■■■■たちが異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】   作:白結雪羽

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三巻突入。だけど久しぶり過ぎて何処にどう手を付けて良いのか非常に混乱中。



アンダーウッド

 

 

 

 

『あーあーこりゃまた……クハハハッ、守矢の祭神も気分屋に過ぎるんじゃねえか?』

 

『所詮神様なんてその程度の存在でしょ? この例は初めて見るけど、結局神様にとって人間は玩具でしかないわ』

 

『中々に傲慢だな、本当。そして哀れだ。信仰と恩恵の相互関係があるにしろ、両者が対等になるには後者のインフレが酷いのなんの』

 

『ま、良いじゃない。どれもこれも私達には関係ない事よ。────それよりも、』

 

『…………』

 

『ふ~ん? ……フフッ、良い感じに壊れてるわね、この子。私好みだわァ~』

 

『…………で? どうするよコレ。このまま戴いとくか? それとも……放ってみるか?』

 

『そうねェー。私達の力もそろそろ段階を上げたい所だし…………フフ、放ってみましょうか。きっと良い具合に仕事をこなしてくれると思うわァ』

 

『ま、期待外れだったら……それまでだな』

 

『私が見込んだんだもの、そんな結果を残す筈ないじゃない。……それじゃあ、ちゃんと頑張って壊して(絶望させて)きてよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────守矢の風祝さん♪』

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 ────翌日。

 

 居残り組みの飛鳥とレティシアは、今丁度前夜祭先行組みを見送ったところである。その際、黒ウサギとレティシアがシンミリとした雰囲気でお互いを励ましあっていたりもしたが、それはご愛嬌。これからのお互いの抱えるであろう苦労を労っての事であった。当然、小声のやり取りをしっかりと聞き逃さなかった三人は、内心良からぬ思惑を抱いていた事は察するに易い。特に十六夜と飛鳥に至っては目に見えて薄っすらと笑っており、隣で見ていたジンと耀は同情の念を隠せないでいた。

 因みにだが、その場に萃とペストの姿は見えない。と言うのも、ジン達には既に伝えて先にアンダーウッドへと赴いてしまったからである。何とも勝手な魔王様だが、待っているとは言っていたので直ぐに合流は出来るだろう。曲がりなりにも彼らは〝ノーネーム〟に在籍している。それ位は身を弁えられる……筈だ。

 

 

 さて、一行が見えなくなるまで手を振り見送った飛鳥とレティシアだが、正直手持ち無沙汰である。廃墟区の片付けも昨日中に終わらせてしまい、精々やる事と言えば子供達の手伝いくらい。農園区の作業やら本拠の掃除やら。食事に関してはリリの指示も仰ぎローテーションは決まっているが、それにしても暇である。時間が余って仕方ない。この前見たくボードゲームなりでその時間を埋めてもいいのだが、直ぐに飽きることは間違いない。

 此処にきて当初より懸念していた件が浮上してきた二人は、視線を交えてどうするかと考える。

 

 

「とは言ってもねぇ……農園区はメルンと年中の子達で間に合ってるし、本拠の方も子供達で間に合ってる。……これじゃ本当にただの留守番ね」 

「ま、元々分かりきっていた事を今更言っていても仕方ない。……どうする?」

「ハァ……取り敢えずは朝食にしましょう。レティシア遊びも午後の予定もそれからね」

「……余程過激な物でなければ付き合うよ。この際、だからな」

「そう」

 

 

 何ともテンションが低い二人。レティシアは主に飛鳥のせい、飛鳥は言い出しっぺの自分のせいで。

 兎にも角にも、まずは朝食を取るために食堂へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 一方、本拠を出発したジン達一行は、二一〇五三八〇外門にある噴水広場前の境界門に到着した。境界門は定時制の自動開門式なので、時間がくるまでは暫く待機しなければならない。また、本来この門を潜るには〝サウザンドアイズ〟発行の貨幣、金貨一枚が必要になってくるのだが、今の〝ノーネーム〟は通行料を定める立場の〝地域支配者〟であるため、通行料を払わずとも良い事になっている。

 暫く待機していると、門前に列が出来始めた。そろそろ開く頃なのだろう。

 

