GGDF(完結)   作:ハヤモ

16 / 65
中々戦闘回まで行かない焦ったさ。
レンちゃん、ナイフ講義を受けるの巻。 ワンちゃんは良くも悪くもいつも通り。
漫画だとレンちゃんがエム相手に、ナイフ戦をやっている描写があります。 眼窩への攻撃はハラハラする場面ぞ。


戦闘準備

エイリアンの転送装置の応用か。

次の瞬間には、薄暗い部屋に立っていたから驚いた。

テレポーションシップや、アンカーから出て来る怪物も、最初はこんなトコにいるのだろうか。

 

目の前には『待機時間 09:59』のカウントダウンウォッチ。

怪物もコレを見ながら、降下されるのを待っていたと思うと笑えてくる。

最も、歩兵部隊はともかく、怪物に数字が読めるとは思えないが。

 

「戦闘用意」

「よーし!」

 

レンが張り切った声を出した。 いいぞ。 子供は元気が1番だ。

しかし。 そんな時こそ危険である。 気持ちだけが前に行き過ぎて、肝心のマガジンを忘れたとか、挙句に武器を忘れてはダメだ。

地底で砲兵隊や空軍に支援要請をするくらい笑えない話になる。

 

子供に最前線を闘わせる気は無いが、こんなご時世。 自衛火器は必要なのだ。

勿論、他の用意も大事。 ケガしたら即治療をする用意は出来ている。 エムもだが、レンは子供。 擦り傷でも命に関わるだろう。

いかん。 急に心配になってきた。 隣で確認作業中のレンに尋ねてみよう。

 

「P90と、マガジンは大丈夫か? 医療品はあるか? 具合は大丈夫か? ご飯食べたか? 歯磨きしたか? ソラスパン食うか?」

「後半関係ないよね。 それにソラスパンって何?」

「怪獣の形をしたパンだ。 アイスティーもあるぞ」

「ピクニックじゃないんだが」

 

レンもエムも、反応が冷たい。 先程の部隊の結束は何処へ行ったの。 隊長悲しい。

 

「真面目に話すけど、ピーちゃんは大丈夫。 マガジンもね。 救急治療キットも持った。

サテライト・スキャン端末もね」

「ああ、スマホみたいなヤツか」

「そう言うワンちゃんは大丈夫なのー?」

 

レンめ。 上目遣いで、ニヤッと笑いおってからに。 全く。 戦闘終了後、ナデナデの刑に処する!

 

「問題ない。 各種無線機器は正常。 リムペットガンも問題なし。 セントリーガンも動作不良はない」

「サテライト・スキャンは?」

「自前のセンサーで十分だ」

「いや、その機器は?」

「強度テスト中、不幸の事故で」

「………何も言わんぞ」

 

何だろう。 更に冷たくされた。 悲しい。

うーん、でも強度が気になっちゃったんだもん。 サプレスガンで撃ちたくなったんだもん。 仕方ないじゃん。

 

取り敢えず。 皆の戦闘準備が出来たか尋ねようか。 ウッカリ忘れ物をしたら大変だ。

 

「まあ………なんだ。 準備は済んだな?」

「バッチリ」

「いや。 レン、これを」

 

むっ。 忘れ物か? そう思った刹那。 エムがレンに鞘に入ったコンバットナイフを渡そうとして………

 

「はい没収!」

「うおっ」

 

素早く取り上げた。 何てものを子供に持たすんだ。 ナイフなんて早い! フォークから始めなさい! 違うか。

 

「P90の弾切れ時、副武装として持たせたい。 駄目か?」

「でもわたし、マガジンは七本装備していて、350発だよ?」

 

そう反論するレン。 表情からして、ナイフが怖い様子。 うん。 怖いと思う気持ちがあって、少し安心した。

俺としては、ナイフなんて直接肉を裂く様なモノは持たせたくない。 手に感覚が残るからだ。

だが………言わせて貰おう。

 

