■■■■たちが異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】 作:白結雪羽
「何しに来たんだ……?」
「いや、まあねェ………この傷の仕返しとか、十六夜君達が苦戦してるのかなと思って援護に来てみたんだけど………もう終わりそうね」
「ハッ、死に損ないの体に助けを求めるほど貧弱じゃねえぞ。寧ろ、援護するなら俺じゃなくて白夜叉の方に向かってやれ」
「えェ~……老人同士の喧嘩に何で私が介入しなければならないの?」
「止めるだけなら赤子の手を捻るようなもんだろうが。ご託はいいから早く行け」
急かせんばかりに地面を踏み砕く十六夜。そんな彼に飛鳥はヤレヤレと肩を竦めると「貸し一つね♪」と言って、荒れた湖畔の更に向こうの現在進行の爆心地へと面を向けた。
「ったく、何が貸しだっての…………おい」
「っ……!」
十六夜の眼光がペストを射抜く。構図で例えるなら捕食者と獲物だ。ペストは
「っ、ヒッ……!」
「んなに怯えんなって…………興が冷めた。ギフトゲームは此処まで、決着はまぁ………飛鳥の事だからセーブだろうな」
つまりは一時中断。勝者も敗者も出ない、円満な収拾方法。但し、特定の条件と
ペストは彼の言葉に言い返す気力もなかった……失わされていた。
「はぁ…………締まらねえな、全く」
雷電を解除し深い溜め息を吐く。何処かの瀕死者が同情してくれている、そんな気がした十六夜であった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
白夜叉は肩で息をしていた。一度は浄火で癒えた傷も寧ろ酷くなり、右半身の感覚が限りなく鈍っていた。相反し萃は、装いも多少解れ、傷も決して無い訳ではないが白夜叉と比べれば少ない。傍から見てもどちらが優勢かは一目瞭然だった。
今一度、白夜の霊格を籠めた鬼神の爪甲と根源の霊格を萃めた白鬼の拳が激突する。尋常を越えた灼熱地獄と化した地で何度目か、大地が爆ぜた。互いに後ろへと弾かれ、そしてまた交差する。馬鹿力と速さを兼ね備えた型の無い武が白夜叉へ猛攻し、彼女はそれをギリギリで捌く。そして隙有らば業火が萃を襲うが、先から散らされていった。
「はぁ…はぁ……っ、グッ……はぁ……!」
「中々粘るのぅ白夜王……。己もぼちぼち外の若い者達の相手もせねばならんからな。と言うか……
哄笑を上げる萃は、そこらの虫を玩ぶ童児のように残酷無邪気に、白夜叉を吹き飛ばす。白夜叉はそろそろ限界だろう。元より相性が悪い上、万全で無いことが最大の痛手となっているのだ。
萃に相性が良い者など片手で数えられる程度しか存在しない。倒せない事はなくとも、やはり相性は重要だ。
では、彼に決定的な一撃を与えられる者、はたまた服せる者は如何様な者か? それは――――
「………………急所は外しはしたが、手を抜いた覚えは無いぞ悪童?」
「フフフ、知っていて老害? 私って以外としぶとくて、根に持つ女なの」
「呵ッ、何を殊更に。畳むぞ小娘がッ」
「やれるものならやってみなさいよ? 一度捕まったからには、貴方でもそう簡単に抜けられないでしょう?」
萃の身体が不意にピタリと止まり、白夜叉の前に愉快な笑みを湛えた飛鳥が現れた。萃は初めてその表情を剣呑に顰める。身体は自由に動く、何も拘束された訳ではない。只、前方の二人に
「あ、飛鳥……!? な、何故……一体如何やって此処へ……?!」
「ちょこっと裏技を……って、これ前にも言ったかしら? まあいいわ。――それにしても白夜叉、少し派手に暴れすぎじゃない? 貴女のギフトの余熱で茹で揚がりそうなんだけど……」
軽口を叩きつつパタパタと手で首元を扇ぐ。かなりの熱気故か、額に汗が滲んでいる。しかし、それが本当に暑さだけの汗なのかは疑わしい所だ。何せ彼女の傷口はまだ開きっぱなしなのだから。
「さてと、主に血量的な意味で急ぐわね。老い耄れさん、今直ぐにギフトゲームを降参するか取下げるか……選びなさい」
「……口説を弁えろ悪童がッ。散らすぞ?」
「フフッ、やってごらんなさいよ。まあ? 仮に私が逝ってしまえば…………
「………………チッ、相も変わらず汚い奴じゃ。これが姑息な手とは考えんのか?」
