■■■■たちが異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】   作:白結雪羽

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Bginning of 〝Funny Circus Clowns〟

 

 

 

「ほぉー…これはこれはまた、随分と大仰な装いだの」

 

 

 町の中央に鎮座するテントの麓、幼児退行を解いて貰った白夜叉は明かりの灯っているテントを仰ぎ見た。

 サーカスの公演は昼間限定の筈なのだが、今は何故か明かりがこうして付いている。十六夜たちがわざわざ夜間まで待った理由が今此処でハッキリとした。

 

 

「しっかし、魔王の可能性があるとはいっても……ペストや爺を一度拝んじまってると今一パッとしないな」

「きっと魔王にも色々な人が居るんですよ。共通している点と言えば、現役の方も元の方も弄れば面白い事、くらいじゃないでしょうか?」

「ハハッ、それは言えてるな!」

「おいこら小僧ども。今誰を見て言った、誰を!」

「「白夜叉様?」」

「おう無駄素直だな!? 喧嘩売っておるのかおんしらは? 売ってるのだな? 宜しい、ならば戦s「白夜叉、つまらない事言ってないで早く行くわよ」……」

 

 

 徹底的に白夜叉を馬鹿にしている風な三人。飛鳥の言い分に関しては正論なのだが、如何せんタイミングに悪意を感じる。

 

 一同は改めてテントに近付いてみる。だが、これといって変わった所も変化も見られず若干手を拱いていた…………と、

 

 

「っ……!」

 

 

 耀がテントを外周して『Keep Out』とテープの貼られた入り口に立った時、漸く事態は動いた。

 彼女の手元に忽然と光が集まり、一枚の羊皮紙────『契約書類』となって現れたのだ。

 

 

 

──ギフトゲーム名〝Funny Circus Clowns〟──

 

・プレイヤー一覧

 現時刻を以ってテントの前に現れた者。

 

・クリア条件

 円形闘技場にて五回試合での三勝以上。

 なお、プライヤーたちは招待状を見つけなければ闘技場への入場を許可されない。

 

・敗北条件

 上記の条件を〝日が昇るまでに〟満たせなかった場合。

 

 

 

 『契約書類』を一通り読み終えた耀は、急いで十六夜たちの元へ伝えに向かう。

 それで、十六夜はと言うと、

 

 

「はぁ、面倒だな………いっそ強行突破するか?」

「それはまた、華の無いやり方ね。私は賛成だけど」

「んじゃっ、イッチョテント嵐でもすっか!」

「すっか! ──じゃないわ戯けども!! いくら相手が魔王と示唆されたとは言え、実証もなしに危害を加えるのは法外だぞ!? 流石にそれは階層支配者として見逃せん!」

「チッ……ならどうすんだよ。これ以上変化が見られねえなら鈍詰まりも良いとこ「皆さんっ」」

 

 

 十六夜たちのやり取りを見た耀は少しだけ慌てて戻ってきた。

 三人の視線は一斉に彼女へと向き、そのまま手に握られている『契約書類』へと移る。

 すると、先程の不機嫌面は何処へやら、二人は嬉々とした笑みを浮かべる。

 

 

「ほら白夜叉、ちゃんと変化あったじゃねえか」

「……萃がおんしら『悪童』と呼んでおった訳が理解できた気がするぞ」

「ヤハハッ、そりゃどうも」

 

 

 十六夜の小脇を軽く小突きつつ、白夜叉は耀が持ってきた『契約書類』に目を通す。横から十六夜と飛鳥もルールを確認し、三人ともニヤリと笑みを零した。

 

 

「……聞くまでも無いかもしれんが────覚悟は良いな、おんしら」

 

 

 白夜叉の言葉に彼らは態度で返事をした。

 当然、覚悟なんて端っから出来ている。その問いは今更、無粋ってもんだと。

 

 そこから四人は先ず、招待状を確保する為に手分けして町を捜すことにした。

 この場合、一番宛にしているのは行動範囲が広く、五感もこの中で最も優れている耀だ。彼女を基に彼らは夜の町を駆け出した。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「招待状……。情報量から所在、形状は全く把握できませんし……これは、地道に探すしかありませんね」

 

 

 グリフォンのギフトで空へと舞う耀は、平行で梟の目を使い遠方を観察していた。灯台下暗しをカバー出来ないのが難点だが、上空ならさして気にもならない。

 更には鼻も犬の嗅覚を借りて、情報取得感覚の八、九割を駆使して探している。

 

 

「……?」

 

 

 不意に彼女の鼻が奇妙な臭いを漕ぎ着けた。どこかで嗅いだ事のある臭い、だけど一般的には然程認知されていないと思われる、そんな臭いだ。

 耀は臭いの元へと目を凝らす。すると、町の少し丘となっている場所で見覚えの有るシルエットを見つけた。

 

 

「あれは……」

 

 

 そもそもこんな夜更けに人のシルエットを見つける事自体稀。なら、第一容疑者として接触しなければあるまい。

 耀は最後に一度辺りを見回して位置を完全に把握すると、梟の目を解いて飛鳥の匂いを探し出す。そして直ぐに見つけると、彼女の方へと向かっていった。

 

 

 ────その頃の飛鳥。

 彼女は特に焦りもせず悠々と町の中を歩いていた。傍らには(久しぶりに姿を見た気がする)メルンも浮いて周囲を見回している。

 この町は細い路地がそこそこあるので、飛鳥一人では万が一にも見逃してしまうかもしれないから彼女にも手伝ってもらっているのだ。

 因みにメルンとは、少し前に北の街で出逢ったあの精霊の名前である。魔王とのギフトゲームが終了後、コミュニティ『ラッテンフェンガー』よりディーン共々飛鳥に託されたのだ。

