■■■■たちが異世界から来るそうですよ?【削除&改訂予定】   作:白結雪羽

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遅れながら、明けましておめでとうございます
最近月毎なんて調子が続いてますが、これからもお願いします



幕間─策動─

 

 

 

 

 

 

 地上で着々とゲーム攻略への準備が進められるのと時を同じくし古城の城下町にて。建ち並ぶ廃屋の一つ屋根の上に在る尖塔に耀は立ち、辺りに警戒を敷いていた。

 昨晩はガロロやキリノを唖然とさせる手法で目に付く敵を屠っていった彼女だが、完全に油断は出来ないと見張りを買って出たのだ。その為下の廃墟内で休息を取っているだろう子供達に対し、彼女は一睡もしていない。その前に彼女も丸一日ベッドの上に居たので然して苦とも思っていないようだが。一度下から休むように言われていたがそれも断った彼女だった。

 

 

(……寒い。少し、見栄を張りすぎましたね……)

 

 

 夜が明けて2,3時間といった所。遥か上空に位置する城下町は冬季の寒さんに包まれていると言っても過言ではなかった。

 ただでさえ薄着な耀に強めの風が吹き付ける。吐息が白いなんて分からないくらいの微風とはとても言えない風だった。上空なのだからなんら不思議では無いのだが。

 

 

「おーい耀!! いい加減降りて来いってーーっ!!」

 

 

 意識を城の方へ向けていると、地上から耀を呼ぶ声が聞こえてきた。そちらへ視線を向けてみると、そこには〝ウィル・オ・ウィスプ〟のメンバーの一人、アーシャが手に質素な食べ物を手にしながら立っていた。

 耀と彼女は昨晩化け物を掃討した直ぐ後に出会っており、話を聞くに攫われる子供達を追ってジャックと共に此処まで来たらしい。因みに見張りの交代を申し出たのはジャックである。

 

 吐息を蕾にした手に当てていた耀だったが、声を張るアーシャ……ではなく、その手に握られる非常食と見られる物を見た途端即座に尖塔を蹴り、アーシャの元へ降り立った。危うく彼女を踏みかけたが気にせず、その視線は彼女の手に釘付けだった。

 

 

「あ、あっぶないなおい!? いきなり降りてくるなよ!!」

「降りて来いと言ったのはアーシャさんですが何か?」

「確信犯か? 絶対確信犯だろ?!」

 

 

 何故かわざとらしく辛辣な当たりをする耀。その視線は依然とアーシャの手に向いたまま。

 流石にアーシャもそれに気が付いたのか、耀の視線を追い、丁度その時誰かの腹の虫がグゥゥとなった。そこで漸く理解した彼女は、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべ────

 

 

「……分かってましたけど、味は栄養食って感じですね」

「ってちょっと待て! なに人のもの勝手に食べてって言うか何時盗った?!」

 

 

 気付いた時には耀の口が咀嚼に動き終わり喉を鳴らし終わったところだった。余程空腹だったらしい。

 そしてその味に評を下しつつお返しとばかりにアーシャの頬へと手を宛がった。

 

 

「冷たっ!!?」

「こんな寒い中外に居れば当然です。それはそうとアーシャさん……見張り役、代わってくれませんか? 敵の気配は全く感じないですけど」

「私に同じ目に遭えってか?! あと敵が居ないって分かってるならさっさと入ってくれば良かっただろうが!!」

「…………それじゃあアーシャさん。見張りを頼みますね」

「イヤだよッ!!」

 

 

 無表情ながらアーシャを弄る耀の顔はどこか楽しそうであった。

 

 

 隙間風が多く廃墟の中は決して暖を取るに適しているとは言い難かった。とは言え、外で上空の寒気に当てられ続けるに比べればマシである事は確かだった。

 中ではガロロにジャック、子供達が熾した火を囲みつつ各々アーシャが手にしていた物と同ような食べ物を手に暖を取っていた。キリノが硝子細工の鍋で簡易的なスープを作りもしており、耀は改めて自分の執った選択を若干後悔した。

 

 ガロロが戻ってきた耀とアーシャに気が付く。

 

 

