■■■■たちが異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】   作:白結雪羽

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ピエロを屠って、ウサギを……

「アハハッ、それにしても驚いたタなぁ。コンなに早く僕の居場所を突き止メt「前置き御託はいい、招待状は何処にある?」

 

 

 ピエロの台詞を遮って十六夜は問う。状況的に招待状はピエロが一枚噛んでいる可能性が極めて高いのだが、彼が経由地点の一つとしても考えられる。

 だが、もしもこのピエロが招待状を所持しているのであれば……、

 

 

「アハハ、せっかちだネ君ィ? 何処にも何モ、招待状ならちゃぁんと僕が持っテルよ~────但し! コレを渡すノは僕を倒セタらの話ダヨっ!!」

「そうかい。なら……手っ取り早く頂くとするかッ!!」

 

 

 刹那、十六夜の姿が音を置き去りにして消滅…………否、神速でピエロの懐に踏み込んで拳を思いっきり振り上げた。声を上げさせる暇も与えないその一撃は、ピエロの頭半分を豪快に吹き飛ばし、彼はその隙にピエロの握っていた招待状の紙を奪い下がる。

 

 

「先んずれば人を制す、ってな」

「十六夜君、芸に少し欠けるわよ。もう少し道化さんに魅せ方を教わったら?」

 

 

 一瞬でケリを付けてしまった十六夜に少々脹れて小言を言う飛鳥。この先闘技場とやらで戦いが待っているのだとしても、丸一日機会を待たされたのだからそのお礼参りがしたっかったようだ。

 しかし、その気持ちは案外汲み取って貰えるようだった。

 

 

「安心しな飛鳥。魅せ方なら……まだご教示願えるかもしれねえぜ」

「……その様ね」

 

 

 十六夜の手元に握られた招待状がドロッと液状に溶け落ちる。

 一同の視線の先、あのピエロはまだ倒れてなどいなかった。その顔は十六夜の拳で半分以上が吹き飛んで入るのだが、それでも尚不気味な笑顔を讃えて言葉を紡ぐ。

 

 

「アァ…なんてマナーの悪いお客サンだ。お陰で顔が半分スッ飛んデしまっタよぉ………アレ? でもこの方が笑いを取レて良いノカな?」

 

 

 グジュルンッと液状に弾けた顔が再びピエロの顔へと集まっていく。その姿はグロテスクで見る者によっては怖気の奔る光景であった。

 白夜叉もその品の無さに顔を少し顰める……のだが、その一方十六夜と飛鳥は……

 

 

「わァ……! ね、ねえねえ十六夜君! 何アレ!? すっごくウチに欲しいのだけど!?」

「さっすが道化師様。中々粋な演出をしてくれるぜ」

「おんしら……感性が捻じ曲がっているにも程があるぞ。アレに称賛を向けるか……」

 

 

 本来なら悲鳴でも上げるあり白夜叉同様顔を顰めるなりの反応を見せるべきなのだが、二人は逆に狂喜の笑みを色濃くした。

 ただ一人、春日部だけは顔色を一切変えずに平然と……この反応も考えてみれば可笑しいかもしれない。

 

 

「ありゃマ? お気に召してクレたノ? アハハッ──お客、マナーは悪いケド良い趣味はしてルンだネぇ~!」

「ヤハハ、褒めても何もでねえぞ」「フフフ、褒めても何も出ないわよ」

「いや、褒めてはおらんだろ……」

 

 

 妙な所で馬の合いそうな人物に出逢った悪友二人であった。

 だが今はお互い敵同士。馴れ合いをしている場合ではない。

 一頻りその場の交友を感じあった所で、お互いに臨戦態勢を取る。

 

 

「ア奴のギフト……恐らくは自らの身体を異なる原子に変換するものか……。これは、物理攻撃は殆ど効かんと見ていいな」

「それは遠回しに俺の出る幕じゃないって言ってんのか?」

「何を言う、いくら直線馬鹿のおんしでも出来る事はあるだろ。何も『全く』効かんとは言っておらぬ……────だがまぁ、」

 

 

 白夜叉はニヤリと笑うと、己の内に秘めた星霊としての力のほんの一部を逆巻かせる。言い知れぬ威圧感が辺り一体を包み込んだ。

 

