GGDF(完結)   作:ハヤモ

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不定期更新中。 レンジャーによる初戦闘。


警戒モードの群れには初弾が重要。

 

《LFDF》の転送先は町だった。 市街地の道の上にいる。

 

スタート時点で他チームとは最低でも1キロは離れているから、いきなり会敵する事はない。

 

とはいえ、対物ライフルの場合は1000メートルは余裕で有効射程距離内。 見晴らしの良い場所ならすぐにでも伏せねばならない。

 

ブルージャケットや一部の隊員は、逆に撃つ側だったと思うから、意味は分かるだろうか。

平原や田舎町の戦場で《ライサンダー》にお世話になった者もいるだろう。 或いは団地での芋砂。

 

だが今回、敵は歩兵のみで少なく、自分達は家に囲まれている。 狙撃を喰らうコトはない。 隊長のワンちゃんはソレを確認すると一先ず安心。

 

 

「安全確認ヨシ。 現在地急げ」

「了」

 

 

続いてグレ男に指示。 EDF式の、手に持たなくて良くて自動音量調整機能付きの通信機のおかげで、しっかりと声でやり取り出来る。

 

コレはレンやフカの持っている、GGOの通信機も同等の性能。 回線は共通なので、ワンちゃんやグレ男の声もしっかり聞こえてる。 良い事だ。 当の本人たちは、ふたりのやり取りに戸惑っているが。

 

 

「報告。 MAP《AREA1》」

「了。 センサーに敵影は」

「感有リ。 南側に複数。 移動中。 移動先は近いヤツで同一エリアの町中に潜伏する気かと。 次に町中央付近の駅に向かうヤツ、恐らく陣取ります」

「市街戦は遮蔽物が多い分、厄介だ。 警戒を厳にし、CQBは覚悟しろ。 武装も相手が有利だと思った方が良い。 駅の方も……考えたな。 ホームの高低差を利用して待ち伏せする気か。 見晴らしも良いのだろう、ホームがコンクリート製なら銃弾も貫通しない……両方障害に成り得る。 排除するぞ。 現状はトラップ等に警戒しつつ、町中に潜伏する。 先ず最初のスキャンまで様子を見よう。 グレ男、お前が先行しろ」

「了解。 ひとまず大きな家の脇に隠れます、チビッ子たち、迷子になるなよ?」

「もし迷ったら移動せずに連絡をしてくれ。 必ず迎えに行く」

 

 

一気に喋り終えると《ミニオンバスター》を構えてグレ男……レンジャーは移動開始。

ワンちゃんは自身の魔改造P90(正史ではレンの2代目ピーちゃんになる筈だった)を構えてついて行く。

 

その様子にぽかーんと棒立ちしてしまうレンとフカ。

 

どうしたのか。 また腹でも痛いのか。

 

 

「むっ。 具合悪いのか」

「寧ろパパ達が具合悪いんじゃ」

「そうか?」

「なんか……頼もしいから」

 

 

素直に思ったコトを口にするフカとレン。 そりゃ、普段はバカ騒ぎをやって、周囲に迷惑を掛けているからね。

 

今のキリッとした振る舞いを見たら、困惑する。 誰だよお前らと。

いや、思い返せばSJ1でもキリッとしていたか。 全く、普段からこうなら頼り甲斐あるのに。 この差はなんだろう。

 

 

「んー、作戦行動中だからね。 俺、一応兵士だし偶には仕事しなきゃ。 隊長の指揮下じゃなかったら戯れるんだけど」

「戯れるな。 いちいち爆発に巻き込まれる側にもなれ」

「隊長なら死なないと見越してのコトです」

「二度とやるな。 良いから前進しろ」

「りょーかい」

 

 

いや、その理屈はおかしい。 そう思うレン達だったが言わなかった。

 

使えるものは親でも使え。 こんな人達でも戦闘は頼っていこう。 特に今回は遊びではないのだから。

 

チートだろうが何だろうが、このまま付いて行くコトにする。

 

 

「まあ、頼りになるっていうと、フカの格好も言えてるなぁ。 イメチェンか?」

「ん? ああ、戦場に行く以上、ガッチリするべきだってね」

「良い事だ ……装備の金はどこで?」

「もちろん、パパに決まってるじゃん!」

「マジかー。 隊長、俺にもナニか買ってくださいよ!」

「分かった。 お前を拘束する器具で良いな」

「イヤっす! グレネードが良い!」

「……真面目にやってね?」

「俺はいつだってガチだぜ!」

 

 

トボトボと前進しながらも、グレ男の私語は続く。 ガチと言いつつふざけ始めているようにしか聞こえない。

 