「おぉ耀お嬢ちゃん。いよいよ空腹に耐えかねて戻ってきたか?」

「……はい。少し、気を張りすぎたようです。寒さに空腹と、あと少しで本末転倒になるところだったかもしれません……」

「ヤホホ……まったく、春日部嬢もつれないですね。申し出てくれればこのカボチャが、何時でも見張り番を任されたというのに」

「……要反省ですね。次の機会があれば任せるかもしれません……」

 

 

 ジャックに頭を下げつつ、水と火を通した乾肉を口へと運ぶ。やはりお世辞にも美味しいとは言えず、一瞬本拠や前夜祭での出展物の味が恋しくなった耀だが、贅沢は言っていられない。途中キリノが注いでくれたスープを喉に通し、身体に染みるありがたみのある暖かさを感じるのだった。

 

 一同が一通り食事を済ませたと見れた頃。ガロロが耀に、ジャックとアーシャ、そしてキリノを一ヶ所に呼び集めた。どうやら今後の方針を話し合うようだ。

 

 

「さて、今後の方針だが……先ずは意見を募りたい。誰か案はあるか?」

「案と言うなら、三つほどありますね。……一つ目は、此処に身を潜めて地上からの救援を待つ、です。二つ目は、私とジャックさんでガロロさんや子供達を少しずつ地上に送る。ただこれは、万が一の事態も考えて私かジャックさんがこの場に残る必要があります」

 

 

 そこまで言いながらピンと二本指を立てた耀は一旦言葉を切り、チラリと子供達を一瞥し「そして三つ目は――――」と口を開いた。

 

 

「――――全員で此処に残り且つゲームの謎解きに挑む、です。個人的にはこれをお勧めします」

「……ほう?」

 

 

 ガロロの真剣な眼差しが耀を射抜く。

 彼女の提案の内、前者二つはどちらも保守的なもの。言葉通り子供達の安全を第一に考えるなら当然優先すべき案だ。だが、彼女はその二つではなく真逆のゲーム攻略に勤しむ案を推すと言うのだ。

 ガロロはその真意を問うた。

 

 

「残って戦うべき、か。そりゃまた何でだ?」

「……昨日、ジャックさんが話してくれましたよね、私達は『ゲームマスターとの交戦につきペナルティを直に負う』と。その原因は今はいいとして、それはつまり、私達はどう足掻こうと十日後……実質あと九日で死ぬのが確定しているという事です。なら、審議決議により多少の安全を約束された非戦闘期間である今、ゲーム攻略の鍵が隠されている可能性の高いこの城を探索する方が賢明ではありませんか? まして、この城で行動できるのは私達だけです」

 

 

 そう言ってまた耀は、今度は一瞬ではなくハッキリとキリノへと、子供達へと視線を向けた。その所作に彼女の真意を悟ったガロロはまさか……! と思い声を荒げた。

 

 

「ちょ、ちょっと待て! まさか耀お嬢ちゃんは子供達にも戦わせるつもりなのか!?」

「? そんな気はありませんよ。でも、私の索敵可能範囲で城内や廃墟の探索をして貰おうとは思ってます。ジャックさんにアーシャさんにも警戒はしてもらうつもりですし、その方が効率は良いですよね?」

 

 

 ガロロの心配は杞憂だったようだ。

 耀の案は要するに、危険は自身やジャックが全力で請け負うから子供達は安心してゲーム攻略の鍵を探してくれと言う事だ。これに子供達も、キリノを代表して故郷の為に協力を惜しまないと意を決してくれた。彼らが決心してしまった以上、ガロロもこの方針を無下には扱えない。

 確固たる意思を宿した数ある双眸を前に、彼は暫し瞑想。そして、息を吐きながら瞳を開くと懐から漆黒の羊皮紙を取り出し示した。

 

 

「……おし、分かった。若い連中がそこまで言うからにゃ俺も腹を括ろう。だが具体的にどうする? 無闇に探索するんじゃ骨折り損だ。もし耀お嬢ちゃんが無策だってんなら許可は出せないぜ」

「それに関しては……一応私なりに勝利条件の解答が出ているので問題はないです。ただ確証を得るには少し情報が「か、春日部嬢は謎が解けたのですか?!」――――」

 

 

 最後まで続けられず、驚いた様子のジャックに言葉を遮られてしまった。しかし無理もないだろう。何せ耀は『ゲームの謎が解けた』と言ったも同然なのだから。本人はましも間違えていた場合の保険を掛けようとしたが、聞こえてなかったのだろうか。アーシャ達は思わず仰け反る耀へ続け様に問い詰めてきた。

