GGDF(完結)   作:ハヤモ

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不定期更新中。 駄文続きですが……。

グレ男とのコンバットフレーム戦。
そして幼女たちによる弾着観測。 大会の序盤でレンとフカがやっていたアレ的な。


赤いヤツは強いに決まってるけど、幼女も強い。

 

レンジャーな見た目のグレ男。 戦闘服のカラーリングはデフォルトな灰色。

 

その無表情な顔とグラサンからは分からないが、今の彼は天からの贈り物に歓喜し身を震わせているトコである。

 

最初こそ、近くで赤色の煙が上がった時は砲撃要請をされたと焦ったが、降って来たのは砲弾ではなくコンテナだった。

警戒して内容物を確認すれば……なんと素晴らしきコトか!

 

目の前に見えたるは《ニクス グレネーダー》……コレは良いものだ!

 

武装がグレネード系だけの偏ったコンバットフレームで。

右手にグレネードランチャーと左肩部にキャノン砲のような、特殊なグレネード射出装置を備えている。

 

明らかに重量感ある見た目で機動性皆無で使い勝手が悪く、実際に悪くて誰も使わなそうなこの型だが、グレ大好きグレ男にとっては嗜好品。

 

知った彼は喜びを表現するべく踊り始める。

リズミカルにステップし、腕と腰をくねらせつつもEDFと叫んでしまう程に歓喜し、そして抱きつくようにコックピットへ。

 

例え隊長の罠だと分かっていてもだ。

目の前に好きな機体が現れたら動かしたいのが性である。 コイツとひとつになりたい。

これは譲れん。 俺のモンだヒャッハー!

 

男なら分かってくれると信じる。

コックピットの操縦桿や所狭しと並ぶスイッチ群に様々な計器類。 誘っているとしか思えない。

外見の重装備と厚い装甲に加えて中まで唆られる光景を見せられては興奮しちゃう。 使わなきゃ男が、グレ男の名が廃る。

 

そう。 ちょっとだけ。 ちょっとだけだから。 歩いて武装を使って、隊長と戦ってヒャッハーしたら降りよう。 そうしよう。

 

そんなちょっとどころでなく思いっきりドンパチする気のグレ男だが、操縦技術の腕も良いのは確かだ。

 

それを証明するようにして、素早く起動シーケンスを終わらせて立ち上がる。

後は時限信管の榴弾が飛翔中に爆発せずに済む範囲に移動すれば良い。

 

徒歩かそれ以下の速度しか出せないが、そこは了承しなければな。

 

え? それなら搭乗しないで手持ちの接触信管の榴弾を射出するグレランで戦っていれば効率良いって?

 

違うんだよ、ロボに乗って戦いたいんだよ。 ロマンに効率を求めてはならない。 娯楽は必要だ。 彼は戦前も戦時も戦後も、ソコだけは大切にしている。

 

周囲なんて知らない。 俺は俺だ。 自分を見失うな。

戦時の末期戦は特にそうだった。

 

その点、少佐の部下は人類が追い込まれる中での悲鳴と恐怖、絶望を聞き続けて疲労困憊した結果『……神を探しています』なんて言いやがった。

三年以上前の話で、今の彼女は立ち直ってはいるものの、当時の発言には本気で恐怖したものだ。

絶望を受け入れるのは難しいが、あるかも分からない希望に縋った挙句、そうなりたくはない。

いや、最終的に希望はあったがな。 でなければ今のEDFはないだろう。

 

ともあれ俺は俺で楽しませて貰う。 変に気負わない。 そのキーパーソンは隊長殿だ。

 

 

『投降しろグレ男!』

 

 

そしてこうやって、思考の海に沈んでいると隊長の声がサルページしてくれるから、ワクワクさせてくれる。

 

カメラ越しに周囲を探せば、凄い跳躍で一気に距離を詰めてきた赤いコンバットフレームが。

 

 

隊長だ。 人類の首を薄皮一枚で何とか繋ぎとめた英雄だ。

 

 

いやはや。 砲撃や空軍の支援に頼らずに来たということは、いつも通り拘束する気らしい。

 

異世界に来ても隊長は隊長か。 甘くて優しくて、なにより強い。

 

今回は拘束を避けるためにグレランによる砲撃を敢行していたものの、今からコンバットフレームによる近接戦闘になる予感しかない。

 

 

隊長といるとやっぱり楽しい。

 

隊長がいなければ、あの世界は味気ない。

 