 ふと、耀は境界門端の柱に彫られている虎の彫像を目にした。二ヶ月前、飛鳥がギフトゲームに勝利した際解体されたコミュニティ〝フォレス・ガロ〟が〝地域支配者〟だった頃の名残である。

 

 

「……そう言えば、私達にはここに飾る物がありませんでしたね。〝地域支配者〟になった身の上、近々何かしら据え置きたい所です」

「そうですね……。でもまぁ、それはもう少しコミュニティの備蓄に余裕が出来てからにした方が宜しいかと思います」

「ま、調子は悪くねえんだ。近々実現は出来るんじゃないか……。手始めはそうだな……御チビと黒ウサギの等身大像でも彫っとくか?」

「「それは止めて下さい!?」」

 

 

 興味なさ気に言う十六夜であったが、想像してみると案外愉快な光景だなーと笑いを噛み殺した。しかしまぁ黒ウサギとジンからしてみれば、それは恥かしい事この上ない。冗談である事を願うのばかりだ。

 

 

「彫像だけでは少し寂しいですね……でもやり過ぎるのも…………ん。ここは無難に肖像画までで考えてみましょう」

「無難も何も却下ですよ!?」

「商業的に考えんなら、御チビは……まぁマニア向けとして、黒ウサギはグッズをバラ売りしたらそこそこの収入は見込めるんじゃね? 北の時も知名度は異常だったしな」

「そうですね……では、そちらの方面も」

「考えなくて宜しいです! これ以上話を広げないで下さい!?」

 

 

 スパアアアアンッ!! とハリセン一閃。久々にキレのあるハリセン捌きを見せる黒ウサギであった。

 

 と、そんなこんな話し込んだり、黒ウサギから当地での挨拶回りについての話を聞いているうちに、どうやら境界門の起動時間になったようだ。一行は〝地域支配者〟として通常の列とは別に門の直ぐ脇に付いた。

 各々の手には小さなナンバープレートが握られており、そこに記されている番号の外門へ、通行者は送られる仕組みになっているようだ。こうして聞いてみると、中々に便利なギフトなんだなとつくづく思われる。

 

 そして、準備が完全に整い、満たす光が最高潮に達した所で、一同はその中へと足を踏み入れた────その次の瞬間に、

 

 

「「っ…………!」」

 

 

唐突に十六夜と耀の頬を水気を含みヒンヤリと冷たい風が撫でる。そして、目の前に広がる圧倒的大自然の景観に思わず言葉を忘れ感動を、興奮を覚えるのであった。

 

 まず二人の目を惹いたのは、遠めにでもその尋常じゃない存在感を放つ巨大な水樹。目測でも、最低三百メートルはくだらない程の高さを誇っている。現実でどれ程高齢に力強く育った樹木でも、ここまで規格外な物は存在しないだろう。そして、そこから視線を巡らせてみれば、大樹の地上部、根の張る地下部には広大な都市が見て取れる。さらに視線を下げれば、水樹から溢れる厖大な水が、宛ら大瀑布の如く流れ出ており、そのまた下には水路がめぐらされた都市がまだまだ見て取れる。

 何にしても南側への二人の印象は、それはもう申し分ない物である。十六夜に至っては久しぶりに自身の快楽を満たせそうな舞台へ招待されたのだから、今にも勝手に飛び出して行ってしまいそうである。と言うより、耀が捕まえてなければ勝手に飛び出していたこと間違いない。

 

 

「こりゃあ……最高だわ。北側とは何もかもが真逆ってのが特に評価高いぜおいっ」

「はい……! ……ただ、少し飛鳥さんには申し訳ないですね。この様な素晴らしい景色を先に堪能させてもらって」

「ほっとけほっとけ。あの耳年増が一緒じゃ盛り上がるもんも盛り上がらねえっての」

「随分な言いようですね……(否定はしませんけど)」

 

 

 僅かに苦笑を見せる耀。きっと飛鳥が知ったらそれはもう良い笑顔で……と、そこまで考えて何故か悪寒が奔った為思考を中断。改めて、アンダーウッドの景観を下から上まで見渡していく。

 その際ふと、青天の大空を十数羽の群れをなして飛ぶ幻獣を見つけた。遠目で普通なら詳細は分かり難かっただろうが、耀は問題なく其の姿を収めている。

 

 

(あれは……確かペリュドンでしたっけ?)