 

 

「……あくまで仮定的な解ですよ? 辻褄は合わせたつもりですけど……」

「マジかよ?! スゲーじゃん!!」

「ああ、大したもんだ! 休戦した初日から謎が解けたってんなら、勝ちの目も十分に見えてくる!」

「耀さん、凄いです!」

 

 

 正直なところ、今すぐ一人外の見張り番に戻りたい気分になる耀。彼女にとって一同から送られる期待の視線は、少々重荷に過ぎる物であり……()()だった。

 でも、それは決して表に出そうとはせず、彼女は苦笑の意を籠めた溜め息を吐いた。因みに、彼女がゲームの解答(仮)に行き着いたのは見張り番の時暇潰しにと考えていたものである。

 

 

「……それじゃあ、説明する前に答え合わせの為にも幾つか聞かせてくれませんか?」

「おおう、いくらでも聞いてくれ!」

「ヤホホ、協力は惜しみませんよ!」

 

 

 身を乗り出してくる彼らに気持ちが折れそうな耀だった。

 

 こうして、彼らは耀の導き出した解を基に各々が持ち得る情報を交わしていく。そして、その過程で耀は知ることとなる。吸血鬼という嘗て繁栄を極めた一族の歴史を。そして――――

 

 

 

 

 

――――彼らを残さず鏖殺せし最強の吸血姫。〝串刺しの魔王〟レティシア=ドラクレアの罪に濡れた秘話を。

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 アンダーウッドの地下は都市からも窺える通り巨大な根を存分に活かした造りとなっている。その中には根を通う水のための水門も設けられており、微かに吹く風が人々に清涼感を体感させる。また、数多くの樹霊や水精が群棲してもいて、霊格が小さいながらもそれ故に淡く明滅を繰り返す彼らは空間に彩を添えてくれている。それらを総合し、改めてアンダーウッドは自然豊かに美しい場所と言え、そんな清涼感や淑やかな景観を纏めて望める主賓室は正に最高の場所と言えるだろう。

 

 キャロロの案内の下、最高主賓室に通された〝ノーネーム〟一行は、当然ながら視界に広がる以上の光景に純粋な感動を覚えていた。

 そして今、その中で彼らは────

 

 

「「…………ふぅ」」

 

 

────思い思いにくつろいでいた。

 もう少し正確に言うなら、片や本を手にソファに座る飛鳥と片や窓際に座る十六夜だけが思い思いにくつろいでいた。その姿は宛ら、全ての事を完遂した者の脱力する様。実際は始まったばかりも同然だが、二人のくつろぎ様は数時間前の抗争などなかったかの様に穏やかである。

 

 

「『ふぅ』ってなぁに暢気にくつろいでいるのですかお二人はあああああああああ!!!」

 

 

 そして若干一名、肩を震わせ落ち着きない彼女の怒声と打ち鳴らされたハリセンの音によって静謐感は呆気なく破られるのだった。

 

 頭に瞬く間の一閃をもらった飛鳥はキョトンと目を丸くして黒ウサギを見る、十六夜がハリセンを受け止めている事は他所に置き。

 

 

「どうしたのよ黒ウサギ? いきなり叫びだすなんてらしくないわね。ほら、ジン君も戸惑ってるじゃない」

「それはきっと飛鳥さんと十六夜さんに対してd、わきゃっ!?」

 

 

 十六夜の弾き返したハリセンがきれいに顔に当たり悲鳴をあげる黒ウサギ。と、そこに生まれた間に漸くジンは黒ウサギを代弁してマイペース過ぎる二人に声を掛ける事が出来た。

 

 

「あ、飛鳥さんも十六夜さんも……。先の会談で一先ず方針は決定されましたけど、まだ〝ノーネーム〟としての方針は決まってません。古城に迎い拐われた人達を助けだしゲームのクリアを目指す攻略組と、地上に残って巨人族や巨龍の被害に抵抗する防衛組。この二つにそれぞれ役割を宛てたいのですが……」

「あぁ……黒ウサギがさっきから心の中で私達に小言垂れてたのってそれが理由なの。まったく、それならそうと早く言ってくれたらいいのに。煩わしくって仕方なかったわ」

 