『人の声が響かない地球』は辛く寂しい。

 

 

生きていると実感出来る感覚。

戦後の無法者や残存する怪物との戦闘では最早足りない。 重火器で派手にやるだけでは、ただただ虚しい。

死んだように生きる、生存者になりたくない。

 

 

隊長が。 隊長だけが世界を満たす。

 

 

グレ男は肩部の特殊なグレネード射出装置《エクスプロージョン》のトリガーに指を添えた。

グレランも合わせて構える。

 

機動性がない《グレネーダー》は自爆要素含めて近接戦闘は苦手だが、まあ、それを狙ってきたのであろう隊長だけど。

 

銃だけが全てじゃないのは、隊長がよく知っているだろう?

 

さあ、遊ぼうか隊長。 もう戦争は終わったのだから。 この世界でも命のやり取りを、生きている実感を味わおうじゃないか?

 

 

 

 

 

「おお! 特撮を見ている気分だよ!」

 

「……わたし達じゃ、手に負えないんじゃないかな」

 

 

その日。 レンとフカはロボット大戦を目の当たりにする。

プレイしているゲームはGGOで間違いないから、その点は安心してね。 EDFが間違っているだけだから。 存在からして。

 

だが起きちゃっているモノは仕方ない。

子犬は格好良いロボな格闘バトルに興奮し、相方のウサギは戦う前から負けた反応。

運営としては、頼むから《グロッケン》で暴れるなよと願うばかり。

 

それくらい、二機のコンバットフレームの戦闘は激しかったのだ。

 

 

「巻き込まれたら死ねるわ」

 

「それでも、うん。 頼まれたコトはやろう」

 

 

そう言いつつも、移動をせずにもうちょい観戦。 目の前の迫力ある光景に目を見張るチビっ娘コンビ。

 

質量を持った金属の凶器が殴り合い、相撲を取り、時々互いに銃口を向ける度に榴弾による爆音や機関銃の銃撃音、火炎放射器による空気の膨張音や被弾時の金属音、脚部や腕部、腰部の駆動音とブースターの噴射音。

 

普段のプレイヤー間による銃撃戦も喧しいが、コレはそれ以上に喧しく見応えがある。

喧しさで勝負している様なEDFだ、ナメてはいけない。

戦時も戦後も、火力だったり絶望を含めた叫び声だったり歩兵隊の歌でギャーギャーしている連中だ。 その中にはワンちゃんもグレ男も含まれる。

 

たったふたり。 されどふたり。

 

EDFの搭乗式強化外骨格《コンバットフレーム》による大騒ぎは荒野を荒れに荒らす。 まるで嵐のように。 フカの言う通り巻き込まれたら、痛がる余裕すらなく死ねるだろう。

 

 

「ワンちゃんの赤いロボット、まるでウサギみたいに飛び回って面白い」

 

「相手の視界の外に出て腕や脚、武装を狙っている動きだね。 無力化しようとしているんだよ」

 

「でも相手……あー、グレ男だっけ? あっちもやるね。 脚は遅いけど、組みついてきたらぶん殴ったりカウンターとったり。 あー、剣か斧があればなぁ!」

 

「格闘も出来るって言っていたけれど、そういうコトなのかな」

 

「わたしも出来るぜ?」

 

「ここは銃の世界じゃぞ、妖精さん」

 

 

こんな状況でもユーモアのある会話をするレン。

信頼し合える間柄なのもあるけれど、戦っているワンちゃんを信じているのが強い。

 

まあ、銃の世界とはいえど格闘戦が無いワケではない。 ラ◯トセーバーな剣もGGOには存在しているし。 EDFなんて槍やらランスで銃を持った相手と戦ったりする。

 

ただEDFの場合は特殊過ぎる。 参考にしてはならない。

真似した日にはもれなく蜂の巣に変貌。 Mなクマさんも首を横に振るだろう。

やっぱり基本は銃だよ。 剣と魔法なファンタジー世界じゃないのよココ。 オールドタイプにゃ真似出来ないんだよ。

 

 

「それじゃ、そろそろやりますか!」

 

「うん。 行くよ、相棒」

 

 

そんなワケで、ふたりは銃で戦うべく行動を開始。

 

フカはGGOでの実戦は初めてだが、不安の色は全くない。 任せる側も安心させるくらいの笑顔と意気込みでグレランを両手でしっかりと持つ。

もうひとつはスリングで背負う。 弾が切れたら此方に取り替えるのだ。 グレランは回転弾倉内のリロードが手間なので、もう一丁あるなら、この方が早い。

 