 

「厄介ではあるが、私の力を以ってすればあの様な三下、如何様にでもなr「口上長いぞロリ婆。大人しく後ろで茶でも啜ってろ」って、この小童めがああああああ!! 幾度幾度と……おんしら私に恨みでもあるのか?!」

「んなもんねえよ! しいて言うなら恨み事の前返済だっ!」

「売ってもおらん物に返済すなッ!!」

「いいから煎餅でも齧ってろ駄神!」

「喝! 私は大福派だぞ!」

「ならこしあんでも食って大人しくしてろ!」

「ならんっ! そこはつぶあんに決まっておろうが!?」

「二人とも、話がズレてきてます」

 

 

 と、戯れはここまで。

 十六夜たちは改めてピエロと対峙し、白夜叉は渋々と十六夜から(何処からともなく取り出した)つぶあん大福と緑茶を貰い背後の方に控えた。

 

 

「そんじゃあ面白生物! お互いユニークな芸の魅せ合いと洒落込……みてえ所だが、こっちも急いでるからな。一撃で決めんぞっ!!」

「あらマァお客サン! その自信一体何処から出てくるのカn────ッ!!?」

 

 

 ピエロは立ち尽くす。何故なら自分たちが居るこの場所だけ、異様に明るくなったから。そして何より……熱い。『暑い』じゃなくて『熱い』のだ。その熱源は────上空。

 

 彼が天を仰ぐとそこには、轟々ッ! と燃え盛る『焔』の文字が浮き上がっていた。

 その源は焔色に輝く左手を天に掲げる十六夜と、彼に対して霊格増幅の光を向ける耀。彼女の補助の効果により、最初は広場をギリギリ範囲内に収めていた『焔』の文字が徐々に増大していき、物の数秒で二、三倍まで膨れ上がった。

 

 

「な……ナァッ!?」

「あばよ道化師! 手前の種なら……とっくに解けちまってんだよっ!!」

 

 

 十六夜はそう告げると、開いていた掌を握り締め垂直に振り下ろした。

 ピエロも咄嗟に反応しようとするが……遅い。

 膨張から瞬時に圧縮された轟炎の嵐は、一筋の光芒となってピエロの断末魔ごと燃やし尽くした。

 

 

「……のう小僧。おんしは……本当に何でも有りなのだな」

「太陽を司る星霊様には及ばねえよ。今のも、春日部の後押しありでも八割出力だ。要は十割が今のと同等って事になるな」

「いや、それでも……はぁ、もう何も言うまい(折角の茶と大福が勿体無いのう……)。────して、あのピエロの正体は分かっていたのだな?」

「はい。私は最初から、十六夜さんもあの人を殴った時に分かったかと。あの特有の臭いは『油絵の具』の臭いでした」

「ほう? だから焔で焼き払ったという訳か……その意思疎通の具合、思わず脱帽してしまう程だの」

「いえ、それ程でも無いですよ」

 

 

 四人は視線を向ける。炎が治まり、焦げ臭い臭いと蒸発煙を払った先、そこには絵の具で描かれた幾何学模様の魔方陣……そして『Welcome』の文字が記されていた。これがサーカスへの『招待状』と見て間違いないだろう。

 

 

「漸く……でもねえな。ゲーム開始からまだ一時間と経っちゃいねえし」

「ピエロ探しと打倒で殆どを時間稼ぎするつもりだったんじゃない? 今回は相手が悪かったのよ」

「……早く行きましょう。黒ウサギさんが心配です」

 

 

 お互い頷き合い、四人はいざ! と魔方陣の上に乗る。

 瞬間、彼らの視界は閃光に包まれ、やがて晴れたかと思うと鼓膜を人々の歓声が揺らした。静かに瞼を開いてみると、確かに四人はサーカスのテントの中……舞台の中央に立っていた。周囲を覆う観客席には様々な見物客が詰まり、参加者が現れた事に大いに盛り上がっている。

 テント内の内装設備を見てみるに、正にそこは闘技場と呼ぶに相応しいものだ。

 

 

「────おやおや皆さん! お揃いで一体どうされたのですか?!」

 

 

