GGDF(完結)   作:ハヤモ

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不定期更新中。

EDF隊員は恐ろしい。


そろそろ反撃のお時間。

 

EDFに属する隊員らは、厳しい訓練と実戦で鍛えられて身体能力や技術は総じて高い。

様々な銃種やビークルを扱える他、ローリングすれば街灯やガードレールを吹き飛ばし、どんな高所から落ちても怪我ひとつなく、狙撃銃で600メートル以上先の目標物に走りながら当てたり、ジャンプしながら当てたり、補助装備でレンの何倍もの速度で走ったり出来る。

扱う銃器類もGGO世界より強力で、彼らと真正面から戦えば、木っ端微塵にされて秒殺待ったナシ。 一言にまとめると変態だ。

 

……そんな変態な隊員に榴弾をブチ込まれ続けるワンちゃん一行。

グレランによるもので、放物線を描いて飛んで行く特性を利用した遠方からの攻撃だ。

榴弾が山なりに来るので、遮蔽物を越えてくるのが厄介。 隠れるワンちゃん達に直撃する危険があり、そうなりゃバラバラだ。

しかも此方が見えないのに加えて弾着観測ナシに、移動している此方をそれなりの正確さで攻撃してくる。

銃の癖を知るのみでは出来なさそうな芸当だ。 音やセンサー反応で爆撃しているにしても……隊員スゲェ。

 

そんな隊員から身を守らねばならないという、今の悲しい状況であるが。

 

電磁トーチカは爆風を防ぎきれないのでアウト。 ビークルを要請しようにも投下地点を知らせるスモークを焚くのは危険過ぎ。

離れた所で焚けば安全だろうが、ビークルに乗り込む前に破壊されるのが目に見える。

 

空軍や砲兵隊に要請して殺すのは容易いのだが、仮にも仲間だ。 そんな後味の悪くなるコトはしたくない。 空軍も砲兵隊も望まないだろうし。

というわけで攻撃の類は却下だ。 だけど攻撃は続くし、ソレから娘達を守らねばならない。

 

そして、これらに加えて…………。

 

 

「EDFって、ホント何なの! やっぱ敵だよね!?」

 

「どぅどぅ!」

 

「落ち着け! 冷静になれ!」

 

「殺す! ついでにワンちゃんも殺す!」

 

「うわあ! 目がマジだよ!?」

 

「俺はついでなのか!? ついでの存在なのか!?」

 

「うるさい駄犬!」

 

 

荒ぶるレンがいる。 そして殺されそう。 状況はまさにカオスだった。

 

さっき慕ってるような目を向けて来てくれたのに……今度は殺意の目なんて。

娘にヤられるとかさ、もうね、精神的にも辛いのよ。

 

もうナニ、この縛りプレイ。

インフェルノとは言わないけれどさ、誘導兵には辛くね? 娘に殺意向けられるとか、キツくね? パパ、大人だけど泣きたい。

 

そう思うワンちゃんだったが、レンが荒ぶる要因にはワンちゃんが大いに関わっているので、自業自得ではある。

 

過去今まで航空機やらミサイル群やら乗り物による攻撃というチート行為、本人のおバカさ。

そして無関係ではないだろう、スタート地点の不法占拠や勧誘、銃器の売買、それらによるプレイヤーへの迷惑をやってきているのだ。 それはもう、身内の恥……。

 

抑えていた欲求不満は、隊員からの攻撃がトリガーとなり、その小さきお口から言葉となってフルオート、或いは榴弾で飛び出て来てしまったのだ。

 

 

「ワンちゃんの仲間でしょ! 何で攻撃して来るの、あり得ないでしょ!? それともPKのノリ!? だったら何時ものチートで殺しちゃっても良いよねぇワンちゃん!? てかEDFって何がしたいのか分からないよ!? 《グロッケン》のスタート地点を占拠してるのも皆に迷惑だしチートも迷惑だし! それに《荒らしのワンちゃん》なんて有名になった所為で側に居辛いんですけど! それに美優にばっかり構ってわたしのコト放置だしさぁ!!」

 

 

最後の私欲の方だけチカラ強く述べ終えて、ゼェゼェと息を切らすウサギ。

あの真面目な子が、ココまで感情的に叫ぶとは。 親友の本名まで出している辺り、結構ガチだったのだろう。

気迫に押された二人のワンコは今まで調子にのってすんませんとばかりに、しゅんと大人しく、素直に謝った。 本当の犬なら尻尾下げて「くぅん」と鳴いていそう。

 

 

「レン、えと、ごめん」

 

「すまない」

 

「……わたしこそ、叫んで、ごめん」

 

 

一通り叫び終わって、気が済んだのか。 数秒静寂が訪れて気不味い空気に。

そんな気不味さを吹き飛ばすように、ぽん、と音がして……少しの間を置いてワンちゃん達の背後の方に着弾、ドゴォンと爆発。

 

いかん。 さっさと解決しなきゃ。 でなきゃ死ぬぅ。

 

 

「あー、よし。 作戦会議だ。 のんびりは出来ないが」

 

「うん、分かった。 どう倒すか、だね?」

 

「……すまないが、こんなでも仲間なんでな。 殺さずに拘束する」

 

「もう殺そうよ。 私たちを殺そうとしてくるんだよ? 敵だよ」

 

「まー、最悪はこの武器でドカァンといくよ?」

 

 

怒りが収まれど、殺意は収まらないレン。 フカも、そういうゲームなんだろうと自己完結している。

 

確かにGGOはPK推奨という、珍しいかもなゲームだ。 故に他プレイヤーの武器装備や経験値欲しさや快楽の為に、殺し殺されるのは通常運転の光景なのだ。 ホールドアップを狙うのは稀じゃないだろうか。