だが真面目な話をすると、フカの兵隊さんな格好に関しては大いに関心があるのだ。

フカは同じグレネーダー仲間と思っており、格好もバックパックの中身も気になるのは当然の帰結である。

 

つい昨日まで駐屯地にて「OSIOKI」を喰らっていた所為で、グレ男がこの格好を知ったのは、実はたった今。

 

拘束中は禁欲生活(グレネード禁止)を強いられていたのもあり、ちょっぴり興奮気味。 幼女にハアハアしているサマは、アブナイ人でしかない。

 

 

「……小さな頭を守るヘルメは、まあ子どもだしな。 合わないのは仕方ない。 だが重要だ。 頭への負傷で死ぬのを防ぐ為にはな。

迷彩のコンバットシャツ……《マルチカム》か。 防弾プレートを入れた緑のベスト……グレネード用ポーチ。 同じグレネーダーとしてはニヤけちゃう。 バックパックの中身もグレネード弾か。 取り出しやすいように仕切が設けられているようだな? 良いゾ良いゾ。

茶色の手袋は……素手じゃ流石に危ないからな。 弾を滑らせるのもそうだが、可愛いスベスベなおて手だし、怪我したら大変だもんねぇ……。

スカートっぽいショートパンツに、足は黒いタイツで、茶色のショートブーツ。 ハァ……興奮要素なんですがそれは。

あと可愛いといえば、その髪のお団子も良い。 かんざしを挿しているが……それ、ナイフだね? 必殺仕事人みたいで格好良いじゃない。 寧ろ俺が挿したい!

でも本音としては、お団子が実は手榴弾ってオチならもっとしゅきぃいぃ!!」

「俺の側を離れるなよ」

「うん」「そうする」

 

 

愛娘の危機を感じ、側に寄せる隊長。

先程までのガチムードは、グレ男のアヘ顔トークで霧散してしまった。

 

こんな男を頼もしいと言ったウサちゃんは、早速自身を恥じる。

サイテーだよこの男。 今後、親友に近寄ろうモノなら制裁を加えてやる。

 

そう思うレンだったが、こんなアヘ顔晒しのトークをしつつも、それっぽい家の脇まで移動。 ちゃんと進んでいるのは納得いかん。 これがレンジャーのチカラの片鱗なのだろうか……。

 

 

「よし……隊長、この辺の家脇で待機します。 太い通りに面しているから、敵が来たら分かりやすい」

「良いだろう。 周囲を警戒しつつ、ここでスキャンを確認する。 レン、《サテライト・スキャン》で《PM4》と周囲の確認を頼む」

「任せて」

「フカは通りを警戒。 ノコノコ来るボンクラはいないと思うが、一応な。 それと発見されるリスクと被弾率を下げる為に匍匐姿勢で頼む。 万が一、敵を見つけても無闇に発砲しないように」

「あいよ」

 

 

ワンちゃんは素早く隊員らに指示をしていく。 グレ男、フカで周囲を警戒。

その間にレンにはサテライト・スキャン(衛星走査)による敵分隊の位置把握に努めて貰うコトにした。

 

尚、ワンちゃんが言った 《PM4》とは敵分隊の1つの名前なのだが、コレがピトの属するチームである。 この隊との合流(というか説得)をするのが主目的。

隊名の意味は『ピトフーイとエムの死』らしい。 本当なら凄い名前だ。 EDFの方が凄いけど。 フルや知名度的な問題で。

 

 

「俺たちも衛星使いましょうよ! ドーンってド派手に!」

「《サテライトW1》か? 駄目に決まってるだろう。 見晴らしの良い場所で、敵しかいないならともかく」

「《バルジレーザー》じゃないッスよ。 えーと……アレ。 《神をも滅する光の槍》!」

「更に駄目に決まってるだろ。 《スプライトフォール》の使用は……あー、その。 謎の女科学者が狂喜するから。 良いから周囲の警戒を厳にしろ」

「サー」

 

 

それはそうと、衛星に反応したグレ男が誘導兵に絡む単語を吐き散らす。

もれなくワンちゃんは苦虫を噛み潰したような顔になってしまった。

 

前者は良いが、あのサテキチ姉さんに関しては良い印象がないのだ……。

 

 

「何の話?」

「気にするな。 ピトより危険な女に絡まれたくなければな」

「楽しいの間違いです隊長」

「……戦後《かの者》に使用しなかったのを理由に騒がれた身にもなれ」

 

 

戦闘前だというのに、既に戦い終えた様な、疲れた声を出すワンちゃん。

レン達には何のこっちゃな話だが、同じ世界線のグレ男は「災難でしたね」と同情しておいた。

 

