GGDF(完結)   作:ハヤモ

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不定期更新中。 やっとSJ2編へ突入。


SJ2開始
そうして彼らは銃をとる。


グレ男の折檻や《ヴァラトル・ナパームZD》の引き渡し、EDFとの連絡でSJ2当日までドタバタしていたから、つい本来の目的を忘れてしまいそうになる。

 

このままでは、可愛い娘にボコボコにされてしまう。

間違いない。 ワンちゃんは知っているんだ。

 

今回は遊びでは済まされない重大な任務を負っている点に留意して欲しい。 人命がかかっている。

 

その点こと、サディスティック女ピトフーイ。 オマケでヒグマさんのエム。

 

この毒鳥とドMなクマさんの両名の救出が主任務。

 

勝手にSMプレイしたり歌ってるだけなら無害なのに。 そう思っても2022年の事件を拗らせたのか希死願望を持ってるからね。 仕方ないね。

 

何にせよ。 こんな畜生でも助けるべく、我らが隊長ワンちゃんは歴然と立ち上がった。

愛娘の友人でもある毒鳥が勝手に死ぬのも後味悪いし、巻き込まれるクマさんはカワイソラス。

SJ1ではお世話になったし、ここは見捨てるワケにもいかないところだった。

 

急遽組まれた救助隊メンバーは、飼われたウサギに新戦力の快活な子犬とオマケで問題児のウマ(誤字)。

 

獣っぽさは不安だが、EDF隊員がふたりになった。 これなら任務達成は余裕じゃない?

 

だが戦場に絶対はない。

ナニが起きるか分からない。

 

EDF風に言えば優勢だったのに、次の瞬間にはアーケルスが乱入する感じ。

そうでなくても硝煙弾雨を潜り抜けてのSMコンビの救助は困難を極めるだろう。

全部が敵なら纏めて空爆して終わらせるのだが、今回は救出対象も混ざっている。

敵ごとSMコンビを蒸発させるワケにはいかない。 面倒臭い。

 

じゃあ銃撃戦? 無理だよナニ言ってんの。

誘導兵をナメるなよ。 射撃は苦手なんだよ。

 

また、前回から暴れまくっている『荒らしのワンちゃん』は目の敵にされており、敵同士が結託して小隊ないし中隊でボコしにくる可能性があるときた。

だがそんなモン、EDF隊員からしたらワケないコト。 絶望とは言わない。 テレポーションシップや揚陸艇に包囲された時の方が、余程である。

 

 

"ーーEDF歩兵の力、見せてやるーー"

 

 

空軍や海軍に頼らずとも、陸軍歩兵隊は強いってトコ、証明してやる。

 

部隊登録するとき、レンにグレ男も加勢すると言ったら、皺を寄せられたが手段は選べない。 仲間は多い方が良い。

 

 

尚、部隊名は少し揉めての《LFDF》だった。 レンとフカを守る力、といったところ。 可愛くて仕方なかったみたい。

 

因みに《EDF》は全力で拒否された。 目立つからね、仕方ないね。

 

 

 

 

 

「《荒らしのワンちゃん》だぁ!?」

「またかよ!」

「嘘だと言ってよ《ザスカー》!?」

「チクショウ! 今度こそ殺してやる!」

「隣のヤツは噂のスコードロンメンバーか」

「EDFだ。 スタート地点や荒野を不法占拠している迷惑集団だぜ」

「コロス! EDFマジコロス!!」

 

 

そんな感じでSJ2。 集合場所の酒場は黒い盛り上がりを見せており、始まる前から戦意(というより殺意)に満ち溢れていた。

 

だがそれはワンちゃんとグレ男も同様である。 戦術は異なるが、今回も全力で挑む。 遊びでやってるんじゃないんだよ。

 

 

「EDFも有名になって嬉しいです! でも入隊希望者がいないのは何故ッスかね」

「ピトとエムを助けたら、誘ってみるか」

「賛成! いやあ、助けるのが楽しみだなぁ!」

 

 

ケラケラしているが、一応本気だ。 特に彼らEDF隊員は。 死は文字通りの死になるので。

 

 

「ところで、色んな人がいるんですね。 アッチの方なんてアマゾネスとドクロワッペンがいましたよ。 強そうでした!」

「共に戦う仲間か。 同じ戦線で共闘出来れば良いが」

 

 

そう言うワンちゃんだったが、残念ながらソイツら敵である。 もっと言うとSJ1でワンちゃんがボコボコにした連中だ。

 

