■■■■たちが異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】   作:白結雪羽

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今回は短いというよりは繋ぎ
久しぶりに3000文字を切った気がする……まあもう少し簡潔に済ませられれば短く出来るんでしょうけど




レストゲーム、役者達

「〝審判権限〟なぁ? まあ確かに、反則を仕掛けかねない魔王共には有効な手では有るが………狡いな。っていうか、実力主義に文句一つ罷り通らねえ〝箱庭〟で魔王だろうが何だろうが関係ないだろ。要するに、勝てば良いんだ。……ま、愉しめんだったら俺は反則仕掛けてこようが如何でもいいか。真っ向から粉砕してやる」

「じ、実に頼もしい声明ですねっ……! ……そ、それはそうと十六夜さん。あ、ああ飛鳥さんも何とか宥めて貰えないでしょうかぁ……!?」

 

 

 ギフトゲームが一時中断となった事で混乱からささやかながら解放された参加者達は、誕生祭の運営本陣に集まっていた。

 そこで十六夜は適用された〝審判権限〟について内容を黒ウサギより聞いていた所だ。とまあそれは良いのだが、問題は黒ウサギの後ろでブツブツと呪詛の如く何かを呟いている飛鳥だろう。黒ウサギの高性能耳はその内容を聞きたくも無いのに事細かに拾い上げており、その内容たるや、冷や汗が止まらない程の様。補足するなら、軽く殺気紛いの澱んだ空気も漂ってきており、大変心臓に宜しくない。

 

 

「それと黒ウサギ。春日部の方はどうだ? ドジ踏んで軽く致命傷を受けたって話だが」

「あ…い、今は手当ても済んで客室で療養を取って……ってちょ、ちょっと! お願いですから本っ当にッ、説得してくださいよ?!」

「事情は知らないが自分で撒いた種だろ、俺が尻拭いをしてやる道理は無い」

「いやいや、せめて訳は」

「聞かない」

 

 

 そんな薄情な?! と身の縮む思いは続く。まさに狼に睨まれた兎、とでも言うべきか。

 

 そんな遣り取りをしていると、彼らの居る大広間の扉が開き、サンドラとマンドラが緊張の面持ちで皆に問うた。曰く、これから交渉テーブルに就くので、自分達と審判の黒ウサギの他にあと二人の同行者、それも〝ハーメルンの笛吹き〟の逸話に詳しい者を募集するようだ。しかし、参加者達の間からは困惑のどよめきが奔る。流石に童話が元の逸話ともなると、深くまで知識欲を広げているものなどそうは居ないのかもしれない。

 

 正直、交渉テーブルなんぞ面倒極まりないものに就きたくなどない十六夜だが、不本意ながらも彼の知識は恐らく此処の面子の中でも一番と言っても過言ではない。そして、彼に最近追随してきた少年が居る事も既知……というか片棒を背負っていたりする。

 非常に、ひ・じょ・う・に! 面倒臭そうに頭を掻きながら、それを表に出さないように彼は近くでジレッタク倦ねているジンの首根っこを掴んで、

 

 

「〝ハーメルンの笛吹き〟についてなら、このジン=ラッセルが誰よりも知ってるぞ!」

「…………は? え、ちょ、ちょっと! 十六夜さん!?」

「めちゃくちゃ知ってんぞ! とにかく詳しいぞ! もういっそ当時を生きてたんじゃねえかって疑う位……ってのは大袈裟か。まあ何にせよだ! この件で〝サラマンドラ〟に貢献できる奴なんて〝ノーネーム〟のジン=ラッセルを除いて他には居ないぞ!」

 

 

 途中、あまりの役回りに内心毒づき、ジンに怒気を一瞬だけ飛ばして黙らせたが、十六夜は何とか言い切った。

 周りからの反応は……まあ予想通り。こんな子供がとか、〝ノーネーム〟だろ? とか不安不満等が整然と漏らされる……が、彼としては知識が無く名乗り出もしないお前らにとやかく言う権利があるのかと問いたいものだ。