 

 

「あすかー、みつからなーい」

「フフ、そう慌てなくてもいいわよメルン。きっと春日部さんが直ぐに見つけて知らせてくれるでしょうし。ま、私たちが先に見付けられたら見付けられたで僥倖だけど」

「?んー……」

 

 

 別に彼女たちは競っている訳ではない。手分けをしているのだから、彼女の余裕は耀という人物の元理に適っている。

 メルンは飛鳥の意図に疑問を浮かべるが、速攻で考えるのを放棄した。その様子に飛鳥も苦笑する。

 

 

「飛鳥さん!」

 

 

 丁度その時、耀が飛鳥と合流した。どうしたの? とは聞かない。元からその様な手筈で動いていたから。

 

 

「ご苦労様春日部さん。場所は?」

「向こうの丘の方です。途中十六夜さんと白夜叉さんの匂いもありますから合流して向かいましょう」

「分かったわ。メルン、これからちょっと急ぐから、貴女は休んでて。わざわざ手伝わせちゃってゴメンなさいね」

「うーうんっ、へいきー!」

 

 

 そう言ってメルンは静かに飛鳥のギフトカードへと戻っていった。

 

 

「…………」

「? どうしたの春日部さん、そんなポケーっとして」

「あ、いえ……飛鳥さんって、メルンには甘いんですね」

「…………春日部さん、後で『オハナシ』しましょうか。ゆっくり、時間許す限り付き合ってあげるわ」

「いえ、結構ですので。──早く向かいましょうか」

「フフ、そうねっ」

 

 

 耀は飛鳥の笑顔に冷や汗を流しながら、無理矢理話を戻して一緒に駆け出す。

 飛鳥に限って忘れる事は無いと思うので、耀にはご冥福を祈る事とする。

 

 

 さて、残るは十六夜と白夜叉なのだが……、

 

 

「おんしも、その歳で枯れてるよのう。私が『黒ウサギを如何にエロく魅せる』かの衣装についてこうも熱く高説を垂れてやっと言うのに。……反応が素っ気無いのう」

「余計なお世話だ。別に興味がない訳じゃないが、ロリ婆のエロティシズムなんざ聞いててもなぁ……って言うか殆ど黒ウサギとの惚気話じゃねえか。半ば宗教染みてんぞ?」

「む……むぅ、黒ウサギの良さを後世へと語り継がせる……それも中々良いかもな! 実のある談義を交わせる同士が増えると言うのも……あ、いや、しかし……下手をすれば身の程を知らん愚か者が寄り付いてくる可能性も……────」

「…………。春日部、まだか……」

 

 

 十六夜に弱音を吐かせる白夜叉。これもまた珍しい。

 招待状捜索から数十分、白夜叉は延々と「黒ウサギとは何たるか」や、「黒ウサギは昔はのう……」と十六夜に話していたのだ。それはまあ呆れもするし、別の意味で弱音も吐きたくなる。いい加減にこの地獄紛いから開放されたいのだ。

 

 けれども、彼らも只々お喋りばかりしていたのではない。

 招待状については兎に角情報が足りない。『契約書類』にはヒントらしき記述はなかったのだから、これはアーダコーダ言ってても無駄だ。なら、どうする? 圧倒的情報不足、これをどうにかしないと先へは進めない。

 情報が少ない? なら……集めれば良いだけの事だ。

 

 

「……とまぁ、おんしへの高説はまた後にしてやるとして」

「(要らねえよ)本当、口も動けば身体もちゃんと動くのな、アンタは」

並行思考(マルチタスク)は書類仕事では必須も同然だしの。この位当然よ」

 

 

 二人の居る場所にはむさい酒の臭いが充満している(二人とも酒は嗜めるので気にもしてないが)。

 そこは……予想が付くと思うが酒場だ。空間中に酒の臭いが充満するなんて真っ先に浮かぶとすればそこだろう。

 では、二人は酒場で何をしていた? 勿論、情報収集だ。酒場は飲んだくれや、情報屋の溜まり場故に情報収集にはお誂え向きなのだ。

 そして酒場と言えば……乱闘がセオリーってものだろう。

 情報収集兼ね一戦前の軽い腕鳴らし程度と、十六夜と白夜叉の周りは酔っ払いの死屍累々と化していた。一応、話から入ってやったからやり返した、の言い訳が出来る。でも、酒を楽しんでいた所にお子様二人の乱入からの乱闘。倒れている彼らが何だか報われないと思えてくる……。

 

 情報収集を終えた二人は酒場から飛び出して、提供された情報の場所へと駆ける。

 その途中、

 

 

「十六夜君!」

「おう飛鳥に春日部。そっちも当たりは付けたんだな」

「そっちもね」

 

 

 こうして十六夜と白夜叉は飛鳥と耀と合流し、満を持して四人は目的の丘状地へと辿り着いた。

 そこは開けた場所であった。暗闇を数本の街灯ランプが照らし、奥の方の闇を一層と強調して良い雰囲気を醸し出している。目的地、且つ初戦の場としては星五つ(因みに星十個採点)だ。

 そして、街灯ランプの照らす中心に一人佇む者が居た。

 配色、先共に二つに分かれた道化の帽子を被り……と言うか上から下まで例外に洩れる事ない完全無欠のピエロである。

 

 

「────アハハッ、いらっしゃいマしみなサマァ~!」

 

 

 見覚えのある姿、聞き覚えのある声質。そのピエロは確かに、サーカス団の一員であるピエロの一人であった。

 

 

 

 

 

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