■■■■たちが異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】   作:白結雪羽

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あけましておめでとうございます。

新年早々こんな辺鄙な所を覗いてくれる方が居るかは分かりませんが、今年も宜しくお願いします。
相変わらず成長の無い物語性に文ですが、暇潰しと思い読んでいって下さい。




これにて終幕にございます

 

 

 

「貴女、お強いどすなぁ。ただの虚言で客を散らすだけでなく、見合う実力も持っとるとは…………先の口振りやと、私のギフト、最初から当たりは付けてたんか?」

「ええ……。私たちには扱い難くも心強いド外道が居ますから」

「ちょっと春日部さん。もしかしなくてもそれって私の事かしら? また電気ショックを受けてみる?」

 

 

 自覚はしているのだろう、飛鳥も口ではそう言うが否定はしなかった。耀も彼女は無視。

 

 

「……成る程、確かにお嬢はんの言う通りかもしれまへんな。彼女は敵には回しとうない」

「彼女と立ち合ったトラの()が気の毒で仕様が無いです」

「ほんまどすな。…………〝ノーネーム〟か、」

 

 

 不意に団長は一同を見て感慨深げに呟く。どこか諦観の気持ちを孕んだその表情は、今までを見据えている。

 

 

「アンタ達、名無しにしては骨のあるコミュニティやったな。私も久々に楽しませて貰ったどす」

「あの様な粗末な芸を褒めて頂けるなら、此方としても光栄ですね」

「ふふ、そう謙遜しなさんな。……もし、アンタ達が居ったなら……このサーカスも……────」

 

 

 それ以上の言葉を彼女から聞く事は無かった。

 最後に薄く微笑みを浮かべた彼女は、刹那に薔薇の花弁を散らして消滅してしまったのだ。長い最後の最後、粋な演出かもしれない。だが、その真意は……

 黒ウサギは呆然と舞い落ちる花弁を手に取り、三人は彼女の消失を同じ笑みを讃えて見送った。

 

 

「団長さん……」

「取り敢えず、ゲームはこれでクリア……って事で良いのかしら?」

「…………いや、どうやら最後の終幕劇が残ってるみたいだぜ」

 

 

 十六夜がそう言うや否や、突如天幕全体が震動しだした。

 そして、彼らの視界は見る見るうちにその姿を変貌していく。今や観客の一人たりとも居なくなり閑散としたテントが、まるで嘗ての昌盛の夢から覚めていく様に朽ちていっている。周囲はサーカスの残骸が散らばり、天幕も破けて骨組みが剥き出しになってしまっている。

 栄枯盛衰、昼間に見せていた華やかさなど此処にはもう存在しなかった。

 

 

「これは、一体……!」

「多分、これが本来の姿なんでしょうねぇ。今や見る影も無い、疾うの昔に滅びた魔王様の遺産……って所かしら?」

「えっ?! でしたら、〝トリックスター〟というコミュニティは……」

「見た感じ数十年前にはこの箱庭で滅んだんだな。だとすると、今までの体験は本当の夢か、それとも────第三者の差し金か、だな」

 

「アハハハハっ、せいカァ~い! トいう事でっ、まダ戦イは終わらせナイヨー♪」

 

 

 十六夜が舞台の空間へ語り掛ると、それに返答する者が現れた。何処かで聞いた事あるような……と言うより遂最近聞いたばかりの薄ら寒いお調子者の声音。

 三人は内心『(生きてたんだなぁ……)』と嘆息しつつ、直ぐ様それぞれの表情に戻る。

 

 

「ダンチョーに代わっテぇ~、このボクが君たチのオ相手しヨウじゃないかーっ!!」

 

 

 一行の視線の先には、薔薇や燐光やら背景やらを態々セットして登場するヴェルサイユ風の金髪美男子が居た。無駄に晴れやかな笑顔が無駄に輝いていて、耀と黒ウサギの背にゾクリと怖気が走る。

 

 

「み、皆さん……あの風変わりな方はお知り合いですか?」

「知らない要らない関わりたくもないです」

「うーん、知り合いって程でもないけれど……とっても愉しい玩具かしらね?」

「よし、燃やすか!」

 

 

 最後の一人だけ質問に答えてなかった。

 十六夜は右手に即席の焔を収束させて、お茶ら気貴公子へと全力射出する。威力は外でのモノには劣るが、盛大に舞台の一部を爆散させた。これは燃やしたとは言わない、寧ろ木っ端微塵にしている。

 

 

「ちょ、ちょぉ十六夜さん!? いくら何でも出会いがしらに殺ろうとするのは如何なものですよ?!」

「問題ねえよ。あの程度じゃ……ほら、」

 