 これで三度目の面倒だが、十六夜は最後の一押し。〝リーダー〟という煽てを交えてジンを丸め込み? 彼に交渉テーブルに就く事を認めさせた。

 

 こうして決まった一行で、交渉場の貴賓室へと向かう。と、そこでふと十六夜は思い出す。

 

 

「(待てよ? 交渉なら俺なんかより、リアルタイムで情報引っ手繰れる飛鳥の方が断然向いてんじゃ………チッ。……はぁ、今日は厄日ってか……)」

 

 

 先程から内心愚痴ってばかりの十六夜。今更如何こう言っても現実は変わらないので、もう諦める事にした。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「ラッテン、お前大丈夫なのか?」

「え、え……。今は回復に努めてるから何とかね。……く、とんだハズレクジを引いちゃったわねぇ……!」

 

 

 飛鳥に刺された胸元を押さえながら憎憎しげに、彼女の鼻に付く顔を思い出すラッテン。正直、見た目的にも彼女のお気に入りとなりえる飛鳥ではあるが、あそこまで手痛い竹箆返しに、屈辱を呑まされてしまってはそんな感情は欠片ほども出てこない。

 

 

「マスター、正直戦況は悪いぜ。聞いていたとは言え、あそこまで規格外の餓鬼共とは予想だ。この審議のチャンスを逃しちまうと、先ず勝ち目が無くなる可能性が大きい」

「……分かってるわ、ウェーザー。仕込みも済んだ。あとは………相手の出方しだいよ」

 

 

 斑少女は憮然とそう言うも、袖に隠れた手は肉に食い込み骨が軋むほど握り締められていた。実際、巨大な笛を手にしている男・ウェーザーの言葉通り、戦況はかなり悪い。それもこれも聞き及んでいた注意人物である三人の少年少女。〝箱庭の貴族〟や〝箱庭の騎士〟、龍角の力を得た〝サラマンドラ〟の頭首よりも警戒しろと言われた者達。

 魔王のコミュニティとして、新興とは言え絶大な力を誇る〝グリムグリモワール・ハーメルン〟の一行は、情報に信頼性を感じ警戒はしていたつもりだ。だが、何処かで半疑だった事が災いした。結果がラッテンの負傷に、神霊である少女の劣勢。

 もう、失敗は赦されない……

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「春日部さん、調子はどう?」

「………ん、大丈夫ですね。少し動く分には問題ないです」

「そう、なら良かった。留守番は任せても大丈夫そうね……」

「……? 何か用事でも?」

 

 

 客室のベッドから降りて身体の調子を確かめる耀は、飛鳥の呟きに首を傾げた。

 

 

「あら……ふふ、えぇ。少し、ね? この子がさっきから忙しないのよ」

 

 

 そう言う飛鳥の頭の上では、未だに名も知れぬ精霊がヒョコヒョコとなにやら騒いでいた。「あすかー!」と名前を呼んでは視線を本陣営の外側、境界壁の方へと向けている。

 

 

「そう、ですか………分かりました。此方は私と十六夜さん達で対応しますので、」

「ごめんなさいね。…………ゲーム開始位までには戻ってくるわ」

 

 

 飛鳥はそう言い残すと、耀の視界から姿を消した。

 もう慣れてしまえば如何という事は無いが……耀は実の所知っている。彼女だけではない、十六夜もまた、飛鳥の恩恵の仕組みは疾うに理解している。理解しているからこそこう思える────魔王に勝ち目は無いと。

 

 

「さて、私は…………そうですね。魔王さんの()()()()を浄化しに行きましょうか」

 

 

 一日もあれば大丈夫でしょう、と自身の身体を一撫でした耀は、淡白な表情のまま部屋を後にした。負傷した自分の変わりに戦ってくれたレティシアへのお礼も含めて、向かう場所は参加者の集う宮殿の中心。

 

 一手、また一手と、休戦となったゲームの裏側でお互いのゲームメイクの均衡が崩されていく。最後に泣くのは、笑うのは……一体どちらだろうか────

 

 

 

 

 

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