家にて侵略生物Gに怯える日々が。
「やほ! レンちゃん、ワンちゃん! やっぱりあんたらは、私が見込んだ通りの親子だよ!」
待ち合わせ場所の酒場にて。
ピトがレンの肩をばんばんと叩く。 余程嬉しいのだろう。 俺も親子扱いされて、不思議と嬉しくなる。
他から見て、微笑ましい光景に見えていると思うと、つい頰が緩んでしまうな。
「痛い痛いピトさん! それとワンちゃんは親族じゃないから」
否定された。 上がって落ちた。
「………あー、なんだ。 新たな戦力は来ているのか?」
「まあまあワンちゃん。 気を落とさず。 そして慌てなーい。
もうすぐ来るからちょい待ち。 いつもの、一杯おごるわ。 支払いはワンちゃんヨロシク」
それをおごるとは言わない。 少なくとも俺の中では。 ピトなりに励ましてるのか、俺で遊んでいるのか。
「まあ、良いが。 レン、好きなの頼んでくれ」
「ありがとう。 あの、その人はどこかで買い物でも?」
ピトの対面席に座りながら、レンは何気なく聞いた。 多少遅れても俺は構わないが。
「いやー、まだリアル。 用事頼んでおいたから」
ふむ。 その新戦力、プライベートでの付き合いがあるとみえる。
その辺を踏み込むつもりはないが、レンは何か想像したのだろう。 隣で驚いていた。
丁度、テーブルの中央からアイスティーが上がってきたから、レンが誤魔化す様に手前に引き寄せて………ストローで飲むその光景は、やはり子供のソレ。 うむ。 可愛い。
俺のアイスティーも、ピトの熱帯魚のようなケバケバしい色のサイダーもきたから、少しの間、ヘルメットをズラして飲んで落ち着く。
「SJのルールは読んだ? レンちゃんの性格なら隅から隅まで読んでいそうだけどワンちゃんもいるし、一応確認するね」
「ああ、確認は大切だからな。 地底で航空支援を要請する様なマネは避けたい」
「地底?」
「いや、こっちの話だ。 続けてくれ」
ピトは色々と説明してくれた。 所持している武器は何を使ってもいいそうだ。
ビークルも使える。 ありがたい。
あとは………死体が残るとか、衛星がどうとか、よく分からない話である。
死体は良いイメージがない。 エイリアンや怪物のもだ。
奴らは図体がデカい分、射線が遮られて困る。 群れを相手にしている時は特に困った。 死体が邪魔で弾や視界が遮られるのだ。
逆に遮蔽物の代わりに使ったコトもあるが。
衛星は………《バルジレーザー》や《スプライトフォール》を思う。
後者の開発に関わっているらしい、謎の女科学者の通信は狂気を感じるが………いつか直接会う日が来るのだろうか。 いや、会いたくない。
「ここまでで、何か質問は?」
「ピト先生! ワンちゃんが曖昧に覚えてる気がしまーす!」
「大丈夫だ。 問題ない」
「まっ、何とかなるっしょ!」
「………大丈夫かな」
レンも心配性だな。 何かあったら俺が何とかする。
「あと、注意点として………チームは最低二人、最大六人まで。
仲間への攻撃、つまり誤射、誤爆も通常通りのダメージだからね」
「ワンちゃんの武器、爆発系だもんね。 仲間を巻き込まないでよ?」
「気をつける」
レンはこれまた心配している様子。 だが戦時中もその辺は気をつけてきた。 リムペットガン、空爆要請、ガンシップへの支援要請等だ。
射線に平気で出て来る味方には苦労したが、今回は大丈夫だろう。
味方の部隊のど真ん中に衛星砲がズドン、ロケット弾がドカン、機関砲の雨霰とはならないハズ。
「あとは………通信アイテムが使える。 レンちゃんには常時通話の通信アイテム持たせるから。 前に私と使ったヤツね」
「了解」
「俺はいつも通りだな。 常にオープンだ」
「うん。 ワンちゃんは通信機持ってるもんね。 それもいろいろ」
「ワンちゃん、いつも常時通話みたいだけど、うるさくない? 大丈夫?」
「問題ない」
戦時中も本部だったり、戦略情報部や名も知れぬ味方の通信や民間のニュース等ガンガン入ってきたが、苦痛に感じたコトはない。
同じタイミングで混線しなければ大丈夫だ。
その後も色々と説明がされたが、今までと違い本格的な行動が求められるコトは分かる。
やれ、敵の部隊との距離だの、800メートルで狙撃銃の弾が、600メートルでマシンガンの弾が飛んでくるとか。
隊長の話辺りは重要だと思う。
なんでも、皆が持つセンサーには隊長の場所のみ表示されるそうだ。 他は表示されない。 俺のは全部表示されてしまうが。
そこでレンが質問をした。 中々良い質問だ。
「そのリーダーが死んだら……、どうなるの? その瞬間、そのチームの負け?」
「いや、実際の戦争と同じことになるだけ」
「というと?」
「俺が説明しよう。 軍隊では隊長が戦死したら、次に階級の高い人が、同じ階級なら先になった人が、指揮権を引き継ぐんだ」
「そういうこと」
俺は何度も経験した話だ。 といっても、話の通り階級順とは限らなかったが。
生存者を探して集めているうちに、隊長みたいになっていたりとか。
なるほど。 そう頷くレン。 納得したか。 そんな仕草も可愛く見える。
「がんばってねー。 優勝したらかっこいいじゃん」
「はあ」
「他にも、降参できるのは唯一リーダーだけってルールもあるけど」
いや、降参して銃口を下げてくれる保証はない。 徹底抗戦だ。 エイリアンはそうであったろうし。
最近は無法者なんてよい例だ。 この前も呼びかけたが、無視して発砲された。 悲しいコトだが、まだ戦争中ともいえる時代なのだ。
「ルールは以上ね。 ストーム分隊長殿」
「えっ、ワンちゃんが隊長? そりゃ強いけど」
「まさかレンに隊長やれ、とは言い難いだろう。 なに、慣れている。 俺に任せろ!」
安心させるべく、そう自信をもって言ってみたが。 レンよ、何故ジト目なのだ。 そんなに信用出来ないだろうか。
「悪い。 遅れた」
そんな時だ。
野太い男の声がして、向けば巨大な男が入ってきたのは。
迷彩パンツに、Tシャツ。 胸に防弾プレートでも入っていそうだ。 両の腕はまるで丸太。
レンのウェストより太いんじゃなかろうか。
一言で表すならマッチョだ。 《フェンサー》装備も頑張れば持てるかも知れない。 無理か。
感想として言うのは失礼だから可愛く言うと………動物でいうアレだな。
「素晴らしい戦力だ。 まるで羆だな!」
刹那、ピトは笑い、レンには思いっきり足を踏まれた。 何故だ!?
ドンパチまで時間かかりそうorz