それはEDFの世界にて。 約3、4年前にあった《かの者》との戦闘が原因。

ペプ◯マンのパチモンな見た目だったヤツだが、一方で神とも言われたヤツ。

 

神話に出て来る存在でもあり、強さも桁違いのバケモノ。 隊員に「死神」と言われた程だ。

 

そんなヤツに《スプライトフォール》で消し飛ばせば《神をも滅する光の槍》を証明出来ると思った女科学者がいた。

 

ワクワクして、ワンちゃんからの要請を愉しみにしていたのだが……ところがどっこい。 使用されるコトは無かった。

代わりに使われたのは《バルジレーザー》と呼ばれる、EDFのもうひとつの衛星砲である。 照射時間と総合的な威力、コストや照射中に砲身転回出来るメリットからこのチョイスになった。

 

コレに女は発狂。 戦後、ワンちゃんに無線を繋いでギャアギャア騒ぎやがったのである。

 

転送装置を弄ってワンちゃんをGGO世界に飛ばした犯人でもある彼女だが、偶然の事故ではない。 この案件の仕返しの意味が強かったりする。

 

GGO世界に辿り着いたのは偶々なのだが……どちらにせよ、迷惑な話だった。

 

 

「過ぎたコトは仕方ない。 今はピトの件に集中する」

「……女難の相、出てません?」

「私語は慎め」

「くっそーおおおおおおおおおおっ!」

「うおっ!?」

 

 

突如として大声で叫んだウサちゃん。 ナニか。 自身が頑張って《サテライト・スキャン》端末を見ていたのに、隊員らがペチャクチャ喋っていてキレたか。

 

だが不要に叫ばない方が良い。 グレ男の様な『音』から弾着地点を計算して砲撃する変態グレネーダーがいるかも知れん。

 

実際、荒野で砲撃されている。 グレ男は特例だと思うが、全く無いとは言えないのだ。

 

 

「どうした。 報告してくれ」

「マズいよ。 ピトさんたち、地図の南東の角にいる」

「あー、最も遠い場所ですね。 《AREA7》です」

「そうか。 前進するしかないか」

「仕事が増えたー。 萎えるわー」

「仕方ないだろう。 行くぞ」

 

 

この無慈悲な事実に、レンは空を見上げて嘆いた。 GGO世界には、神も仏もいないのか。 最終戦争で、美しい蒼い空と一緒に、全て滅ぼされてしまったのか。 それとも、こんな世界を見捨てて、引っ越したのか。 EDFという迷惑集団の影響なのか。

くそう! くそう!

 

 

「どうして……。 ああああ!」

「お嬢さん……、人生は、そう思い通りには、いかんのじゃよ」

 

 

フカが訥々と語りかける。 もうね、戦闘前から悲しみに包まれてるよ。

 

だがGの如く、しぶとく生き抜いてきた隊員らは、平然とした顔を浮かべる。 この程度でいちいち絶望なんてしない。

増援は期待出来ない? 敵が多い? 装備も弾薬も劣ってる?

 

 

"なんだよ。 いつもどーりじゃん"

 

 

寧ろ楽な方だ。 戦時はこの比じゃない絶望と戦力差だったし。 今回、相手は歩兵のみ。 無数のドローンや10メートル級の怪物の群れを相手にしている訳でもなし。

今までの経験から言わせれば、今作戦はせいぜいノーマルモードじゃなかろうか。

 

 

「安心しろ。 俺やフカという仲間がついている。 必ずピトを救うし、そしてキミたちを守る」

「そうとも。 おぬしのコトは儂が見ておるぞい。 そしてこれからものぅ」

「うん……ありがと、ワンちゃん。 フカ」

「あの隊長。 俺、忘れてませんよね?」

 

 

皆でグレ男を放置して遊びつつ、気持ちを新たにする。

 

そうだ。 やるコトはひとつ! ピトを救うコトのみだ!

