本日の予定
「そうだ、レンちゃんとワンちゃん」
「なにー? ピトさん」
「ワン……ちゃん?」
岩と砂の砂漠に、俺と女二人。
今日も太陽は見えず、黄色くどんよりした雲が空を覆っている。
遠くには廃墟のビル群。
殺伐とした風景だが、明るい会話は未来を感じさせるものだ。
「可愛いと思う、ワンコみたいで」
「ピトやレンも可愛いと思う」
「おっ、二人同時にナンパ? やるねぇ」
「そんなワケない」
平和な会話。
約4年程前は、こんな余裕が無かったからなぁ。
代わりに悲鳴と銃声を良く聞いたものだ。
エイリアンの侵略とか、誰が予想出来ただろう。 戦略情報部は知ってた風だったが、まあ、もう過ぎたコトだ。
「ところで、さっき何を言いかけたんだ?」
「よくぞ聞いてくれた!」
「いやいや、ピトさんが言い出したんじゃ」
「そうだっけー? あたしゃ覚えてないなー」
「やれやれ、ピトさんのリアルはお婆さんでしたか」
「ああ! しまった!」
これからは人類復興の為に頑張ろう。
笑顔で話す二人を見てそう思う。
だが障害があるのも事実。 エイリアンの置き土産、怪物の駆除だ。
それと暴徒の鎮圧。 世紀末ヒャッハー連中をなんとかしなければ。
同じ人類を手にかけるのは気が進まないが、仕方ない。
「いやあ、別に隠すわけじゃないけど、いや………リアル年齢は隠してるけどさ、そんなに年寄りでもないんだよ?
もちろん、レンちゃんみたいに未成年、なんてピチピチじゃないけどさ!」
「ピトさん……。 ピチピチってもう死語じゃない? 少なくとも、大学で使ってる人、いない」
「はい、レンちゃんは現役大学生!
前から思っていたけどやっぱりか! また一つ判明しましたー!」
「しまったあああああ!」
叫ぶ全身ピンクの子供、レン。
可愛い見た目と裏腹に、現役大学生ということは、飛び級だろうか。 相当に頭が良いらしい。
「だが、今の地球で大学は機能しているのか?」
「GGOの世界じゃ機能してないだろうね。 てか、またこのパターンか!」
「ワンちゃん、リアルの話だよ。 この世界にのめり込み過ぎ!」
いや、リアルの話をしたつもりなのだが。
よく彼女らとは会話が成り立たないが、あまり突っ込まない方が良いだろう。
戦時中の辛い記憶から逃れる為の、矛盾の様なものだ。 そう考えて、俺は彼女らに合わせる様にしている。
「ああ、すまない。 今は怪物退治に集中しよう。 武器の点検は済んでいるか?」
「ピーちゃん? 大丈夫だよ!」
「私のAKー47もね!」
そう返事をして、自分の腕に銃を抱き寄せる二人。 よし、良いコトだ。 武器は自衛の面でも重要だからな。
ピーちゃんこと、P90………レンが所持する武器だ。 服と同じ様にピンク色。 長方形の箱の一部をえぐった様な、異形の銃だ。
使った事がないが50発の装弾数らしい。 少ない。 近距離での貫通能力はあるらしいが、怪物の大群相手には心許ない。
EDFのレンジャー部隊が使用するアサルトライフルがあればな。 ワンマグ3桁のモノが多い。
まあ………セミオートマチック・ライフルは30発前後なので、ソレと比べたら良いとは思う。
一方、黒い服に身を包む、ピトことピトフーイの銃。
如何にもアサルトライフルのソレ。
AKー47と言っているが、知っている銃だ。 スラッガー・アサルトライフルだ。 細部は異なるが、多分そのシリーズ。
破壊力を重視した代わりに射程距離と精度が犠牲になっている銃………の筈だが。
ピトは改造したのだろう、射程も精度も悪くない、というか普通に良い。
湾曲したマガジンがセミオートと同様の30発になってしまっているのはやはり、痛いが。
「そういうワンちゃんは?」
「俺か? 勿論、大丈夫だ」
聞かれたので、銃を見せる。 赤い色に包まれた、吸着爆弾を射出する銃を。
「相変わらずワンちゃんの銃は変なのが多いねぇ。 ねね、やっぱり売ってくれない?」
「ダメだ。 スピードスターなら良いが」
「オモチャじゃん、アレ! 銃じゃないし!」
「あー、あの200キロくらい出るお掃除ロボットみたいな」
そんな会話をしていた刹那、くぐもった爆発音。 ディテクターが起動したか!
「かかった!」
「かかった!」
「かかったな!」
俺やレン、ピトは素早く行動開始。 良い動きだ。
「やっちまえー!」
「やっちまえー!」
「いくぞ!」
楽しそうに声を出しながら、俺は真面目な声を出しながら、10メートル程駆ける。
その先にはミミズの怪物が一体のみ。
全長5メートル程度。 10メートル程の怪物が群れを成しているより全然良い。
「サポートやるよ!」
「サポートする!」
「りよーかい!」
レンが猛ダッシュ。
そしてピトがセミオートでスラッガー発砲。
怪物に命中する、良い腕だ!
俺も負けじと、銃を向けて、怪物にトリガーを引く。 大きな缶ジュースの様な、点滅する吸着爆弾が引っ付いた。 よし!
「やー!」
レンがP90を撃ちまくる。 小さな体で良くやると思う。
子供を戦わせるのは心が痛むが、本人は楽しんでいるものだから、複雑な気分だ。
武器がいらない、平和な世界を築かねば。
その為にも、先ずは目の前の怪物を駆除する!
「起爆する、離れろ!」
「了解!」
そういうと、中々の速さで怪物から離れる。 安全を確認し、すぐさま銃の前方部にある、アンテナのトリガーを引いた!
刹那、怪物の表面に付着していた爆弾が爆発を起こし、怪物は木っ端微塵に。
センサーにも反応なし。 勝ったぞ。
「EDF! EDF!」
「相変わらずの強さだね」
「そして謎のかけ声だねー」
この調子でこの世界に、皆はGGOとか言っているが………平和を取り戻すのだ!
エアレイダーの「空」も出る予定。