彼ら(彼女ら)もまた、チーター野郎のワンちゃんにイラッときており、今度こそ負かせてやると息巻いていた。

 

特にアマゾネスに関しては殺意が強い。 レンとリア友になって以降、「あのチーター最低男の魔の手から香蓮さん……じゃなくて、レンを助けるんだー!」と気合を入れている。

 

一体、リアルでどの様な話を聞いて決意に至ったのだろうか。 ワンちゃんは知る由も無い話である。 歯向かって来る以上、その決意をヘシ折るだけなんだけど。 中身がJKでも容赦しないぜ。

 

 

「さて。 レンとフカはまだだから……武装を確認する」

「いえっさー。 えーと、小銃持って来いとの事でしたのでコイツを用意しました!」

 

 

それはそうと、皆の前で武装を実体化させるグレ男。 こういうのは敵に情報を与える愚策なので避けるべきなのだが、御構い無し。

 

 

「じゃーん。 《ミニオンバスター》です!」

 

 

取り出したるは緑色の、少しゴツい小銃。 色合いがオモチャに見えなくもないが、コレも立派なEDFの銃だ。 しかも凶悪な分類に入る。 あと、小銃といっても対人戦闘用ではない。

 

 

「やっぱりソレか。 徹甲榴弾を持ってくるとは思っていたが」

「お褒めに預かり光栄です!」

「褒めてない」

 

 

ワンちゃんは溜息を吐いた。 まあ、グレネードのみよりマシだろう。 コレも似たようなモノだが。

 

というのも、このミニオンバスター。 対コンバットフレーム用に開発された銃だ。 徹甲榴弾と言った通り、特殊な弾を使用する。

信管付きの弾を装甲にめり込ませて、内部で起爆。 内側から粉砕する恐ろしい銃なのだ。

 

人に向けて撃つモンじゃねえ。

もし体内に残ったら……ミンチよりヒデェコトになる。

 

 

「まあ、無法者に容赦はしなくて良い。 躊躇すれば死ぬのはコッチなのだから」

「はい。 ところで隊長、背後で騒いでる女がいるんスけど」

「むっ?」

 

 

そう言われて背後を振り返ると。

忍者みたいなスーツを着た長身の女が、選挙運動みたいに愛想を振りまいて挨拶をしていた。 凄い見覚えのある人だ。

 

 

「分かった! ワンパン世界の忍者コスプレだ! いやぁスッキリした!」

「ナニを言ってるんだ。 彼女がピトだよ」

 

 

勘違いをするグレ男に、ワンちゃんは訂正。 確かにあの忍者と似ている部分はあるが、アッチは男だ。

危うく女になりかけていた気もするが、どっちにしろ関係ない世界である。

 

 

「え、救出対象? なら確保しときます?」

「戦闘中にナントカしないとならないんだ。 今確保しても仕方ない」

「ややこしい事情があるんですねぇ」

 

 

ああ、と相槌を返すがワンちゃんも良く分かっていない。 レンからそうするように言われているのみだ。

 

本当なら事情を聞くべきなのだろう。 でも言い辛かったらしい。 口籠もりになったので、そっとしてあげた。

 

そりゃレンとしては言い辛い。 リアルとVRを混合しているようなワンちゃんに「ピトさんを殺すのが救うコトになる」なんて言ったら混乱する。

下手するとレンが危ない思考に目覚めたとパニクるかも知れない。 それは避けたい。 余計な問題は勘弁なのだ。

 

ただワンちゃんが説得か確保してくれるのにちょっぴり期待しており、最悪はその上での殺害を試みる予定。

目の前で殺ったら、ワンちゃんがショック死するかも知れないので、暗殺の形になる。 ソレの方がインフェルノな気がするけれど。

 

 

「挨拶しときます?」

「いや、良い。 余計な接触が後々に響くかも知れないからな」

「おっけーです。 ところで隊長」

「今度はどうした」

 

 

今度は別の方向に指をさすグレ男。 見ればボブカットで緑髪の女の子。 歳は二十代半ばほどか。 豊満なオッパイが嫌でも目につく。

男の哀しい性である。 オッパイは皆んな大好きだもん。 隊員も例外ではないのだ。

 

 

「ウヒョー! 眼福ッス! 《ウィングダイバー》も素敵っすけど、目の前の子も最高ですね! 爆乳サイコー!」

「戦いを嫌っている顔だな」

 

 

だがワンちゃんは胸より彼女の無言でとても嫌そうで、あまりの仏頂面の顔を見てそう思う。

 