 

 パタンと本を閉じギフトカードの中にしまい込みながら肩を竦める飛鳥。十六夜も飛鳥と同じソファに腰掛けた。相も変わらず気怠そうではあるが、ちゃんと話には参加するようである。

 

 

(分かっていたなら声くらい掛けてくださいよぉ……)

 

 

 非常に物申した気な黒ウサギ。だが〝ノーネーム〟の方針を話し合うことが先決だと言葉をグッと呑み込みジンの隣に座った。

 

 

「うーん、それじゃあまず……の前に。お爺ちゃんとペストが居ないわね。曲がりなりにもうちの主戦力なんだから参加してくれないと困るわ」

「あ、それでしたら「っと、待たせたかジン」」

 

 

 飛鳥の問い掛けにジンが答えようとしたその時、件の二人、萃とペストが部屋に入ってきた。口振りからしてジンから話を伺っていたようだ。

 

 

「いえ、今丁度始めようとしていたところです」

「ん。大方そこの阿呆共に遅れを喰らったんだろうが、まぁ良か」

 

 

 そう言い萃は飛鳥と十六夜の背後まで来ると背を預けた。一昨日から不機嫌顔なペストもその隣に着いた。

 

 

「……じゃあ改めて。ジン君の言う通り明々後日の作戦には攻略組と防衛組とに別れなきゃいけないわけだけど……正直殆ど決まってるも同じよね。攻略組には必ず空を移動出来る人を割かなくちゃいけないし、その主力だった春日部さんとレティシアさんが居ない今、この中だと十六夜君とお爺ちゃん、あとはペストだけなのよねェ。それを踏まえた上でけどジン君、何か案はないかしら?」

「そうですね…………僕は十六夜さんに攻略組へ加勢してもらって、ペストと萃様には地上の防衛に参加してもらいたいですね」

「ほう? 自分をあの木偶共に当てるか……故を問おうか?」

 

 

 瞳を細く愉快気に口許を歪めジンを見る萃。

 ジンは彼にハッキリと返した。

 

 

「ペストは巨人族にまつわる伝承から見ても此方が優勢に回る為に絶対に外せません。彼女の事を考慮すれば、萃様は古城へ向かってもらっても問題ないでしょう。ですが、敵側が巨人族だけでない事は既に分かっていて、巨龍の存在も地上では懸念されます。僕達では対処しきれない不測の事態が起こった時のためにも萃様には地上に残ってもらいたいんです」

「ふむ、成る程?」

「以外ね。てっきりペストの我侭を想定しての考えだとだと思ったけど」

「…………」

 

 

 飛鳥の茶々にペストは無言だった。眉が少し顰められていはいたが、今までの自分の行動から見て否定しようにも否定し辛かったのだろうか。

 

 

「攻略には連盟の自称精鋭らも来んだ。俺らがそこまで人員割く必要もねえだろ」

「じゃの。それに……彼奴が向こうに居ると知れた以上攻略なんぞ言ってられんかもしれん」

「? どうかなされました萃様?」

「ん? いんや、気にせんでええよ」

 

 

 最後の呟き、十六夜と飛鳥、隣に居たペストにだけは聞こえていた。

 ペストはその言葉の真意を図りかねたが、『彼奴』というワードが誰を指すのかは何となく察せていた。

 その逆に十六夜と飛鳥は……。

 

 こうして〝ノーネーム〟の一旦の方針談議は早くも終わった。この後も作戦の細かな点を応答し合ったりしたが此方もそれ程時間は掛からなかった。

 全ては滞りなく終わったのだ。それが二日後、どう彼らにどの様な結果を齎すのか────

 

 

「まとめるとこうね。攻略組は十六夜君と()。防衛組は黒ウサギとジン君、お爺ちゃんにペストって事ね。……〝ノーネーム〟の真価を発揮する時、こんな所で立ち止まっていられないわね」

「はい!」

「Yes。捉えられたお二人の為、収穫祭を打ち止めにしない為にも頑張るのですよ!」

「……ククッ、」

「はぁ……」

「…………」

 

 

 

 

 




時間が空くと口調とか呼称とか細かな部分が忘れがちになりますわ……ただでさえ忘れやすいのに
そろそろいい加減矯正しないとですね
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