GGDF(完結)   作:ハヤモ

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不定期更新中。
とうとう大会当日です。


大会開始
戦闘前の雑談


 

新たに編成された我々の部隊。

記念すべき最初の集合場所は、太いメインストリートにある、大きな酒場。

 

酒場といっても、レストランであったり喫茶店であったり、ショッピングモールも隣接。

ゲームコーナーやカジノもあれば、奥には室内射撃場まである。

俺のお気に入り場所だ。 主に食事処として利用させてもらっている。

 

他の者にとっても、お気に入りなのだろう。

毎日混んでいるコトが多い。

だが今日は特に混んでいるな。 部隊登録の会場になっているのだろうか。

 

「げぇっ!? 《荒らしのワンちゃん》がいるぞ!」

「まさかSJに参加する気か!」

「嘘だと言ってよ《ザスカー》!?」

「だが一人ならば、集中砲火で………」

「SJは最低二人からだぞ。 偶々ココにいるだけだろ」

「確かに、ココは《荒らしのワンちゃん》の拠点という噂だ」

「いや、救急車だろ」

「皆待て! もう一人いるだろ! ほら、チビでピンク色の!」

「あかん! やはりSJ参加するんか!」

「GGOが壊れちゃーう!!」

 

いやぁ。 とても賑やかだなあ!

人類の復興は夢じゃないぞ。 だが先ずは無法者や怪物を何とかしなければな。

 

おや。 人混みの中から、ローブ姿の小さな子供………レンが現れた。 身長が低いから即分かる。

 

戦闘服のピンク色を隠しているつもりだろうが、俺には分かる。 そんな恥ずかしがらなくて良いのに。

 

「来たか………っておい。 何処に連れて行く気だ」

 

出会い頭、挨拶もなしに腕を引っ張られ、個室に連れて行かれて………即カーテンを閉められた。

周囲が更にザワついたが、変な誤解を招いていないだろうな。

そして座らされるや否や、凄い不機嫌そうな顔で注意される。 なぜに。

 

「ワンちゃん。 エムさんに言われたコト忘れたの? 周囲に情報を与えちゃダメだよ」

「部隊は違えど、共に戦うのだろ? ここは親睦を深めようと思ったんだが」

 

ムスッとしているレンに説明する。

EDFのみでの治安維持は難しい。 レジスタンスにも協力して貰いたい手前、仲良くなるコトは悪いコトではないハズだ。

 

レンは「はぁ」とデカい溜息を出すと、諦めた様な声で

 

「まあ、ワンちゃんは有名人だしね。 《荒らしのワンちゃん》なんて異名が付いてるし。

装備もそのまま。 性格も………人の話聞かないし。

人目を避ける方が難しいだろうから、何も言わないよ」

 

などと言ってきた。

何も言わない割には、結構辛辣じゃないか?

 

「周りの装備見たの? 銃は違えど、共通してデカネードや爆発物………重火器。

アレ、たぶんだけど、ワンちゃん対策だよ」

「………? 同じ爆発物を扱おうとマネしているのか」

「違うでしょ。 変な乗り物が出てきたら、壊す為だよ。 あと、直接ワンちゃんに使うか」

「その時は協力して破壊しよう。 あと、武器の支給は有難いな」

「ダメだこりゃ」

 

何がダメなのか。 エイリアンの金色の装甲でもなければ破壊出来ると思う。

武器は………レジスタンスにとって貴重だから、貰うんじゃない的な話か?

 

「まあ、なんだ。 何が出て来ようと、俺が守ってやる。 今は飲み物でも飲んで落ち着いてくれ。 奢るから」

「………エムさんにメールしたら、そうする」

 

そうして頼んだアイスティー。 不機嫌な顔ながらも、ストローで飲む姿は可愛いものだ。

それがなくなる前に、最後のメンバー、エムがやってきた。 早いな。

 

「やあ。 今日は頑張ろう」

「頑張ろう!」

「こちらこそ」

 

 

 

作戦が始まるまで、のんびり待機。

すると、何やら店内が盛り上がってきた。

 