一瞬目があって、目を見開き……直ぐにふいっと顔を背けられた。 何だったのか。

 

 

「フラれたっすね隊長!」

「何でも良い。 今はピトの件に集中だ」

「そうっすね! ピトのお姉さん姿も唆られますし。 顔のタトゥーが無ければ好み!」

「そういう意味じゃないんだが。 しかし……レンたち遅いな」

「レン!? ははぁ、隊長ってロリコンだったのですか。 それともペチャパイ好き?」

「少し黙ってろ」

 

 

勝手なコトを言うグレ男を無視して、ワンちゃんは心配する。

20分前には合流していても良さそうなのに、これは遅過ぎる。 このままでは遅刻で脱落してしまう。

 

連絡を取るべきか。 そう思った刹那。

 

 

「間に合ったーっ!」

「いやー! 危なかったーっ!」

 

 

甲高い叫び声を上げながら、二人のチビが入ってきた。 ローブで体も頭も隠しているけれど、身長と声で分かる。 愛娘たちだ。

 

 

「おーい! コッチだ!」

「どうしたん。 腹でも下したかぁ?」

「えっ! 何で分かったの? 怖いんだけど」

「……マジで下したのか」

「そうみたい」

 

 

遅れたワケを聞けば、フカがアイスを急いで食って腹を下したとか。 アホな理由である。

だけど、そんな理由で不参加にならなくて良かった。

 

ピトの件を最終的に取り纏めるのはレンなのだし、フカは貴重な戦力だ。 仮にEDF隊員のみで本選に参加出来ても、ドッタンバッタン大騒ぎのカオス化になりかねん。

いや、まあ、何とかなりそうな気もするんだけども。

 

 

「なんか飲む暇あるかな? レン」

「まだ飲むのっ? 別に喉が渇くわけじゃないしいいしゃない!」

「気分よ気分。 一杯やろうぜ! 優勝の前祝いだ!」

「気分で……、またお腹下すかもよ?」

「もー、出すもん出したから大丈夫だって!」

「……災難だったな。 取り敢えず、そこの空いてるテーブルに座って」

 

 

レンとフカを空いてるテーブルに座らせると、早速フカがレモンスカッシュとアイスティーを注文。 残り時間1分もない。

 

こりゃ残すな。 そんな下らんコトを考えていると

 

 

「や! レンちゃんにワンちゃん!」

 

 

聞き覚えのある声に呼ばれて

 

 

「…………」

「やべー、バレたっすよ」

「仕方ない」

 

 

その声の主へと顔を動かした。

久しぶりに見るピトは相変わらず。 懐かしくもあり、恐ろしくもある。

 

 

「前回優勝おめでとう!」

 

 

屈託のない、見慣れた笑顔に、

 

 

「ありがと!」

「……ああ」

 

 

レンは一瞬だけ全てを忘れて、ワンちゃんは前回エム経由で殺されそうになったので複雑そうに、そう答えた。

 

その瞬間、SJ2出場者が待機エリアに転送される30秒前のアナウンスが流れ出して、

 

 

「あちゃあ、のんびり話す暇もなかったかあ」

 

 

心底残念そうに、タトゥーの上にある目を細めるピト。 そんな彼女に、ワンちゃんは声を掛ける。 それは決意に満ちた、真っ直ぐな声だ。

 

 

「ピト……迎えに行く。 少し待っていろ」

 

 

ピトは目を瞬きして、

 

 

「ん? よく分かんないけど……、まあ分かった。 でもね」

 

 

一拍おいて、

 

 

「待たせる男は嫌われるよ?」

「焦らしプレイってヤツっすね! ……イテッ!」

「グレ男。 少し黙れ」

 

 

シリアスっぽい雰囲気をグレ男にブチ壊されたので、ワンちゃんは蹴りを1発入れておく。

 

 

「その分、愉しみにしてろ」

「あは!」

 

 

屈託のない笑顔のピトフーイが去ってから、ぽかんとしているレンとフカに向き直ると、

 

 

「行くか。 助けにな」

「お、おう」「おっけー」

 

 

その瞬間、転送が始まった。

決意に満ちた顔のままのワンちゃん、蹴られたスネを痛がるグレ男、少し困惑しているレンと、

 

 

「ちょ、もうちょっと飲みた……」

 

 

慌ててストローを咥えたフカが、光の粒子になって消えたのだった。




レンジャーが加わり、どうなるのか……。
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