、問答無用且つ無表情で鷲掴んでいる。

 

 

「ちょ、ちょっとお待ちを! 触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」

「…………」

「せめて何か言い返してください!?」

 

 

 もう涙目でサケブ黒ウサギ。耀は彼女の言い分を……変わらず無関心にスルーし尚も引っ張った。黒ウサギは焦りに焦り、何とか残りの十六夜と飛鳥に助けを乞おうとしたが……

 

 

「――だから、兎鍋って意外といけるもんだぞ? 余り出回ってないからほぼ珍品扱いだが、」

「そうは言ってもねえ……やっぱり未知のアジは少し敬遠してしまうわ。そこが良いところでもあるのだけどね。折角だし試してみる?」

「ああ、さんせ――」

「なに不吉な会話をしているのですかああぁぁぁぁ――――ッ!!?」

 

 

 それから十数分、耀の意図不明の所業により黒ウサギの近隣迷惑な叫びが木霊したのだった。

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「あ、あり得ない。あり得ないのですよっ、」

「そうだな。ナビウサギがここまで愚鈍とは……早く始めてくんね?」

「…………。もういいですよ……」

 

 

 黒ウサギは諦めた。これ以上この問答に付き合ってたら話が本当に進まなくなるから。三人は彼女が態度を改め咳払いをした事で、一応話は聞いておこうと耳を傾ける。

 

 

「それでは御三人様。いいですか、定例文で言いますよ? 言いますからね? コホン――ようこそ、〝箱庭の世界〟へ! 我々は御三人様にギフトを与えられた者達だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召喚いたしました!」

「ギフトゲーム?」

「そうです! 既に気付いていらっしゃるでしょうが、御三人様は皆、普通の人間ではありません!」

 

 

 黒ウサギがそう言った時、三人の瞳の奥が怪しく閃いた。だが、黒ウサギはそれに気付く事はなく続ける。

 

 

「その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます。『ギフトゲーム』はその〝恩恵〟を用いて競い合う為のゲーム。そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者が面白可笑しく生活出来る為に造られたステージなのでございますよ!」

 

 

 とても仰々しく箱庭の長所を提示し、誇示する黒ウサギ。

 三人は成る程と一応頷いておき、そこから軽く質問に入っていった。初めは飛鳥。

 

 

「質問をいいかしら。貴女の言う〝我々〟って、私の見立てだとギフトを持つ組織か何かが在るって事?」

「YES! 名称は〝コミュニティ〟。御三人様のような異世界からの来られたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって、数多とあるその〝コミュニティ〟にか・な・ら・ず・属していただきます♪」

 

 

 黒ウサギはこの短時間である程度把握した彼らの性格を踏まえ〝必ず〟の部分を敢えて強調して言った。が、三人(実質二人)は口を揃えて、

 

 

「「「断る/……」」」

「必ずですっ! そしてギフトゲームの勝者はゲームの〝主催者(ホスト)が提示した商〟品をゲット出来るという至ってシンプルな構図となっております」

 

 

 次は十六夜。

 

 

「……その〝主催者〟ってのは?」

「様々ですね。暇を持て余した修羅神仏が人を試すための試練と称したものや、各々のコミュニティが力を誇示するための独自によるものもあります。前者は自由参加が普通ですが、その分難易度が凶悪且つ難解なものが多々とあり、命の危険もありますね。まあその分見返りもそれ相応のものが期待できますが……。後者は、お互いにチップを賭けて競いあい、敗者は勝者にそのチップを支払う……そのくらいですか」

「ふーん……。ま、聞きてえ事はまだ結構あるが、そん時そん時でいいか。二人もそれでいいよな?」

「無問題よ」

「………構いません」

「そ、そうですか」

 

 

 彼らの事だからもう少し聞いてくると思ってた黒ウサギは少し拍子抜けした。まぁ下手に長引くよりは効率的な邦楽彼女としても助かるので、一旦質問は終了。四人は黒ウサギのコミュニティのリーダーが待つ場所へ向かうことにした。

 

 歩きだそうとした中、ふと十六夜が「そうだ、」と声を掛ける。

 

 

「黒ウサギ、最後にひとつだけ聞いておく」

「はい、何ですか?」

「何、簡単な事だ。この世界は――――――退屈しないよな?」

 

 

 暫しの沈黙。飛鳥と耀も黒ウサギの返答を待つように視線を向ける。

黒ウサギはその問いに、一瞬目をパチクリと瞬かせたが、直ぐにその表情を笑顔に変えると、自信を持って告げた。

 

 

「――――YES。『ギフトゲーム』は選ばれた者達だけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は他のどの世界よりも面白く、退屈などしません………いえ。させてなどくれませんっ。黒ウサギが保証したしますよ♪」

「……ククッ、そうか。なら確りと見せてもらおうじゃねえか。ご自慢の――──世界をさぁ?」

 

 

 

 

 




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