■■■■たちが異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】   作:白結雪羽

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場面が変わるとその分タイトルも悩み所。



喧嘩する程仲が良い?

 

 

「…………ったく、爺共が。騒がしいったらねえな……」

 

 

 そう悪態を吐く十六夜だが、彼は一時ジン達から離れて一足先に大樹の地表部部へと足を運んでいた。その後ろ手では、一応都市部への被害を出さないように遥か上空で壮烈な鬼ごっこを繰り広げる現・魔王と元・魔王が居る。だが如何せん規模が折り紙付きで、その内注意勧告が入りそうであった。

 

 

(ま、あの爺もギフトで意識は散らしてるみたいだし……変な騒ぎにはならねえか。騒ぐのは大いに結構だが、アイツの修羅場なんぞ面白味の欠片もねえっての……)

 

 

 上空から視線を戻し、十六夜は道中の露店で買った焼きチーズを片手に持ちながら大樹の幹へと視線を戻した。その麓から、捉えきれない天辺の方まで視線を巡らす。別段水樹と言う物に事細かな興味が向いた訳ではないのだが、彼のギフトの性質上大自然の産物は少しでも()()()()()()()()()()()()()()。ジン達から独断で別れたのも、先に大樹を間近で見ておこうと思ったからだ。先にこなせる事はこなしておかないと、意外と機会を失ってしまう物である。とは言え彼は凡そ一ヶ月に亘る収穫祭をフルで参加できるためその様な懸念は杞憂にも等しいのだが……。

 

 少し経って、見て取れる範囲は大雑把に眺め、大樹の生の胎動も樹皮越し感じ終わった十六夜は、一先ず息を吐く。そして、一旦口煩い小言を用意しているだろう黒ウサギ達の元へ戻るか、それともまだ大樹の外郭を回っていくかと検討する。が、

 

 

「あっ、十六夜さん! もうっ、単独行動はあれ程控えて下さいと昨日も今朝も口酸っぱく言いましたよね!? 初めて訪れる場所なのですから、逸れてしまっては見付け出すのも一苦労なのですよ!!」

「あー……はいはい、そりゃ悪かったよ。……で、この面子で此処に居るって事は……今から招待主の所に挨拶に向うのか?」

「Yes。この先から大樹の中程にある受付に向かっている所です」

 

 

 「ふーん」と、今さっき眺めたばかりの大樹を見上げる。中程となると……地表から見て大分距離があった。

 

 

「…………ところで、ジャックさん。この大樹は全長でどれ位あるのですか……?」

「ヤホホ。私も詳しくは存じませんが、聞けば地表から天辺まで500メートル近くにも及ぶそうですヨ」

「………………でしたら、その、飛びません? 幸い黒ウサギさんとジンさんは私と十六夜さんでどうに出来ますし……」

「まぁまぁそう仰らず。この先にはエレベーターが在りますから、登るには然程時間は掛けませよ?」

 

 

 エレベーターと首を傾げる。黒ウサギとジン、アーシャも初耳だったのか同じく疑問符を浮かべる。ただ一人、十六夜だけは遠目に見てたので特に反応は示さなかった。まぁ彼としてはそっちの方が単純に飛んで行くよりも楽なので異論は無い。

 それで、件のエレベーターに辿り着いたのだが、その動力原理は至って単純。それでいてそこそこ関心を引く物だった。

 言ってしまえば一昔前風に、人が入る箱に滑車、そして水樹の水を用いて引き上げていくと言う原子的な物である。ある種の感動を覚えている物の数分の内で、二百メートルオーバーを移動できる程には早い物だった。

 

 そこから、大樹の中腹までやってきた一行は木造の通路を行き、受付までやって来る。その途中に、収穫祭コミュニティの物と思われる七枚の旗印を見かけたのだが、どうやらそれは一つ一つのコミュニティが開催しているのではなく、六つのコミュニティが連盟を組んで一つの旗印を一つ掲げているらしい。中央に見える〝龍角を持つ鷲獅子(ドラコ・グライフ)〟の連盟旗がその証であるそうな。

 因みに、他の六つのコミュニティは、

 

 

『一本角』『二翼』『三本の尾』『四本足』『五爪』『六本傷』

 

 

と言うらしい。六本傷に関しては、十六夜と耀も東側の街の噴水広場に店を構えていた事もあり理解した。

 あと、黒ウサギ曰くこの連盟とやらは、どうにも魔王に対抗するために組織される事が一番らしい。現に、南側は十年前に魔王の襲撃を許してしまい、大きな被害を受けている。きっとその際にこの連盟は組まれたのだろう。

 

 

「しっかし、六つのコミュニティの首魁に加えて〝龍角を持つ鷲獅子〟の首魁が就いて七人。結局は全員がコミュニティを抱える何某だからな、巧く七人目が統率執ってかねえと内輪揉めで最悪瓦解しかねないぞ」

「そ、それは……彼らの御旗に誓った志を信じるしかないのですが……」

 

 

 何とも身も蓋も無い十六夜の言葉に黒ウサギも返答に困ってしまう。まぁ、まだ魔王襲撃を経ての結束から十年しか経っていないのだ。こんな短い期間で仲違いをする馬鹿も居る訳ないかと、妙にフラグ染みた思考を残して十六夜は微かに笑った。実に楽しそうである。

 

 と、そんな事を話している内にジンとジャックが受付に入場届けを出していた。あと、その時に受付をしている木霊の少女に礼を述べられた。一体どうしてかと思う一同だったが、少女曰く北の都市で魔王の襲撃があった時、そこには彼女達のコミュニティの同士も居たそうで、〝ノーネーム〟の奮闘あって無事に全員帰ってこれたから、だそうだ。