一方でレンは銃の代わりに単眼鏡。 観測対象との距離が分かる優れもの。

ワンちゃんが蝶よ花よと色々奢ってくれるお陰で浮いたクレジットにより、購入したものだ。 取り出すついで、念の為に格闘戦用のナイフを腰につけておく。

 

銃の世界と言っても、格闘戦を軽視しているワケではないからね。

流石にコンバットフレーム相手にナイフを使おうとは思わないけれど。 勿論、P90コトピーちゃんも使わない。 あくまでグレ男が生身になったとき用だ。

あのロボット、フカのグレランはまだしも銃弾が効くとは思えないし。

 

 

「フカは、この位置で隠れていて。 わたしは高台に移動する」

 

「おっけー」

 

 

そう言って、レンはリアルなら世界記録を更新する凄い速さで、見晴らしの良い高台へ走り出した。

そこには突然攻撃された時のような、戸惑いは感じられない。

 

たったふたり。 されどふたり。

 

ふたりの隊員も強いが、この幼女ふたりも強いのだ。

 

 

 

 

 

『それじゃワンちゃん! いくよ!』

 

『パパー。 当たったらゴメン。 先に謝っとく』

 

「構わない! やってくれ!」

 

 

無線越しに愛娘たちの声が聞こえたから、ワンちゃんは返答しつつグレ男からバックステップで離れる。

レッドボディの機動力を持ってすれば、距離を詰めるのも空けるのも容易に行えるから便利だ。

 

ただし距離を空けたのは視界を確保する為で、別に格闘を恐れているワケではない。 目的は別にある。

 

刹那。 離れたところでぽん、という小気味良い音が響き、間を置いて爆音。

グレ男の操るグレネーダーを飛び越えて、かなり離れたところでクレーターが出来上がるのが見えた。

 

 

「良し。 レン、初弾の弾着位置を観測しているな? そこからどの方向に修正すれば良いか、フカに指示しろ」

 

『ワンちゃんは指示しないの? たいちょーでしょ?』

 

「操縦で手一杯だ」

 

『それにしては口、回るじゃん』

 

「ふたりを信じているだけさ」

 

『とか言ってると、次にはワンちゃんに直撃したりして』

 

「コンバットフレームは堅牢だ。 気にせず撃ってくれ」

 

『それじゃ、遠慮なく』

 

 

戦闘中だというのに、ペラペラ喋る程度の余裕を見せるワンちゃんとレン。

皮肉を言うことはあれど、信頼は装甲より堅そうだ。

 

一方でグレ男は第三者による攻撃に気がつくが、無視。 ワンちゃんとの戦闘を続行する。

 

センサー反応では離れた場所でふたり、別々の場所にいるのは確認済み。

地形から察するに、ひとりは高台から此方を見ている観測者。 もうひとりは遮蔽物の背後に隠れての砲撃。 弾着観測による攻撃だと直ぐに理解した。

 

同じグレネーダーだと思うと、ほぼ同じ戦法をとられても怒りは湧かない。 寧ろ大変嬉しくある。 まだ見ぬ同士に会いたい気持ちが出てきた。

だが今は無視だ。 隊長との戦闘を楽しんでいる最中であるから。

 

それに、構うことはない。

爆音や機体に当たる破片や風から察するに、コンバットフレームの装甲を抜くには程遠い。

逆に構おうとも、時限信管の弾頭が届く距離ではない。 空中で爆発してしまう。 どちらにせよ気にしない。 それより祭りだ。 祭りだヒャッホイ。

 

 

『修正。 もっと手前』

 

『あいよー』

 

 

レンが真面目な声で、フカに指示。 気楽な声でフカは了解。

そしてフカは射角を少し下げてトリガーを引く。 再びぽん、と音が響けば、今度はグレネーダーに直接着弾、爆発。

 

 

『直撃』

 

『やったか!?』

 

 

A.やってません。

爆炎を突き破ってグレネーダーが出てくると、肩部のエクスプロージョン……複数の榴弾をワンちゃんに撃ってきた。

予想はしていたので、素早く後方に飛び退ける。 同時にグレネーダーは右手のグレランを発砲。 ワンちゃんの予想着地地点に時限信管の榴弾を転がした。

 

 

「流石にやる!」

 

 