「七本でソレは少ないぞ。 EDFのアサルト・ライフルの中には、ワンマグでそれ以上のモノもある」

「それ、本当にライフルなのか?」

「分類はそうだった」

「えぇ」

 

今度はジト目で見られ始めた。 いけない。 脱線した挙句に戦闘前からコレではマズイ。 背中から撃たれてしまう。

 

「とにかく。 他にも利点があるのは分かる。 音を出さずに敵を倒せる、閉所や近接戦闘での使用。 ケーブルの皮剥き。 だがなぁ」

「ケーブル………?」

 

複雑な表情を浮かべるレンを見ながら言う。

身長や走力を生かせば、一気に懐に潜り込み、人体の急所を狙う等の戦法はあるだろう。 体格差で、相手の身体に纏わりつくのも可能のハズ。

肺、腎臓、心臓は防弾プレートで無理だが、首や眼窩を狙えば………普通の人間なら致命的なダメージを狙える。

 

「ストーム、必ず使う訳じゃない。 だが万が一を考えて欲しい」

「………」

 

結局のところ、首を縦に振った。 レンには悪いが無いよりあった方が良い。

 

「腰の後ろに、水平に装備するんだ。 使うときは、右手で逆手に抜いて………正対したのなら突撃………左右どちらかの内股を斬り付けるんだ。 そこには大腿動脈が走っているから、かなりのダメージを与えられる」

 

その後はナイフのレクチャーを受けるレンだったが、やはり、嫌そうだったな。 使う機会がないコトを願うばかりだ。

 

「銃だけで戦ってきた人間は、白兵戦には思いの外もろい。 もし気付いていない相手を後ろから襲えるのなら………」

 

講義を聞いてると、ふと懐かしくなった。 郷愁にも似た何かだ。

初めてプライマーの歩兵部隊と遭遇し、軍曹の戦術の講義を聞いた時を思い出す。

アレは遮蔽物を上手く使えば、裏をかける、というものだったか。 それと部位破壊。 今回は相手が違うけれど。

 

銃だけで、の部分を思う。 俺もその類だ。

兵科に関わらず、デカい怪物やプライマーを相手にする手前、格闘戦の訓練を受けても仕方ない。 故に殆どやらなかったし、やっても実戦で使うコトはなかった。

一部フェンサー等は装備の都合で、やっていた者もいたが。

ただ、約3年間の間、無法者や悪友を相手にする際に自然と格闘スキルが身についた。

嫌な時代である。 プライマーが跋扈しているより余程良いがな。

 

「以上だ」

「ね、ねえワンちゃん? 白兵戦が苦手なのは私よりワンちゃんだと思うし、ナイフ………持ってくれない?」

「駄目だ。 それでは講義を受けた意味がなくなるだろ。 それに俺も、一応は格闘戦は出来る。 心配するな」

「………うぅ」

 

すまない、レン。 だが大切なコトなんだ。

悲しげにナイフを鞘に戻す様を見ながら、心で謝っておく。 俺に出来るのは、ソレを使う機会が無いように、レンを守ってやるコトだろう。

 

待機時間を見やる。 もうすぐゼロだ。

 

「よし……。 やろうか」

 

エムの落ち着いた声が通信越しに聞こえる。

 

「りょーかい!」

「ああ!」

 

レンと俺は景気良く返事をし、銃に初弾を装填した。 エムも同様だ。

乾いた、異なる金属音が鳴り響く。

 

戦時中は様々な場所で、嫌でも聞いたもの。 雪降る田舎町、土砂降りの都市部。 綺麗な欧州の街並み。

 

そして終戦間際の静寂。

だが今は違う。 仲間がいて、再び銃撃音が鳴り響く。 決して嬉しい状況ではないが、希望を感じられる世界になったのは確かだ。

 

全てがゼロになった瞬間、俺達は光に包まれた。 聞かずとも分かる。 転送だ。

次に立っているのは、命がけの戦場となる。

 

さあ。 銃を再び手に取ろう。

皆を守る為。 地球を守る為だ。




次回、やっとこさ戦場予定。 やっと……暴れられる、のか?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。