 

 

「移動方向は南東。 進行ルート上の部隊は排除する。 周囲を警戒しつつ行くぞ」

「Yes, Sir!」

 

 

レンジャーも気持ちを新たに、先行して敵分隊へと進んで行く。 仕事とプライベートの会話が激しいが、こんなグレ馬鹿でも、頼りになるのはやはり違いない。

 

レンとフカは少し距離を置いて隊員らを頼りについて行き、隊長とグレ男は銃を構えつつ、そして油断なく進行。 暫く歩き続けて

 

 

「敵、確認」

「了。 レン、フカ。 そこの家の中に隠れていろ」

 

 

グレ男が敵の分隊を認む。 愛娘たちを比較的安全な家内に誘導しつつ見やれば、十字路に陣取っている敵の姿が。

見える範囲で四人が、廃車やゴミ箱の後ろでべったりと伏せて小銃を構えている。

 

待ち伏せだ。

 

 

「敵陣地、か。 罠に気を付けろ」

「了。 既に存在確認済」

「解除は?」

「終了。 最低限の道は確保」

「よくやった」

 

 

だが見つけてしまえば怖くない。 罠も素早く解除してしまった。 普段ふざけてるクセに見事な手際である。

 

 

「す、凄い」

「いやぁ、いなかったら罠に掛かっていたわ。 足吹き飛んでたかも」

「そんなコトはさせないさ」

「俺は吹き飛ばすのも、されるのもしゅきい……」

「お前は黙って次の段取りだよ」

 

 

拘束中の禁断症状が治ってない彼は、アブナイコトを口走る。 けれども、なんだかんだ言って次のステップへ進んでいく。

 

尚、正史でフカは、ブービートラップに引っかかる。 結果、足チョンパなグロデスクな目に遭った挙句に敵にバレてピンチに陥った。

レンのお陰で切り抜けたが。

 

そんな罠を解除したグレ男。 普段はアレな性格ではあるけれど、booby(まぬけ)ではないのだ。

 

 

「遠くからグレランによる砲撃、という手もありましたが」

「確実性に欠ける。 お前の腕なら出来るだろうが……その小銃で殲滅出来るか?」

「任せて下さい」

 

 

隊長の指示でヌッと前進していくレンジャー。 ワンちゃんはP90を構えてはいるが、その場から動かない。

 

それを家の窓越しにコッソリ見ていたレンとフカは、心配してしまう。

 

 

「えっ、ひとりで大丈夫なの?」

「グレネード妖精がぶっ殺してあげようか?」

「問題ない」

「グレネード妖精……アイタィ」

「黙って状況に備えろ」

 

 

アヘェ……な声を出しつつ《ミニオンバスター》を構えて進むグレ男。 もう敵は目の前だ。 大丈夫か?

 

 

「お嬢さん方! 特等席から見ているが良い!」

 

 

突如、グレ男は叫ぶ。 敵にバレた。 銃口を一斉に向けられた。

 

だが構わず脚力強化の補助装備《アンダーアシスト》を起動させて

 

 

「EDF歩兵のチカラ、見せてやるよおおおおお!!」

 

 

レンの俊敏性を遥かに超える、瞬間移動したかのような超スピードで敵陣地に突入開始!

 

 

「ナニイイ!?」

「速すぎる!?」

「撃て撃て撃て!?」

 

 

刹那、敵がトリガーを引こうと……出来なかった。 次の瞬間には身体が破裂してミンチになったから。

 

ダンダンダンダンッ! というセミオート音が響き渡る。 《ミニオンバスター》の銃声だ。

 

徹甲榴弾は身体を貫き、そうでないなら身体の内側で起爆、破裂。

 

初期型なのでフルオート機構がないのは面倒だが、この程度の人数なら、グレ男には些細だ。

 

 

「ちくしょう!?」

 

 

銃声は目の前で聞こえるのに、射手が見えない恐怖。 近くに来ているものだから、味方への誤射も懸念されるが、心配しなくて良いコトだ。

 

だってその前に死ねるから。

 

そして気が付いた時。 六人の男達「だった」モノが地面にばら撒かれているときた。 六人はルールで分隊最大人数。 つまり全滅で間違いない。

 

ほんの、ほんの一瞬の殺戮劇だった。

 

銃撃戦が一瞬で終わるのは珍しくないけれど、コレは……エグい終わり方だ。 ゲームとはいえ、見てしまったレンとフカは顔を顰めてしまう。

 

 

「うへぇ……エゲツない」

「敵じゃなくて本当に良かったよ」

 

 

素直な感想を口にする幼女達。 でもね、ウサちゃんの方も正史でエゲツないことやってるからね。 男の股間をナイフで縦にザックリヤるっていう。 漫画版ではSJ1前に、ピーちゃんで男の股ぐら撃ってたし。

 

 

「すまない。 キミ達にこんなコトを見せてしまった」

「やっぱりゅぅだん……しゅきぃいぃ」

「コイツの顔まで見せてしまった」

 

 

謝るワンちゃんと、アヘ顔で戻ってきたレンジャーを見て、レンとフカは……どう反応して良いのか少し迷った。

 

ナニはともあれ。

障害をひとつ排除した《LFDF》。 まだまだSJ2は始まったばかりだ。




何とかSJ2を終わらせたい……。
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