刹那、ワンちゃんのいた場所に散らばった弾頭が起爆。 大きな爆炎。

ワンちゃんは構わずにブーストを吹かして更に後方に着地地点をずらす。 すると足下の方で榴弾が起爆。 破片と爆風が飛翔中のレッドボディに当たるも、装甲に弾かれたので問題ない。

 

一方で命中したにも関わらず、何ともないグレネーダーに幼女組は驚愕。

フカのグレランでも駄目みたいですね……。

 

 

『うわぁ……直撃したのに、何ともないよ』

 

『マジで?』

 

「抜くには至らない威力だな。 やはり作戦通りやるとしよう」

 

『出来ればわたし達で始末したかったんだけど仕方ない。 フカ、ほんのちょい上にズラして、もう一発撃って』

 

『おうよ』

 

「……生身になったら、撃ち方を止めるように」

 

 

EDFへの殺意が残るレンは、物騒な言葉を言いつつも観測と指示を続けた。

直撃してもダメージが無さそうなロボに対して、これ以上どうしたいのか。

 

それは直ぐに分かる。

フカがもう一発撃てば、グレネーダーの足下に着弾、爆発。 地面を抉り窪みを作り出した。 実はこの穴が狙いだ。

 

 

『良いトコに着弾』

 

『おっ!』

 

「よくやった!」

 

 

チャンス得たり。

ワンちゃんはグレネーダー胴体にジャンプで飛び込むと、そのまま体当たりをブチかます。

相手の意図に気付いたグレ男。 しかし武装は間に合わない。 次弾を撃つのに、タイムラグが出来てしまっているのだ。

機動力もない為に避けられない。 武装による重量が仇になった。

せめての抵抗として、空いている左手でブン殴りにかかる。

 

 

「悪足掻きだ」

 

 

だが勢いを殺せるワケじゃない。 赤い機体はそのものが弾丸となり、グレネーダーに衝突。

質量を持ったモノがぶつかり、金属音が響き渡ると、グレネーダーはよろけて足下の窪みに片脚を突っ込んだ。

 

その所為でバランスを崩した機体は、勢いで後ろ向きに横転。 どーんと重量感ある音と共に砂埃を立てて横たえる。

側から見たら押し倒したように見える。 ロボの押し倒しなんて誰得過ぎる。 本人たちは真面目なんだけどさ。

 

 

『おお! 勝ったか!?』

 

「まだだ!」

 

 

ワンちゃんは叫ぶと、そのままグレネーダーに馬乗りに。 機体が動けなくなっても、グレ男を捕まえなきゃ意味がない。

 

左手の火炎放射器を投げ捨てて、空いた手……マニピュレーターでコックピットに手をかける。

当然、グレ男は機体をジタバタさせて退かそうとするが、ソコは歴戦のワンちゃん。 暴馬からの落馬はない。

 

 

「このっ!」

 

 

そのまま力ずくでハッチをこじ開けて、空いた隙間にマシンガンの銃身をねじ込んだ!

 

人に例えると、腹を抉って出来た穴に銃を突っ込んだところ。 エグい。

 

 

「遊びは終わりだ!」

 

 

この言葉がシメになった。

一瞬の静寂のち無線が入る。 愛娘たちじゃない。 若い男の、どこか嬉しそうにした声だ。

 

 

『負けた。 流石だ隊長』

 

 

グレ男だ。 好きなようにやって散々皆に迷惑をかけ続けている、EDFの爆発物大好き問題児。

 

 

「俺だけの力じゃないが」

 

『分かっています。 他の2人でしょう?』

 

「……ああ」

 

『ぜひ会わせて欲しい! グレネーダーとしては、是非とも挨拶したいのですよ!』

 

 

殺そうとしてきたのに、全く悪びれもなければ、厚かましいコトに娘たちに合わせろとまで言ってきた。

 

こういうヤツなのだ。 ワンちゃんは戦時から知っている。

知ってるからこそ怒る気力が湧かない。 一生そうなんじゃないかとも思える。

 

ワンちゃんは溜息を吐きながら、銃身を下げてやる。 それでもグレネーダーが動くコトはもうなかった。




コンバットフレームはテロリストとの市街戦を想定して開発された搭乗式の強化外骨格。 兵士を包み込むように保護。 爆弾などの脅威から守る。
人間同様に活動可能とのことなので、格闘を入れました。 ご都合主義ですが……。

グレ男無力化。 次回ご対面?
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