 

 

 鹿の角を持つ特異な鳥。故に正体を掴むのに苦労はしなかった耀。だが、その詳細故にやや危険な香りも感じ取る。

 と言うのもペリュドンは伝説の大陸・アトランティスに生息していたといわれる幻獣で、その昔から先天的に預かる呪いを解呪しようとするために、人を殺すと言われているのだ。食人種ならぬ謂わば殺人種という姿共々変わった鳥なのだ。

 だがまぁ、耀にとっても十六夜にとっても然程危険は感じられない物である。精々懸念するとしてはジンのような力を持たぬ者が襲われないかと言う事だけ。そこは同士である自分達が気に掛けておけばいいだろうと結論付けた。

 

 すると丁度その時、

 

 

『久しいな耀、それに少年も。ようこそ我が故郷へ』

「……?」

「ん? お、何か懐かしい奴が来たな」

 

 

 ふと言葉通りに久しぶりに思える声が耀達に掛けられた。思考のため下げていた視線を再び上げてみると、そこには、彼らが始めて〝サウザンドアイズ〟を訪れた際、耀がギフトゲームで世話になったグリフォンが旋風を巻きながら降り立ってきた。

 彼女としては今も彼のギフトは常日頃の助けとなっているので覚えてはいたが、まさか此処で会うとも思っていなかったのだろう。少しだが、目を丸くした。

 

 

「……本当に、お久しぶりですね。此処は、貴方の故郷だったんですね」

『あぁ。今回は収穫祭で開かれるバザーに〝サウザンドアイズ〟も参加する関係でな。私も戦車(チャリオット)を引いて護衛としてやってきたのだ』

 

 

 という事はあれか、と耀はある推測を立て、会話の内容を十六夜に軽く伝えると彼が変わりにその旨を口にした。

 

 

「ふーん? ……ってことは、あれか。白夜叉の奴も当然の如く来るって事だな。ハハッ、今回も飽きないで済みそうだ……って言うか、また一波乱起こったりしてな」

 

 

 彼女の事だから間違いなくやってくるのだろう。そして黒ウサギの気苦労はさらに加速する事になるのだろう。

 この後、黒ウサギとジンとも再会の挨拶を交わした。そしてその際、耀と黒ウサギ以外のお互いの自己紹介をしたりして(グリフォンの彼はグリーと言うらしい。決して何処かのソーシャルゲームの名称ではない)、アンダーウッドの街までの案内を頼む事となった。グリーは以前とは違い背中に立派な鋼鞍と手綱が付いているので、ジンと黒ウサギはそこに乗せてもらう事に。耀は自力で飛べるためいいとして、一同が意表を突かれたのは十六夜が「俺も自力で行くわ」と言い出た事だった。耀も、少々意外そうに彼を見つめ、

 

 

「……意地を張らなくても良いんですよ?」

 

 

とフォローした。

 無論彼は意地を張っている訳ではなく、そもそもここで意地を張る意味が分からない。

 十六夜は耀とグリーに先に言っててくれと告げると、調子を確かめるかのように爪先で地面をならし始める。

 不安そうに彼を見る黒ウサギ達だが、いいから行けと最後にそう言われてしまったので、先に丘陵から飛び立っていった。流石は空を踏みしめて走ると称されるグリフォン。見る見る内にその後ろ姿が遠のいていく。そして耀もその隣で苦も無く旋風を巻いて離れていく。

 

 

「さってと。チョイと初めてになるが、まぁ行けるだろう……な」

 

 

 刹那、十六夜の足にほんの一瞬だけ黒い靄のような光の粒が収束したのが見えた気がした。だが、瞬き一つ終えた時にはもうそこに異変は見られない。

 彼は再度両足の爪先を鳴らし、足首を回し────

 

 

「チンタラしてっと追い抜いちまうぜ?」

 

 

ニヤリと胸中の高揚感に口許を吊り上げながら、地面に僅かに割って空中へと躍り出た。そして、勢いが弱まり自由落下を始めた所で……()()()()()()()のだった。

 

 

 

 

 




十六夜に出来る事が増えた。この後一体何個増えるのか……
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