 

 彼が指を指した先には、液状の物が地を宙を渦巻き、再び貴公子の姿を象っている。その現象は、正に外で十六夜と耀が蒸発させた筈のピエロのギフトそのものだ。つまり……、

 

 

「さっきブリね、道化師さん。また燃やされに来たのかしら?」

「アハハ、そんな訳ナイでしョ! 本当、君たチは野蛮なオ客様だネェ~、折角最後のフィナ~レをご用意してあゲの二っ♪」

 

 

 道化師がそう言うや、パチンッ! と指を鳴らす。すると、テント内部の全てが絵の具として幕の様に開き、その中から数えるのも億劫になりそうな数の人々が現れた。種族も装いも何もかも統一感のない。ただ共通する事は、彼らの瞳が一様に〝ノーネーム〟へと敵意を示している事だけ。

 

 

「あ…あの人たちはまさか……!」

「ソウ! ウサギさんのご想像通リ────サーカスに取り込まレた行方不明の皆様ダよォー!!

 

 

 にしては数が異常な気もするが、そんな事気にしてる場合ではない。

 相手が他のコミュニティの者たちとなると、下手に死なせてしまう事は頂けない。つまり、彼らを乗り越えて且つ、あの道化師を蹴散らさなければならないのだ。

 まぁ、問題児三人組がその程度の些事、取り合う筈も無いのだが……

 

 

「おい白夜叉喜べ! アンタの待ちに待ったフィナーレ(乱闘)だぞ! ちょいと面倒だから手伝え!」

「……おぉ、これはっ……私が煎餅を消化してる間に賑やかになってるの! うむ、任せておけ! 何ならこやつら全員を任されても良いぞ!」

「それは残念ながら却下だな!」

 

「アッハハハッ! いいヨいいネぇ……! 全員纏めテかかってオいで……────皆でワイワイ楽シんデ、最高の拍手喝采のフィナーレとイこうじゃないかぁ!!!」

 

 

 最終章は大乱闘。道化師は口許を喜悦満点に吊り上げて、開幕の宣言をした……、

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 萃とペストはいい加減に待ち草臥れていた。二人がサーカスに到着、フェルナと軽く事を交えてから彼是半刻になる。

 彼らの事だから時間はそう掛からないだろうとは思っているが、もしかすると面白可笑しく『遊んでる』のかもしれない。

 だとすれば、萃は躊躇無くこの天幕を粉砕して先ず問題児どもに拳を叩き込みに行く事だろう。「自分は待ち惚け喰らっておるのに貴様らはお気楽に遊芸かッ!」と哄笑を上げて来る事間違いない。

 

 二人は、稼動限界に達しかけ安座に落ち着いたフェルナを傍に天幕を見上げる。

 

 

「…………壊しましょう」

「いや……あと十分は待つ。それで尚出て来んなら……諸共潰す」

「野蛮ね」

 

 

 本気で潰し兼ねない雰囲気の魔王二名様。

 

 すると、待つと宣告してからもうじき十分と言う所で、天幕が盛大に爆ぜた。

 二人は直後こそ驚いたが、それも一瞬、漸くと言わんばかりに軽く地を蹴る。向かうは爆発の原因であろう天幕から飛んでくる少年だ。

 

 

「あ? って危ねエッ!!?」

 

 

 空中に躍り出た十六夜に萃の拳とペストの黒風が襲う。それを間一髪右手で受け止め、足で蹴り砕く。

 何とか死の間際を回避した十六夜は、着地するや二人を睨み付けた。

 

 

「…………オイ、行き成り奇襲とかどんな了見だ糞爺」

「「遅い」」

 

 

 了見はキッパリ一言で終わった。

 十六夜はそれだけで訳を理解したが、納得はしない。彼からしたら遅いとか早いとか知った事ではない、物凄く理不尽な応報だ。

 

 爆破された天幕は先に始まった大乱闘がまだ続いている。それも〝ノーネーム〟陣営が無双状態に入っている。

 周囲を覆いつくすだけの人々も、もう一割と立っている者は満たない。九割方の半数以上は十六夜と憂さ晴らしに精を出す白夜叉が片付けてしまっていた。

 

 

「萃様にペスト! 二人とも行らしてたのですか!?」

「おう黒ウサギ。あまりにも帰りが遅なんでな、態々ご足労運んでやったぞ」

「ていうか、随分暴れたようね……オマケに変なのも居るし」

 

 