 四人が周囲を見回していると、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。その声の主は、彼らが(形式的には)丸一日以上探していた者。しかしながら、その彼女は 特に捕縛されている訳でもなく洗脳の類を受けているようにも見えない。

 サーカス用の大玉に乗った彼女────黒ウサギが、手を振り朗らかな笑顔で近寄ってきた。それはもう、とても楽しそうな嬉々とした笑顔で。

 

 

「あっ、もしかして、黒ウサギの玉乗り芸を身に来て下さったのですねーっ!?」

 

 

 この時、偶然にも十六夜と飛鳥、耀も心の中の思考が一致した。

 

 

「「「(この笑顔…………殴りたい……)」」」

「……まぁ、取り敢えずはだ────揉みたかったぞ黒ウサギイイイィーーッ!!」

「!? ひゃあああああっ!?」

 

 

 白夜叉が渾身の抱擁を黒ウサギに咬ましているが、それは放置。

 

 

「ねぇ……私たちは、一応黒ウサギを探して『あげてた』のよね?」

「そうだな。一応貴重な時間を『一日も』使って探してやったな」

「…………」

 

 

 耀が無言で白夜叉を引き剥がす。

 黒ウサギはそれに感謝を述べようと彼女たちの顔を見て……思わず血の気が引いた。

 

 

「まぁ理由は聞かないでおきましょう。聞いた所で……」

「『だから?』と返しますから」

「ひッ!? み、みみみ皆さん何でそうお怒りなのですか?!」

「ハハッ! 気にすんな黒ウサギ、一発ずつ許してくれりゃあ直ぐ終わる」

「気にしますからね?! って、いッ、きゃああああああああああああ────ッ!!?」

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 黒ウサギへの手短なお仕置きを終えた所で、彼女から事のあらましだけは聞く事にした十六夜たち。

 何でも、彼女はあの消失ショーの後、舞台裏でサーカスの団長に一日だけ玉乗り芸のアルバイトをしてみないかと誘われたらしい。

 そしてこの駄ウサギ、少々興味があったのと団長のどうしてもという懇願に引き受けたらしい。また、その旨に関しては団長から十六夜たちに伝えておくとの事だった様だが、状況から一目瞭然だ。

 

 

「ま、無事だっただけマシかしらね」

「たった今皆さんのせいで大事に成り掛けたのですが……」

「それは自業自得です」

 

 

 結果的に見れば言い返せない。シュンと黒ウサギは耳を萎れさせ落ち込んだ。

 

 

「……おい二人とも、まだゲームは終わってないんだ。さっさと主犯勢にもご登場願おうぜ」

「えっ? ゲ、ゲームって…………えっ?」

「────これはこれは、お客様を待たせしてもうてすんまへんなぁ」

 

 

 そう言い、舞台袖の方から一人の女性が現れる。やたら露出度の多い半ば水着とも取れる恰好をした彼女は、昨日の昼サーカス団を指揮っていた団長、その人であった。

 

 

「では、ゲームの本番はここから。その様子やとルールの確認は必要やないかもしれまへんが、他のお客様も居るので一応、────ルールはこの円形闘技場で五回試合での三勝以上! 形式は一対一のシングルで、両者のどちらか一方がこの舞台からリングアウト、もしくは戦闘不能にさせた側の勝利! その為の手段は問いまへん! ────良いどすな?」

「ああ。少しシンプル過ぎる気もするが、反ってそれ位が丁度良い」

「……えっ!? え!? 何時の間にそんな状況になっていたのですか?!」

 

 

 状況を掴めていなかった黒ウサギは狼狽する。だが一同説明も面倒なので彼女はスルー。

 

 

「そんじゃ、馬鹿な見物人どもを待たせんのも悪いし……そろそろ押っ始めるかっ。そっちのトップバッターは誰だ?」

 

 

 十六夜が団長へと問う。

 すると、彼女は含みのある笑みを浮かべ、

 

 

「ふふっ、うちらのトップバッターは……────この黒ウサギさんどす!」

「………………………………え?」

 

 

コミュニティ的に考えれば最悪。だが、十六夜たちにしてみればある意味最高の返答を返してくれた。

 

 

 

 

 

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