「今の言葉と貴方達の質が知れてれば注意程度で済ませるわ。堅実な判断を有り難うね」
「ゲスいな……ったく。白夜王、この娘に感謝しておけ。限りなく不本意じゃが、
萃が指を鳴らした。すると、白夜の世界、及び北の街に純白の契約書類が現れた。そこに新たに記載されたのは【無期限中断】の文字。魔王のゲームが一時とは言え終了した証拠であった。思うと、無駄に規模のデカイ狂乱を招いただけの迷惑騒動でしかなかった。
という事で、二連に亘り襲来した魔王のゲームは、圧倒的力と、圧倒的支配力の前に呆気無く終息したのであった。
この後、面倒くさい後始末やら本当の祝勝会やらで北の祭りは最後は円満に賑わいを見せた。裏に渦巻いていた計略とか甚大な被害とかの諸々の後始末や後日談エトセトラも、そこら辺は当人達が勝手に消化してくれた。
で、問題は何だかんだで健在な元・魔王と現・魔王の二人だが…………
─祭典最終日─
「ハっ? 今ナンテ言イマシタコノ腐レ老害」
「ほう、聞こえんかったか俎板? 貧相なのは頭〝も〟か、憐れな奴じゃのう」
「……死ね!!」
「呵ッ、上等!今度は風穴一つでは済まさんぞ阿婆擦れが」
「ちょ、落ち着いてください二人とも!? 折角和解出来たんですから、ここは平和に解決を……」
「冗談じゃないです……!! 誰がこんな【ピー!】で【ギャー!】な蛆なんかとッ……!!」
「よ、耀さん!? 良い歳の女性がそんな言葉を使ってはいけませんよ?!」
「訂正する。風穴なんぞ甘いわッ、徹底的に蹂躙してやる!! 泣いて許しを請うてももう遅いぞ【ヒャー!】がッ!!」
「萃様!! これ以上火に油を注がないで下さいよ!?」
〝旧サウザンドアイズ支店〟白夜叉の私室にて、黒ウサギの悲鳴が木霊した。そこに集まるは、〝ノーネーム〟の一行と、〝黒死斑の魔王〟改め〝黒死斑の御子《ブラック・パーチャー》〟ことペストと〝不羈奔放の魔王〟こと識白萃。彼らは東側に戻るために無事完全回復した白夜叉の行為に甘んじさせてもらう事になったのだ………が、会話通り耀と萃が一触即発状態で場の空気はテンヤワンヤ状態である。
そんな賑やか三人を残りの面子は……取り敢えず無視する事にした。
「んでブラック・パーチャー? お前らが
「………知らないわよ、そんな事。事情なら萃に聞いて。私はもう彼に付随する身だもの……」
「隷属……とはまた違うのですか白夜叉様?」
「んー……まぁ、そ奴は箱庭でも異端中の異端だしのう。過去の事例はみな、配下に下った者達は誰一人生き残っておらんからな。隷属とは……また形式が異なる。強いて言うのなら合併か?」
「合併? 連合という事ですか?」
「そうなるかの。……ま、何にせよだ。〝不羈奔放〟の名の通り奴は気紛れな質だ、アチラから参入の申し入れがあるなら引き受けてやれ。敵に回せば厄介極まりないが、味方に引き込めばあれ程頼もしい存在は居らんよ。扱いは少々骨が折れるが、そこはおんしの技量しだいだぞ、ジン?」
「は、はい!」
昨日の敵は今日の友、とは良く言ったものだ。こうも情勢がコロコロ移り変わっては、呆れてものも言えない。
「扱いを誤ったらコミュニティが滅んじゃうかもね?」
「ん、それなら───」
「安心せい。形式上は世話になる身、不遜に最低限の礼儀を欠くなんぞ己の矜持に触れる。何、脱ける時は一言告げてからじゃよ」
「何処を如何安心すれば良いのか分からねえな……」
耀と(何故か)黒ウサギを気絶させて寝かした萃を十六夜は半眼で見る。
萃はペストの横に腰を下ろすと屈託無い笑みを浮かべて、
「何はともあれ、暫く世話になるぞ童子らよ。精々己を手放さぬように面白可笑しく愉快な日々を提供してくれっ、カカッ!」
ペストの頭をガシガシと撫でつつそう言った。ペストは非常に鬱陶しそうに腕を払うが、心なしか嫌そうには見えない。飛鳥の口角が薄っすらと弧を描いた気がした。
「傲岸不遜とはこの事だな……ククッ。ま、愉しければそれで構わねえか!」
「そうねェ。愉しければそれでいいわよねェ……フフフフフっ」
「………ジン、武運を祈っておく」
「…………はい、ありがとうございます……」
こうして、何だかんだ(←これ便利)の成り行きで新たな同士? を加えた〝ノーネーム〟は、波乱万丈喜悦愉快な祭り事を終え、東側へと