ちょっと覗き込むと、モニターに無精髭を生やしたむさ苦しい男。 取材を受けているらしい。 何やら嬉しそうだ。

有名人だろうか。 分からん。 入国理由で「銃を撃つ為」と答えそうになったり、1582年の本能寺の変を「いちごパンツ」で覚えたり、海の中に潜って、無尽蔵に塩を生み出す石臼を探しそうだ。 いや、冗談だが。 特に後者。

 

まあ良い。 今は休める時に休もう。

そう部屋に戻ると、レンとエムは他の部隊リスト……空中に浮かんだウィンドウを見ているところだった。

全二十三チーム。 人数は不明。 多いのか少ないのか分からないが、戦える戦力があるのは心強い。

終戦間際は、残存部隊はおろか、生存者がいるかどうかも怪しかったからな。

 

「開始直後に、酒場ががらんとしなければいいがな」

「その心配はなさそうだ。 部屋の外は減るどころか、増えていたぞ」

「意外と盛り上がってきたね」

 

良いコトだ。

これがエイリアンや怪物ではなく、同じ人類なのだから、嬉しい話である。 そして共に戦う仲間だ。

 

「むっ。 そういえば、俺達の部隊に名前はあるのか? 登録されているならば、その辺もあると思ったのだが」

「あるぞ。 あー、これだ」

 

そう指したチーム名は、とても見覚えがあり、言い慣れたモノだった。

 

《EDF》。

 

「うおおおお! EDFッ! EDFッ!!」

「ワンちゃん、うるさい! おすわり!」

「これが叫ばずにいられるか! いてっ」

 

レンに足を踏まれたが。

だって仕方ないじゃないか!

 

そう。 叫んだ理由というのは。

《全地球防衛機構軍》。

《Earth Defense Forces》を略したもの。

 

それが《EDF》であり。

俺が属する組織であったからだ。

 

「そのEDFってのは一体なんだ?」

「なに、知らないのか。 いや、無理もないのか。 終戦間際は組織として機能していなかった様な感じだったからな。

それでも終戦後は、僅かながらも力を取り戻したと思っていたが」

「………終戦?」

「あー、たぶん、GGOの世界設定の話かと思う。 エムさん、気にしないで」

「あ、ああ」

 

いやあ。 EDFの文字を再び見れて嬉しいぞ。 いや、ビークルや装備品にも書いてはあるがな。 最近感があって、嬉しかった。

いやあ、めでたい。

 

「めでたい………といえば。 ピトは今頃ドレスだろうか」

「だろうな。 SJに参加出来ないのを、さぞかし歯ぎしりして悔しがっているだろう。

どうしてあの新婦の友人はあんなに悔しそうなのか? まさか?

などと、周囲に変な誤解を与えなければいいが」

「笑えるな」

 

ふっ、面白い話だ。 レンも吹き出している。

だがな。 命がけの戦場よりも、ピトにはドレスを着て、平和な場所にいて欲しいとも思う。 時代が時代だから、難しいかも知れないけれども。

 

「エムさん、今日はよろしく。 わたし、参加するかどうかウダウダ悩んでいたけど、もうちょっとGGOを本気で遊んでみようと思います」

「分かった。 でも、敬語はこれきりで」

「あ、了解」

 

さて。 親交を深めあったところで。

そろそろ戦闘用意、か。 ピトと再会する為にも、再び皆で笑い合う為にも。

俺が皆を守らねば。

 

「………レンが戦死して、相手が多数なら、降参するかもしれないとも」

「レンは死なない。 エムもだ。 俺が守る」

 

エムが弱気なコトを言うから、俺が即否定してやる。 仲間が目の前で死ぬ光景を何度も見て、断末魔を何度も聞いてきた。

 

「うまく言えないが………EDFは仲間を見捨てない」

 

レンが一瞬目を丸くして、そして呆れたように、でも安心したかのように、柔らかな笑みになる。 エムも同様に。

 

「俺に任せろ!」

「うん、了解!」

「了解だ、ストーム分隊長」

 

そうして部隊の結束を感じたタイミングで。

 

『スクワッド・ジャム、出場選手の皆様! お待たせしました! 1分後に、待機エリアへの転送を開始します。 お仲間は、全員揃っていますかー?』

 

女性のアナウンスが流れたのだった。




SJ、どうなってしまうのか。
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