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駄文ですが、楽しめた方がいれば、とても嬉しいです。
新たな問題
レンとワンちゃんが再会したのは、約ひと月経った後。
その間、レンとはメールでのやり取りのみであった。
会えない寂しさはあったものの、その内容は友達が出来た話や実家に帰った話、親友の話などの頬を緩ます明るいもの。
日常的な話で、血生臭さは全く無い。 何時ぞやのドンパチが嘘みたいだ。
「ふっ。 《オペレーション・オメガ》の後にこの様な内容を見るコトが出来るとは。 俺は……幸せ者だな」
ワンちゃんは、自宅と化しているキャリバン救護車両にて、メールを見つつ……しみじみ思った。
《オペレーション・オメガ》。
それはワンちゃんの世界にて行われた、エイリアンとの戦争における……EDFの最終作戦。
敵の司令官と思われるペプ○マンとの交戦の最中に行われた作戦だ。
あの炭酸キャラを守る為か、世界中のマザーシップが集結しようと動き出した。 ソレらの足止めの為に、生き延びた僅かな人々をEDFの兵士とし、戦わせる。 そういった内容である。 もうそれしか無いと、戦略情報部が発動したのだ。
装備の無い素人、本来守らねばならない人々を戦わせ……本部も、ワンちゃんも隊員らも。 様々な感情による憤慨を感じ、思わず叫んだものだ。
取り敢えず、ペプ◯マンなのに、空を飛んでいるのは納得出来なかった件を。
何故腕を振って足あげて走らないんだ。 独特のマークや模様もない。 歌も歌わない。
色々仕方ないからワンちゃんが歌った。
我らは歩兵隊。 燃え滾る闘志のタフガイだ、と。
皆も同じ気持ちだったらしい。 合わせて歌ってくれた。
本部や戦略情報部も「ストーム・ワン!」と応援してくれた。 出来れば、サテライトW1の衛星砲操作員も歌って欲しかったが。 余裕が無かったらしい。
しかしおかげさまで最後は勝てた。 そしてエイリアン連中は戦意を失ったのか撤退した。 良かったと思う。 《バルジレーザー》万歳。
《スプライトフォール》? いや、使い難いと思って……。
そんな心境で、人類を救った英雄だなんて知る由もなく、希望溢れるメールを連日してくれるレン。
そしてとうとう、再開する日を伝えるメールが来たのだが……素直に喜べるモノではなかった。
「コレは……マズいな」
再会する理由が、穏やかではなかったからだ。
内容がヤバい。
なんでもエムと再会し、レンの友だちであるお姉さん……ピトフーイの生死が関わる話をされたとのこと。
第一回SJに参加しなかったピトフーイ。
エムの話や手紙を鵜呑みにするならば、だいぶイカれた女。
希死念慮や殺人衝動……そういったものがあるのだ。
事実。 第一回SJで、エムにワンちゃんを殺させようとしたのだから。
ワンちゃんはGGO基準だと、日頃の行いが悪過ぎる。 銃で戦わずに空爆や砲撃、衛星砲等でプレイヤーを殺しまくっているから。
その圧倒的な火力や謎の装備等は側から見てもチートにしか見えず、大変嫌われているのだ。
本人は異世界の、それもゲーム世界にいるとは知らない。 平和の為だと戦っている。
プレイヤーに嫌われるのはEDFがあんな作戦をやったからだろう、程度の認識だ。
好かれるには、もっともっと無法者(プレイヤー)を成敗しなければ。
そして殺る度にもっともっと嫌われていく。 悪循環である。
そんな男故に、エムが殺したところで誰も責めないだろう。 寧ろ「良くやった!」と褒めるヤツさえいた筈だ。
しかし、エムは殺す気が起きず、ワンちゃんに事情を打ち明ける。
そして共に最後まで戦い抜いたという経緯があるのだ。
アレがどこまで本気なのか分からない。 取り敢えず、エムがピトや他のプレイヤーに殺されなかったコトに安堵しよう。
「エイリアンとの戦争の後遺症だろうか」
ワンちゃんはピトの異常性の原因を戦争だと予想した。 殺そうとしてくる理由をつけるならば、EDFだから、で片付けられる。
あんな無謀な作戦をやらかしたEDFだ。 恨みも買うだろうし。
そんな予想を立てたワンちゃんだが、残念ながら世界が違うので、エイリアンとの戦争は全く関係ない。
ただし「EDFは仲間を見捨てない」とエムやレンに言った様に、本気でこの問題に向かい合う腹でいた。
レンとしても放置するワケにもいかず、この問題に向かって行く。 ワンちゃんという目立つ制御不能チーターでも、頼れる者は頼る腹だ。
ただレンの評価としては「なぜか悪いヤツとは思えないし、一緒にいると寧ろ安心する」といった具合。 他のプレイヤーとは違う。 メールのやり取りをしていたのも、そんな理由からか。
そんなレンから相談したい、会いたいと可愛い顔でおねだり(されたように感じた)メールが来たものだから、ワンちゃんは張り切ってカフェにて待ち合わせ。
服装は兵士だと目立つと思い、民間人の頃の格好……青い作業着と黄色の帽子、ヘッドセットにサングラスという組み合わせにて出撃。
作業着というのもミスマッチだろうが、他に服がない。 仕方ない。 そして戦闘服メインのGGOでは作業着というのは……目立つ。
通信ユニットやヘルメットが無い分、マシではあるが。
「レン。 久しぶりだな」
待つことしばし。 時間通りにやって来たレン。 ピンクの戦闘服に小さき身体。 相変わらず保護欲に駆られる幼女な姿であり、今回の騒動からも守ってやりたくなる。
「うん。 久しぶり、ワンちゃん。 早速格好について突っ込めば良い?」
「目立つか?」
「まぁ、ヘルメット姿よりは良いかな」
挨拶を交わす両者。 久しぶりに会ったというのに互いに軽く笑う程度だ。
本題がヤバいので、手放しで喜べないのが現状である。
「何か飲むか? 奢るぞ」
「ううん、いらない。 待ち合わせがもうひとりいるの。 メールにあったでしょ?」
「ああ、すまん。 助っ人が来るんだったな」
レンは向かいの席に座ることなく、さあ行くよと手招き。
これから会う新たな新戦力に期待しつつ、ワンちゃんはカフェを後にする。
その新たな戦力というのも、ワンちゃんにとっては保護欲に駆られる姿をしているモノだから、色々と面倒になりそうだ……。
新たな戦力が増える様です。