 耀はふと、〝造物主の決闘〟のステージ決めをする時に、その元を提供してくれた木霊の少年を思い出した。恐らく彼は彼女達の同士の一人だったのだろう。箱庭でも、世は案外狭い物だと思うのだった。

 

 そんな感じで礼を受けた訳だが、ジンはその最中に聞こえた〝サラ=ドルトレイク〟という名に反応した。そしてそれは、十六夜、耀、黒ウサギも同様に。

 

 

「ドルトレイク? って、あれか。〝サラマンドラ〟の頭首様もそんなファミリーネームだったか?」

「え、えぇ。サンドラの姉で、長女のサラ様です。でも、まさか南側に来ていたなんて……」

「そうだな。その節はサンドラが世話になったよ、ジン=ラッセル殿」

「「ん……?」」

 

 

 急に入ってきた聞き慣れない女性の声。

 一同が後ろを振り返ってみると、そこには、サンドラと同じ燃えるような赤髪を展開する炎熱が放つ熱風で靡かせ、踊り子の様に露出度の高い民族衣装モドキを纏った壮齢の女性・サラ=ドルトレイクが空より舞い降りてきていた。

 

 

((あ、黒ウサギと同じタイプか……))

 

 

 そんな彼女(の外見だけ)を見て、黒ウサギと同じ評価を下す失礼な十六夜と耀。まぁ、サラにツッコミなる属性が付いていれば、その挑発的な肢体や恰好など共通点は意外と多い。全然! とは否定できなかった。

 

 そうして、サラ本人は問題児二人の評価を知る由も無く、立ち話もなんだと一行を大樹内の貴賓室へと招いた。

 それと序だが、あの木霊の少女の名はキリノと言うらしかった。

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

「「ふぅ……」」

 

 

 〝ノーネーム〟本拠の屋根上。飛鳥とレティシアの二人は、澄み渡る青空の下優雅にティータイムと嗜んでいた。理由は、言うまでもないがただ暇だったからである。以前にも言ったが、コミュニティの仕事は殆どが子供達で間に合っている。一度やる事の無ささに、もしも自分が使用人の立場にあったならなー、なんて事を想定し役割表をレティシアは作っていたりしたのだが、何時の間にかそれが子供達に流布されていたようで、ますます彼女の入り込む余地は少なくなってしまっていた。勿論、流布したのはレティシアの仕事大好きを気紛れ矯正を図っていた飛鳥の仕業である。

 

 

「…………駄目ね。暇だわ。すっごく暇だわ」

「言うな」

 

 

 飛鳥の嘆きはレティシア以外に届く筈も無く、一言で両断された。斯く言うレティシアも、少し要らない子の気持ち……若干の自己嫌悪を抱えていたりする。

 この調子で二人は、一週間やっていけるのだろうか。……まず無理だと思われる。もう二日目辺りで近辺のギフトゲームを荒らし回ってしまうのではないだろうか……。まぁレティシアが居る限りは有り得ないが。

 

 

「…………なぁ飛鳥。君の弱味でも教えてくれないか?」

「包み隠さず言う辺り、貴女ってもうお終いね。それと返事はNOよ。誰が好き好んで他人に弱味を握らせると思う?」

「どうせ胸の内に隠そうとも筒抜けなのだ。なら普通に聞いた方がいいだろう? ……良いではないか、弱味の一つや二つ。お互いにフェアになるだろう?」

「弱味で公平になる関係なんて末期も良いところだわ」

 

 

 話が可笑しな方向に進んでいる。だがまぁ、レティシアのお陰で話の発展の余地は見えた。当然弱味など飛鳥が教える訳無いが、ある程度の質疑応答なら受け付けると了承する。それならば別に聞かれても困る様な事はないとの考えだ。それに、飛鳥自身もレティシアに隙あらば問いを投げる気満々である。

 

 

「む、そうか。なら…………君の元居た世界、故郷での生活について聞いても良いかな?」

「…………昨日十六夜君と春日部さんにも似たよう事聞いたのね。それで、結局分からず仕舞いだったから私で代案を打つと」

「やはり飛鳥は、こういう時こそ話が早くて助かる。ならば、昨日二人に問うた質問にも答えてくれないか?」

 

 

 レティシアのくせに何と図々しい、飛鳥は思う。

 しかし、ここで同じように十六夜や耀と同様はぐらかしてしまえば、また暇暇唸る時間に逆戻りしてしまう。それだけは今の所勘弁願いたかった。念のためにボードゲーム等遊戯具はギフトゲームに収めてきたが、気乗りはしないだ。

 

 

「まったく……昨日の問いに関しては私も同じ事を返すわ。私達は二ヶ月前始めて出会って偶々目と目が合った瞬間シンパシーを感じた。それだけよ」

「ま、今はそれでもいいさ」

「……()()が、少し生意気じゃない?」

「ほう? 歳で言えば、君は遥かに青臭いも良いところだが? ま、私は然して気にする程の性分でもない。……それでも、少しは口の聞き方に気を付けろよ()()?」

 

 

 刹那、お互いの首元に二つの閃きが奔る。飛鳥の所持する退魔の十字剣と、レティシアの持つ自称三流紛いの大剣だ。

 二人はそれぞれの首元に刃を突き付け暫く沈黙する。だが直ぐに、呆れた風に瞳を閉じると一瞬でギフトカードへと収納した。酷く洗練された動き、出来れば戦場で発揮して欲しい物だ。それと、本当に二人は仲が良いのか悪いのか、果てし無く疑問に思えてくる。だが、今のを冗談と同然に受け止められる程には、仲が宜しいのだろう。

 

 こんな感じで、朝の二人の時間は経過している。

 

 

 

 

 




飛鳥とレティシアのやり取りは、書いていて楽しいんですが……危なっかしい。自分で書いておきながら。
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