 ペストの目線の先には、形の崩れてきた道化師(名を知らない)が幽鬼の如く立っていた。容姿が幾分か緩和しているとは言え、その様相は不気味以外の何者でもない。

 

 

「アハ、アハハハ……驚いタなぁ。年季は入ってテモ、かナり頑丈な天幕だったンだけどナァ……」

「冗談、こっちの斑ロリよりは紙も同然だったぜ」

「誰が斑ロリよですって? 殺すわよ」

 

 

 ペストの睨みを十六夜は軽く笑ってスルーした。

 

 天幕の中から次々と出てくる一行。気付けば残る相手は道化師只一人だけとなっている。

 道化師は纏めて潰そうと画策したか、とうとう身体の全てを液状に変え、瓦礫の山、サーカスの道具で攻撃を仕掛けてきた。

 だがそれは、十六夜と萃に真正面から粉砕される。

 

 

「ぬ……カカッ、そうか。お主らも奇怪な輩を相手にしてるだのう」

「中々愉快でしょ? 是非うちのペットとして迎え入れたい所だけど……」

「「断固拒否です/します!!」」

「……ね?」

「余程邪見にしてるのだな……。まあ良い。これ白夜王、お主も奴の抜け目を心得ておるならさっさと仕留めんかいっ」

「貴様に言われんでも分かっておるわッ」

「────そんじゃァ、春日部、白夜叉。イッチョこの町をぶっ壊すか」

「……はい」「大きく出たな! 合点したぞ!!」

「…………って! 何意気揚々とおっしゃてるんですかぁ!? そんなの駄目に決まってッ…………(あ、この面子だと止めてくれる人が一人も居ない?!)」

 

 

 黒ウサギの心中の叫びに同意。この場には自由奔放な魔王と非協力的な魔王(仮)に、問題児三人組。そして箱庭の三大問題児の一人とも言われる元・魔王……誰一人として彼女の味方になり得ない事が充分に理解できる。

 

 そんな彼らの蛮行を道化師は許す訳にはいかない。

 

 

「こらコらぁ、そんな事はさせナイよぉー! マナーの悪いお客サンは今直ぐ退場だッ!!」

 

 

 液状の刺突が一同を襲う。しかし……やはり相手が悪すぎる。

 

 

「これ、往生際が悪いとは演出者として如何なものかのう?」

「グッ……!?」

 

 

 萃が腕を横薙ぎに払い、殺到する絵の具を纏めて消し飛ばす。それでも本体が苦悶の様子だけで済んでいるのは、余程根を深く張り巡らせて補充しているからか……。

 だが、それも此処までだろう。

 

 

「んじゃ、行くぞピエロー。お客様からの賛辞代わりだ、有り難く受け取れ」

 

 

 刹那、十六夜と耀と白夜叉を中心に夜天を光芒が貫いた。その光芒は一点には収まらず、幾本にも分岐して、圧倒的熱と轟風を伴い町を飲み込んでいく。

 これは身内を巻き込みかねない威力である。だが、それは萃とペストが障壁モドキを展開する事で耐え凌いでいた。

 

 やがて目も開けていられない程の閃光が治まると、周りの風景はその様を大きく変えていた。

 そこは、テントの内部が華やかなモノから廃墟に変わっていった様に、見渡す限りの廃墟の群れ。所謂ゴーストタウンの状態だ。

 

 

虚栄(ヴァニタス)

 

 旧約聖書コヘレットに記載される『虚無』を示す〝空の空(ヴァニタス)空の空(ヴァトゥーム)一切は空である(オムにアヴァニタス)〟という一節に基づき伝えられた絵画様式の事だ。

 十六夜の推察では、その作品群が悪魔として箱庭に招かれ、枯れてしまった昌盛(トリックスター)に居憑き、ゴーストタウンの繁栄を演出していた。

 夜間にテントの明かりに集まる人が居なかった事や、先の騒ぎでも人っ子一人現れなかった。証明するには事足りる。

 

 だが、何故その様なことを?

 考えられる事は……一つ。唯一この場で仮初でない『彼女』が頼んだのだろう。

 姿は仮初、でもその心は紛い物ではない。

 只々、純粋愚直な『彼女』の願いを聞きつけ、あの道化は踊り、踊らせ、踊らされていたのか……。

 

 真実は分からない。それを語れる者は此処には居ないのだから。

 

 

 

 

 

 ────斯くして、〝ノーネーム〟と『彼女の願い』が織り成した演劇はこれにて幕引きとなったのだった。

 

 

 

 

 




章ごとの終盤って上手い収拾がつかなくなるから困ります……
まぁ、単に実力が伴わないだけですけどね

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