ただ、EDF隊員は他プレイヤーと大きく異なって、死に戻りが出来ない。 つまり死んだらそこまでのハードコアモードだ。

彼らはVRで本当に生きている。 能力も武器装備もGGOには存在しないし強力であるから、時にチート扱いや迷惑な存在として白い目で見られても、EDFからしたら「遊びで殺しあって、何度でも生き返れる連中に言われたくねぇ」である。 つまりマジ。

 

そのマジの中に含まれるワンちゃんは、一瞬言葉に詰まったが……今は時間がない。 現状打破の話を優先したい。

 

 

「ヤツに近寄ろうにも道中で攻撃されるだろうし、何とか近寄れても逃げられるだろうな」

 

「わたしの足なら追いつけるんじゃない?」

 

「レン……確かに速いが、ヤツは《アンダーアシスト》という補助装備をつけている。 だとしたら、ヤツはレンの何倍もの速度で走れる」

 

「な、生意気な」

 

「それに、ヤツは格闘戦も出来る。 近接戦になっても油断は出来ない」

 

「じゃ、どうするのさ」

 

「やっぱ殺そ?」

 

「いや、ヤツにとあるコンバットフレームをくれてやる。 それで弱体化……いや、鈍足になるハズだ」

 

 

そう言うと、スモークグレネードを手に持つワンちゃん。 輸送機に投下地点を知らせるものだ。

この様な状況下では立ち上るスモークで、此方の位置や攻撃目標を相手に与えてしまうので、使用するのは危険。 普通の使い方なら。

 

 

「え? どういうこと?」

 

「投下地点をグレ男の近くにする。 ヤツ好みのモノをプレゼントしてやるのさ」

 

「え、いや……それ、相手を強くしちゃうんじゃないの?」

 

「火力は上がるな。 代わりに足を奪える。 そこを俺が襲って、無力化する」

 

「う、うーん?」

 

「つまり、作戦はこうだ」

 

 

首を傾げる娘達に説明するワンちゃん。 それは本当に大丈夫なんでしょーか、と眉間にシワを寄せたくなるような内容であった……。

 

 

 

 

 

ワンちゃんのスモークグレネードの遠投は上手く行き、グレ男の近くから煙が上がる。

センサー反応を見るに、グレ男は砲撃要請だと思ったのだろう、円形のセンサー画面上で青玉が凄い速度で移動しているのが分かる。

やはりか、アンダーアシスト装備だ。 レンが追いかけっこしても、離されてしまうだろう。

 

 

「ねぇ? 本当に上手くいくの?」

 

「普通、敵からのモノって怪しむよね」

 

「ヤツは普通じゃない。 攻撃してくる時点でな。 ともあれ、様子を見よう」

 

 

岩の陰に篭って1分くらい。 センサー反応を見ると、水玉がスモーク地点に戻ってきた。

ゆっくりと移動しており、警戒しているようだが……やがて視界にブツが飛び込んだのか、凄い速度で移動し……今度は物凄い遅さで動き始めた。 コレは間違いない。

 

 

「よし。 ヤツはコンバットフレームに乗り込んだ。 行動開始だ」

 

「罠の可能性は?」

 

「ない、とは言い切れないが、ヤツに限っては心配しなくて良い。 ただ火力が凄まじいから、正面に入らないようにしろ」

 

「う、うん」

 

「分かったぜぃ」

 

 

片や不安そうに、片や笑顔を振り撒きながら前進する幼女2名。 ワンちゃんはその背後を見送っている。

今回は娘にも協力してもらう様子。 いつもワンちゃん1人でドンパチしていたが、今回は拘束というから難しいのだろう。

最前線はワンちゃんが立つだろうけれど。

 

 

「さて。 目には目を。 コンバットフレームにはコンバットフレームを、とはナンセンスだろうが……機動性が大切だ。 味方のレンジャーがいれば《ミニオンバスター》を持たせたいところだった」

 

 

1人になったワンちゃんは、もうひとつのスモークグレネードを下投げで転がすと地面に落下するのが先か後か、赤い煙が上がっていく。

 

今、要請したのは、この煙と同じカラーリングの機体。 近接戦用で機動性が優れた《レッド アーマー》だ。

そしてグレ男にくれてやったのは《ニクス グレネーダー》。 火力では此方が圧倒するが、代わりに機動性は皆無と言って良い程に遅い。

 

グレ男は名の通りグレネードといった爆発物を好んで使うが、それはビークルも例外ではない。

レンジャーでは要請出来ない《ニクス グレネーダー》を見せてやれば、ヤツは興奮して罠の可能性も考えずにホイホイ乗り込むだろう。 そこにつけいる作戦だ。 鈍足になったところを一気に接近、コンバットフレームを無力化してヤツを拘束。

かなり危険だし我ながらアホな作戦だと思うが、旧知の仲だから出来たコトかも知れない。

 

 

「EDF同士の戦いか。 笑えないな」

 

 

投下されたコンテナ側面の、EDFの文字を見てぼやくワンちゃん。

それでも自身と娘たちを守る為、そして悪友のグレ男にオシオキする為、コンテナが消えて現れた赤き機体に乗り込み、素早く起動。 膝をつく姿勢から素早く立ち上がる。

 

そしてウサギ跳びのように、荒野をピョンピョンと跳ねて高速移動。

もちろん、移動先はグレ男の乗る《グレネーダー》だ。

 

EDF隊員同士によるコンバットフレーム戦がまもなく始まる。

 

ただし、ワンちゃん側には頼もしいちびっ子達がいるのを忘れてはならない。




次回、グレ男とドンパチ。 ロボット対戦ゲーじゃないけれど、EDFがいるからね、多少はね?
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